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Nintendo Switch版の発売やTVアニメ化も決定。若者層を中心に大きな人気を獲得している「殺戮の天使」の仕掛け人,バカー斉藤大地氏ミニインタビュー
ゲームマガジン「殺戮の天使」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。まずはバカーという会社について,簡単にご紹介ください。
斉藤大地氏(以下,斉藤氏):
もともとはドワンゴで「電ファミニコゲームマガジン」と銘打って,個人制作のインディーズゲーム――ドワンゴでは「自作ゲーム」と呼んでいましたが――を公開する,雑誌のようなゲームメディアを運営していました。
そこから「殺戮の天使」を始めとしたヒットタイトルが何本か出てきたので,もう少し機動力を高めて動けるようにならないかと考えて,川上(川上量生氏。ドワンゴ取締役CTO)に話しに行ったところ,たまたまそこに庵野さん(庵野秀明氏。カラー代表取締役社長)がいらしておりまして。そのまま一緒にお話したところ大変気に入っていただけて,カラーさんとドワンゴの共同出資による新会社を立ち上げたという経緯になります。
4Gamer:
なるほど。そして現在は「ゲームマガジン」という名称で,それまでの流れを汲んだ自作ゲームの公開をメインにやっていらっしゃると。
斉藤氏:
そうです。基本的にはRPGツクールで作ったゲームがメインで,1〜2人のユニットでやっていることが多い作者さんと寄り添いながら,ゲームの公開を続けています。
4Gamer:
最初に「殺戮の天使」を公開したときの反響や勢いは,どのようなものだったのでしょうか。
斉藤氏:
もともと,「霧雨が降る森」という作品をその前に公開していた方が作者で,そちらも人気の高い作品だったこともあって,当初より固定のファンが付いていました。「殺戮の天使」もビビッドでキャッチーな設定で「これは面白そうだ」と注目を集め,さらにゲーム実況を通じて,それこそPCを持っていないスマホユーザーにまで広がっていったという感じですね。
4Gamer:
ゲームマガジンのメインとなるユーザー層はどのあたりですか。
斉藤氏:
10代の女性が多いですね。先日,ニコニコ超会議で「殺戮の天使」と「被虐のノエル」のブースを出展しましたが,そこに来ていたのもやはり10代の女の子がメインでした。
彼ら/彼女らの話を聞いていると,僕達が思っている以上に,教室での話題で多く挙がる作品になっているようで,10〜20代のあいだで高い人気を誇る作品であると認識しています。
4Gamer:
ゲーム実況者のあいだでも,本作のようなフリーのRPGツクール製ホラーアドベンチャーに人気があるように思うのですが,やはり実況映えがするというのも理由としてあるのでしょうか。
斉藤氏:
もちろん,それもあると思います。とくに初期の頃はその傾向が強かったですね。現在はホラーものがわっと出てきたこともあって,よりストーリー性があるものも好まれるようになってきました。今,ゲームマガジンでは「アルネの事件簿」というホラーものではない作品が人気を集めています。
4Gamer:
ちなみに,Nintendo Switch版の「殺戮の天使」では表現上の違いなどはありますか?
斉藤氏:
ちょうど現在,その部分を監修中ですが,ほとんどないと思います。また,スマホ版に入っていた特典画像などはそのまま入っていますよ。
4Gamer:
PCのフリーゲームとして始まった「殺戮の天使」ですが,ノベライズがあり,コミカライズがあり,この夏にはTVアニメ化やNintendo Switch版の発売を控えています。ここまでの大きな広がりになることは予想していましたか。
斉藤氏:
制作のお手伝いをしていたときから非常に魅力的な作品だと思っていたので,愛される作品になることは確信していたのですが,やはりここまで広く,ややもすれば10〜20代からの人気を飛び出して認知される作品になることまでは想定していませんでした。ただ,もちろんその価値がある作品だとずっと信じてきたので,広く愛されるようになったことは嬉しいですね。
4Gamer:
TVアニメ版がどうなるのかも,楽しみの一つですね。
斉藤氏:
もちろん楽しみですし,そのために原作者の方と共にアニメスタッフと協議を重ね,頑張っているところです。
4Gamer:
ではバカーの今後の予定として,現時点で何かお話いただけることはありますか?
斉藤氏:
先ほど少し話題に上がった「被虐のノエル」と「アルネの事件簿」もユーザー層が近く,非常に人気も高いので,僕らも作家さんと一緒に頑張って盛り上げていかなければと考えています。「被虐のノエル」のほうはすでにコミカライズが始まっていますし,ゲーム実況動画などを通じて最近とくに人気が上がってきた「アルネの事件簿」の展開も楽しみです。あとは,まだ見ぬ新しい作家さんが出て来てくれることにも期待しています。
4Gamer:
では,最後に読者へのメッセージをお願いします。
斉藤氏:
僕自身も中学生の頃からツクール製のものを始めとしたインディーズ作品をプレイし,この文化を愛してきましたので,「殺戮の天使」がコンシューマで,それもNintendo Switchという勢いのあるプラットフォームで発売されることになって嬉しく思います。2Dゲームの可能性はすごく強いものだと思っていますし,この作品が個人制作のゲームがNintendo Switchにどんどん登場する,一つのきっかけとなってくれることを,いちユーザーとしても楽しみにしています。
4Gamer:
ありがとうございました。
ゲームマガジン「殺戮の天使」
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