インタビュー
“かわいい”の裏に隠された職人技とは。「ポケモンクエスト」開発者インタビュー
ここで,実際に本作をプレイした人に問いたい。「あれ? 結構手強くない?」と,ポップな見た目からは想像できないやり込み要素に驚かされた瞬間がなかっただろうか。そう,本作は“かわいい”がウリのカジュアルゲームとは言い切れない,ゲーマー心をくすぐる遊びごたえを持ったタイトルなのだ。
ポクセルのかわいさがとにかく目立つゲームだが,この“かわいい”の裏には「ポケットモンスター」に携わるゲームフリークならではのゲーム作りに対するこだわりや,職人技が隠されている。4Gamerでは,このギャップに満ちた本作を開発するキーマン,ゲームフリークの渡辺哲也氏,松崎 翼氏,斉田和生氏に,インタビューする機会を得たので,その模様をお届けしよう。
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見た目と中身のギャップから生まれる“意外とおもしろい”
本日はよろしくお願いします。本作の開発経緯や魅力をお聞きしていく前に,まず自己紹介を兼ねまして,みなさんの本作における役割を教えていただけますか。
渡辺哲也氏(以下,渡辺氏):
プロデューサーとディレクターを務めています渡辺です。
松崎 翼氏(以下,松崎氏):
ゲームグラフィッカーとしてアート周りを担当しました。モデル,マップ,エフェクト,UIと……グラフィックスとして形になっているものは大体作っています。
斉田和生氏(以下,斉田氏):
プログラム担当の斉田です。リードプログラマーとしてまとめ役もしています。
4Gamer:
渡辺さんは,プロデューサー/ディレクターの立場でプロジェクトをあたたかく見守られていたと。
渡辺氏:
そういうことにしています(笑)。
ただ実作業があると自分の手が届く範囲はシッカリとやるんですけど,手を広げない,リスクをとらない傾向は出てくるんで,商品価値を高めるための大きな改修については指示しました。
4Gamer:
クオリティを高めるためには必要な役回りですよね。
本作がリリースされてから,SNSなどを通じてさまざまな反響を確認されたと思うのですが,プレイヤーたちの反応を見ていかがですか。Nintendo Switch版では全世界250万ダウンロードを突破していましたね。
思った以上の反応をもらえて,ありがたいとしか言いようがないです。
松崎氏:
ポケモンを大胆にデフォルメしていることもあって,リリース前は受け入れてもらえるかどうか不安でしたけど,概ね好評で今はホッとしています。
斉田氏:
ゲームの部分も「意外とおもしろい!」と,楽しんでくださっている好意的な声が多くて安心しました。
4Gamer:
意外,と言ってしまうのは外見と中身のギャップからきていそうですよね。グラフィックスがかわいらしくて,ライト層向けのカジュアルゲームのような見た目をしているのに,遊んでみるとステージに合ったタイプやわざのバランスを考えたチーム編成が必要だったり,中盤からオートプレイだけでは突破できないバランシングだったり。ポジティブな意味での驚きが出てしまうのは,すごく分かります。
渡辺氏:
それは狙っていました。デザインのライトさにゲームの中身も寄ってしまうと,遊んでいるうちに物足りなさが出てしまうかもしれない。だったら中身は遊びごたえのあるものにしようと考えていました。
4Gamer:
見た目どおりの中身にするのではなく,ギャップを狙った深いゲーム性を目指したからこその反響だったわけですね。そもそも「ポケモンクエスト」は,どのようにして立ち上がった企画なんでしょうか。このタイトルは,ゲームフリーク独自の開発制度「ギアプロジェクト」(※)から生まれたものですか?
※ギアプロジェクト……社員が自らチームを組んで企画を提出し,その一部をプロジェクト化して開発に取り組む制度。この制度によって「リズムハンター ハーモナイト」「ソリティ馬」「TEMBO THE BADASSELEPHANT」「GIGA WRECKER」が生まれている(関連記事はコチラ)。
渡辺氏:
プロジェクトとしてスタートすることになったのは,まさにギアプロジェクトがきっかけですね。一昨年の10月にギアが始まり,3か月後にはプレゼンを行って,正式にプロジェクト化されたのは去年の3月のことです。
ただこれに関しては,ギアプロジェクトの募集期間が始まる前から「こういったものを作りたい」と彼(松崎氏)がアピールしていたもので,悪くはないけどどうまとめようかと話しながら進めていました。
4Gamer:
ギアプロジェクト発の企画は新規IPものだけではないんですね。
渡辺氏:
ちょうどその頃,ギアプロジェクト自体の活動の幅を広げるために,新規IPだけではないゆるい括りにしようと考えていたのもあって,いいきっかけになるだろうとこのプロジェクトをスタートさせています。社内では「ポケモン」の派生作品を作りたいという声も多いんですよ。
4Gamer:
企画の発端は松崎さんとのことですが,現在の「ポケモンクエスト」は最初期に思い描いていたとおりのものですか。
松崎氏:
デザイン自体はそのままですね。ゲームの内容は今とは全然違っていましたが,ギア開始後の人を集める過程で今の形に落ち着きました。
僕が加入した時点では,今の「ポケモンクエスト」の形ではなかったです。
4Gamer:
最初はどのような形だったんですか?
渡辺氏:
ポケモンを捕まえることにフィーチャーした箱庭ゲームだったよね。
松崎氏:
ええ,バトルというよりもフィールドの手がかりをもとにポケモンを見つける遊びを,「ポケモンクエスト」のデザインでやってみたら面白いのではと,スマホ向けの企画としてまとめていました。
4Gamer:
最初からスマホでの配信を想定したタイトルだったとは……。
渡辺氏:
企画が立ち上がった当初は,まだNintendo Switchが発売されていなかった(※)こともあり,スマホ向けタイトルとして進めていたんです。eショップ周りやミドルウェアへの対応が早かったおかげで,Nintendo Switchとスマホの両プラットフォームにリリースする決断ができました。
(※)Nintendo Switchの発売日は2017年3月3日。
4Gamer:
箱庭ゲームも見てみたかったです(笑)。ちなみに,しかくいポケモン「ポクセル」のデザインはどういったアイデアから生まれたんですか。
松崎氏:
きっかけとしては,シリーズ本編と違う表現方法やデザインにできないかを試行錯誤していたのが始まりです。そこから,画面の中でポケモンがわちゃわちゃするバトルを実現するには,統一感や処理負荷の面でどの形がベストかを検討した結果,パッと見たときに何が起きているか分かりやすい「ポクセル」のデザインに行きつきました。
渡辺氏:
彼は「全部のデザインを1人でやりたい」気持ちがあって,そのうえで自分なりのポケモンの世界観を表現するにはどうしたらいいか,その方法を模索していたんです。
4Gamer:
1人で,となるとポケモン1匹にかけられるデザインのリソースも限られてしまいますね。デフォルメで制作コストを下げつつ今までにないデザインを形にするための最適解が“しかくいポケモン”だったということですね。
渡辺氏:
最初に見たときは「なるほどねぇ」と思いましたよ。スキニングなどを行う作業コストを考えると,確かにローコストだなと。
4Gamer:
ここまでシンプルにしても,ちゃんとかわいさが出ているのはすごいですよね。
渡辺氏:
このデザインでかわいらしく見える分には良いのですが,ただの手抜きと思われるのは心外です。だからこそ説得力のある理由を考えたかったんです。でも実際に出してみたらそんなことは関係なく,「かわいいね」と受け入れられてしまって……じゃあいいかなと(笑)。
松崎氏:
コスト面を考慮してジョイント数を減らしてみたら,結果的に体全体を使いながらちょこちょこ歩いたり走ったりする姿がかわいかったんです。ポケモンたちが画面上でわちゃわちゃしているさまを見て,これは手抜きではなく“1つのデザイン”として成立するだろうとプレゼンに臨みました。
4Gamer:
どのポケモンもかわいらしくデフォルメされていますが,個人的にはニャースがとても気になっています。横から見たときの微妙な薄さがたまりません。みなさんはどうですか?
斉田氏:
ピッピが好きです。もとのデザインが丸っこいのもあって,しかくさが強調されていて新鮮だなと。
渡辺氏:
僕は作品に関係なくラフレシアですね。
松崎氏:
思い入れで選ぶならフシギダネです。見た目がかわいいのもそうなんですが,初期にデザインしたものの中で,デフォルメしたときに「これならうまくいく」と確信を持てたポケモンなので。
4Gamer:
発表会のタイミングでは,ビリリダマやマルマインが話題になっていました。
松崎氏:
ビリリダマやマルマインは,今でこそはっきりとしかくい形をしていますけど,丸をしかくにするのはやはり抵抗があって,最初は中途半端に八角形にしていたんですよ。何匹かデザインしているうちに,しかくさを際立たせても大丈夫だと気付いて,今のインパクトの強いしかくいフォルムに仕上がりました。
渡辺氏:
ほかのポケモンでは,当初は耳やくちばしが三角形に近くて,制作段階で「これは違う!」となっていたね。
松崎氏:
振り切ってデザインするまでに時間がかかって作り直しも結構ありました。
4Gamer:
見た目に関係することで1つ気になっていることがあるんですが,ベースキャンプで過ごすポケモンが,たまに2段,3段と積み上がってタワーになっていますよね。ポケモンの組み合わせには何かしらの法則があるんですか。
斉田氏:
プレイヤーの方には見えていないものですが,ポケモンの性格が合うか合わないかで,タワーになったり,囲んだり,話したりと,いろんな組み合わせができるようになっています。
4Gamer:
てっきり重さや高さが関係しているのかと思っていました。なぜかしっくりきてしまう組み合わせや,ちょっとおもしろい見た目のタワーができていると,ついついホッコリしちゃいます。たとえば,2段目にアーボが乗ったときとか。
斉田氏:
それで言うとケーシィも,ポケモンの上に乗っているはずなのに宙に浮いているせいで「それ乗ってないじゃん!」とツッコミたくなります(笑)。
一同:(笑)
Pストーンで育成する新しい遊び
4Gamer:
最初は箱庭ゲームのような内容だった本作ですが,現在のゲーム性には早い段階でたどり着いていたのでしょうか。
斉田氏:
バトルに関しては最初の3か月で,割と今の形に近いものができ上がっていて,細かな仕様は変わっているものの,基本的なキャラの動きやわざを撃つシステムはそのままです。
スマホでのプレイを想定して,まずはどんなシーンでもストレスなく遊べるよう,ポケモンの操作にある程度制限をかけた形で詰める方向になりました。そこへ相手との距離や攻撃のタイミングを見てわざを発動する形式が加わり,徐々にバトルシステムが固まっていきました。
4Gamer:
バトルと関係するところだと,シリーズ本編とは違った遊びを体験できる「Pストーン」も注目のシステムですよね。レベルアップでステータスをガツンと上げるのではなく,ポケモンによって異なるソケットにATK/HP/わざのPストーンをつけて,ステータスやわざの性能をブーストできるのは1つのハマリどころです。
斉田氏:
ゲームシステムとして“ハック&スラッシュ”も参考にしています。敵を倒してドロップしたものを使ってポケモンを強くする,これをうまく回せるようデザインするべくPストーンの仕組みができました。
渡辺氏:
一般的なRPGであれば武器や防具がそれにあたるんでしょうが,ポケモンには武器や防具を装備させることができないので,それをうまく消化するためにPストーンが生まれています。
4Gamer:
ポケモンの種類によって付けられるPストーンの位置や数が違うのかと思いきや,同じポケモンでもATKのソケットが多めだったり,ATK/HPのどちらにも対応するマルチソケットを持っていたりと,個性があります。
斉田氏:
そうなんです。ポケモンの種族で大まかにHPが高い,ATKが高いという分類をして,さらに同じポケモンでも個体によってHPが高め,低めといった個性が出るランダム要素があります。
松崎氏:
初期の頃は今のように付けられる位置が決められていなくて,プレイヤーの判断でATKやHPを高くできる自由な形でした。でもそうすると,ポケモンがベースキャンプに来たときの喜びが小さくなってしまう。すべてを自由にするのではなく,付けられるものをランダムで決まるようにすることで,自分が意図したポケモンが来たときに「ATKを高く育てられる,やった!」と喜ぶシーンを作りたかったんです。
斉田氏:
なにより,分かりやすいですしね。
渡辺氏:
探検中のフォーメーションも自分で決められる形だったんですが,結局消化しきれなくて,Pストーンを自由に付けられる要素も,フォーメーションも,プレイヤーに分かりやすい形でシステムを組めないなら切ろうと判断しました。
4Gamer:
分かりやすさを考えての引き算ですね。
斉田氏:
そこがまさに転機でした。今思い返してみても,やっぱり自由過ぎましたね……(笑)。自分がどういったポケモンを育てたいのかをプレイヤーに感じとってもらえない作りだったなと。
渡辺氏:
自由に育成できるネタは決して悪くないんです。ハクスラをやり込んでいる人ならすんなり受け入れられる。けれど,ポケモンというIPを使う以上それではいけないだろうと,軌道修正しました。プレイヤーの中には,きっと初めましての人やハクスラに慣れていない人も多いので,そういう人でも分かりやすいものを目指したかったんです。
4Gamer:
それはプレイしてとても感じました。ただ分かりやすさを追求するだけではなく,プレイヤーが試行錯誤する要素も用意する“職人的なこだわり”が見え隠れしている印象です。
ポケモンを集めるだけで楽しい序盤,編成の重要性に気付く中盤,オートではクリアできない終盤のやりこみ要素は,まさに深い沼です。
渡辺氏:
職人チームの力がきいているんだと思います(笑)。
“好き”を貫いてもいいんです
ポケモンを仲間にするために必要な“料理”についても話を聞かせてください。バトルをしてモンスターボールで捕まえるのではなく,なぜ料理で誘い出す形にされたのでしょう。
渡辺氏:
単純にポケモンを集めるためにモンスターボールを投げるわけにはいかなくて,違う手法を考えた結果です。また,本編とは違うポケモンとの出会い方にできないかとも考えていました。
斉田氏:
最初の段階から,バトルの中でポケモンを捕まえることは考えていなかったですね。
4Gamer:
料理でベースキャンプに呼ぶシステムは新鮮でした。料理といえば,噂によると「カクコロレジェンドスープ」なる伝説のポケモンを呼び出すレシピもあるとか。
斉田氏:
ええ,存在します。ぜひゲームをプレイしてレシピを探してみてください。
4Gamer:
よりレベルの高いポケモンを仲間にできるシルバー鍋の解禁以降は,最初の鍋で特訓用のポケモンを呼ぶか,それとも高レベルのポケモンをシルバー鍋で呼ぶかとても迷います。
斉田氏:
プレイスタイルによるところではありますが,グレードの高い鍋で強いポケモンを呼ぶのは重要だと思います。そうでないと強いポケモンがなかなか来なくて先に進みづらいんです。でも特訓もしたいですよね(笑)。
松崎氏:
本作においてレベルを上げる作業は有効な壁の越え方になっていなくて,いいポケモンに数値の高いPストーンを付けるほうが有効です。どんどん先に進みたい人はグレードの高い鍋を使って,ポケモンをとにかく集めたい人は最初の鍋を使って回すのがいいかもしれません。
4Gamer:
なるほど。お決まりのメンバーに固執せず,シルバー鍋で呼んだレベルの高いポケモンととりあえず探検してみるのも楽しそうですね。新しい仲間と壁を越えるのもいいんですが,工夫すれば好きなポケモンをそのままスタメンに入れて探検をできるシステムだとも感じていて,推しのポケモンがいる身としてはとてもうれしかったです。
斉田氏:
そうですね。じつは,進化前の姿でも探検に参加しやすくする狙いがあって,ビンゴボーナスは進化前のほうが内容がよかったりします。もちろん,パラメータ自体は進化形のほうが高いので,どちらを選択するかはプレイヤー次第です。
渡辺氏:
調整前はレベルとPストーンによる2本立ての育成だったんですよ。でもそれだと,プレイヤーはレベル上げで満足してしまい,我々の意図する遊びと異なってしまうんです。
斉田氏:
そこでPストーンによる育成の特色を強めるために,レベルが上がるとソケットがアンロックされる形にまとまりました。
渡辺氏:
普段スポットが当たらないポケモンにも,興味を持ってもらう流れを作れたと思います。
4Gamer:
「ポケモンクエスト」を遊んでいると,「このポケモンはこんなに強かったんだ!」という新しい発見がありますね。中盤のステージで詰まっているときに,シルバー鍋でイワークを仲間にしてすんなりクリアできたときは「イワークってこんなに強いの!?」と感動しました。
斉田氏:
イワークは進化しないポケモンなのでパラメータが高めなのと,「いわおとし」など使い勝手の良いわざを覚えますね。
松崎氏:
比較的作りやすい「カクコロガンセキ煮」で会えるポケモンですし,中盤のお供にいいかもしれませんね。
4Gamer:
ほかにもオススメのポケモンはいたりしますか。
松崎氏:
攻略にピッタリというわけではないですが,メタモンを推したいです。メタモンは探検開始時にランダムでほかのポケモンに変身します。使えるわざは変身したポケモンのものになるので,いろいろなポケモンの特徴やわざの良さを発見するヒントになるんじゃないかと。
斉田氏:
メタモンはとても手がかかってますよね。ビンゴボーナスに体の大きさを変えるものがあって,例えばミニサイズのゴローニャなど,普通ではありえないサイズのポケモンを見ることもできます。仲間にしたらぜひチェックしてみてください。
4Gamer:
それは鍋をフル活用して仲間にしたいです。
鍋がもっとほしいとなったら,探検パックをぜひ。
斉田氏:
鍋が増えるのもそうですけど,もようがえグッズでドロップする材料の数が増えるのも注目です。どんどん料理を作ってポケモンを集めたい人にはいいと思います。
4Gamer:
遊び始めてすぐに買ってしまいました(笑)。そもそも,このゲームを無料で遊べるのが不思議だったりします。お買い得価格のパッケージソフトとして販売されてもいいんじゃないかと。
渡辺氏:
僕らも当初は売り切りの形を考えていたのですが,株式会社ポケモンから「無料でやってみませんか」と提案を受けて,今回チャレンジすることになりました。
松崎氏:
あとは,お金を払ったら強くなれるコンテンツにはしたくないとも思っていました。このゲームの場合はパックを購入したら強くなるというよりも,ポケモンの来るペースがはやくなり,チーム編成の選択肢が増えてバトルでとれる戦術の幅が広くなるメリットがあります。結局のところ,パックを購入して遊びの幅は広がるけど,プレイヤー自身が工夫しなければ前には進めないことに変わりがないんです。
4Gamer:
すぐに強くなるための手段ではなく,よりポケモンに出会いやすいバランスにするためのものだと。
渡辺氏:
こういうのはとても苦手なんですよ。アイテムを購入したらより面白くなる,プレイヤーが思わずほしくなってしまう仕組みを構築できるまで,ずっと苦労していた記憶があります。
これが買い切りだったらまた楽なんですけどね。先にもらっているので,あとはプレイヤーは楽しませるだけ。これまでそのスタイルでやってきたこともあって,やっぱり慣れないです。
4Gamer:
スマホ版リリース後の展開もお聞きしたいのですが,今後カクコロ島を拡張させる構想はありますか。「ポケットモンスター 赤・緑」以降のポケモンを登場させるなど。
渡辺氏:
今はその予定はないですが,好評であれば今後そういったお話が出てくるかもしれないですね。そんなにボリュームのあるゲームではないので,反響次第ではより広がりのある世界で,もう1作制作したいですね。
松崎氏:
やりたいです!
渡辺氏:
彼はやる気満々です。止めはしないです(笑)。
4Gamer:
最後に1つ渡辺さんに質問が……2013年のインタビューで「スマートフォン向けに課金なしのやりこみゲームを作りたい」と渡辺さんはおっしゃっていましたが,今もそのお気持ちは変わりませんか。
渡辺氏:
今はそんなでもないかな。当時はスマホにデバイスとしての魅力を感じていましたけど,今だったら個人的にはPCがいいなと。スマホデバイスの広がりは確かに魅力的ですが,発熱や入力デバイスの問題があって,作っていてストレスなんです。なので,あんまり興味がなくなってきてしまいました。
4Gamer:
まさかPCが出てくるとは思っていませんでした。
僕はずっと「ゼルダの伝説」のファンなのですが,Nintendo Switchで「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を遊んでいると,やっぱり僕はこういうゲームをやりたいんだなと。僕はハイエンドでいきたいし,かわいいよりもゴリゴリがいい。
4Gamer:
まさかこんなお話を聞けてしまうとは……(笑)。今後のタイトルも気になるところですが,まずは「ポケモンクエスト」のスマホ版ですね。
斉田氏:
はい。本作では自分だけのポケモンを育てられるので,Pストーンやビンゴボーナスを活用して,どんな組み合わせが強いかを探す楽しさを体験してもらえればと思います。自分なりの攻略法を見つけてみてください。
松崎氏:
仕事終わりとか,疲れたときにオートモードで材料を集めたり,家に帰ってゆっくりできるときに料理を作ってみたりと,よりスキマ時間に遊びやすいスマホ版がリリースされたことで,もっと生活の中に入り込んだゲームになるんじゃないかと期待しています。
渡辺氏:
ゲームフリークが手がける初めてのポケモン派生タイトルとして,普段ならやらない作風,デザインで表現されたポケモンを楽しんでみてください。こういう世界もあるという意思表示でもありますので,みなさんに気に入ってもらえたら,またその世界を広げていきたいです。ぜひ期待していてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
――2018年6月11日収録。
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(C)2018 Pokémon. (C)1995-2018 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
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