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「十三月のふたり姫」「違う冬のぼくら」の魅力を紹介。“BitSummit”講談社ゲームクリエイターズラボステージイベントレポート
インディーズの枠を超えた座組が実現「十三月のふたり姫」
「十三月のふたり姫」のインタビュー&ゲーム紹介は,講談社クリエイターズラボの片山裕貴氏を司会進行に,同作のシナリオを担当した鈴木一也氏,キャラクターデザインをはじめとした美術全般を手がけたアオガチョウ氏,プロデューサーのコバヤシマル氏が登壇した。
「十三月のふたり姫」のPVが流れたのち,コバヤシ氏から「シナリオとアートと音楽をシンプルに楽しんでもらうため」ビジュアルノベルというジャンルを選んだことや,プロの声優陣によるボイス,Live2Dを利用したアニメーションなど「リッチな+α」が盛り込まれている点など,ゲームの簡単な紹介が行われた。
続いて,シナリオを担当した鈴木氏からは,モチーフに決まった眠れる森の美女をいかに膨らませて,「十三月のふたり姫」ならではのストーリー,設定,世界観を作っていったかの経緯が語られた。鈴木氏は「もしも王子様のキスで姫が目覚めなかったら……」というアイデアから,100年ごとに歴史上の人物をモデルにした王子がやってきて,姫を目覚めさせるためにチャレンジをくり返すプロットを練り上げたという。そこから,100年以上眠り続けている姫と,その住処を守る存在である本作のキーキャラクター,ウルウヅキが生まれたと明かした。
ゲームのシナリオの骨格が固まると,美術担当のアオガチョウ氏が,姫やウルウヅキ,王子たちのキャラクターデザインに着手。アオガチョウ氏が「モンスターやクリーチャーを描くことが多い」作家であることや,「王子がいっぱい出てくるなら人間以外の見た目が多い方が面白いだろう」ということから,王子たちは「ケモっぽい」見た目でビジュアル化されることが決定したという。「ずる賢い人=狐みたいな感じで,人間の中の魂を動物に具現化させたイメージ」で,王子たちのデザインは固まっていったそうだ。この時,シナリオ担当の鈴木氏からも「アオガチョウさんが描いたクリーチャーの表情豊かに動くところに注目してほしい」とビジュアルに対するアピールがあった。
話題は,数多くの著名な声優陣が参加するキャラクターのボイスにもおよんだ。コバヤシ氏によると「本当にお金がない中でこれだけの人に出てもらえた」のは,ひとえに「十三月のふたり姫」に携わっているクリエイターたちの縁が大きかったとのこと。グリマルキン役の大塚明夫さんは,長年仕事で付き合いのあった本作のディレクターが声をかけ,闇の王子役の置鮎龍太郎さんは,自身の個展で交流があったアオガチョウ氏自らがオファー。そこから大塚さん,置鮎さんが所属する事務所(マウスプロモーション,青二プロダクション)にキャスティングが広がり,メジャー流通のアニメやゲームに匹敵する声優陣が実現したという。
インタビューの最後は,登壇した3名それぞれが「十三月のふたり姫」を待つファンへのメッセージに加え,注目してほしい点をアピール。鈴木氏は「クラウドファンディングをはじめ,みなさんの力でゲームを出せるのはありがたいこと。久々のオリジナル作品なので好き勝手にやらせてもらった」と感謝の意を述べ,「姫が見る夢のパート(の演出とシナリオ)がかなりシュールなので見てほしい」と語った。
アオガチョウ氏は「体験版の先,3章以降を見てほしい。姫が見る夢も3章から始まりますし,私が描いた1枚絵も3章以降にたくさん出てきます」と発言。ちなみにアオガチョウ氏の1枚絵は,「プロデューサー(コバヤシ氏)がどんどんゲームを拡張していった」結果,開発当初の予定よりも「体感で10倍」増加したそうだ。
コバヤシ氏は「このゲームはキャストやスタッフにビッグネームが揃っているが,あくまでインディーズゲーム。シナリオは鈴木さん,絵(キャラクターデザインや背景)はアオガチョウさん,音楽やSEは増子さん,それぞれをひとりで全部やりきっている。そのためビッグタイトルとは違った手触りがあると思う。そこを楽しんでいただければ」とコメントし,インタビューを締めくくった。
“ふたりプレイ”に特化したパズルゲーム「違う冬のぼくら」
講談社クリエイターズラボが推すもうひとつのタイトル「違う冬のぼくら」は,イベント開催直前に急遽来場できなくなった開発者の,ところにょり氏に代わり,片山裕貴氏とMCの黒田瑞貴さんが紹介した。
「違う冬のぼくら」は,ふたりプレイ“専用”のパズルアドベンチャーだ。1P,2Pで見える風景が微妙に異なる中を,お互いのゲーム画面は見ずに進行させるのが特徴だ。1Pと2Pで画面がどのように異なるかは「まだ言えない」という。
しかし「ゲーム画面を見るのはNGだが,会話でのコミュニケーションはOK」とのことで,お互いの画面に表示された情報を会話で交換し合い,ステージに用意されたパズル要素を解き明かしていくゲームではありそうだ。
片山氏によると「恋人や家族,友達と遊ぶのが向いているゲーム。そのため,普段ゲームを遊ぶ習慣がない人にもプレイしてもらいたい」とのことで,「一緒に遊んでもらう人を探すところからゲームと思って,楽しんでもらえれば」と語った。
また片山氏は,本作が持つ「(ドット絵が醸し出す)ほんわかした部分だけでなく,ダークで不穏な雰囲気」も魅力として挙げ,PV後半に映し出された,動物の死骸や怪物らしき存在にも言及。こちらに関しても詳細はまだ明かせないようだったが,注目してほしいポイントとして「違う冬のぼくら」が纏う不穏な空気感の存在を訴えかけていた。
最後に,片山氏は「ところにょりさんはゲーム性(システム)の中に作家性が込められるのがすごい。小説とか他のクリエイティブなことでも成功できた人だと思うが,最も才能を発揮できるのがゲームだったんだろう」と分析していた。「違う冬のぼくら」でも「プレイヤーふたりに見えてるものが違い,そこからどういったコミュニケーションが生まれるかを考えてデザインしている。そのデザインがものすごく上手い」と,ところにょり氏の作家性が浮き出たゲームになっていることを自信を持ってオススメし,ステージイベントを締めくくった。
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