“自己中女子”が真の冒険者に。「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」が描くララ・クロフトの成長を，フォトグラファーモードで撮影した画像で紹介

　スクウェア・エニックスが2018年9月14日に発売した「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」（PC / PS4 / Xbox One）は，若きララ・クロフトの姿を描く，シリーズのリブート三部作の最終章にあたるタイトルだ。


　本作のストーリーは，ララが真のトゥームレイダーになるまでを描くものであり，それはララが魅力的になっていく過程を追うものでもある。また，タイトル名にある「シャドウ」は，ララが抱える闇を示しており，これが物語に深みを与えているのだ。

　4Gamerではゲームの概要をお伝えするプレイレポート（関連記事）を掲載済みだが，本稿ではフォトグラファーモードで撮影したスクリーンショットとともに，美しくも危ういララの魅力に迫ってみたい。

本作は広大な世界での探索を楽しむゲームだが，同時にララの成長譚でもある

本作では，影が印象的なシーンが多い。このあたりも，ララが抱える闇を表しているのかも

　本作のララは，人類の未来を操ろうとたくらむ組織で，父親の仇でもある「トリニティ」の野望を阻止すべく，メキシコへと乗り込む。
　序盤におけるララは自己中心的で，興味を惹かれるものがあると，周りをガン無視して行動する。前後をあまり考えていない節があり，冒険者としては不安定な印象を常に感じた。ララの親友であるジョナさんがいなかったら，あっという間に話が終わっていたのではなかろうか……というくらいだ。
　ちなみに，ジョナさんは突っ走るララをフォローしまくるナイスガイ。よって本稿では「さん」付けさせていただく。

ジョナさんは，プレイヤーの代弁者となってくれるときもある

落石より，目の前にある遺跡の撮影に夢中のララ

実質保護者のジョナさんによって救われる。しかしララの目線は最後まで遺跡に向けられていた

道中では2人が協力して道を作ることもあるが，どちらかと言えばララがリードする場面が多い。ジョナさんはララの魅力アップ要員でもある

　未熟さゆえにさまざまな事柄をガン無視した結果，世界を大ピンチに陥れてしまったララは，トリニティ教団から呆れられたり，ジョナさんに思い切り怒られたりして，少しずつ変わっていく。表情にも微妙な変化が続き，とくにイベントシーンにおいては，序盤と中盤でララの雰囲気が明らかに異なっていると感じた。そのあたりをよく観察しながら，復讐者としての一貫性にも注目してみると，ララの成長をよく体験できるだろう。

「何言ってんの？　自分は悪くないモン」の表情だ！　これが序盤のハイライトでもある

個人的にはこのシーンと，その後ジョナさんに怒られたのが，ララの心境に変化を与えたのではないかと思っている

トリニティの報告書にある，ララの評価が的確。プレイ開始前やゲーム序盤にプレイヤーが抱く，ララに対する印象といってもいい

ジョナさんに怒られているときのララ。まだ状況を飲み込めていないセリフも多い

このシーンでは，自分が原因であると受け入れた雰囲気があった

とても怒っているけど，ララを助けるために同行するジョナさんは頼もしい

　興味あることにはとことん熱心なララも，見ていて楽しい。たとえば，ゲームの随所でララが行う観察だ。遺跡の中では仕草の大半が観察から来ているし，町中でも，トリニティとの戦闘のときでも怠らない。このように，壮明で力強い女性という描写が徐々に増えていく。

町にいるときも，探検中も，ララはだいたいどこかしら観察している

ストーリーで出会う女性もキーとなっているようで，ララの成長に間接的だが関わっている

　戦闘におけるララは，映画の「プレデター」を思い起こさせる。顔に泥を塗ってステルス性を高めることに躊躇がなく，木とロープを使っての絞殺，アックスでの襲撃と，アグレッシブだ。
　ララは，明確な目的に対しては大胆で行動的な冒険者である。これが戦闘にも反映されているのだが，なぜそう育ったのか，そして身体能力の高さや観察力をどう身につけていったかは，回想シーンでよく分かるだろう。

子供の頃からこんなことばかり

ララの能力は英才教育（？）の賜物だが，想像力や観察力，検証力といった面は天性のものにも感じられる

躊躇なく泥だらけになるララ。ジョナさんがやや戸惑っていたのが印象深い

頭上から敵を狙う。こういうときのララは容赦がない

移動でも戦闘でも，アックスの名手である

　本作において最も巨大な街であり，拠点となるパイティティに到着してからのララは，さらに迷いがなくなっていき，格好良さが増す。もちろん，“シャドウ”の部分はチラチラと見え隠れするのだが，それにも向き合っていくのだ。
　力強く行動的で聡明，たまに見せる不安定な部分も許せるキャラクターへとなっていく過程は，見ていて気持ちよさすら感じられる。

パイティティに住む人々との会話からも，ララの成長が伝わってくる。もふもふも大事だが，寄り道をよくしてみると，よりララが魅力的に見えてくる

　筆者は本作がリブート以降初めてプレイするシリーズ作品となったが，問題なく楽しめたし，それはリブート以前も含めて未プレイの人も同じではないかと思う。
　本稿を読んで気になった人は，ぜひプレイしてほしいし，1度プレイした人も，ララの表情と雰囲気を観察しながら2周目を楽しんでみれば，ララの変化がより明瞭になるはずだ。

「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」公式サイト