プレイレポート
正統進化を遂げた「ディビジョン2」プレイレポート。多くの仲間とともに崩壊するワシントンDCで新たな困難に挑め
前作「ディビジョン」(PC / PS4 / Xbox One)では,“ドルインフル”と呼ばれるウイルス兵器が使用されて間もない時期に,ディビジョンのエージェント達は事態の収拾と治療法の確立のためニューヨーク中を駆け回ることになった。荒廃して無人となったタイムズスクエアなどの観光地や,そこかしこで暴れ回るレイダーグループなど,前作のプレイヤーは印象に残っている場面も多いだろう。
今作はそれから7か月後,真夏となったワシントンDCを舞台にして,エージェント達の新たな活躍を体験していくことになる。
前作はスタートで躓きがあったものの,ユーザーの声を積極的に吸い上げ,幾度ものバージョンアップによって評判をどんどん上げていったのも記憶に新しい(関連記事)。そしてシリーズの新作となる「2」はどうなっているのか,本作のプレイレポートをお届けする。なお,今回はPS4 Proでプレイしており,掲載するスクリーンショットも本体標準のSHARE機能で撮影したものとなる。
「ディビジョン2」公式サイト
あの事件から7か月。事態は収拾するどころか,さらなる混迷を深めていた
強力な感染力と高い致死性により,ニューヨークを壊滅させたドルインフル。政府は手を尽くし封じ込めを図るだけでなく,ディビジョンやJTFといった緊急事態に対応する特殊な組織を投入するが,結果的には失敗。ウイルスの拡散を止めるどころか,インフラや治安の維持すら不可能となり,それでも各地から集められたエージェント達は何とかそれを立て直すために奔走する……というのが,初代ディビジョンのストーリーだった。
冒頭でも触れたように,本作はそれから7か月ほどが経過したワシントンDCが舞台だ。前作の事件からしばらくの時間が経過しているうえ,今作の舞台はアメリカの首都なのだから,筆者は多少なりとも事態が好転しているのかと思っていた。
だが実際は,そんなことはなかった。チュートリアルを終えるとホワイトハウスのすぐそばで本編が始まるのだが,政府機能の麻痺は著しく,治安維持機構は完全に崩壊している。アメリカの象徴たるホワイトハウスにレイダーが襲ってくるという状況なのだから,その崩壊ぶりが分かるだろう。
前作のニューヨークの荒廃ぶりもなかなか衝撃的だったが,「ホワイトハウスがチンピラどもに奪われようとしている」というシーンは輪にかけてインパクトがある。また物語を少し進めることで判明するが,大統領も行方不明になってしまっている。
今作も前作に引き続き,プレイヤーはキャラメイキングで好きなエージェントを作成し,DCの治安維持と一般市民の生活をサポートするため,オープンワールドで作られたフィールドを散策しつつ,様々なミッションに挑んでいく。
ソロでのプレイはもちろん,メインやサブのミッション,それにフリーローミング(自由な散策)では最大4人のCo-opプレイが可能だ。
メインミッションはわりとすぐに他のプレイヤーとマッチングされる。メインミッションは全体的に長めの構成なうえ,強力なボスも登場するなど,1人では厳しい戦いとなることも少なくないので,気軽にCo-opプレイに参加するのをおすすめしたい。
前述の時間経過と政府の機能不全は,ゲームシステム自体にも組み込まれている。前作でもレイダーどもがニューヨークを分割し好き勝手に振る舞っていたが,一部の建物を占拠しているだけで,あとは見回りがうろついている程度だった。マップは広かったものの,全体的にアクティビティポイントはそこまで多くなく,またセーフゾーンを除けば,味方の拠点は司令部となった郵便局のみだった。
それから7か月後の今作では,各地に市民のコミュニティが誕生し,エージェントたちの拠点となっている。コミュニティではショップで買い物をしたり,各種の専門家からミッションを引き受けたりできる。さらに,「プロジェクト」と呼ばれるミッションをクリアしていくと,アイテムの設計図や経験値が入手でき,拠点が発展していく。
だが,市民が組織的な復興をしているということは,無法者のレイダーも組織化しつつあるということだ。レイダーはマップの各所を占拠し「コントロールポイント」と呼ばれる拠点を築いている。プレイヤーはそのエリアを解放して区域の安定を取り戻していくことになる。
そのほかにも,ランダムで「公開処刑」や「プロパガンダ放送」といった小さめのイベントか各所で発生し,街はかなり“賑やか”で,静まりかえっていた冬のニューヨークとは,かなり雰囲気が異なる。まあ,要するにメインミッション以外のアクティビティがぐっと増えたわけだ。
最初の拠点であるホワイトハウスを離れた筆者は,とりあえず近場にあったレイダーのコントロールポイントを攻撃してみたのだが,あっという間に返り討ちにあってやられた。序盤で装備もスキルもなかったのだが,こんなにあっさりとやられるとは思ってはおらず,ちょっと驚いてしまった。このあたりは少々高めの難度で,装備もスキルも不十分な序盤は,街を探検するのもなかなか大変だ。
そんなときに役立つのが「援護の要請」だ。これはメニュー画面からいつでも発信できるアクションで,他のエージェントがそれに応じてくれると,その場でマッチングがおこなわれる。また,逆にこちらが休憩中や移動中に援護要請を受信することもあり,マップボタンの長押しから簡単に応じられる。ひとりでは難しいミッションやコントロールポイントも,他のプレイヤーと協力すれば格段に楽になる。気軽にCo-opプレイを楽しめる要素なので,利用してみてほしい。
ハクスラ要素は健在だが,いくつか変更点もあり。スキルはさらにハイテク度が増し,自在にドローンが操れるように
ディビジョン2のアイテムやスキルシステムは前作の仕様を大枠で受け継いでおり,アイテムはハクスラ(ハック&スラッシュ)作品の定番である敵からのランダムドロップで入手したり,材料を集めてクラフトしたりする。
レア度が高いほど高性能なのは間違いないが,装備にせよ材料にせよ何が手に入るかは,ほとんどランダムだし,それに付属する強化ステータスやタレントと呼ばれる特殊能力も拾ってみるまでわからない。
また,高性能でも装備が自分のプレイスタイルに合うかはどうかはまた別の問題だ。さらにソロとCo-op,そして後述するPvP(対人戦)では最適な武装や性能も異なるため,そういったシチュエーションに合わせた装備を集めるという楽しみもある。
前作との違いとしては,連射系のアサルトライフルとスナイプ系のマークスマンライフルの中間的な存在である「ライフル」カテゴリが追加された。また,武器のMODはドロップアイテムではなく,PERKの解放やクラフトで作成するものになり,レベルの概念もなくなった結果,アイテム数が整理されて少しシンプルになっている。
前作のアップデートで追加された,特定の装備を集めて装着するとボーナスが得られるセット装備は,「装備のブランド」という形で最初から登場し,序盤から恩恵を受けられるのも嬉しい。
さらにレベルの上限である30に達しなくても,いわゆる“ガチャ系”のアイテムボックスである「キャッシュ」が比較的簡単に各所で入手できるほか,設計図から作れるアイテムはレベル範囲がなくなり,自分に合わせた強さのものが自動的に作成される。総じて,前作で不満に感じた部分にはしっかりと手が入っている印象だ。
そして前作ではアップデートで追加された,装備やスキルを保存しておく「ロードアウト」も初めから用意されている。目的やプレイスタイルに応じて好みのセットを簡単に切り替えられるので安心だ。
キャラクターのパワーアップは主にレベルアップと装備の充実,そしてスキルの取得によって行われるのは変わらない。マップも敵のレベルごとに区分けされているため,基本的にはシナリオの進むとおりに順次エリアを解放していくような形になる。
もちろんエリアは解放していなければ行けないというわけではなく,序盤から高レベル帯の場所に行くことも可能だが,当然戦闘になれば逃げるぐらいしか手がなくなるため,できることは少ない。前述のとおりにプレイできるアクティビティ自体は充実しているため,あまり無理して先に進む必要はないはずだ。
レベル以外のキャラクター能力としては,戦闘中に使用する「スキル」とパッシブに発動する「PERK」があり,前者はメインミッションのクリアで入手できるスキルポイントで,PERKはマップなどに隠されている「SHDテック」と呼ばれるアイテムでアンロックしていく。
また,スキルには「ヴァリアント」と呼ばれるバリエーションがあり,例えば「タレット」というスキルには通常弾を打ち出す「アサルト」や火炎放射器として機能する「インシネレーター」といったヴァリアントが用意されている。別のヴァリアントを使うには,SHDテックが必要だ。
メインミッションをどんどん進めていくと,スキルポイントはテンポ良く入手できる反面,SHDテックは不足気味になりがちだ。戦闘が厳しくなってきたら,少しマップを回ってみて,残されたアクティビティに挑戦するのも悪くないだろう。
スキルは,前作から続いて登場するものもあるが,そのほとんどがディビジョン2向けに調整されており,使い勝手が異なるものも多い。例えば周囲の敵を探知するスキル「Pulse」はその効果範囲が狭くなり,前作と同じ感覚で使うと痛い目を見るかもしれない。
一方,ディビジョン2で新たに登場したスキルは前作以上に“ハイテクさ”を感じるものが多い。空中から敵を攻撃してくれる「ドローン」,超小型のドローンを複数展開する「ハイヴ」など,独特の近未来感を醸し出している。
スキル自体は当たり外れが強い印象で,期待したほどの活躍をしてくれない……ということもあるのだが,PvEでは人気がなくてもPvPで輝くものもあるので,使い方次第といったところ。
今作では序盤でも敵の攻撃が苛烈なので,最初はドローンの「ストライカー」と,ケミランチャーの「レインフォーサー」あたりをオススメしたいが,少し慣れてきたら見た目の好みやインパクトで選ぶのも悪くないかもしれない。
PvPはお馴染みの「ダークゾーン」と対戦モードの「コンフリクト」の二本立て。スポーツ的に楽しむも良し,アイテム目的でも良し
ディビジョンのPvPコンテンツとしてお馴染みの「ダークゾーン」は,今作でも引き続き登場する。政府による統治が事実上崩壊したディビジョンの世界だが,汚染が酷く完全に隔離されたダークゾーンはそれに輪をかけて治安が悪く,ディビジョンのエージェントですら平然と犯罪を起こすほどの無法地帯となっている。その代わり,まだ手つかずの貴重な装備(レア度が高いアイテム)が入手しやすい,という設定だ。
ゲーム的には「PvEとPvPの混在エリア」となっており,通常エリアのように敵を倒してアイテム入手を目指してもいいし,それを他人からかすめ取ってもいいという場所だ。他のプレイヤーのアイテム回収を妨害したり,ロックピックなどで無理矢理アイテムを盗むエージェントは「ローグ」となり,ある種のお尋ね者になるが,逃げ切れば通常のエージェントに戻る。もちろんひたすら悪行を重ねることもできるが,段々と目立つようになり,他のプレイヤーに自然と狙われやすくなるという仕組みだ。
前作との大きな違いは,まず「標準化」というルールが採用されたことだろう。これはダークゾーンに入った時点で,プレイヤーのレベルや装備を平均化して差をなくし,プレイ時間や進行度による影響を少なくする仕組みだ。この標準化は後述するコンフリクトでも採用されており,「レベルや装備を調えないとコンテンツが楽しめない」とか「先行プレイヤーが圧倒的に有利」という状況が起きないようになっている。
またアイテムの扱いも大きく変わっており,アイテム収拾の難度が下がった。具体的には,前作ではダークゾーンで入手したアイテムはすべて汚染されており,回収地点でヘリに回収させないと入手できない仕組みだったが,今作では汚染アイテムは一部だけで,多くの装備はその場で拾ってそのまま回収・装備が可能だ。
ヘリでの回収が必須だった前作は,常に緊張感や達成感があるという点で面白さもあったが,場合によっては「それまでの苦労がすべてパーになる」ということでもあり,それ自体がダークゾーンで遊ぶハードルを高くしていた側面もあった。
回収方法の変化以外にも前作からの変更点が多く,同時参加可能な人数は12人に減少したが「広大なエリアが1つ」から「コンパクトな3つのエリア」となり,プレイヤー密度はむしろ高くなった。
また,誤射によるローグ化がなくなったり(前作のアップデートで途中から採用された,ローグにならないと他のエージェントを攻撃できない仕組み),待ち伏せ防止のために検問所付近にタレットが配置されたりと,全体的にかなり“プレイしやすく”なっている印象だ。
この辺りは好みの問題もあるだろうが,個人的には好ましい変化だと思う。
もう1つのPvPコンテンツである「コンフリクト」は,純粋にスポーツ的な対戦をおこなうためのモードとなっている。序盤からホワイトハウスの庭で参加可能で,装備やスキルは参加時のものがそのまま使用されるが,前述のように標準化されるため現在の進行度を気にすることなく,簡単に始められる。デスペナルティなどは一切ないため,単純に対人戦のみを楽しむことが可能だ。
プレイヤーは4人対4人のチームに分かれ,対戦用に用意されたマップで戦うことになる。NPCはいない。ルールはチームデスマッチ「スカーミッシュ」と,エリアを確保してポイントを獲得する「ドミネーション」の2種類だ。シンプルなルールなので,他のゲームでマルチプレイ対戦をプレイしたことがあるなら,すぐに理解できるだろう。
あくまでシングルプレイの延長にあるダークゾーンに比べ,対戦エリアやルールが完全に異なるコンフリクト。ストーリー的なつながりも薄く,本筋に影響を与えないので,筆者は“別のゲーム”というイメージを強く持った。その影響もあって,初プレイに至るまで少し時間がかかったが,「ローグエージェントを排除する」といういささか薄い理由付けも,何となく心理的な影響を与えていたかもしれない。
だが実際にプレイしてみると,想像以上に面白くハマってしまった。体力が高め(≒全体的な攻撃力が低め)な調整となっていて,出会い頭に為す術なく即死するということはまずないし,だからこそ他のエージェントと協力しないと,なかなか相手を倒せない。また,どうしても壁越しに隠れながらの長期戦になりがちなPvEに比べ,激しく動き回るプレイヤー相手の戦いはセオリーが全く異なり,スキルの使い勝手もNPC相手とは大きく異なるため,かなり新鮮だ。
当然ながら相手プレイヤーもガンガンスキルを使ってくるので,「飛行しながら攻撃してくるドローンって,こんなに嫌らしかったのか」と妙な発見があったりすることも。純粋な射撃の腕や位置取りのうまさもさることながら,どのスキルを選び,どう使うのかが勝敗に影響するのも面白い。
またコンフリクトをプレイして“コンフリクトレベル”を上げたり,対戦中に活躍したりすると,「コンフリクトキャッシュ」というガチャアイテムを入手できる。中身自体は他で手に入るキャッシュと同じなので,プレイするだけのメリットがあるわけだ。
また同じPvPが可能なコンテンツでも,ダークゾーンのようなアイテムの取り合いやローグ化などを気にする必要が一切なく気楽にプレイできるので,興味を持ったら対戦に飛び込んでみてほしい。
前作の経験を踏まえ,しっかりとパワーアップしてきた正当な続編
本稿の冒頭でも少し触れたが,前作「ディビジョン」は発売直後の評価を受けて,アップデートを繰り返すことによって大きく仕様を変え,プレイヤーの支持を取り戻した経緯がある。しかし,当然ながらアップデートだけでは修正しきれない部分があったことも事実で,開発チームも歯がゆい思いをしていたのではなかろうか。
だが,本作ではそういった部分にもきちんと手が入り,「ディビジョンの完成形」に近づいたように感じる。前作と同じくミッションのCo-opプレイが楽しいのはもちろんのこと,フリーローミングでプレイできるアクティビティを増やし,ソロでは厳しい人向けには援護要請で手軽に他のエージェントに助けを求められたりと,改善点もかなり多い。アクションRPGというジャンルの関係で扱いが難しいPvPも,リスクが軽減したダークゾーンと,純粋に対戦が楽しめるコンフリクトで,より多くの人が気軽に楽しめるようになった。
オンラインゲームという特性上,避けづらい回線の問題は何度か発生したし,細かい不具合などに出くわすことはあったものの,全体としては大きな問題に遭うことはなく,この辺りにも前作の経験が生かされているように思う。各スキルや一部の装備のバランスには若干難を感じることもあるが,ディビジョン2は今後も大型のアップデートをいくつも用意しているし,また前作の経緯を考えても,しっかりとユーザーの声を聞いた更新を続けてくれるはずだ。
前作のファンはもちろんのこと,Co-opプレイのアクションRPGを楽しみたい人,ハクスラでじっくりと色々な装備を集めるのが好きな人には,ぜひオススメしたい。
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