プレイレポート
「Starfield」プレイレポート。“最後のフロンティア”となった宇宙で,未知への大冒険を思う存分満喫しよう
プレイヤーは24世紀の宇宙空間(銀河系)を舞台に,幾多の惑星や星系を股にかける探索者となり,宇宙の秘密を握る謎の物体「アーティファクト」を巡る冒険に飛び込んでいくことになる。
2018年のE3でゲームタイトルと最初のトレイラーが発表されてから約5年。あの“ベセスダの新作RPG”ということで,発売日を指折り数えていたゲーマーも多いことだろう。「The Elder Scrolls V: Skyrim」(以下,Skyrim)や「Fallout 4」はもちろんのこと,それ以前の作品にもがっつりハマってベセスダRPGの世界で数百時間過ごしてきた筆者も,当然ずっと気になっていた。
今回は,発売前にStarfieldの製品版をプレイする機会を得られたので,さっそくTESやFalloutシリーズのファンとしての目線で,レポートをお届けしたい。なお,今回プレイしたのはPC(Steam)版で,ボイスも含め完全に日本語化されている状態だった。もちろん,本稿に掲載するスクリーンショットは実機で撮影したものとなる。
謎の金属片「アーティファクト」を求め,24世紀の宇宙を自分の船で飛び回れ!
時は24世紀。人類の技術は大きく発達し,宇宙を思うがままに旅できるようになっていた。地球はすでに人が住める状態ではなくなっていたものの,人々はその逆境を力に変え,生存エリアを宇宙へと移し,銀河系の至るところに進出してコロニーを作り上げていたのだ。
本作の物語が始まるベクテラ星も,そんな宇宙時代にとある採掘企業が作り上げた,鉱物の採掘拠点の1つだ。
プレイヤーの分身となる主人公は,この鉱山に新たに配属された新人マイナー(採掘作業員)という立ち位置。ただそれ以上のことは明確に決められておらず,後述するキャラクタークリエイト画面で決定するか,その後のプレイ次第で人となりが決まる仕組みになっている。このあたりは実にベセスダのRPGらしい。
ちなみに,Fallout 4の主人公にはボイスが付いていたが,本作にはなく,選択肢を選ぶ場面でのみ自己主張をおこなう形の,SkyrimやFallout 3のような形に戻っている。
新人作業員として,右も左もわからない状態で採掘に励むことになったプレイヤーだが,さっそく上役に“少し変わった仕事”を任される。具体的には坑道の奥に埋まっている金属片を掘り返せ,というもの。場所自体は近場なので言われたとおりに作業をおこなうと,急にわけのわからない幻覚に襲われ,気がつけば医務室に運ばれていた。話によると,掘り返した金属片に触れた途端,気を失ったのだという。
その後,現場に現れた“依頼主”に事情を聞くと,自分たちは宇宙探索を目的とする探検家集団「コスンテレーション」のメンバーであり,謎の金属片は「アーティファクト」と呼ばれる常識外の,宇宙の謎を握るかもしれない物体だと語る。
とある事情により,掘り起こしたアーティファクトとフロンティア号という宇宙船を託されたプレイヤーは,なりゆきでコンステレーションの一員に加わることになる。そして,銀河に眠るアーティファクトと,その正体をつかむべく,宇宙を股にかけて冒険を繰り広げていく……というのが,本作の導入部分だ。
さて,完全な新作ということで少し不安になっている人もいるかもしれないが,Starfieldはベセスダ作品でおなじみの,一人称視点と三人称視点を自由に切り替えられる,アクション要素の強いRPGだ。プレイヤーは自分の分身を操り,探索,戦闘,クラフト,クエストといったさまざな要素を介して冒険を進めていく。
メインクエストは謎の金属片「アーティファクト」を巡る長き旅だが,例によってこれを無視してひたすらサブクエストをこなしていってもいいし,後述する本作ならではの惑星探査に明け暮れてもいい。黙々と人や貨物を運ぶ輸送業で稼ぐことだってできる。
つまりは,この世界でどう生きるかはプレイヤーの自由というわけだ。クエストに関しても,途中の選択や行動によって,その道程や結果に違いが生まれることも多々あるため,プレイヤーごとに違った体験が積み重なっていくことになるだろう。
ロールプレイのベースとなるキャラクターの作成は,上述の導入部の途中で可能になる。顔の造形や肌の色,年齢(を現すシワや髪の色)を選べるのはもちろん,体型も調節できるようになっており,細マッチョや貫禄のあるビール樽的なフォルムなど,こだわりのボディに仕上げられる。
またプリセットが増えているだけでなく,パーツごとの微調整はさらに細かく可能になっており,アクセサリーのほか,傷跡といったものも充実しているので,かなりこだわったキャラメイクができるはずだ。なお,決定後も見た目の修正は大都市のショップで行える。費用はかかるが格安なので,最初はある程度適当に決めてしまっても問題ない。
見た目以外の能力値は,出自を現す「素性」と,個性を表す「特徴」で決まる。前者の素性は,最初から取得している3つの初期スキル(Falloutで言うPerk)を選ぶもので,後者の特徴は一長一短がある個性(Fallout:New VegasのTraitsに近い)を付与するものだ。直接ステータスに数値を割り振るようなこともなく,全体の構成はかなりシンプルになった。
ちなみに,素性はロールプレイにも大きく影響する。例えば「外交官」を選ぶと,随分落ちぶれたものだと言われたり,会話で物ごとを進めるときに固有の選択肢が出たりする。欲しいスキル優先で選んでもいいが,ロールプレイを楽しみたければ好みのバックグラウンドを熟慮する方が面白いかもしれない。
レベルアップの仕組みも非常にシンプルだ。探索,戦闘,クエストクリアなどで一定の経験値を溜めると自動でレベルが上昇して体力の上限が増加する。また,その時に得られたポイントを任意のスキルに割り当てると,その効果を受けられるようになる。
スキルは「身体」「ソーシャル」「戦闘」「科学」「技術」のカテゴリに分かれており,例えば店で売買を有利にしたいならソーシャルの「商業」スキル,光学兵器の威力を高めたいなら戦闘の「レーザー」スキルを習得すればよい。上位のものをアンロックするにはカテゴリごとに一定のポイントを割り振る必要があったり,スキル自体にも複数の段階があったりするが,それで何かを迷うことはそうないはずだ。
宇宙船とワープを駆使し,銀河系を探索して回ろう。戦闘ではエネルギーの手動配分が重要に
本作では広大な宇宙空間そのものがプレイフィールドとなっている。宇宙空間では宇宙船に搭乗して移動し,各地の惑星の陸地や都市の中,あるいは宇宙ステーションの内部は自らの足を使って探索する。宇宙船と徒歩のどちらでもファストトラベルの利用は可能で,一度訪れた場所なら,基本的にはどこにいてもマップ(星図)から瞬時に目的地にたどり着ける。
ただし,星系間を移動する場合は燃料を必要とする。その場合,ファストトラベルできる距離は,後述する宇宙船に搭載された「グラヴ・ドライブ」の性能と,搭載している燃料量の制約を受けることになる。一気に長大な距離を移動したいなら,宇宙船強化は必須だ。
マップ画面のレイヤーは,惑星や衛星単体(例えば火星や月),恒星を中心に惑星が集まった星系(地球が属する太陽系など),星系が集まった銀河の3段階に分かれており,自由に切り替えられる。
例えば現在地が火星で,アルファ・ケンタウリと呼ばれる星系のジェミソンという星にある都市に移動するとしよう。その場合は,火星 → 太陽系 → 銀河とマップを縮小していき,アルファ・ケンタウリを選んだらジェミソン星までマップを拡大,目的の都市を選ぶ……といった流れになる。
惑星によっては宇宙ステーションが街の機能を果たしていたりするが,いずれにせよマップの最小単位が一つの星となっているため,そのスケールの大きさは想像を絶する。
ただそのスケールゆえ,宇宙船での通常航行はメインの移動手段とはならない。かつて太陽系の星々を巡った実在の探査機が,一番外周にある惑星の海王星にたどり着くまでには十数年かかった……という話があるように,宇宙は(星系という小規模な単位ですら)あまりにも広大だからだ。
なので本作にも,SF作品ではお約束の「ワープ航法」が存在し,前述の「グラヴ・ドライブ」を使った“ジャンプ”というアクションで実用化されている。なおジャンプは瞬時に完了するため,宇宙船自体を直接操作するのは,基本的に惑星の周囲のみとなっている。
とはいえ,本作の宇宙船は単なる移動手段ではない。詳しくは後述するが,レーザー砲や防御シールドという武装が施されており,結構な頻度で宇宙空間での戦闘が発生する。例えば,探査のために新たな星系にジャンプしたら宇宙海賊が待ち構えていて,複数を相手にしたドッグファイトが発生するようなことも。こうした場面では実際に敵艦を破壊するか,半壊状態にして船に乗り込み直接制圧するのが主な対処法となる。
ちなみに,船ごと破壊すれば搭載されていた貨物の一部を入手でき,力づくで制圧して船自体を奪い取ってしまうこともできる。本作では複数の宇宙船を所有でき,大きな都市などで使用する母船を切り替えられるので,奪った敵船を自由に乗り回すことも可能だ。
ここで思い出してほしいのが,本作がベセスダ作品であること。つまり自ら率先して海賊になることもできる。もちろんそんなことをすれば,賞金がかけられお尋ね者になってしまうのだが……。
船の基本操作は,コントローラなら左スティックで加減速(後進も可能),右スティックで進行方向の調整,LRトリガーやボタンで武器を起動と,比較的シンプルなものになっている。
宇宙空間なので距離感などは少しつかみにくいが,慣れるのにそれほど時間はかからないはず。また各種の攻撃手段や機動力などは,スキルやクルーの能力で上昇するので,操作に自信がないならそちらで補う手もある。
“宇宙船らしい”要素として存在するのが,手動によるエネルギー配分だ。武器,シールド,エンジン(推進力),グラヴ・ドライブは,それぞれジェネレーターが生み出すエネルギーを配分して初めて動作するため,例えばどんな強力な兵器を複数搭載したとしても,エネルギーを回さなければ単なる飾りに過ぎない。
しかし,ジェネレーターが生み出すエネルギーですべての装備を賄うことは難しいため,火力を優先したいなら動力の分を武器に回したり,接敵前ならバランス良く配分して様子を見たり……といった立ち回りが必要になる。
激しい戦闘中にエネルギー配分をスムーズに調節するのはかなり難しいのだが,それでもSF映画や海外ドラマなどで船長がよく叫ぶ「武器にエネルギーを全部回せ!」とか「エンジンとシールドの出力を全開にしろ!」といったシチュエーションをそのまま体験できるのは,かなりテンションが上がる。
武器などのエネルギーを動力に回して戦闘中に“ジャンプ”すれば,映画などでおなじみの「間一髪のところでワープで逃げる」といったシーンも再現でき,やはりニヤリとしてしまう。
ハンドスキャナーを使って惑星内を調査。1000を超える星々がプレイヤーを待ち受ける
惑星内の探索は,海以外の任意の場所に宇宙船を着陸させるところから始まる。そこから徒歩で自由に地上を歩き回って,いろいろな場所を調査するのだ。ちなみに,宇宙服のバックパックに内蔵されたジェットパックを利用すれば,高いところにジャンプしたり,短時間滑空できたりする。重力が弱い惑星ならかなり軽快に動けて面白い。
またそれぞれの惑星には,クレーターや砂漠といったバイオーム(生態系)が設定されており,着陸時にその特性に応じた地形が自動生成される。探索中はハンドスキャナーを利用して,地質(地表の資源)や動植物,惑星特有のユニークな現象を調査すると,その惑星の情報が集まっていく。
とはいえ太陽系でも,地球以外の惑星に文明の痕跡が見当たらないように,多くの星はひたすら不毛だったり,灼熱や超極寒,あるいは立ち入ることすらできないガス惑星だったりして,何らかの生命が見つかるような場所はまれだ。とくに環境の険しい惑星では,宇宙服が気温に耐えられず保護機能が弱くなったり,荒天により肺に障がいが発生したりする。
ただし,どのような星でも“何もない”ことはほぼない。貴重な資源が眠っていたり,地表に基地があってスペーサーと呼ばれる宇宙のごろつき(Falloutのレイダー的な存在)が占拠していたりと,何かしらのロケーションが用意されている。また,めったにお目にかかれないような自然豊かな星に降り立てれば,そこは何種類もの地球外生物が住むなど見どころも多く,ついつい探索に夢中になってしまうだろう。
なお簡単な調査は軌道上から宇宙船でおこなえるが,詳細はフィールドワークをしてみないとわからない。本作には1000を超える星々が存在してると言われるので,片っ端から星を巡るだけでもとてつもないボリュームになることは間違いないだろう。
3種類のクラフトを駆使し,戦闘や探査を有利に進めよう。
本作には大きく分けて3種類のクラフト要素が用意されており,高度なアイテム作成や高性能なパーツで強化していくほど,冒険を有利に進められる。SkyrimやFallout 4の仕組みに近いものもあるが,まとめて整理しておこう。
まずは一番シンプルなものは,アイテムを作成したり,装備を強化したりするものだ。具体的には各種の作業台を使用し,レシピをアンロックしたり,食事や医薬品を作ったり,武器や防具をカスタマイズしたりする。
おそらく一番お世話になる装備の強化は,いわゆる“MODの装着”だ。本作では,敵から入手したり購入したものに,強化パーツを取り付ける形になる。装備の種類そのものはこれまでのベセスダ作品に比べると大幅に簡略化され,武器を除けばボディ,ヘルメット,バックパックに分かれた宇宙服と,そのインナーとなるアパレルのみを装着できる。
アップグレードのシステムとしては,Fallout 4の武器やパワーアーマーの改造に近く,純粋に性能を上げたり,センサーを強化したり,前述のジェットパックの特性を変えたりと,単純ながら無視できない存在となっている。
また,Fallout 4で採用された装備のレアリティシステムは本作にも採用されており,ランダムで特殊な効果が付いた武具を探索中にゲットできることがある。要するに簡易的なトレハン要素となっているわけで,運良くレアな装備を序盤で入手できたりすることもあって,なかなか嬉しい。
2つめは拠点の構築とカスタマイズで,惑星に眠る鉱物を掘り出して貯蔵したり,建物のパーツを組み合わせて別荘的な住居を作ったりと,Fallout 4の居住地(入植地)に近い扱いになっている。資源さえあれば最低限のものは作れるが,より高度で複雑なものを設置したいなら,それに対応したスキルが必要になってくる。
拠点は,降り立つことができる惑星なら任意の好きな場所にいつでも建築できる。利便性を考えて大都市がある惑星に作ってもいいし,逆に誰の目にもとまらないようなへんぴな星に建ててもよい。
いずれにしても,まずは動力源(発電機)を確保し,それで動作するモジュールを設置して拠点を充実させていく……という点もFallout 4と同じだが,電線を引く必要がなかったり,居住がブロック単位でシンプルかつ簡単に接続可能になっていたり,真上からの見下ろし視点が追加されていたりと,全体的にかなり作りやすくなったと感じられた。
さらに,集めた資源はほかの星の拠点に自動で運び込むことも可能なので,その気になれば任意の星に大量の資材を集め,巨大な隠れ家なども作れそうだ。まさに宇宙に浮かぶ“俺の城”と言ったところかもしれない。
最後となる3つ目のクラフト要素は,Starfieldならではの宇宙船の改造/作成だ。最初に手に入るフロンティア号を徹底的に強化してもいいし,まったく別の船を購入して機能を充実させてもいい。本作における宇宙船は移動可能な簡易拠点であり,同時に厳しい宇宙で戦い抜くための相棒でもある。つまりここにこだわるほど,冒険が楽になると同時に,快適度も増すわけだ。
大都市の宇宙港には基本的に,シップサービスという宇宙船を管理する業者が常駐しており,彼らと話すことで故障箇所を修理したり,パーツを選んで強化したり,あるいは新しいパーツを組み合わせて好きな船を作ったりできる。
船の構造自体をカスタマイズできる「シップビルダー」は,一見するとかなり複雑そうだが,実際はブロックを組み合わせて作るオモチャのようなものだ。機能性の観点で見れば自作PCを組むような感じもあり,かなり面白い。筆者も,ああでもない,こうでもない……といろいろな組み合わせを考えているうちに,数時間が平気で経っていたこともあった。
宇宙船は,機動力を決める「エンジン」,攻撃に耐える「シールド」,居住部となる「ハブ」,アイテム積載量に直結する「貨物」,動力源となる「リアクター」など,機能別に,複数のユニットに分かれており,これを一通りつなげて合体させていけば,とりあえずは船として完成する。
ただ難しいのはバランスで,例えばたくさんアイテムを保存したいからと貨物ユニットを増やしすぎると,重くなりすぎてエンジンの力が不足したり,とにかく船内設備を充実させたくてハブをたくさん追加したら,今度は全体が大きくなりすぎてギア(着陸用の脚部)が耐えられなくなったりと,“ぼくがかんがえたさいきょうの宇宙船”は簡単には作れない。プレイ時間が浅く,予算に余裕がない間は,なおさらそうなるだろう。
だがそれだけに“何を残して,何を削るか”という試行錯誤が楽しい。同じ性能でも見た目やサイズに違いがあるパーツが複数用意されているため,デザインにまでこだわり出すと本当に沼のようにハマっていく。
とにかく実用性のみを追求するか,スタイリッシュさも考慮するか,どうせ近い将来もっと高性能な船を買えばいいんだと一切を割り切るか……いろいろと考えながら,稼いだ金をほぼすべてシップビルダーにつぎ込んでしまうこともあった。
宇宙船自体は機動性重視のAクラス,バランスタイプのBクラス,高火力だが機動性に乏しいCクラスに分かれているが,今回はプレイ時間の関係からAクラス以外を所有したり,操縦することはできなかった。ただ基本的には,AからCへと段階を踏むたびに高性能になっていくようなので,近い将来,大型艦を建造して海賊どもを蹴散らしてやりたいところだ。
グラフィックスは大幅に進化し,舞台は宇宙へ。ただし随所に“らしさ”を強く感じる,ベセスダRPGの集大成的な作品だ
2015年に発売されたFallout 4から久しぶりの本格シングルプレイRPGとなる本作は,グラフィックスの向上も目覚ましい。オブジェクト全体の作り込みはもちろんだが,宇宙で目まぐるしく変わる光と影の描写は目を見張り,不毛の荒野さえ特別な光景に見えてしまう。NPCのモーションも大幅にブラッシュアップされており,とくに街中では,一層人々の生活が自然に見えるようになった。
また戦闘時の敵も,なかなか物陰から移動せず有利な場所を維持しようとし,かと思えばピンチになると全力で逃げるなど,人間くさい動きも目立つ。射撃武器がメインになりやすいということで,戦闘そのものはFalloutシリーズに近いが,敵をロックオンできるV.A.T.S.が存在しない関係上,さらにしっかりと敵を狙う必要も出てきている。
もちろん同行者(コンパニオン)を連れていくこともできるので,ある程度そちらを頼りにするのもありだ。
世界観に関してはかなり現実寄りで,防御シールドやワープ航法といったケレン味を感じる設定はあるものの,ファンタジー要素の強いTESシリーズや,同じ近未来ながら崩壊後のハチャメチャな世界を描いたFalloutシリーズとは一線を画している。シンプルに,“現在の世界の延長線上の未来”といった印象を受けるはずだ。
ただし宇宙時代においても,人類はUC連合と自由恒星同盟に分かれて争っているし,さらに海賊を束ねる紅の艦隊が自由に暴れ回っていたり,巨大企業のリュウジン・インダストリーズが社会の裏で暗躍していたりと,各派閥がそれぞれの目論見を持って活発に活動している。
例によってこれらの組織に参加し,さまざまなクエストをこなす派閥クエストも用意されており,本筋を無視した寄り道も存分にできる。
ロケーションは,膨大な数を誇る惑星がまず目に付くが,ほかにも一部の有人惑星に用意された大都市はとくに見応えがある。宇宙一の大都会である「ニューアトランティス」は“絵に描いたような未来都市”が地上に建ち,海上都市「ネオン」は電飾と蒸気が織りなす廃退的な未来がそこにあり,自由恒星同盟の本拠地「アキラ・シティ」はまるで西部劇の世界から飛び出てきたような様相であったりと,特色豊かで飽きない。
もちろんそれ以外にも,火星の地下都市など人々が住む場所は複数あり,いろいろなところに足を伸ばしてみたくなるだろう。個人的には,土星の衛星タイタンにある「ニューホームステッド」と呼ばれる観光都市や,(この世界の)地球の現状が非常に興味深かった。ぜひ,実際のプレイで確かめてほしい。
ベゼスダ作品としては初めて宇宙をテーマにしたこともあり,筆者は期待と不安が入り交じる中で本作の完成を待っていたのだが,率直に“かなり手堅くまとめてきた”という印象を持った。クエストやクラフト,戦闘などの基本システムは既存の作品をベースとしながらも,それを惑星単位で分割した上で規模を拡張し,さらにそれを“ハブ”でつないだものが宇宙空間を成している。端的には“現状でのベセスダRPGの集大成”といった仕上がりになっていると言ってもいい。
見た目からはわかりにくいが,Falloutなどのシリーズ経験者なら,実際にプレイすれば「あっ,これ見覚えある!」と感じる機会がかなり多いはずだ。
プレイ中は(NPCの挙動など)細やかなバグらしきものに出会ったり,ローカライズされた一部の単語のチョイスが微妙だったり,たまに場面に合わないセリフが飛び出したりすることはあったものの,全体としては安定したプレイが楽しめて不満を感じることはあまりなかった。
ただし,数の多い不毛な惑星の探査は,そればかり続けると単調さを感じることもあったので,豊富なクエストの合間に適時こなすぐらいででいいかもしれない。また洞窟内など光源がない場所では,かなり暗くて探索が難しいシチュエーションもあったので,この辺りに調整が入ってくれると嬉しい。
久々の完全新作となるベセスダのRPG作品だが,多くのファンの期待を裏切らないものに仕上がっている,と素直に感じた。膨大なボリュームとスケールもさることながら,日本語版ではきっちりとすべてのボイスが吹き替えられているなど,ローカライズにも引き続き力が入っており好感を持てる。個人的には,すでに述べたが新たな要素である宇宙船の活用やそのカスタマイズが,とくにお気に入りだ。
TESシリーズやFalloutシリーズのファンはもちろんのこと,SFが好きな人にも数え切れないほど刺さるポイントがあり,純粋に重厚なRPGを求めているゲーマーにもオススメできる。秋の夜長にガッツリとプレイするには最適だと思うので,興味が湧いたのであればぜひ宇宙へ飛び出してみてほしい。
「Starfield」公式サイト
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