企画記事
「新サクラ大戦(仮題)」が待ち遠しい! だからこそ,今のうちに「サクラ大戦」シリーズの魅力を振り返りたい
『新サクラ大戦』(仮題)始動!
— セガ公式アカウント (@SEGA_OFFICIAL) 2018年4月14日
太正二十九年の帝都・東京を舞台にした完全新作を、セガが総力を挙げて鋭意製作中です。
今後の情報にご期待ください!#セガフェス #サクラ大戦 #新サクラ大戦https://t.co/HWj6NFL96y pic.twitter.com/mMoPPjRYcI
1996年に誕生した「サクラ大戦」シリーズは,セガを代表する人気IPだ。第1作から20年以上経過しているが,現在もリアルイベントが継続的に開催されており,根強いファンが多い(「セガ総選挙 復活期待部門」の第1位だったことからも証明済み)。近年ではスマートフォン向けゲームとのコラボレーションが積極的に行われているため,若いゲーマーもその名を知っているだろう。
そんな“伝説”とも言えるシリーズが再び始動することは,多くのファンの念願だった。4Gamer読者の中には,「サクラ大戦」に青春を捧げた人もいるはずだ。筆者もセガサターン時代から,「サクラ大戦」を愛しているファンの1人である。
ただ,ナンバリングタイトルは2005年の「サクラ大戦V 〜さらば愛しき人よ〜」以来,十数年にわたってリリースされていない。10代や20代の読者が「サクラ大戦をよく知らない」としても仕方がない。
というわけで,本稿では「サクラ大戦」シリーズの魅力をさまざまな角度から伝えたいと思う。
サクラ大戦ドットコム
「サクラ大戦」が生まれた背景
セガサターンは1994年11月に発売されているが,当時のセガはアクションゲームやレースゲームに定評がある一方,キャラクターの魅力が作品の出来を大きく左右するRPGやアドベンチャーゲームといった分野は弱いと言われていた。
そこで白羽の矢が立ったのが,魅力的なキャラクターを数多く生み出し,さまざまなプロジェクトを成功に導いたマルチクリエイターの広井王子氏。「サクラ大戦」をはじめ,「天外魔境」「北へ。」「魔神英雄伝ワタル」などを手がけた人物である。
ちなみに,当時の広井氏はレッドカンパニー(現 レッド・エンタテインメント)を率いており,サクラ大戦には「外部」の総合プロデューサーとして制作に参加している。当時としては異例の体制だ。
その後,藤島康介氏や田中公平氏,あかほりさとる氏といった実力派クリエイターの参加が決まった。しかし,セガ(当時)の大場規勝氏がプロデューサーとして合流した段階では,制作が順調に進んでいるとは言えない状態だった。当初,「サクラ大戦」の開発は外部のスタジオが担当していたが,その仕上がりがイメージとは異なっていたこともあり,セガの開発部門が担当することになる。
そんな状況を大場氏は見事に立て直し,紆余曲折ありつつも,1996年9月に記念すべき第1作「サクラ大戦」を世に送り出した(当初は“桜の咲く季節”の発売が予定されていた)。スタッフの苦労が身を結んだ「サクラ大戦」は50万本近いセールスを記録し,一躍人気タイトルの仲間入りを果たした。
キャラクター,サウンド,世界観,システム
すべてが輝いていた
主題歌の「檄!帝国華撃団」(ゲキテイ)も作品を象徴する要素だ。インパクトのあるメロディは,一度聴いただけでスッと頭に入ってくる人懐っこさがあり,サビが何十回と脳内再生を繰り返す中毒性を持っている。思わず「は〜し〜れ〜」と口ずさんでしまった人も多いはず。
もちろん,「檄!帝国華撃団」のほかにも珠玉の楽曲が揃っており,音楽関連の商品ラインナップの多さはゲームのなかでも群を抜いている。
各話をクリアすると「次回予告」が挿入される,TVアニメ風のスタイルも当時としては珍しかった。次回予告のワンシーンが気になって,ゲームを中断できなくなったものだ。プレイヤーのモチベーションを高めるカンフル剤として,極めて秀逸な演出だったと思う。
そして,肝心のゲームシステムだ。恋愛アドベンチャーと戦略シミュレーションの見事な融合に,当時のゲーマーは大いに驚かされた。
アドベンチャーパートでは,さくらや神崎すみれといった「帝国歌劇団・花組」の面々とコミュニケーションを図りつつ,彼女達の内面をうかがい知れる。これにより,徐々に感情移入が高まっていく。
一方,花組を率いるシミュレーションパートも決して「おまけ」というレベルではなく,かなり本格的な戦略要素が必要とされる場面があり,硬派なゲーマーをも唸らせた。
アドベンチャーパートでは花組のメンバーと会話をしていると,選択肢が発生することがある。このとき,多くの場合で時間制限が設定されている。これが「サクラ大戦」独特のシステム,「LIPS」(Live & Interactive Picture System)だ。
選択次第で隊員の能力が上下するため,慎重にならざるを得ない。ちなみにどれも選ばない「時間切れ」という選択肢もあり,LIPSはプレイヤーの選択をよりスリリングなものにしている。
ナンバリングタイトルを一挙紹介
ここからは「サクラ大戦」の歴史を簡単におさらいしていく。同シリーズにはスピンオフ作品も数多く存在するが,まずはナンバリングタイトルから。
「サクラ大戦」(1996年)
プレイヤー(大神一郎)が率いる帝都花組のメンバーは真宮寺さくら,神崎すみれ,マリア・タチバナ,アイリス,李紅蘭,桐島カンナ。帝都を蝕む巨悪・黒之巣会を倒すため,霊子甲冑に乗り込み,その命を懸けて戦いに身を投じる。前述のLIPSをはじめ,オープニングアニメーションや次回予告の導入といった前衛的な要素も多く,キャラクターゲームの枠を超えた衝撃と感動を与えた。
真宮寺さくら |
神崎すみれ |
マリア・タチバナ |
アイリス |
李紅蘭 |
桐島カンナ |
「サクラ大戦2 〜君、死にたもうことなかれ〜」(1998年)
主題歌は「檄!帝国華撃団(改)」として生まれ変わり,歌唱は横山智佐さん(真宮寺さくら役)に加え,富沢美智恵さん(神崎すみれ役),高乃麗さん(マリア・タチバナ役),そして帝国歌劇団の面々が担当。また,グラフィックスのグレードアップはもちろん,シミュレーションパートには「風林火山」や「協力攻撃」といった新要素が追加された。戦略シミュレ―ションとしての完成度が高まっている。
真宮寺さくら |
神崎すみれ |
マリア・タチバナ |
アイリス |
李紅蘭 |
桐島カンナ |
ソレッタ・織姫 |
レニ・ミルヒシュトラーセ |
真宮寺さくら |
神崎すみれ |
マリア・タチバナ |
アイリス |
李紅蘭 |
桐島カンナ |
ソレッタ・織姫 |
レニ・ミルヒシュトラーセ |
大神一郎 |
「サクラ大戦3 〜巴里は燃えているか〜」(2001年)
エリカ・フォンティーヌ |
大神一郎 |
グリシーヌ・ブルーメール |
コクリコ |
ロベリア・カルリーニ |
北大路花火 |
プラットフォームがセガサターンからドリームキャストに移行したことで,グラフィックスや音楽,演出などのあらゆる面が向上。さらに新システム「ARMS」の導入により,多彩かつ自由な戦い方が可能になっている。
ARMSとは「Active & Realtime Machine System」の頭文字をつなげたもので,行動値を使用して攻撃や移動,防御,回復といったアクションを自由に行うというものだ。
また,「3」と言えば外せないのが,Production I.Gが制作を手がけたオープニングアニメーションだ。巴里花組のバックストーリー,霊子甲冑の躍動感に満ちたアクション,練られたカメラアングルなど,見どころを挙げるとキリがない。とくにエッフェル塔をバックに巴里花組のメンバーが並ぶラストカットは鳥肌ものだ。主題歌「御旗のもとに」も「檄!帝国華撃団」と並ぶ「サクラ大戦」シリーズの名曲として,根強い人気を誇る。
「サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜」(2002年)
前作までは1話完結型のTVアニメスタイルだったのに対し,「サクラ大戦4」は1本のストーリーを主軸に据えた劇場映画に近いスタイルを採用している。また,ゲーム序盤で帝都と巴里の花組メンバーからヒロインを1人ずつ選び,最終的にどちらかがメインヒロインとなるエンディングを迎えられるというシステムも特徴的だ。
さらに帝都と巴里の花組メンバーが大神のもとに集い,「大神華撃団」を結成する場面もあり,従来以上に大神一郎に焦点が当てた作品という側面を持つ。「サクラ大戦」シリーズを長く遊んできたファンにとって,非常に感慨深いタイトルと言える。
真宮寺さくら |
神崎すみれ |
マリア・タチバナ |
アイリス |
李紅蘭 |
桐島カンナ |
ソレッタ・織姫 |
レニ・ミルヒシュトラーセ |
エリカ・フォンティーヌ |
グリシーヌ・ブルーメール |
コクリコ |
ロベリア・カルリーニ |
北大路花火 |
「サクラ大戦V 〜さらば愛しき人よ〜」(2005年)
戦闘システムはシリーズ作品を踏襲しつつ,「空中戦」や隊員を呼び寄せる「ヘルプミー」などの新要素も加わった。大きな変化が感じられる「サクラ大戦V」だが,隊員と絆を深め,共に成長し,巨悪に立ち向かうという「サクラ大戦」のテーマは健在。発売当初は評価が割れたものの,十数年の時を経た今こそ,あらためて冷静にプレイしたい作品だ。
ジェミニ・サンライズ |
サジータ・ワインバーグ |
リカリッタ・アリエス |
ダイアナ・カプリス |
九条 昴 |
ラチェット・アルタイル |
大河新次郎 |
ジェミニ・サンライズ |
サジータ・ワインバーグ |
リカリッタ・アリエス |
ダイアナ・カプリス |
九条 昴 |
ラチェット・アルタイル |
大河新次郎 |
携帯ゲーム機に「サクラ大戦」!?
さまざまなジャンルのスピンオフ作品
「サクラ大戦」シリーズのナンバリングタイトルは5作品だが,スピンオフ作品を加えるとその数は膨大になる。そのなかから,筆者が愛してやまない3作品をピックアップして紹介しよう。
「サクラ大戦 花組対戦コラムス」(1997年)
ストーリーモードではさくら,すみれ,マリアら花組メンバーをはじめ,総司令の米田一基,副司令の藤枝あやめ,帝劇三人娘といったキャラクターを選んで,さまざまな登場人物とコラムスで対戦していく。キャラクターの個性が感じられる,対戦中のセリフや技の演出もファンには嬉しいポイントだ。
なお,2000年には続編「花組対戦コラムス2」がドリームキャスト向けに発売されている。
「サクラ大戦GB 檄・花組入隊!」(2000年)
そして,携帯ゲーム機ではあるが,想像以上に「サクラ大戦」であることにも驚いた。会話シーンやサウンドもセガサターン版を忠実に再現し,「サクラ大戦」の魅力をコンパクトに凝縮している。もちろん,LIPSもちゃんと搭載されている。
主人公が「帝国華撃団に1か月の体験入隊をすることになった青年」というのも大事なポイントだ。大神一郎が主人公となるナンバリングタイトルもプレイヤーとの一体感は得られたが,「サクラ大戦GB」は名前を自由に決められるうえ,画面に登場する主人公はちびキャラのみ。そのため,プレイヤー自身を主人公に投影しやすかった。
また,主人公にとって先輩にあたる大神一郎はとても熱心に指導してくれる。大神を客観的に見られることも,ナンバリングタイトルにはない魅力だった。
「サクラ大戦V EPISODE 0 〜荒野のサムライ娘〜」(2004年)
実は,「サクラ大戦V」においてジェミニが本格的に活躍するのは,ストーリーがだいぶ進んでから。そのため,ジェミニの勇姿を堪能したいのであれば,本編と合わせて「EPISODE 0」も遊んでほしい。
また,筆者はオープニング曲の「サムライ魂(オープニングバージョン)」がお気に入り。雄大な楽曲をバックにして,荒野を駆けるジェミニと仲間達の姿を描いたアニメーションは,何度見ても心が揺さぶられる。
敵キャラクターが魅力的すぎる「サクラ大戦2」
「サクラ大戦2」の敵対組織・黒鬼会の黒幕である京極慶吾は,とにかくその存在感に圧倒された。一片の曇りもなく己の信念を貫く京極は,まさにカリスマ。神谷 明さんの熱演も相まって,シリーズ史上でも屈指の悪役と言える。
なかでも,第四話の高級車から颯爽と降りる京極の登場シーンがお気に入りだ。紳士的な口調とは裏腹に,さくらの父・真宮寺一馬の死を「無駄死に」と顔色一つ変えず,冷酷に言い放つギャップがたまらない。
そして最後の瞬間まで,己の大義を突き進む執念には,畏怖の念を抱くと同時に美しさすら感じた。
京極の腹心である鬼王も強烈な個性を放っている。鬼の面を被り,表情がまったくうかがえない出で立ちは極めて不気味だが,その佇まいは威圧感が漂う。さくらとは深い関係を持つ人物であり,終盤のエピソードは哀しく切ない。
「サクラ大戦」シリーズは敵側のドラマにも目が離せないが,なかでも「サクラ大戦2」のドラマは強く心に刻まれている。
京極慶吾 |
鬼王 |
決して笑顔のままでいられるエピソードばかりではない「サクラ大戦2」だが,悲しみも真正面から描くことによって,各キャラクターの個性がドラマチックなものとなり,プレイヤーの共感へとつながっている。
そう言えば,「サクラ大戦2」の発売当時,筆者の友人達にはレニが大人気だった。皆,「レニかわいいよレニ」と口を揃えていた。確かに,レニはかわいい。だが,筆者はマリアのほうがかわいいと思っている(異論は認めます)。
今回はゲームの紹介に限ったが,「サクラ大戦」シリーズには歌謡ショウやライブをはじめ,アニメーションやコミックなどの展開もあり,その魅力は相乗的に増していく。もし機会があれば,ゲームだけではない「サクラ大戦」の魅力もまとめてみたいところだ。
そして,「新サクラ大戦(仮題)」である。舞台が太正二十九年,帝都・東京となることしか明らかにされていないが,思い入れのファンはさまざまな感情を抱いていることだろう。もちろん,筆者もその1人だ。今はただ,来るべき日を楽しみに待ちたい。
サクラ大戦ドットコム
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