プレイレポート
リブート最終章「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」インプレッション。若き日のララの勇姿をその目に焼きつけろ!
本作は,2013年にリリースされた「トゥームレイダー」(PC / PS4 / PS3 / Xbox One /Xbox 360)から始まった,リブート3部作の最終章に当たる作品だ。リブートシリーズでは,シリーズの主人公である女性探検家“ララ・クロフト”の若き日の物語が描かれている。
歴戦の探検家で,強い女性というイメージのあるララだが,リブート2作では成長途中の初々しい姿を見せてくれた。未熟ながらも死力を尽くすララの姿は共感を生み,大きな反響を呼んだのだ。
そんな中,満を持して登場する「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」で,若きララの物語がついに完結する。
舞台は熱帯の南米大陸
「トゥームレイダー」と言えば毎回注目されるのが冒険の舞台だが,気になる「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」の舞台は南米大陸。メソアメリカ文明の1つである“マヤ文明”の謎を解き明かすことが今作のテーマだ。
前々作「トゥームレイダー」の舞台が絶海の孤島,前作「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」(PC / PS4 / Xbox One / Xbox 360)が極寒のシベリアと,毎回厳しい環境の地が舞台となってきたが,今回も一筋縄ではいかない模様である。
筆者がプレイしてまず感じたのは,ステージから醸し出される,南米ならではの熱気だ。木々や岩,遺跡など,オブジェクトや建物の1つ1つがきめ細かく作られており,加えて,鳥や動物の鳴き声がそこかしこから聞こえてきて,実に生々しく,熱帯の雰囲気をモニター越しに感じられる。ステージデザインのクオリティの高さが実感できる。
筆者は「トゥームレイダー」「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」共ともにプレイ済みなので,シリーズが持つステージデザインのクオリティには見慣れているつもりだが,それでも今作の作り込みには見入ってしまった。開発者のこだわりを強く感じる部分である。
ジャングルは常に危険と隣合わせ
「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」を象徴するステージの1つにジャングルがある。飛行機の不時着によって,ジャングルにその身1つで立ち向かうことになったララだが,そこにはまるで迷路のように複雑に生い茂る木々や,一瞬の油断が命取りになる谷,突如として襲い来る猛獣など,極上クラスの危険がつきまとう。
リブート前の作品群も含め「トゥームレイダー」は,立体的な探索アクションが伝統の1つとなっている。今作でもそれは健在で,突起が少ない岸壁をクライミングアックスでよじ登ったり,ちょっとだけせり出した足場を頼りに先に進んだりと,失敗すれば死ぬという緊張感のなかで探索を成功させるととても気持ちいい。今作からロープを使ったアクションが追加され,ラペリングや壁走り,ターザンの如く反動をつけての飛び移りなど,アクションのバリエーションはシリーズ随一だ。
薄暗い洞くつ,隠された古代の遺跡などララが足を運ぶ場所は多岐にわたる。帰れるかどうかも定かではない場所を躊躇なく進み,探索するララの度胸には恐れ入る。本当に,彼女との冒険は退屈しない。
物語は前作から続いており「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」で登場した,“秘密結社トリニティ”が再びララの前に立ちはだかる。
遺跡に先回りされていたり,道中で見張りをしていたりと,トリニティはララの行く先々で出現し,大きな脅威となる。トリニティは容赦なく,彼らはこちらを見つけると即座に攻撃してくる。うかつに近づいていくと,あっという間にハチの巣にされてしまう。
とはいえ,ララもやられてばかりではない。体中に泥を塗って周囲の環境に溶け込み,こっそりと敵に近づきステルスキルを決めたり,生い茂る樹上に陣取り,ロープ付きの矢を放って敵を吊るしあげたりと,ジャングルならではの戦い方ができる。ジャングルの過酷な環境を味方につけ,敵を翻弄する,本作ならではの戦い方と言える。
ジャングルには多くの脅威があるが,その脅威を感じるのはララだけではない。トリニティの兵士たちもジャングルに底知れぬ恐怖を抱いているのだ。耐えきれない恐怖に直面したとき,敵である彼らも恐怖で錯乱する。「仲間の遺体を見る」「恐怖の幻覚を見る薬を盛られる」など,きっかけはさまざまだが,ジャングルの環境と,怖さを活かすことで戦いを有利に進められる。
難度にもよるが,ステルスを駆使しなければ突破できないというバランスではなく,銃火器を手に正面切って戦いを挑んでも何とかなる。敵をすべて倒して突破しても良いし,草木に紛れて慎重に進み,1人も殺さず突破することも可能だ。どう攻略するかは自由で,プレイヤーの発想次第で思いもよらない突破方法が見つかるかもしれない。
幻想的な水中と,そこに潜む脅威。油断しているとピラニアの餌食に?
水中の探索も本作の見どころの1つだ。前作にも水中探索はあったのだが,本作ではその水中の表現にこだわっている様子がうかがえる。水中は地上とは違う,とても幻想的な風景を見せてくれる。いつまでも探索していたい気分になるのだが,見とれて探索に時間をかけると窒息してしまうため,注意が必要だ。水中洞くつなどにはところどころにエアポケットがあり,そこで息継ぎができる。どこにでもあるというわけではないのが難点だが,この要素が水中探索にスリルを与えている。
獰猛な生物が生息しているジャングルだが,水中にもそういった生物はもちろん存在している。ジャングル……というよりはアマゾンと言ったほうが良いだろうか,そこで思い浮かぶ獰猛な水生生物といえば――そう,ピラニアだ。「お,魚が群れで泳いでるなー」と陽気なダイバー気分で近づくと,あっという間に襲われるので気をつけよう。水草に隠れるのも手だ。なお,ピラニア以外にも獰猛な生物は生息しており,水中は幻想的ながらも恐ろしい場所として描かれている。
「トゥームレイダー」史上最大規模の拠点「パイティティ」
うっそうと生い茂るジャングル,謎に満ち溢れた古代の遺跡の探索など,「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」の見どころはたくさんあるが,その中でも目を引くのが,ゲーム中盤でたどり着く隠された都「パイティティ」だろう。
シリーズの中で最大規模の拠点と称されるパイティティ。外界との関わりを断っていたため,現代文明とは異なる文明が息づいており,メソアメリカ文明をベースにした独特の習慣や文化が育まれている。人々の身なりや家などにも現代文明の要素は存在せず,まるでタイムスリップしたかのような感覚だ。独自の言語が使われていることも,異境に来たことを思い知らせてくれる。
外界と違う文明を持っているとはいえ,アイテムの取引は可能だ。サイドミッションなどもあるほか,そこで生きる人々との会話も楽しめる。
“トゥームレイダーらしさ”が光る,ファンであれば文句なしの一作
前作にもあった要素だが,探索するジャングルの各所にはベースキャンプがあり,戦闘や探索で溜めた経験値を使用してスキルを開放できる。スキルは大別して3種類あり,シーカーは探索および観察能力,ウォリアーは戦闘能力,スカベンジャーは工作技術などを向上させる。リブート3部作のお馴染みの要素といったところで,ララをどのように成長させていくかはプレイヤー次第だ。
参考までにだが,筆者はウォリアーのスキルを優先して開放している。ウォリアーのスキルを集中的に取得したララの戦闘力は高く,その活躍ぶりはプレイしていて気持ちいい。敵との戦いをメインに考えているならお勧めしたいところ。あくまで個人的にだが。
また本作にはファン待望のフォトモードが実装された。ズームイン,ズームアウトといった当たり前の機能はもちろん,アングル,被写界深度,フレーム,カラーフィルター,ロゴの挿入などの項目があり,自由にカスタマイズできる。お手軽にナイスな写真を撮れるので,撮影に没頭してしまいそうだ。
オンラインでのコンテストも開かれており,渾身の一枚を応募するという楽しみ方もできる。フォトジェニックな場所もたくさんあるので,撮影ツアーを敢行してみるのも面白そうだ。
ついに物語が完結する「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」。アクションやシステムは前作「ライズ オブ ザ トゥームレイダー」である程度の完成を見ているため,そこまで目新しい要素はないのだが,順当に進化し,しっかりと昇華している印象を受ける。
ララの刺激に満ち溢れた冒険は相変わらずハラハラさせられるし,困難を乗り越えたときのカタルシスは極上の達成感をプレイヤーに与えてくれる。ララが「凄腕のトゥームレイダー」へと成長を遂げる3部作最後の作品は見逃せないものとなるのではないだろうか。
「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」公式サイト
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