紹介記事
「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」発売まで(およそ)1か月! そんなタイミングだからこそ伝えたい1作目の魅力
※PC(Steam)版は6月25日配信予定
AI搭載の義眼アイボゥを“相棒”に,夢と現実という2つのパートで捜査を行いながら事件の真相に迫る「AI: ソムニウムファイル」。その新作「ニルヴァーナ イニシアチブ」は,1作目と時系列でのつながりはあるものの,物語自体は独立したものとなっているという。つまり,前作をプレイした人もそうではない人も,フラットに「AI: ソムニウムファイル」の新たな物語を楽しめるというわけだ。
とは言え前作をプレイした者としては,ぜひ1作目もプレイしてほしいという思いがある。「発売までまだ(およそ)1か月あるいまなら間に合う!」と。基本的なシステムは共通しているため,新作を始めてすぐスムーズに遊べるということもあるが,それだけオススメしたい魅力と特徴に溢れた作品だからだ。
そんな1作目「AI:ソムニウムファイル」を,新作で興味を持ったという人たちに紹介したい。なるべくストーリーの核心には触れないようにしているが,ゲームの進め方の紹介などで一部ネタバレに抵触する箇所がある。また,陰惨な事件が描かれる物語の性質上,残酷な描写や表現があるので,読み進める際はこの両方に注意してほしい。
「AI: ソムニウム ファイル」公式サイト
失われた記憶を,AI-Ball(相棒)と共に探る
多彩な表情を持つシナリオが魅力のSF推理ADV
まずは簡単に,基本的な世界観と物語,ゲーム進行を紹介しよう。ゲームの舞台は,現実より少しだけ未来の東京。雨が降りしきる夜,廃園になった遊園地のメリーゴーランドに縛り付けられた女性の遺体が発見されるところで物語は始まる。その遺体からは左目がくり抜かれており,現場には目立った証拠も残されていない。
そんな難事件の捜査に駆り出されたのが,被害者と面識があるという主人公の伊達 鍵(だて かなめ)だ。伊達は事件の6年前,被害者と同様に左目を失っているのだが,そのときに記憶もなくしたため自身に何が起きたのかは覚えていない。今回の事件と,かつて伊達の身に起きた“何か”に共通する事象は,偶然なのか,それとも? この謎を解き明かしていくのが「AI:ソムニウムファイル」のストーリーだ。
主人公の伊達は,ただの警察官ではない。先進式人脳捜査部隊ABIS(アビス)に所属するメンバーの1人だ。人工知能を搭載した義眼のAI-Ball(アイボール)を“相棒”に,PSYNC(シンク)装置を用いて人間の脳内に潜り込み,夢(ソムニウム)の世界を捜査できる。
この,PSYNCを用いたソムニウム世界での捜査が,ストーリー上だけではなくシステム的にも中核を担っているところが本作の大きな特徴の一つ。現実世界での調査や聞き込みを行う「捜査パート」と,夢の世界を探る「ソムニウムパート」という2つのパートで“夢と現実を行き来”して物語を進めていく。
ソムニウム世界で得た情報は,あくまで対象者の“心の中”にあるだけのものであり,現実の捜査での実証にはなりえない。現実で行う捜査の足掛かりとなるもので,その情報をどう捉え,何を選択するかはプレイヤー次第。夢の世界で得た情報をどう判断するかによって物語が大きく分岐し,まったく異なる展開や複数ある結末の“どれか”へと向かうのだ。
新作プレイ前に体験してほしい1作目の魅力
その1:夢と現実を行き来する2つのパート
ここからは,新作「ニルヴァーナ イニシアチブ」をプレイするうえでも押さえておきたい,「AI: ソムニウムファイル」の特徴やおすすめのポイントを紹介しよう。
まずは,夢と現実という2つのパートで物語が展開するゲーム進行について。ソムニウムパートで伊達がダイブする夢の世界は,現実の常識が通用しない不条理な空間だ。対象者それぞれの世界の認識の仕方やトラウマなどによって大きく姿を変えるため,他者にとってはとらえどころのない世界のように映る。
しかし,決して一貫性がないわけではない。対象者の性格や経験によって独自のルールや整合性がある。それらを読み解き,なにかを守るように行く手を遮る「メンタルロック」を解除し,深層意識のさらに奥に進み,真実につながる情報を手に入れたときの感覚は本作の醍醐味となっているのだ。
PSYNCを用いた夢の世界へのダイブは,実行者と対象者の両方に大きな負荷がかかる。人間がそれに耐えられるのは6分間が限度だ。ゲームシステムにもそれは反映されており,ソムニウムパートには6分という制限時間がある。
といっても,リアルタイムでカウントされるものではなく,“選んだ行動によって経過する時間が異なる”コマンド選択形式となっているため,急かされることなく自身の行動を選ぶことができる。感覚としては「考えている間だけ時間を止められる脱出ゲーム」といった感じだろうか。
じっくりと考えながらゲームを進められるので,推理好きはもちろん,普段はそれほどミステリー作品を遊ばないという人もしっかりと本作の楽しさに触れられるだろう。
“正解”となる行動以外を選択した場合もいろいろな反応があり,中には夢らしい突飛な出来事が発生するものもあるのでそれも注目だ。制限時間内にすべてを試して回るのは難しいが,真実に向かいながらもときに横道に逸れてみると,本作が持つ独特の雰囲気をさらに深く感じられるだろう。
捜査パートは基本的にシンプルなポイント&クリック型のシステムとなっているが,サーモグラフィで相手の体温変化を感知して嘘を見破ったり,X線で内部を透過したりと,状況に応じて多彩な調査方法を使い分けることができる。簡単なアクションをこなすQTEもあり,それらの演出やキャラクターたちの表情,ときに発生する突拍子もない展開といった“ネタ”のバリエーションも実に豊富で飽きさせない。
ポイント&クリックでの捜査では,「いや,絶対コレ事件と関係ないよね!」というような場所やモノも選択できるようになっており,本筋と無関係なものや,思わず笑ってしまうようなテキストが隠されていることも。凄惨な事件で幕が開くだけに,メインの物語にはシリアスで緊張感のある展開が多いが,そういった遊び心のある演出やネタ要素でちょっとした息抜きをしながらプレイを続けられるところも本作の特徴だろう。
新作プレイ前に体験してほしい1作目の魅力
その2:個性的で魅力たっぷりな登場人物たち
前述したとおり,シリアスな推理ミステリーのなかに,絶妙なネタやコメディ要素が込められているのが本作の魅力の一つ。その物語を彩る登場人物はみな個性的で,こちらも注目してほしい。
二枚目キャラと見せかけて女好きの三枚目な伊達を筆頭に,不思議な言動を繰り返すアイドルや,妙にリアリティのあるイタいネット弁慶など,いずれもクセが強い連中ばかり。コザキユースケ氏が描き出す魅力的なビジュアルはもちろん,その“中身”もかなり強烈なのだ。
表情豊かな3Dモデルと,その動きを最大限活用した豊かな演出も魅力的。複数のルートを行き来した後でも,「次のルートでは何が起こるんだ!?」と,新鮮な気持ちでワクワクしながらシナリオを読み進められるだろう。
捜査のサポートだけではなく,雑談にも付き合ってくれるアイボゥ。時には捜査中であろうとかまわず発生する漫才のようなやり取りは必見だ |
伊達が友人から預かっている12歳の小学生,沖浦みずき。年齢に対してかなり大人びた性格をしているが,伊達に対してはえらく当たりが強い |
新作プレイ前に体験してほしい1作目の魅力
その3:ダイナミックに変化するストーリー分岐
本作のなによりの大きな特徴となっていると言えるのが,複数あるストーリー分岐とエンディングだろう。
マルチエンディング自体はさほど珍しいものではないが,本作はとにかく“選択したルートによるシナリオの変化っぷり”が凄まじい。いわゆる“トゥルーエンド”に到達するためには複数のルートをクリアする必要があるのだが,それらのルートでは,ちょっとした選択から分岐したとは思えない,まったく異なる展開と結末が待っているのだ。
そのため,あるルートを先に進めた結果,ほかのルートの推理が簡単になるといった事態も起きず,どのルートから進めても新鮮な気持ちでゲームを楽しめるだろう。
何より圧倒されるのが,そんな複数のまったく異なる展開を見せるルートをクリアしたとき,最終的に物語の全容をしっかり理解できるシナリオになっているところ。筆者は20時間ほどで全エンディングを攻略したのだが,あるルートで立てた仮説が別ルートで崩れ,また新たな疑問が生まれ,最後には「そうきたか!」と膝を叩きたくなる展開に突入する本作のシナリオには舌を巻くばかりだった。
全体の物語はなかなかのボリュームがあるが,分岐ポイントへは任意のタイミングで戻れるので,サクサクと各ルートをクリアでき,トゥルーエンドにたどり着けるだろう。
主人公(の1人)は,高校生となったみずき! 新要素追加でパワーアップした「ニルヴァーナ イニシアチブ」
最後に,現在分かっている「ニルヴァーナ イニシアチブ」の情報を,1作目とのつながりにも触れながら簡単に紹介しよう。
「ニルヴァーナ イニシアチブ」の舞台になるのは,1作目から数年後の世界だ。高校生ながらABISの捜査官となったみずきと,新人捜査官の龍木(りゅうき)によるダブル主人公で,「ハーフボディ連続殺人事件」という事件を追うことになる。成長した姿を見せてくれるみずきだけではなく,伊達やイリス,ABISのボスといった主要キャラクターは引き続き登場し,変わらぬノリで物語を盛り上げてくれるようだ。
基本的なゲーム進行は前作と変わらないが,捜査パートには,簡易的に対象者の思考を覗く機能「WinkPsync」(ウィンクシンク)や,仮想空間で推理を行う「拡張視覚パート」,事件の発生した状況をドラマのように再現する「真相再現パート」といった新要素が追加され,さらに遊びごたえたっぷりになっているとのこと。ソムニウムパートの新要素の有無,2人の主人公で行う捜査の詳細なども気になるところだが,発売までの情報公開を楽しみながら追いかけよう。
「AI: ソムニウムファイル ニルヴァーナ イニシアチブ」公式サイト
さて,「発売までまだ1か月あるいまなら間に合う!」とオススメはしているが,ゲームとの“出会い方”は人それぞれ。新作をプレイしてから過去の1作目に触れ,シリーズの深みを知るというのもまた一興だ。惹かれるものを感じた人は,まずはPlayStation Storeとマイニンテンドーストアで配信されている体験版(PS4版 / Switch版リンク)で1作目を試してみるのもいいだろう。
シナリオ,登場人物共にとにかくクセが強く,人を選ぶところもある作品だが,一度ハマったら止め時を見失うほどの魅力にあふれている。一風変わったゲームを求めている人は,新作が発売されるこの機会に「AI: ソムニウムファイル」シリーズに触れてみてほしい。
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- レビュー
- ライター:蒼之スギウラ
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