インタビュー
「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」開発者によるデモプレイ&ミニインタビューをお届け。ゲームを面白くする3つのポイントを紹介
緊迫の“ステルス”,派手な“アサルト”,そして息を呑む“ビッグセットピース”
「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」は2013年から始まった「トゥームレイダー」リブート作のシリーズ最新作。ララ・クロフトは秘密結社“トリニティ”の陰謀に立ち向かうべく,世界各地の遺跡を巡ることになる。
Chabtini氏によるデモプレイでテーマとなったのは,“ステルス”“アサルト”“ビッグセットピース”の3要素だ。
“ステルス”とは身を隠しながら敵と戦うこと。今回の舞台となるトリニティの基地は多数の敵兵士達で厳重に警備されており,正面から立ち向かったのでは苦戦を免れない。しかしララはステルスに秀でており,草むらに身を隠しながら進めば,兵士に気づかれることはない。草むらから兵士の背後に忍び寄り,充分に接近すればボタン一つでテイクダウンを取り,一撃で倒すことができる。この辺りはステルスゲームとしての面白さだ。
兵士が無線で会話していたりもするので臨場感は抜群。それだけにきれいにテイクダウンを決めた時は,ホッと胸をなでおろしてしまう。今回はカメラにも工夫が凝らされており,カメラが草むらをかき分けて追従するため,テイクダウンの瞬間を草に邪魔されずじっくり見ることができる。つまりはララの背後にカメラマンが居るイメージなのだが,草むらがあまりオーバーに開かれるわけではないので,違和感を覚えるようなことはなかった。
ララの特殊能力「インスティンクト」を発動すれば敵がハイライトされるので,ステルスゲームが苦手な人でも心配はしなくていい。本作のララはジャングルから調達した素材で幻覚毒を調合することができ,敵兵士に弓矢で打ち込めば同士討ちを誘うこともできる。身を隠した状態から弓矢で敵兵士を狙撃するのはなかなかスリリング。毒が回って恐怖に叫びつつ周囲を撃ちまくる様は少しかわいそうになるが,うまく使えば戦術の幅も広がりそうだ。
ステルスと表裏一体になるのが“アサルト”,つまり敵兵士との派手な撃ち合いである。ステルスだけでなく,拳銃やライフルなどを使い,正面切って戦うこともできるのだ。グラフィックスとサウンドがリアルなだけに,静かなステルスから爆音轟く戦場へと周囲の環境が一転するのが面白い。ララは障害物の陰に身を隠して銃撃をかわせるが,AIは賢く,連携してララを包囲しようとしてくる。隠れているところに手りゅう弾を投げ込まれたりもするので油断できない。
敵兵士がヘルメットを被っている場合,これを破壊するまでヘッドショットが防がれる。さして珍しいフィーチャーではないが,敵兵士の武装に応じて狙いを変える必要があるため,戦いにアクセントを加えてくれる。ここでもジャングルから得られた素材でクラフトする薬が役に立つ。体力回復はもちろん,一定時間防御力を上げるなどの効果があり,ショートカット1つで使えるため,事前の素材集めが重要になりそうだ。
“ビッグセットピース”は、例えば大災害から脱出するときのようなド派手なアクションシーンのこと。本作ではゲームの中で何度か大災害が起こるそうで,今回のデモプレイでは山が崩れ土砂が押し寄せてくるシーンが披露された。滝のように流れてくる土砂に呑み込まれないよう,山の上から裾野まで必死に足場を飛び渡っていくのだが,スピーディな展開はまるでアクション映画のようだ。足場となる場所は浮島や電柱,建物の屋根など多岐にわたる上,“次に進むべきルートがゲーム的に光る”などのナビゲーションがないため,一瞬の判断が重要で,かなりスリリング。できるだけ大画面かつ良い音響で体験したいシーンだと感じられ,発売が楽しみになった。
これに加え,今回は“チャレンジトゥーム(遺跡)”を体験することもできた。トゥームの中はトラップだらけで,回転するトゲだらけの柱を上手く飛び越えたり,細い足場の上を渡ったり,仕掛けを作動させたりというように,反射神経と観察力の両方を求められる。一見反射神経勝負のようでも,実は予め仕掛けを解いておかなければいけないなど,良い意味でイジワルで,筆者は何度となく殺されてしまった。
そんな筆者を助けてくれたのが,きめ細かな難度調整だ。本作では“戦闘”“探索”“パズル”の3要素の難度を個別で調整できる。
戦闘の難度を低くすれば,受けるダメージが少なくなったり,落ちている弾薬が増えたりする。探索の場合,先に進むべき場所が白く塗られ,ゲームの雰囲気を損なわない形でナビゲートされる。また,パズルの難度を下げると仕掛けの解き方についてララがヒントをしゃべってくれたりするうえ,時間制限が緩和されたりもするし,逆に上げると仕掛けがある位置を示すインスティンクト自体が使えなくなるので手応えが増す。
筆者のような脳筋は戦闘を難しくしつつパズルを易しくすればスムーズに遊べるし,逆にパズル好きの人であればパズルと探索を難しくして,戦闘は楽々……といったセッティングも可能。プレイ中に難易度を変えることもできる。最初はノーマルで遊びつつ,進むべき場所が分からなかったり,どうしても解けない仕掛けがある時だけはイージーにするなど,なかなか快適に遊ぶことができた。
それぞれの難度は「イージー」「ノーマル」「ハード」の3段階だが,全体の難度を上げ,さらにうえの「ベリーハード」に挑戦できる。かなりやりごたえのある難度なので,腕に自信のある人は挑戦してみて欲しい。
リアリティを追求し,シリーズ史上最高傑作を届ける
この日は,シニアプロデューサーであるMario Chabtini氏と,シニアゲームディレクターのDaniel Bisson氏へのインタビューも行われた。発売直前と言うことで,いろいろと気になるところを聞いた。
4Gamer:
よろしくお願いします。
Mario Chabtini氏(以下,Chabtini氏):
シニアプロデューサーのChabtiniです。
Daniel Bisson氏(以下,Bisson氏):
Bissonです。シニアゲームディレクターをやっています。
4Gamer:
いよいよ発売も間近ですが,開発において苦労したのはどこでしょうか。
苦労したのはやはり「パイティティ」の街ですね。シリーズ史上最も大きな拠点ですから。開発のリソースを注ぎ込んだのはもちろんですし,技術的な苦労もありました。なんといっても同時に50〜100人以上もの住人を描画するわけですから,なかなかのチャレンジでしたよ。
4Gamer:
そこまで大きな拠点を実装しようとした理由は何でしょうか。
Bisson氏:
ここまで大きな街になる予定ではなかったんですよね。遺跡を探索するだけではなく,人々との交流や,街の散策という要素を入れていくうち,“街にはもっと人がいるべきだよね”という意見が出てきて,結果的に現在の規模になったんです。
4Gamer:
ゲーム的な面白さを追求していったことで,街の規模が大きくなったわけですね。
Bisson氏:
もし,インカ文明とマヤ文明とアステカ文明が同時に発展していたら……というifをベースに,“エルドラドの街”をコンセプトに据えました。パイティティはifの存在ではあるんですが,命を吹き込むため,歴史学者と協力してリアリティを追求しています。パイティティにある学校,病院,マーケット,畑といった施設,そして釣り人の存在は,当時これらの文明に実在していたものです。
4Gamer:
パイティティに特定のモデルがあったりはしますか?
Bisson氏:
特定のモデルはないのですが,一番近いのはマチュピチュでしょうか。
Chabtini氏:
ストーリーを発表した時には,南米のメディアから“よくここまで調べてストーリーを作ってくれた”と大きな反響がありました。街の住人が話すボイスを現地語にすれば,よりリアルさが味わえると思います。
Bisson氏:
単に広いだけでなく,色々な要素が散りばめられています。例えば,パイティティから見える場所は全て自分の足で歩いて行くことができます。実際に,チャレンジトゥームの一つはパイティティの街から見えていて,そこへ旅することもできるんです。行き方自体は自分で見つけないといけないわけですが。
4Gamer:
リアリティとゲーム性の両方にこだわっているわけですね。見えるところにはどこにでも歩いて行ける……というお話を聞くと,次回作がオープンワールドになるような気もしますが。
Chabtini氏:
お決まりのセリフではありますが,今はシャドウ オブ ザ トゥームレイダーに集中しているので,次回作の事はまだ考えていません(笑)。発売後は7ヶ月にわたって7つのDLCが提供され,サイドミッションや武器,コスチュームなどが増えますので,シャドウ オブ ザ トゥームレイダーをじっくり遊んで下さい。
4Gamer:
それは盛りだくさんですね。
Chabtini氏:
DLCにはCO-OPミッションがあります。2人で協力しないと解決できないパズルが用意される予定ですが,詳しくは今後の情報を楽しみにしていて下さい。
4Gamer:
続報を楽しみにしています。今回,“戦闘”“探索”“パズル”の難度を個別に変えられますが,ここまで細かく分けた理由は何でしょう。
Bisson氏:
我々は,プレイヤーのそれぞれがゲームを楽しめるよう,ゲームをカスタマイズできることが重要だと考えています。プレイスタイルもそれぞれで,“トゥームの探索が好きだけどパズルは苦手”“撃ち合いのアクションが好き”といった,いろんな好みがありますので,より幅広い方に楽しんでいただけるように作ったんです。実際にゲームを遊んで頂くテストでも評判は上々でした。
Chabtini氏:
シャドウ オブ ザ トゥームレイダーでは“戦闘”“探索”“パズル”が3本の柱になっています。個別に難度を設定できるようにすることで,より楽しいプレイ経験ができるのではないかと思いました。
4Gamer:
今回はトゥームの探索と戦闘,どちらに重点が置かれていますか?
探索ですね。やはり探索があってのトゥームレイダーですから。今回のリブートシリーズのテーマは“ララがどのようにしてトゥームレイダーになるのか”というところですし,スキルツリーにも探索に使えるスキルが色々用意されていますよ。
Chabtini氏:
探索してさまざまなコレクタブルを集めれば,マヤの歴史やララについて,より深く理解できるようにもなっています。
4Gamer:
本作で初めてシリーズに触れる人でも大丈夫でしょうか?
Bisson氏:
もちろんですよ。なんといってもトゥームレイダーシリーズ史上,一番良くできた最高傑作ですから。ただ,過去作を遊んだプレイヤーならニヤリとできるネタを色々な所に仕込んでありますから,ファンの方もお楽しみに。
4Gamer:
最後に,発売を楽しみにしているプレイヤーにメッセージをお願いします。
Chabtini氏:
探索はもちろん,キャラクターのドラマにとても力を入れましたので,そちらも楽しみにして頂ければと思います。
Bisson氏:
リブートシリーズ3部作の最後になるので,ぜひ結末を楽しんで下さい。そして,その後も引き続きララを愛して頂ければ幸いです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「シャドウ オブ ザ トゥームレイダー」公式サイト
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SHADOW OF THE TOMB RAIDER (C)2018 Square Enix Ltd. All rights reserved. Published by Square Enix Co., Ltd. SHADOW OF THE TOMB RAIDER and TOMB RAIDER are registered trademarks or trademarks of Square Enix Ltd. SQUARE ENIX and the SQUARE ENIX logo are registered trademarks or trademarks of Square Enix Holdings Co., Ltd.
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