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「DEAD OR ALIVE 6」は“みんなが遊べる対戦格闘ゲーム“と“世界一のエンターテイメント”を目指す。新堀洋平プロデューサーへのインタビュー
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印刷2019/02/28 13:00

インタビュー

「DEAD OR ALIVE 6」は“みんなが遊べる対戦格闘ゲーム“と“世界一のエンターテイメント”を目指す。新堀洋平プロデューサーへのインタビュー

画像集 No.011のサムネイル画像 / 「DEAD OR ALIVE 6」は“みんなが遊べる対戦格闘ゲーム“と“世界一のエンターテイメント”を目指す。新堀洋平プロデューサーへのインタビュー
 コーエーテクモゲームスが2019年3月1日に発売する対戦格闘ゲーム「DEAD OR ALIVE 6」PC / PS4 / Xbox One,以下,DOA6。)ゲームエンジンから作り直したという本作では,シリーズの伝統である「打撃」「投げ」「ホールド」の3すくみが生む深い駆け引きに加えて,ボタン連打で出せる「フェイタルラッシュ」や,ゲーム中に溜まる「ブレイクゲージ」を消費して使う「ブレイクブロー」「ブレイクホールド」など,さまざまな新システムが導入されている。

 また,対戦格闘ゲーム初心者がプレイしやすいモードが複数用意されていることも,本作の特徴と言えるだろう。

 本稿では,プロデューサーを務める新堀洋平氏に,開発時のエピソードや,今後の運営への抱負などを聞いた。


「みんなが遊べる対戦格闘ゲーム」を目指して


4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。2018年6月,E3 2018での発表直後にお話をうかがったとき(関連記事),進捗度は8%とのことでした。その後に一度発売延期がありましたが,開発は順調だったのでしょうか。

画像集 No.001のサムネイル画像 / 「DEAD OR ALIVE 6」は“みんなが遊べる対戦格闘ゲーム“と“世界一のエンターテイメント”を目指す。新堀洋平プロデューサーへのインタビュー
「DEAD OR ALIVE 6」プロデューサー 新堀洋平氏。EVO Japan 2019でのインタビューと同じく,バイマンの帽子とサングラス姿だったが,これは“正装”とのこと
新堀洋平氏(以下,新堀氏):
 いえ,かなり紆余曲折がありました。とくに新しいゲームエンジンがなかなかフィックスできず,キャラクターモデルができているのに動かせないといった状況も発生していましたが,最終的に発売できる状態まで持っていけました。
 もちろん今後もアップデートして,さらに完成度を高めていきます。

4Gamer:
 実際にプレイしましたが,やはりグラフィックスをはじめとして,進化がはっきり感じられました。

新堀氏:
 ありがとうございます。コンシューマゲーム機版は,PS4 ProやXbox One Xを想定してグラフィックスを作り込んでいるので,ぜひそちらでプレイして,我々が目指したものを受け取っていただきたいです。

4Gamer:
 初心者に向けたモードも充実しているようですが,そこも本作で目指したところなのでしょうか。

新堀氏:
 初心者でも遊びやすくしているのは確かですが,「初心者向け」というよりは,「みんなが遊べる」というところを目指しました。対戦格闘ゲームは歴史が長くて,「知っていて当たり前」「できて当たり前」とされてしまうものが多いので。
 前作の「DEAD OR ALIVE 5 Last Round」(以下,DOA5 LR)もチュートリアル自体はしっかり作っていましたが,それでも人によっては分かりづらかったようです。
 教科書だけ渡されてもやる気にはつながらないということが分かったので,DOA6ではなんとしてもそこを変えたいと思っていました。

4Gamer:
 確かに,勉強して覚えるというよりは,プレイするうちに自然とゲームの要素が身に付くような印象を受けました。

新堀氏:
 私は学生時代,数学が苦手だったんですが,あるときに教え方のうまい先生に教わってから,好きな科目になったんです。自分に合った授業だと,こんなに勉強が楽しくなるのかと驚いたんですが,その経験を生かして,触った人が誰でも楽しいと思いながら,自然にルールが身に付くものを目指しました。その人のレベルに合わせて,「これを覚えるといいことがある」というのを実感させるという流れです。

4Gamer:
 本作でDOAシリーズに初めて触れる人は,どのモードをどうプレイするといいですか。

新堀氏:
 ゲーム起動直後に簡単なチュートリアルがあるので,まずはそれをやっていただきたいです。
 その後は,ストーリーが気になるという人なら「ストーリーモード」で,DOA6の世界を楽しみつつ,いろいろなキャラクターに触れてください。進めるにつれて相手が強くなってくるので,勝てないと感じたときは「DOAクエスト」をオススメします。ここのミッションも最初はすごく簡単で,徐々に難しくなっていくのですが,詰まってしまったら,その場で「おすすめチュートリアル」を選ぶと,何らかの答えが見えてくると思いますし,ストーリーに戻れば,以前勝てなかった相手が簡単に倒せると思います。

4Gamer:
 おすすめチュートリアルのシステムは,すごく親切で分かりやすいと思いました。

新堀氏:
 回答を教えるのではなく,プレイヤーが考える余地を残していることがポイントなんです。自分でいろいろと考えて導き出したことは忘れないですからね。
 クエストのミッションも,似た内容を段階別に複数用意しているので,身に付けやすいと思います。最終的にDOAクエストをクリアする頃には,ある程度の技術力と知識が身についているはずです。

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4Gamer:
 そこまでになれば,オンライン対戦にも挑戦してみようという気も起こりそうです。

新堀氏:
 はい。いきなりオンライン対戦というのは,ハードルが非常に高いので,まずは1人で楽しめるものを作るというのが,目標の1つでした。

4Gamer:
 初心者がプレイするなら,どのキャラクターがいいでしょうか。

新堀氏:
 まったくの初心者なら,新キャラクターのディエゴかNiCOがいいと思います。どちらも操作がシンプルで,基本的な技だけで結構戦えるんです。
 タイプ的にも「力のディエゴ,技のNiCO」という差別化をしているので,力でゴリゴリと押していきたいならディエゴを,華麗に戦いたいならNiCOを選んでほしいです。もちろんどちらでもDOAシリーズの基本を身に付けられると思います。

ディエゴ
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NiCO
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4Gamer:
 ディエゴとNiCOは,最初から初心者が使いやすいキャラクターとして作られたのでしょうか。

新堀氏:
 はい。とくにディエゴは,アメリカの一般的なラフスタイルファッションにして,そこに共感するプレイヤーが使いたくなるキャラクターを目指したんです。流派も「ストリートファイト」という,我流のケンカですからね。身近な存在でありながら,ストーリーではヒロイックなところもあって,人気が出るんじゃないかと思っています。

4Gamer:
 一方のNiCOはいかがでしょうか。

新堀氏:
 NiCOはメガネをかけた知的なイメージですが,それはファイトスタイルも同じです。ときには押してときには引く,というトリッキーな打撃キャラで,コマンド自体は簡単ですが,いろいろなことができるようにしています。
 ちなみに,最初からメガネをかけているキャラクターはDOA史上初ですよ。

4Gamer:
 確かに,言われてみればメガネのキャラクターはいませんでしたね。「真の目的」のために行動するという,NiCOのミステリアスな雰囲気にも合っているように思います。

新堀氏:
 はい。彼女が何を考えているのかは,ストーリーモードを進めていけば分かります。


eスポーツとして映えるゲーム作り


4Gamer:
 新堀さんをはじめとする開発チームの皆さんは,当然対戦格闘ゲームを知り尽くしていると思うのですが,そうなると,初心者の目線に合わせたゲームデザインは難しくないですか。

新堀氏:
 そうですね。実際私も対戦格闘ゲームとずっと向き合ってきたので,とくに以前は「教えれば分かる」「勝手に付いてくる」という意識があったんですが,開発では,お手本となる作品から発見できたものをデザインに生かしています。
 最近のタイトルだと「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」とか「フォートナイト」は,動かすこと自体はすごく簡単なのに,勝つのはなかなか難しいという,間口の広さと奥深さが両立しているゲームですよね。プレイヤーは「思った通りに動かせるか」ではなく,「どう動くべきか」で悩むべきだと思うんです。

4Gamer:
 確かに「あの技を出そうとしたのに,出なくて負けた」というのは,初心者の負けパターンです。スペシャルボタンの導入も,その間口の広さを意識してのものでしょうか。

新堀氏:
 それもありますが,スペシャルボタンによる「フェイタルラッシュ」を追加したことで,攻撃側の自由度を少しだけ上げたのも大きいです。攻防どちらか一方の自由度を高くしすぎるとゲームが崩壊してしまうので,「ブレイクゲージ」を用意し,ゲージの量によって両者の駆け引きが変わるようにしました。これが本作のウリの1つで,eスポーツ的な面白さも含めることができたと思います。

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4Gamer:
 対戦格闘ゲームに限らず,長く続くシリーズのナンバリングとなると,何を残して何を新しくするかという取捨選択は常につきまとう問題ですが,DOA6では伝統の「読み合い」を残しつつ,eスポーツを意識した新要素を取り入れたということですね。

新堀氏:
 その通りです。もう少し踏み込んだ説明をすると,よろけ状態の「クリティカルスタン」を巡る攻防にも手を入れました。
 DOA5では,相手をこの状態にすると自由にコンボを叩き込めるんですが,された側はうまくホールドで対応できないとずっと殴られ続けることになるので,「攻撃の押しつけがひどいゲーム」と捉えられてしまうことがありました。
 その一方で,海外のトッププレイヤーからは,「クリティカルスタンの相手を殴り続けているのに,ホールドで返されるのはおかしい」という声もあったんです。
 それらの意見を踏まえてクリティカルスタンからの攻防に重きを置くと,ゲームがシンプルではなくなる恐れもあったので,DOA6ではクリティカルスタンが発生するまでの駆け引きに重きを置いたんです。

4Gamer:
 先ほどの話に出たブレイクゲージの量を踏まえての駆け引きも,そこに加わるわけですね。

新堀氏:
 はい,自分だけでなく相手のゲージも見えますから,どう立ち回るかを判断できますし,その戦いを観ているギャラリーも状況を把握できます

4Gamer:
 eスポーツの種目となり得るタイトルとして,やはりギャラリーの視点も考慮したんでしょうか。

新堀氏:
 もちろんそこは多少なりとも意識しました。ブレイクゲージは,制限時間や体力ゲージとともに,戦況の判断材料になりますし,実況もしやすくなりますよね。
 試合時間残り5秒,体力ゲージでリードされているほうが相手を壁に追い詰めていて,どちらもブレイクゲージが溜まっている,といった状況だと,ブレイクブローやブレイクホールドをどう使うかで盛り上がると思います。

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4Gamer:
 ブレイクゲージが導入されたことで,前作と戦術が大きく変わるところはあるでしょうか。

新堀氏:
 うまくなるためには,もちろんゲージを意識した戦い方が必要だと思いますが,プレイヤーにもいろいろなタイプがいるので,ステップバイステップだと思っています。最初はあまりゲージを意識せずに戦って,気づいてみたらゲージがフルになってた,みたいな感じでいいと思うんですよね。

4Gamer:
 あと少しで勝てたのに……というときに限って,溜まったゲージを使っていないんですよね(笑)。

新堀氏:
 そう,実はゲージを一番意識するのって負けた後なんですよ(笑)。ゲージではなく,キャラクターが光るとかいった形でプレイヤーに知らせる方法もあると思いますが,ゲージだとより分かりやすくなる。実は過去のDOAシリーズ作品でもゲージの導入を検討したことはあったんです。

4Gamer:
 それは初耳です。これまではなぜ採用されなかったんでしょうか。

新堀氏:
 3D対戦格闘ゲームは上・中・下段を細かく使い分けますし,スピードも速いので,ゲージなど見ている暇はないだろうと見送っていたんです。ただDOA6では,ゲージを見る暇がないとしても,入れれば必ず何かにつながるだろうという判断のもとに採用しました。


個々のセンスを激しくぶつけ合って生まれるDOAのキャラクター


4Gamer:
 先日のEVO Japan 2019にて,不知火 舞の参戦が発表されました。SNKさんのキャラクターであるにもかかわらず,DOA5 LRから継続しての参戦となるわけですが,その経緯をお聞かせください。

新堀氏:
 不知火舞はDOA5 LRで最後に追加されたキャラクターだったにもかかわらず,すごく人気が高かったんです。なので,早い時期に参戦すればもっと遊んでもらえるだろうとSNKさんにお願いしたところ,舞だけでなく,もう1人キャラクターもOKという嬉しい返事をいただきました。

4Gamer:
 配信はいつ頃になりそうですか。

新堀氏:
 実を言うと私自身もDOA6の舞をまだ見ていないので,もう少しお待ちいただくことになると思います。発売時に使えるキャラクターも相当作り込んでいますから,それに見合うものにしないといけません。単純に前作から持ってくるというわけにはいかないですね。

4Gamer:
 DOAシリーズの女性キャラクターは,単に魅力的なだけでなく,男性キャラクターよりも存在感があって,ほかの対戦格闘ゲームとは少し異なる印象を受けるのですが,女性キャラクターの作り方で何か意識されていることはありますか?

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新堀氏:
 難しい質問ですが,キャラクター作りにあたっていつもやっていることは,私とアートディレクターの齊藤 豊との,猛獣のようなケンカ腰のやりとりです(笑)。顔のデザインにしろ,コスチュームにしろ,モデリング後の造形にしろ,完成までに激しい意見交換が行われることが,異なる印象につながっているのかもしれませんね。
 好みやこだわる点は人それぞれで違うので,開発スタッフが変わればゲームも変わります。何か特別に意識するというよりは,現在のスタッフのセンスが集まって作った結果が,DOA6のキャラクターデザインだと感じます。

4Gamer:
 そういったやりとりでは,具体的にどういったことを話すのでしょうか。

新堀氏:
 私の場合はもう感覚で(笑),「ここが可愛くない!」とやりますが,イラストレーターなら絵を,モデリングをやる人なら3DCGを実際に調整して違いを見せてきます。
 作るうえで何かまずいことが起きても,それぞれの得意分野を持つスタッフが集まって考えると,基本的には解決できることがほとんどですね。

4Gamer:
 例えば「可愛い」にもいろいろあると思うのですが,キャラクターそれぞれの個性付けはどのように行っているのでしょうか。

新堀氏:
 「この世界ではこう役割を持っている」「こういう人に好かれてほしい」といった狙いを決めて,そこからブレないように作るのが基本ですね。
 あとは,「誰々みたいな」といった大まかなモチーフ,共通のイメージを持つこと。現実にいる人の可愛いイメージをうまく汲み取る実験をすることもあります。実物は可愛いのに,CGにするとあまり可愛くないということもあるんです。話すのは簡単ですが,実際に完成形まで持っていくのは,本当に大変なんです(笑)。

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DOAを世界一のエンターテイメントにしたい


4Gamer:
 EVO Japan 2019で発表された「DEAD OR ALIVE 6 World Championship」は,DOAシリーズの公式大会として過去最大規模となりそうですが,その展望をお聞かせください。

新堀氏:
 発表を聞いて,急に大会をやるという印象を受けた方がいるかもしれませんが,実はDOA5の時代から,アメリカを中心とした公式のツアー大会「Battle Royal」を実施していたんです。DOA6では,さらに大きな舞台を用意したということですね。
 選手もたくさん育っていますし,賞金も前作より上げて,来年以降も見据えています。最終目標としては「DOAを世界一のエンターテイメントにする」という野望があるんです。
 かといって,「鉄拳」や「ストリートファイター」シリーズのように,昔から大会をやっていたわけではないので,我々だからこそできるようなものにしたいですね。

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4Gamer:
 DOA5 LRでは,PC版や基本プレイ無料版が配信されたこともあってか,プレイヤー数が増えたという印象があります。

新堀氏:
 はい,プレイヤーが増えたことは実感していますし,こちらで把握している数字にもそれが現れていますが,何よりDOA6が,メディアやファンの皆さんから大きな注目を集めている事実がその証拠だと思います。

4Gamer:
 DOA5をリリースしたときとは違いますか。

新堀氏:
 明らかに違います。DOA5のときは,前作から時間が空いてのリリースということもあって,“土壌”がないという印象がありました。ところが今回は,前作のDOA5を長く運営した後,それほど間を置かないタイミングでのリリースですから。

4Gamer:
 それは期待できそうですね。では発売を待っているファンに向けてメッセージをお願いします。

新堀氏:
 DOA6は,みんなで楽しんでいただける,覚えやすい対戦格闘ゲームです。上級者の方にはこれまで通り,凄いプレイを見せていただきたいですし,初めての方や,格闘ゲームは苦手だけどキャラクターに興味があるという方には,まず触っていただいて,このゲームならできるということを実感してください。
 そのほかにも,皆さんの好みを研究して入れているものがたくさんありますので,期待していてください。まだ予約も間に合います(笑)!

4Gamer:
 ありがとうございました。

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