イベント
eスポーツの未来はアジアにあり。アジアeスポーツ連盟会長のビジョンが語られた,JeSU記者会見レポートを掲載
アーケードゲームの展示会である「JAEPO2019」と,Gzブレインとniconicoの主催で開催されている「闘会議2019」との共催となるこのイベントでは,「ウイニングイレブン 2019」と「ストリートファイターV アーケードエディション」(PC / PS4 / AC),「鉄拳7」(PC / PS4 / Xbox One / AC),そして「Overwatch」(PC / PS4 / Xbox One)の4種目で,日本代表チームとアジア選抜チームによる戦いが繰り広げられた。
その模様についても後日記事を掲載する予定だが,本稿ではこのチャレンジカップに合わせて開催された,JeSUによる記者会見発表の模様を紹介しよう。登壇したのはJeSUの会長であり,またセガホールディングスの代表取締役社長を務める岡村秀樹氏と,アジアオリンピック評議会(以下,OCA)の唯一の認可団体であり,45の国や地域が加盟するアジアeスポーツ連盟(以下,AESF)の会長 ケネス フォック氏だ。
「日本eスポーツ連盟(JeSU)」公式サイト
eスポーツでアジアを一つに
またフォック氏が会長を務めるAESFは,2018年8月に開催されたアジア版オリンピック「アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン」で,初の公開種目となったeスポーツ部門のオーガナイザーを務めた団体でもある。同大会に選手団を派遣したJeSUとしても,この1年間はフォック氏とかなりのやりとりがあったそうで,そうした中で実現したのがこのチャレンジカップなのだという。
続いて登壇したフォック氏は,この場を実現したJeSUおよびその関係者への挨拶から始まり,また選手を派遣した香港,チャイニーズタイペイ,韓国,タイ,フィリピン,サウジアラビアのeスポーツ団体へ感謝の言葉を述べた。
またフォック氏は岡村氏のスピーチを受け,2018年のアジア競技会はeスポーツの歴史における重要な一歩であると語る。さらに「eスポーツに関してアジアは精神的な大陸である」として,今回のチャレンジカップなどの取り組みを通して,アジア全体のプレイヤーの能力の底上げ,また競争を通じた相互理解の促進を推し進めたいと今後の目標を明らかにした。
また日本のことは,ゲーム産業における長い歴史とIPを持つ,リーダー的な国の1つであると捉えているという。また包括的なインフラと最先端の技術,さらには多くのゲーム開発者を抱えていることから,日本の社会はeスポーツのような新しい概念を受け入れる用意ができているので,eスポーツの普及については楽観視しているとの意見を述べた。
フォトセッションを挟んだ記者会見の第2部では,2019年のJeSUの活動予定の報告が行われた。まず1月21日より活動を開始した,JeSU地方支部の紹介が行われた。
各地方支部は,その地方の関連イベントを統括し,地域に根ざした活動によるeスポーツの振興を目的としている。JeSUとしては47のすべての都道府県に設置したい考えだがいきなりは難しく,現時点では,JeSUの前身となった団体の一つである,JeSPAの支部および支部候補を継承した形で展開しているという。
また地方支部との連携については,JeSU側から大会の運営ノウハウやメーカーとの折衝,また各支部の成功事例の共有などで協力を行うほか,今後も活動方針のすりあわせを行いながら,足並みを揃えていく方針だそうだ。
さらに新たな支部の開設にあたっては,公式サイトにて,後日応募要件などを公開する予定だが,今のところ慎重路線を取っており,認可は実績と志を持った団体に限るとのことである。
北海道eスポーツ連合の金子 淳氏。かつてゲーミングチーム「Naturals北海道」を運営していた株式会社e-スポーツ北海道が支部を手がけるとのこと |
静岡県eスポーツ連合の山崎智也氏。イベントを行っていた各タイトルのコミュニティが大きくなったタイプの運営チームだとか |
愛知県eスポーツ連合の片桐正大氏。ゲーミングチーム「名古屋OJA」の運営も手がける。2026年のアジア競技大会の開催地は名古屋とアピール |
富山県eスポーツ連合の堺谷陽平氏。地元のプレイヤーや自治体,企業の支援により,富山を中心に2016年から活動しているという |
兵庫県eスポーツ連合の五島大亮氏。神戸の観光地,有馬温泉を拠点とするゲーミングチーム「トレスコルヴォス有馬」の運営にも関わる |
岡山県eスポーツ連合の本村哲治氏。岡山駅前商店街で,eスポーツイベントを定期的に開催しているとか |
国体の文化プログラムとして,47都道府県で予選が実施される「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」(関連記事)。エントリー情報などの詳細は2月1日に公開となる。実行委員会も,JeSU側で新たに組成するという |
選手の情報を知りたいというニーズに答えるべく,選手データベースのβ版がJeSU公式サイトで公開中だ。掲載する情報は選手の同意を得たもののみとのこと |
eスポーツの未来はアジアにあり――AESF会長 ケネス フォック氏合同インタビュー
ステージ終了後,AESF会長のフォック氏へのメディア合同インタビューが行われた。最後のその模様を掲載して,記事の結びとしたい。
――オリンピックサミットにて,IOC(国際オリンピック委員会)がeスポーツにネガティブなコメントを出しましたが(関連記事),アジア競技会はこの影響を受けるでしょうか。
オリンピックサミットでは,eスポーツについて2度の言及がありました。まず2018年の初頭のサミットと,今ご質問があった11月のサミットですね。ここから2つの重要なことが分かります。
まず一つは,IOCがeスポーツを非常に重要視しているということです。彼らはもっと議論を深める必要があり,GAISF(国際スポーツ連盟機構)と協力して「eスポーツフォーラム」を立ち上げました。二つ目は,eスポーツが従来型のスポーツに匹敵する競技であると,彼らが認識を改めたことです。これはフィジカルとメンタルの双方に及びます。つまり,ドアは開かれたワケです。
ただ,確かにドアは開かれましたが,次はそのドアを通り抜けなければなりません。なので,いずれはオリンピックの正式競技になるでしょうが,それがいつかというのは定かではありません。
しかしいずれにしても,コミュニティは作っておく必要があります。IOCを説得するためには,統一された一つの組織で臨む必要がありますから。なので今回のようなイベントは,その最初のステップと言えるのではないでしょうか。また「オリンピックの価値観」についても,我々はもっと学ぶ必要があります。単に大会というものへの姿勢というだけでなく,もっと根源的なものだからです。
――2022年のアジア競技会では,eスポーツにチャンスがあるでしょうか。
フォック氏:
OCA(アジアオリンピック評議会)と活発に議論していますが,彼らは非常に前向きです。しかし,最終的にどうなるかはまだ分かりません。ただ2019年末の東南アジア競技会ではすでにオフィシャル競技ですし,そこで世界に対して私達に何ができるのかを示せると考えています。
――IOCをどのように説得するのでしょうか。例えばアメリカや中近東,アフリカといった地域と連携するとか?
フォック氏:
言えるのは,eスポーツはまだまだ新しいモノだということです。ですからIOCだけでなく,eスポーツへの誤解は社会全体にある。だからこそ,我々はeスポーツとはどのようなものかというのを,今日のこの場のような機会に一つ一つ示し,誤解を解いていく必要があります。ですから,単なる交渉術に留まらない取り組みが必要だと思います。
――具体的にはどんな取り組みを想定されていますか。
フォック氏:
私の考えでは,例えば研究機関が必要なのではないかと思っています。彼らがどんな懸念を感じているのかをリサーチし,研究するのです。例えばゲーム中毒だとか,暴力だとか。暴力とはなにか――これはとても重要です。例えば私が考える暴力と,あなたの考える暴力は,まったく違うものかもしれない。ゲームの中の暴力が,社会での暴力につながると考える人もいますが,我々はそういったことについて,もっと研究すべきなのかもしれません。
――よく分かるお話です。
フォック氏:
あとはゲームのカテゴリ分けをするためのシステムとか,そのシステムはどのように運用されるべきかとか。映画もそうですよね。映画にもいろいろなカテゴリがあります。IOCにアプローチをする前に,我々はそうしたシステムについて考えてみるべきではないでしょうか。
――アジア圏以外のeスポーツ組織との交流はいかがでしょうか。
フォック氏:
他国の組織と手を携えるのは非常に重要です。ただスピーチでも話したように,私としてはeスポーツの未来はアジアにあると感じています。この1年でアジアの内外を含めさまざまな国の方々とお会いましたが,そう思います。もっとも大きな市場がアジアなのですから。そのために,私達は一歩一歩,コミュニティを作り上げていく努力をすべきなのです。
――オリンピックやアジア競技会などの国際大会では,IPホルダーとの折衝はどのように行っているのでしょうか。
フォック氏:
今のところ,私どもが立ち会ったIPホルダーとの交渉は,幸いなことにいずれも好意的なものでした。もしかすると,それは我々がNPOだからかもしれませんが。ただ我々としては「あなた方のタイトルを,もっと多くの人に知ってもらうためのお手伝いができる」という話の持ちかけ方をしています。アジア競技大会のような場に採用されるということは,タイトルのイメージアップにもつながりますし,IPホルダーとしても喜ばしいことですよね。
一方で,むしろ競技タイトルの選び方は,それが相応しいタイトルであるかどうかを判断する我々のほうにも責任があり,先ほどの暴力であるとかの基準を設け,慎重に精査しなくてはならないと考えています。
――アジア競技会では,日本では「ウイニングイレブン2018」しか配信が行われませんでした。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
フォック氏:
これは面白い質問です。一般のスポーツでは,アジア競技会のような大会の放映権が国毎に分けて販売されるのは普通のことだと思います。しかし,eスポーツの場合はちょっと事情が異なっていますよね。多くの視聴者はテレビでなくネットを介して試合を見ますから,国で分ける意味があまりありません。しかし,ジャカルタのアジア競技会では,我々が関わったときには主催者側がすでに販売を終えてしまっていたので,私達はあらためて,権利を買ったテレビ局に交渉に行かなくてはなりませんでした。多くの人に見てもらうためには,そうするほかなかったからです。
だから,これは我々にとっても次の課題だと考えています。次回はもっと早いタイミングで話を始める必要があるでしょう。
――では「ウイニングイレブン2018」と同じく,日本代表が本戦に出場した「ハースストーン」の配信がなかったのは,時間がなくて交渉がうまくいかなかったから?
結局のところ,配信をどうするかを決定するのは権利者なので,我々に決定権はありません。なので,それは権利を持っていたテレビ局側の判断なのだろうと思います。またこれは,間もなくeスポーツだけの問題ではなくなるはずです。これからネット配信でスポーツを楽しむ人はどんどん増えるでしょうし,我々としても,今後対応を考えていかなくてはならない問題だと思います。
――ありがとうございました。
「日本eスポーツ連盟(JeSU)」公式サイト
- 関連タイトル:
ウイニングイレブン 2019
- 関連タイトル:
ハースストーン
- 関連タイトル:
ハースストーン
- 関連タイトル:
ハースストーン
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ
- 関連タイトル:
Overwatch
- 関連タイトル:
オーバーウォッチ
- 関連タイトル:
鉄拳7
- 関連タイトル:
鉄拳7
- 関連タイトル:
鉄拳7
- 関連タイトル:
鉄拳7 FATED RETRIBUTION
- 関連タイトル:
ストリートファイターV アーケードエディション
- 関連タイトル:
ストリートファイターV アーケードエディション
- 関連タイトル:
eFootball ウイニングイレブン 2020
- 関連タイトル:
eFootball ウイニングイレブン 2020
- 関連タイトル:
ストリートファイターV タイプアーケード
- この記事のURL:
キーワード
- PC
- PS4:ウイニングイレブン 2019
- スポーツ
- KONAMI
- サッカー
- PS3
- イベント
- インタビュー
- 編集部:touge
- PC/MAC/iPad:ハースストーン
- MAC
- iPhone/iPad:ハースストーン
- iPad
- iPhone
- Android:ハースストーン
- eスポーツ
- PC:オーバーウォッチ
- Xbox One:Overwatch
- PS4:オーバーウォッチ
- PS4:鉄拳7
- PC:鉄拳7
- Xbox One:鉄拳7
- Xbox One
- :鉄拳7 FATED RETRIBUTION
- PC:ストリートファイターV アーケードエディション
- PS4:ストリートファイターV アーケードエディション
- iPhone/iPad:eFootball ウイニングイレブン 2020
- PS4
- Android:eFootball ウイニングイレブン 2020
- Android
- :ストリートファイターV タイプアーケード
All copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license.(C)Konami Digital Entertainment
(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
(C)2017 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
(C)2015 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
(C)2015 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
(C)2015 BLIZZARD ENTERTAINMENT, INC.
The Walking Dead (C) 2018 AMC Film Holdings LLC. All Rights Reserved. (C) 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA (C) SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED. (C)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED. TEKKEN(TM)7 & (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
The Walking Dead (C) 2018 AMC Film Holdings LLC. All Rights Reserved. (C) 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA (C) SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED. (C)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED. TEKKEN(TM)7 & (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
The Walking Dead (C) 2018 AMC Film Holdings LLC. All Rights Reserved. (C) 2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA (C) SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED. (C)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED. TEKKEN(TM)7 & (C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
(c)2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA (c)SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED. (c)CAPCOM U.S.A., INC. ALL RIGHTS RESERVED. (c)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
©CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2018 ALL RIGHTS RESERVED.
All UEFA Champions League names, logos and trophies are the property, registered trademarks and/or copyright of UEFA. All rights reserved. adidas, the 3-Bars logo, the 3-Stripe trade mark and Climacool are registered trade marks of the adidas Group, used with permission. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license. ©Konami Digital Entertainment
All UEFA Champions League names, logos and trophies are the property, registered trademarks and/or copyright of UEFA. All rights reserved. adidas, the 3-Bars logo, the 3-Stripe trade mark and Climacool are registered trade marks of the adidas Group, used with permission. All other copyrights or trademarks are the property of their respective owners and are used under license. ©Konami Digital Entertainment
(C)TAITO CORPORATION 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
(C)CAPCOM U.S.A., INC. 2016, 2019 ALL RIGHTS RESERVED.
- ウイニングイレブン2019 (【特典】myClub用DLC 同梱) 【Amazon限定特典】オリジナル壁紙 配信 付
- Video Games
- 発売日:2018/08/30
- 価格:2630円(Yahoo)