テストレポート
Samsung「SSD 970 PRO」「SSD 970 EVO」性能速報
4Gamerでは発表に合わせて短時間ながらテストすることができたので,新製品の概要と一部ベンチマークスコアを速報としてお届けしたい。
第4世代V-NANDを採用しつつコントローラを刷新したリニューアル版となるSSD 970シリーズ
上位モデルとなるSSD 970 PROからだが,発表時点におけるラインナップは容量1TBモデルと512GBモデルの2製品となる。主なスペックは表1のとおりで,第4世代で2bit MLC(Multi Level Cell)タイプかつ64層のSamsung製3D V-NANDフラッシュメモリを採用している。ちなみに,SSD 960 PROシリーズは第3世代48層の3D-VNANDだった。
では何が変わったのかというと,搭載するSSDコントローラのほうだ。SSD 970 PROが採用するのは「Phoenix Controller」で,搭載するCPUコア数自体はSSD 960 PROシリーズの搭載していた「Polaris controller」から変わっていないものの,逐次アクセス(Sequential Read/Write)性能は前世代比で最大29%,ランダムアクセス(Random Read/Write)性能は最大52%の向上を果たしているという。
また,信頼性も向上しており,寿命までに書き込めるバイト数を示すTBW(Total Bytes Written)は容量1TBモデルが1200TB,容量512GBモデルが600TBとなり,いずれもSSD 960 PROの同容量モデル比で1.5倍になっている。
ならSSD 970 PROだとどうかだが,基本的な仕様は変わっていない。ただ,Phoenix Controllerではチップ表面をニッケルメッキすることで,熱を拡散しやすくしているという。また,DTGのアルゴリズムも改良し,結果として「発熱を抑制するため動作クロックを引き下げるポイント」に達するまでの間に,SSD 960 PROと比べて約27%も多くのデータを書き込めるようになったそうだ。
SSD 970 EVOは1セルあたり3bitを記録するTLC(Triple Level Cell)――Samsungでは3bit MLCと呼んでいる――タイプの3D V-NANDを採用するSSDだ。このTLC 3D V-NANDについてSamsungは単に「最新世代」と紹介しているだけだが,おそらく世代そのものはSSD 970 PROと同じと思われる。
表2にまとめたとおり,ラインナップは容量2TBモデル,1TBモデル,500GBモデル,250GBモデルの計4製品。ニッケルコーティング付きPhoenix Controllerを採用する点と,Copper SealとDTGによる熱対策を行っている点はSSD 970 PRO譲りである。
TLCではエラー訂正の処理負荷が高くなるため,とくに書き込み時の性能がMLCと比べて低下するが,SamsungのEVOシリーズではフラッシュメモリの一部をSLC(Single Level Cell)の書き込みキャッシュとして用い,見かけの書き込み速度を上げる技術「TurboWrite」を採用する。
先代のSSD 960 EVOでは,このTurbo Writeの強化版である「Intelligent TurboWrite」を採用していたが,このIntelligent TurboWriteはSSD 970 EVOでもそのまま採用しているそうだ。
ちなみにIntelligent TurboWriteは,TurboWrite領域のサイズを動的に変更できるというもの。たとえば容量500GBモデルだとTurboWrite領域は標準で4GBだが,ユーザーが連続書き込みを行っているときなどは必要に応じて22GBまで自動的に領域を広げることができる。これにより上位モデルと遜色のない性能を実現できるというのがSamsungのアピールである。
高性能化したPhoenix ControllerとIntelligent TurboWriteにより,SSD 970 EVOはSSD 960 EVO比で逐次アクセス性能が最大32%向上,ランダムリードライト性能も最大36%向上しているそうだ。
なお,TBWが前世代比で1.5倍となっているのもSSD 970 PROと同じ。一例を挙げると,容量500GBモデルでSSD 960 EVOのTBWは200TBだったのに対し,SSD 970 EVOでは300TBになっている。
SSD 970シリーズの基本性能をざっと確認
Samsungは,自社製NVMe SSDの性能を最大化するための独自ドライバ「Samsung NVM Express Driver」をユーザーに対して提供している。SSD 960シリーズに対応しているのは現行の「Samsung NVM Express Driver 2.3」だが,SSD 970シリーズに対応するのは発表と同時に公開予定となっている「Samsung NVM Express Driver 3.0」以降だ。
ただし,Samsung NVM Express Driver 3.0,より正確を期すと「最終版ではない」という扱いのバージョン3.0.0.1802がレビュワーに提供されたのは発表の前日。当然のことながら,性能評価はまったく終わっていない。
なので今回は新旧ドライバを混在させた状態で「CrystalDiskMark」(Version 6.0.0)と「Iometer」(Version 1.1.0)を実行した結果だけを速報として掲載することにした。考察も含めて,詳細は後日あらためてお届けしたいと思う。
なお,簡単に紹介しておくと,CrystalDiskMarkとIometerのテスト方法はKingston Technology製SSD「KC1000 Solid-State Drive」のレビュー時に準じている。
そのほかテスト環境は表3のとおり。現状のテスト結果はグラフ1〜5のとおりだ。
Samsung製SSD日本語公式情報ページ(ITGマーケティング)
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