インタビュー
初めから多くのコンテンツを用意する。「ディビジョン2」はビュッフェのようなオープンワールドに。クリエイターインタビューをお届け
「ディビジョン2」は,オープンワールドのオンラインアクションRPG。2016年に発売された「ディビジョン」(PC / PS4 / Xbox One)の続編だ。ウイルスによって壊滅した都市を舞台に,プレイヤーは特務機関ディビジョンのエージェントとなり,さまざまな勢力が入り乱れる中で人々を助けるために戦う。戦場は冬のニューヨークから真夏のワシントンDCに移り,現実の都市を再現したリアルスケールのマップが採用されている。
また,バトルもこれまで以上に奥深いものとなっている。キャラクターのレベルが30になると「スペシャリゼーション」が解放され,トラップを仕掛ける「サバイバリスト」,グレネードランチャーで戦う「デモリショニスト」,スナイパーライフルで狙撃する「シャープシューター」というクラスを選べるようになるなど,バリエーション豊かな戦闘を楽しむことが可能だ。
そんな本作について,クリエイティブディレクターのJulian Gerighty氏とゲームディレクターのMathias Karlson氏に聞いてきたので紹介しよう。
「ディビジョン2」公式サイト
4Gamer:
今回リアルスケールのワシントンDCのマップを作ったそうですが,制作にあたって苦労された点はありますか?
「ディビジョン2」で使っているSnowdrop Engineには,GIS(Geographic Information System,地理情報システム)のデータをインポートする機能がありましたから,リアルスケールマップを作るのはむしろ簡単でした。木の1本,街灯やベンチの1つまで,高い精度でSnowdrop Engineが再現してくれるので,マップ制作を大幅に省力化できましたね。
Mathias Karlson氏(以下,Karlson氏):
難しかったのは,“パンデミック後に世界がどうなったか”を表現することの方でした。この世界で起きている事件に合わせ,一つ一つのオブジェクトに対して手作業で変更を加えていったんです。
4Gamer:
オープンワールドのマップ制作は,地形やオブジェクトをプロシージャルに配置するなどさまざまな形での省力化が試みられていますが,「ディビジョン2」においてはリアルスケールにすることが1つの答えになったわけですね。その一方で,現実をゲームの舞台として加工することにはやはり手間が掛かったと。
マップがリアルスケールで作られているということは,ワシントンDCの名所を訪れることもできるのでしょうか。
Gerighty氏:
もちろん,ホワイトハウスやリンカーン記念堂など,いろいろな名所を再現しています。ただ,パンデミックの後で世界が変化していますから,観光ツアーのようにはいかないでしょうね。「アサシンクリード オリジンズ」で古代エジプトの歴史を学べる「ディスカバリーツアー」(関連記事)が個人的にも大好きなので,「ディビジョン2」でもそうしたことができればいいな,と思っています。
4Gamer:
「ディビジョン2」は,ワシントンDCでバイオテロによるウイルスのパンデミックが起こった後という設定です。実在の都市で現実に起こり得る惨事を表現しているわけで,マップがリアルスケールなので更なるリアルさが出ると思いますが,倫理的な面で問題になりそうなところはありましたか?
そうした問題はありませんでした。前作でもニューヨークという実在の都市を舞台に同じようなシチュエーションを描いていますし。原作者であるトム・クランシーが描く物語はリアルさを重視しており,こうした事件が起こった際,人々がどう振る舞うかに焦点を当てたものですから。
この世界でプレイヤーはエージェントとなって苦しんでいる人たちを助けるために戦います。このゲームからの最も大きな問いかけは“あなたがエージェントだとしたら,どのように世界を救っていくか”というところにあるんです。
4Gamer:
では,今回アクションRPGとしてパワーアップしたところを教えてください。
Gerighty氏:
前作の「ディビジョン」から,ほとんどすべての部分がパワーアップしていますよ。ユーザーの皆さんの声に応えてさまざまな部分を改良しましたし,もちろんいろいろな新要素も加わっています。ボリュームも,前作のアップデート後を超えています。
4Gamer:
前作は発売直後にエンドコンテンツの不足が指摘されていました。
Gerighty氏:
はい。最初はキャンペーンを終えた方に向いたコンテンツがありませんでした。歯ごたえのある“重要ターゲット”もいなければ,キャラクターのビルドを保存しておける“ロードアウト機能”もない。また“ダークゾーン”以外のPvPも存在していませんでしたし。こうした状態からプレイヤーのご意見を受けて改善を進めていったのが,現在の「ディビジョン」です。
そして「ディビジョン2」は,こうした改善を全て反映した状態からスタートしますから,発売日の時点で非常にたくさんのコンテンツがあります。
4Gamer:
前作の反省が活かされているわけですね。
Gerighty氏:
そうですね。さらに「ディビジョン2」では,状況に応じて新たなアクティビティが生まれるシステムを採用しています。ワシントンDCでは,一般市民と敵がそれぞれの目的に沿ってAIで動いており,その結果によって新たなアクティビティが生まれるんです。
4Gamer:
プレイヤーやAIの行動によって,遊べるアクティビティがどんどん変わってくるということなのでしょうか。
Gerighty氏:
はい。場所や時間に応じた,さまざまなアクティビティを楽しむことができます。
Karlson氏:
もちろんゲームのバックボーンとなるメインミッションやサイドミッションは健在で,そこに新たなアクティビティが加わっていくことになります。
4Gamer:
メインミッションを追っていくだけではなく,状況によって変わっていくアクティビティに寄り道できると。
Gerighty氏:
プレイすることに新たなアクティビティがアンロックされていく。いろいろな料理が並んだビュッフェ(食べ放題)のようなものですね(笑)。
プレイヤーは“どこに行かなければならないか”ではなく“どこに行きたいか”で行動できます。興味の赴くまま,ワシントンDCを探索できるんです。
4Gamer:
コンテンツ量については心配しなくて良さそうですね。
Gerighty氏:
さらに我々は1年にわたって新コンテンツを追加し続ける予定です。
4Gamer:
新コンテンツは無料で提供されるのでしょうか。
Gerighty氏:
はい。新たなストーリーやミッション,エリアなど全て無料で提供する予定です。DLCとして有料販売することにより,プレイヤーを分断するようなことはしたくありませんから。いつでも帰ってきて,新しいものを発見しに行ける。1年の間,プレイヤーの家になるようなゲームにしたいんです。
開発に当たっては,コミュニティの意見も積極的に取り入れていきます。「ディビジョン」では,とあるプレイヤーが,改善希望をリストにしてRedditに投稿されていましたが,開発スタッフはそのほとんどに応えてます。
Gerighty氏:
我々は閉ざされた殻の中でゲームを開発しているわけではありません。ソーシャルメディア,消費者アンケート,他の開発チームなど,さまざまなところから意見を聞いています。その上で,皆様のご意見の中にある本当のニーズ,言葉の中に隠された望みという本質的なところを理解していくことが1番大事だと考えています。プレイヤーは自分の意見が通るだけでなく,サプライズも欲しがっているということですね。
4Gamer:
なるほど。言われたままのものを実装するわけではなく,本当に欲しがっているものを探り出し,それを形にするわけですね。では,「ディビジョン」におけるそうした取り組みの中で,成功したものは何でしょうか。
Karlson氏:
やはり「重要ターゲット」ですね。「メインストーリーを終えた後に何かやることがほしい」というご意見があったので,毎日変わるランダムなチャレンジを加えた形で実装しました。
4Gamer:
「何かやることが欲しい」という声に対し,新たな敵を追加するだけでは早々に消費されてしまうので,ランダム性を加えて「ずっとやることがある」ような形にしたわけですね。確かに,ユーザーが抱いている本当の望みを掘り起こした取り組みだと思います。
Karlson氏:
実装した際はとても喜んでいただけましたね。
4Gamer:
「ディビジョン2」に話を戻します。新たなエンドコンテンツとして,キャラクターの能力を特化させる3クラスを選べる「スペシャリゼーション」というシステムが加わっています。クラスは後で選び直すことができるのでしょうか。
Gerighty氏:
もちろんです。いつでも選び直していただけます。
Karlson氏:
8人で強敵に挑む「レイド」では,「スペシャリゼーション」同士のシナジーが重要になっていますよ。
4Gamer:
前作に登場したスキルや武器なども登場するのでしょうか。
Gerighty氏:
登場しますが,そのままの形ではなく,変更を加えていますね。とくにスキルは新しい側面を知ることができるでしょう。
4Gamer:
では,新しいスキルの中でこれを見てほしいというものはありますか?
Gerighty氏:
個人的に好きなのは色々な化学物質を発射する「ケミランチャー」ですね。例えば,敵の集団に可燃性のガスを放ち,その後に銃で着火すると全てが炎に包まれます。“スゴイ!”スキルですよ。この他にもいろいろなスキルがありますので,ぜひ自分に合ったものを探してみてください。
4Gamer:
「ディビジョン」から「ディビジョン2」へキャラクターの装備やスキルなどを引き継ぐことはできますか。
Gerighty氏:
キャラクター自体を「ディビジョン2」の世界に連れて行くことはできませんが,前作をプレイしていた人がもらえるリワードがあります。
4Gamer:
では,前作を遊び込んだ人も,本作から遊ぶ人も同じ地点からのスタートになるわけですね。いきなり「ディビジョン2」から始めても大丈夫ですか。
Gerighty氏:
もちろんです。
4Gamer:
最後に発売を楽しみにしている日本のファンにメッセージをお願いします。
Gerighty氏:
これまで「ディビジョン」をサポートして下さった皆様にたくさんのありがとうを伝えたいと思います。いろいろな新しい体験をしていただけますので,ぜひ「ディビジョン2」を遊んでみてください。
Karlson氏:
来年からのβテストも楽しんでいただけたらと思います。既に受付はスタートしていますので,興味のある方は是非申し込んでください。
4Gamer:
ありがとうございました。
「ディビジョン2」公式サイト
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(C) 2018 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Tom Clancy's, The Division, The Division logo, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries. (C) 2018 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Snowdrop, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
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