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印刷2018/10/27 12:00

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【PR】ゲーマーが選ぶべきM.2 SSDは「WD Black NVMe SSD」で決まり! 競合とのガチ比較で明らかにする圧倒的な使いやすさ

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 4Gamerでは2018年5月に,Western Digital(ウエスタンデジタル)製SSD「WD Black NVMe SSD」のレビューを行っている。
 容量1TB,500GB,250GBの3モデル展開となる新製品は置き換え対象となる従来製品と比べて性能向上が著しく,また価格も比較的安価なため,論理インタフェースとしてNVM Express(以下,NVMe),物理インタフェースとしてPCI Express(以下PCIe)x4を採用するM.2接続型SSDのハイクラス市場向けモデルとしてはコストパフォーマンスの高い製品だという評価だった。

WD Black NVMe SSD
メーカー:Western Digital,問い合わせ先:WDサポート 顧客サポート窓口
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 では,そんなWD Black NVMe SSDを競合製品とガチ比較したらどんな結果になるだろうか? 今回,実際に試す機会が得られたので,レポートしてみたい。

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 2018年5月18日,Western Digital製がゲーマー向けと位置づけるSSD「WD Black NVMe SSD」が国内発売となった。HDD時代に「コンシューマ向け高性能ストレージ」として知られたシリーズ名を冠するNVMe対応SSDは,PCゲーマーの期待に応えられるだろうか。テスト結果をお届けしたい。

[2018/05/28 10:30]


まずはWD Black NVMe SSDのスペックを確認


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 そもそもゲーマーが自分のPCを強化しようと考えたときに,まず購入の候補となるのはグラフィックスカードだろうが,「PCゲームの起動を高速化する」という目的でのSSDも,近年は重要な選択肢として浮上してきている。CPUのように,「ちょっと高速なものに載せ替えようと思ったらマザーボードごと全取っ替えになる」リスクなしに,ゲームの起動速度だけでなく,ゲーム起動後のシェーダやテクスチャ読み出しといったストレージアクセスを高速に行えるため(※),結果としてカクつきやもたつきを解消できるというメリットがあるからだ。

※Serial ATAはともかく,M.2接続のSSDだと搭載できないマザーボードもあるのでは? と思うかもしれないが,ゲーム用として「追加」するのであれば,マザーボード側にM.2インタフェースがない場合でもM.2−PCIeインタフェース変換カードなどを使うことでM.2接続型SSDを利用できる。

 いまあるゲーム用PCに対してSSDを追加する場合は,容量1TB以上のものが望ましいが,近年進んだ低価格化のおかげで,まずまず手の届きやすい価格になってきた。
 たとえば,本稿の主役でもあるWD Black NVMe SSDの容量1TBモデル(型番:WDS100T2X0C)の場合,発売時点の税込価格は5万円超級だったのが,いまや3万7500〜3万9000円程度(※2018年10月27日現在)である。このインパクトは大きいだろう。

 ハイクラス市場向けで同じ容量帯の競合としては,

  • SSD 970 EVO
    Samsung Electronics製,容量1TB,型番MZ-V7E1T0B/IT,実勢価格3万9800〜40800円程度(※2018年10月27日現在)
  • SSD 760p
    Intel製,容量1TB,型番SSDPEKKW010T8X1,実勢価格3万5200〜3万6800円程度(※2018年10月27日現在)
  • XPG GAMMIX S11
    ADATA Technology製,容量960GB,型番AGAMMIXS11-960GT-C,実勢価格3万3400〜3万3500円程度(※2018年10月27日現在)

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といったあたりが挙げられる。主なスペックは表1にまとめたとおりだが,ざっと眺める限り,Samsung Electronics(以下,Samsung)製のハイクラス市場向けSSDで,独自コントローラ「Phoenix Controller」と自社開発のTLC 3D V-NANDフラッシュメモリを搭載するSSD 970 EVOのスペックがWD Black NVMe SSDと拮抗している印象だ。それと比べると,Silicon Motion製コントローラを搭載するIntelとADATA Technology製品のスペックは一段落ちる。
 保証年限や平均故障時間(MTBF),「SSDが製品寿命までに書き換えられる総容量」を示すTBW(Total Bytes Written)はほぼ横並びだ。

 なお,消費電力の表記は各社で測定方法や測定条件がバラバラなので,公称値による比較はまったく意味がない。一応公称値を入れておいたが,あくまでも参考といったところである。

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表面はシールがほぼ全体を覆っているため,搭載するフラッシュメモリやコントローラなどの型番が分からない。背面にチップがないのは,TLCで容量1TBクラスの容量を実現するM.2接続型SSDに共通の仕様である
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 本稿の主役となるWD Black NVMe SSDだが,レビュー記事でもお伝えしているとおり,64層の3D NAND型フラッシュメモリを搭載する製品である。

 ハイクラス〜ミドルクラス市場向けのSSDでは,NAND型フラッシュメモリチップ内で実際にデータを読み出したり書き込んだりするための最小単位である「セル」(Cell,以下 メモリセル)あたり3bitの情報を記録させるTLC(Triple Level Cell,3-bit Multi Level Cellとも言う)を採用するのが2018年の主流だが,それはWD Black NVMe SSDも同じ。ただしWestern Digitalは,買収したSanDiskが持っていた「NAND型フラッシュメモリの一部領域を高速なSLC(Single Level Cell)として使い,“SLC領域”をキャッシュとして使うことによって高速化を図る「nCache」技術をWD Black NVMe SSDで採用したというのが,他社製品と比べての差別化要素となっている。

 また,WD Black NVMe SSDでは独自設計のSSDコントローラが初採用となっているのだが,こちらはシステムからSSDに対して連続的なアクセスが発生するときにはnCache領域をバイパスすることでアクセス遅延やコントローラにかかる負荷を低減するという機構が入っている。結果として,ストレージに高い応答性が要求される,ゲームのようなアプリケーションに向いていて,かつ発熱も低く抑えられるというのがアピールポイントだ。


基礎テストではWD Black NVMe SSDの逐次書き込み性能に優位性


 前置きが長くなったが,横並び比較を始めよう。今回は表2に示す機材を用いてテストを行う。WD Black NVMe SSDを含む4枚のSSDはいずれも「ゲームPCに後から追加する」前提で,Cドライブ(=システムドライブ)ではなく,Dドライブに指定してテストにかけることにした。

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 まず定番のストレージベンチマークである「CrystalDiskMark」(Version 6.0.1)の結果から見ていくことにしよう。4GamerではCrystalDiskMarkを「テスト回数9回,テストサイズ8GiB」という設定で5回連続実行し,その平均をスコアとして採用することにしている。

 グラフ1はQueue Depth(以下,QD)=32,Thread数(以下,T)=1という条件における逐次アクセスのテスト結果をまとめたものだ。最大32のコマンドを先送りして逐次アクセスを行うので,SSDの逐次アクセス性能の最大値に近い値が得られる。

 スコアを見てみると,公称スペックどおり,WD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOの2製品が性能で拮抗する。SSD 760pとXPG GAMMIX S11は上位2製品と比べて若干低めという結果だ。
 直接のライバルと言っていいWD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOを細かく見てみると,逐次読み出しこそWD Black NVMe SSDはSSD 970 EVOより約100MB/s低いスコアに留まるものの,逆に逐次書き込みでは300MB/s以上も高いスコアを示していた。総合的な逐次アクセス性能ではWD Black NVMe SSDがトップと考えてよさそうである。

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 グラフ2はQD=8,T=8という条件で実行したランダムアクセスの結果だ。8スレッドから同時にリードライトを行うことで,マルチコアCPU環境下での性能を見るテストと考えていいが,ここでもWD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOが残る2製品を大きく上回るスコアを示した。両製品の比較だと読み出しはほぼ互角ながら,書き込みは若干ながらSSD 970 EVOが優勢といったところか。

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 次にグラフ3はQD=32,T=1という条件で実行したランダムアクセスの結果だ。最大32コマンドの先送りを行う従来型のランダムアクセステストということになる。
 ランダム読み出しでは,ここまであまり振るわなかったSSD 760pがトップで,次席はXPG GAMMIX S11と,Silicon Motion製コントローラ採用製品が好成績を収めた。もっとも違いは少なく,とくにWD Black NVMe SSDのスコアは上位2モデルとそれほどは変わらない。

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 CrystalDiskMarkを用いた基礎検証の最後は,QD=1,T=1というという条件で実行したランダムアクセスの結果をまとめたグラフ4である。コマンドキューを使わず,しかもT=1なので,ストレージのアクセス遅延が効くテストで,Windowsの使い心地を左右するとも言われている。
 ここでの結果はランダム読み出しだとSSD 760pがトップで,それにXPG GAMMIX S11が続いた。一方,ランダム書き込みだとWD Black NVMe SSDがトップを取り,次点としてXPG GAMMIX S11が続く格好だ。

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 以上のスコアから,基礎検証において総合的に最もバランスよく高いスコアが得られるのはWD Black NVMe SSDであると言ってよいだろう。トップスコア取得回数だとSSD 970 EVOに軍配が上がるが,SSD 970 EVOは最下位に転落するケースも多いので,WD Black NVMe SSDの持つ安定感が光る印象だ。


高負荷環境にも強いWD Black NVMe SSD


 ゲームプレイ中にはデータの読み出しと書き込みが多発するため,高い負荷に耐えられる製品が望ましい。そしてもちろん,そうした「高い負荷」が長く続くことになる長時間のゲームプレイでも性能が低下しにくいSSDが望ましいことになる。
 4Gamerではそうした「長時間の高負荷環境」における性能を調べるため,「PCMark 8」(Version 2.8.704)の「Expanded Storage」テストを採用している。

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 Expanded Storageについては「HyperX Savage Solid-State Drive」のレビュー記事で詳しく説明しているので,基礎的なところから理解したい人はそちらを参照してもらえればと思うが,簡単に紹介しておくと,Expanded Storageは「Consistency test v2」と「Adaptivity test」という2つのテストからなるテスト群だ。

 Consistency test v2は以下に挙げる3フェーズで構成される。

  • Degradation pass(劣化フェーズ):テスト対象のストレージに大量のランダムデータを書き込み,SSD内部においてデータの再配置が起こりやすい状況を作ったうえで,さらにランダムデータの量を毎回増やしながら合計8回のストレージテストを行い「再配置が多発している状況での性能低下」を調べる
  • Steady state pass(安定化フェーズ):一定量のランダムデータを書き込んだうえでストレージテストを5回実行し,劣化の度合いが最大になった状態での性能を調べる
  • Recovery phase(修復フェーズ):適切なインターバルを置きつつストレージテストを5回実行し「性能が低下した状態からどの程度回復するか」を調べる

 テストを行った場合,一般的にはDegradation passで徐々に性能が劣化していき,Steady state passで性能の劣化が最大となり,Recovery state passで性能が回復するというパターンのスコアが得られる。なので,劣化度合いと性能回復度合いから,SSDに高い負荷をかけ続けたときの性能や快適さを測ることができるわけだ。

 一方のAdaptivity testでは,上のRecovery phaseに相当するテストを10回繰り返し,ストレージにとって性能を発揮しやすい環境にしてから,PCMark 8のストレージテスト結果を求めるものになっている。こちらはベストケースにおけるスコアを見るものという理解でいいだろう。

 というわけでまずはConsistency test v2から見ていきたい。グラフ5はConsistency test v2におけるStorage testの平均帯域幅変化をプロットしたものだ。グラフ画像には数値を入れていないが,グラフ画像をクリックすると具体的なスコアを参照できるようにしてある。

 そのグラフを見ると,高い負荷がかかるDegradation passからSteady state passにかけておおむね500MB/sの帯域を維持したSSD 970 EVOがやはりトップだが,次点のWD Black NVMe SSDも上下動を伴いつつおおむね400MB/sを超える帯域幅を確保できている。
 また,WD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOはRecovery phaseに入ると速やかに帯域が回復し,600MB/s以上を記録するのも分かる。高負荷時の帯域幅や回復力の高さにおいて,WD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOは他の2製品と比べて高レベルにあるというわけだ。逆に言うと,SSD 760pとXPG GAMMIX S11はSSD 760pとXPG GAMMIX S11はDegradation phaseにおいて頻繁に300MB/sを下回っており,高負荷環境は弱いと言える。とくにXPG GAMMIX S11は厳しい印象だ。

グラフ画像をクリックすると詳細なスコアがまとまった表3を表示します
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 PCMark 8はオフィスやゲームなど複数のアプリケーションのストレージアクセスを再現してグラフ5に示した平均帯域幅を算出するものになっている。そのため,Consistency test v2のスコアからは個別のストレージアクセスをワークロードとして抜き出すことができるのだが,今回はAdobe製の写真編集アプリケーション「Photoshop」を使った負荷の高いワークロードである「Photoshop heavy」から,平均ストレージアクセス時間の変化をまとめておきたい。高負荷環境における平均ストレージアクセス時間を見ることで,体感的なストレージの性能がどこまで高負荷時に落ちるのかが分かるからである。

 グラフ6は読み出し時の平均ストレージアクセス時間をプロットしたものだ。
 ちょっと分かりにくいかもしれないが,WD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOのスコアは非常に優秀で,重い再配置が多発するであろうDegradation passからSteady state passにかけても0.2ms以下を維持していた。Recovery Phaseでも同レベルなので,極めて安定したSSDだと言えるだろう。両者はほぼ互角だが,SSD 970 EVOだとDegradation Phaseで0.2msに達するケースがあるなか,WD Black NVMe SSDは0.2ms未満を維持できているので,より安定している。
 残る2製品だと,SSD 760pは端的に述べて高負荷環境にかなり弱い。また,XPG GAMMIX S11は平均ストレージアクセス時間が右肩上がり気味で,Recovery Phaseに入ったときの性能回復が遅れるという,帯域幅を見たときと同じ傾向を確認できる。

グラフ画像をクリックすると詳細なスコアがまとまった表4を表示します
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 Photoshop heavyから,書き込み時の平均ストレージアクセス時間をプロットしたものがグラフ7となる。
 ここで優秀な成績を残したのはSSD 970 EVOで,最もスコアの悪化したDegradation pass 3でも0.79msと1ms以下の平均ストレージアクセス時間に留まった。
 ここまで振るわなかったXPG GAMMIX S11もなかなか優秀で,2msを切る安定した平均ストレージアクセス時間を示している。ただし,総合的には3番手となるWD Black NVMe SSDも,Recovery Phaseには0.18msまで回復しており,「高負荷環境における書き込みは若干苦手ながら,性能回復は極めて速い」という特性になっていることが分かる。

 なお,SSD 760pはDegradation PhaseやSteady state passの平均ストレージアクセス時間が大きく,ワーストケースでは8ms台とHDD並みに悪化した。Recovery phaseで速やかに0.2msに戻るのが救いだが,他の製品に比べ,高負荷時に引っ掛かりを体感することの多いSSDと言えるかと思う。

グラフ画像をクリックすると詳細なスコアがまとまった表5を表示します
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 次にグラフ8は,Consistensy test v2で実行した合計18回のStorage testから,最も高いスコア(Best score)と最も低いスコア(Worst score)を抜き出したものだ。
 ベストとワーストのスコア差が小さいほど高負荷時の性能の落ち込みが小さいストレージということになるが,結果を見ると,WD Black NVMe SSDだとギャップは約2%,SSD 970 EVOだと約1%でほぼ同じなのに対し,SSD 760pは約10%,XPG GAMMIX S11は約6%と,相応に大きな違いが出ている。

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 Adaptivity testでは,実行したStorage test合計10回のスコア平均をグラフ9に,平均帯域幅をグラフ10にそれぞれまとめた。
 どちらも「良好な環境でPCMark 8のStorage testを実行するとこの程度のスコアが出る」という目安になるが,同クラスのSSDを横並びで比較しているだけに好環境時のPCMark 8のスコアはおおむね横並びという結果になった。

 一方の平均帯域幅はSSD 970 EVOがトップだが,WD Black NVMe SSDとのスコア差は小さい。残る2製品は少し離れている。

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 以上,ゲームで想定される高負荷環境に強いのはWD Black NVMe SSDとSSD 970 EVOで,残る2製品はやや厳しい。とくにSSD 760pは高負荷時における書き込み遅延の大きさが気になるところだ。


扱いやすさではWD Black NVMe SSDに軍配が上がる


 CrystalDiskMarkではWD Black NVMe SSDがSSD 970 EVOを,PCMark 8ではSSD 970 EVOがWD Black NVMe SSDをそれぞれ僅差で上回るという結果になった。では,扱いやすさはどうだろうか。

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 よく知られているとおり,NVMe/PCIe x4接続のM.2 SSDは高負荷時にかなりの発熱を起こし,また,温度が上がりすぎるとサーマルスロットリング(Thermal Throttling,熱が原因での動作クロック低下)によって性能が低下することが往々にして起こるからだ。逆に言うと,発熱の小さなSSDはデスクトップPCにおいて取り回しやすく,もちろんノートPCでも性能を発揮させやすいため,温度周りはSSDを評価するうえで重要なポイントたり得る。

 そういう事情から,最近のマザーボードではミドルクラス以上の価格帯を中心にM.2用ヒートシンクを搭載する例が増えてきている。実際,今回のテストで使っているROG STRIX X370-F GAMINGもM.2用ヒートシンクは標準搭載だ。ただ今回はテストのため,あえてヒートシンクを取り付けず,“素”の状態で比較してみたい。

Iometerではテストサイズを4GB(8388608セクタ)として4KiBのランダムアクセスを30分間実行した
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 ここでテストに用いるのは,任意のアクセスパターンでストレージを評価できるツール「Iometer」(Version 1.1.0)である。Iometerから30分間の連続アクセスを発生させ,「HWiNFO64」(Version 5.90)のログ中に記録されたストレージ温度を比較してみよう。
 ただし残念ながら,SSD 760pとXPG GAMMIX S11は,S.M.A.R.T.の仕様が独自で,ストレージ温度をHWiNFO64から取得することができない。なのでテスト対象から外すので,その点はご注意を。

 さて,結果として今回は性能上位の2製品による一騎打ちとなるが,Iometerを使った今回のテストは苛酷であり,グラフ11を見ると,テスト開始後すぐに温度が上昇するのが分かる。
 もっとも見比べてみると,開始5分ほどで80℃を超え,安定して80℃台前半をキープするSSD 970 EVOに対し,WD Black NVMeはそもそも温度の上がり方が緩やかで,ピークでも70℃台半ばを維持できている。

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 繰り返すが,今回のテスト結果はワーストケースにかなり近い状態の比較であり,「Iometerで30分間の連続アクセスを行うようなストレージアクセス」が実際の運用で発生することはまずない。とはいえ,ストレージアクセスが極めて激しいときにどこまで温度が上がるのかを知ることができるので,意味のあるテストなのは確かだ。

 そのうえで今回の結果から何が言えるかだが,「扱いやすさや性能の維持のさせやすさといった点で,WD Black NVMe SSDのほうがにSSD 970 EVOより上」といったところが結論になる。ゲーマー向けのマザーボードではSSDのヒートシンクを装備する製品が多いが,そういうマザーボードであってもWD Blackのほうが性能を維持しやすいことは間違いない。また,ゲーマー向けノートPCのような熱的に厳しい環境でもWD Blackなら問題なく運用できるはずだ。


価格と性能,温度の3項目で総合的に「買い」なWD Black NVMe SSD


製品ボックス
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 以上,ハイクラス市場向けの競合製品とWD Black NVMe SSDを比較してきたが,純然たる性能だけで見るとSSD 970 EVOが優勢ながら,販売価格,そして温度面での扱いやすさまで踏まえると,総合得点ではWD Black NVMe SSDがトップと言っていいだろう。SSD 970 EVOより安価で,かつ温度は低く,性能はほぼ互角。またスコア全体を見渡しても明らかな弱点と言える部分がないのは大きな強みである。

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 これからPCのゲーム性能を高めるためにSSDを導入したいと考えているなら,トータルバランスに優れたWD Black NVMe SSDは最優先で考慮すべき選択肢だ。

Western DigitalのWD Black NVMe SSD製品情報ページ


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※お詫びと訂正
 初出時,XPG GAMMIX S11のTBWと消費電力を「未公開」としていましたが,順に「640TB」「アクティブ時0.33W」でした。お詫びして訂正いたします。
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