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「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」プレイレポート。河津秋敏氏の個性派RPGがより遊びやすくなり,さまざまな新要素も追加
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印刷2018/06/08 12:35

プレイレポート

「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」プレイレポート。河津秋敏氏の個性派RPGがより遊びやすくなり,さまざまな新要素も追加

 スクウェア・エニックスは,「サガ スカーレット グレイス 緋色の野望」PC/PS4/Switch/iOS/Android)を2018年8月2日に発売する。
 2016年12月にPlayStation Vitaで発売された「サガ スカーレットグレイス」をより遊びやすい形にアップグレード,そしてさまざまな新要素を加え,スマートフォンなども含む複数のプラットフォームで展開される本作のプレイレポートをお届けしていこう。なお,本稿のプレイにはPlayStation 4版を使用している。

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 本作のベースになったPS Vita版のオリジナルは,タイトル名に「サガ」の冠がある通り,1989年のスクウェア時代から展開されている同名シリーズの最新作として発売された作品だ。ゲームデザインおよびシナリオは,サガシリーズ総合ディレクターの河津秋敏氏が手掛け,斬新なシステムを備えたRPGとして発売された。

物語のプロローグはモザイクアートの新規ムービーにて語られる。こちらはPCとゲーム機版のみの仕様だ(PC版では同梱された動画ファイルから視聴できる)
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 プレイヤーは4人の主人公を彗星の導き(または任意)によって選択し,それぞれ違う立場の視点から,混乱する世界と,邪神復活の兆しを物語として体験していくこととなる。
 ゲームはそのすべてがフィールドに集約された「フリーワールドシステム」を採用。ダンジョンはおろか町などのマップも一切存在しないという,RPGとしては異色のデザインで,イベントやバトルはフィールド上にポップアップするシンボルに触れることで発生し,人々との会話も必要最小限の形に抑えられている。イベントごとの美麗なムービーや広大なマップの探索,ハック&スラッシュなどといった要素とは無縁なわけだが,ムダを省いた設計と独特のプレイ感は,実際にプレイした人にはおおむね好評で,筆者も楽しませてもらった。

キャラクターは4人から選択可能。彗星の導きに従って選ぶと,パラメータに若干の変化が出る
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フィールド上のシンボルに接触してボタンを押すことで,イベントやバトルが進行
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会話シーンも簡潔ながら「河津節」が利いていて,読んでいて楽しくなる

 また本作を特徴付けるバトルシステムも見逃せないポイントだ。「タイムラインシステム」を採用したバトルでは,キャラクターが敵味方で行動が早い順に並ぶ「タイムライン」が表示され,パーティで共有する「BP」(ブレイブポイント)を消費して技や術をくり出していく。BPはターン毎に回復すると同時に規定数増えていき,ターンが進むほど強力な術や技を出せるようになるという仕組みだ。

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バトルの前にはメンバーや陣形を変更可能。本作ではこの画面をスキップしてすぐにバトルへと入ることも可能となった
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画面下のアイコンが並んだ部分がタイムライン。選ぶ技によっては順番を入れ替えることも可能
強力な技ほどBPが必要なので,最初はBP消費が少ない技を選ぶのが基本となる
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 またタイムライン上で敵味方に挟まれた単独のキャラクターを倒す(あるいは倒される)ことで,同じ陣営のキャラクター同士が連結すると「連撃」が発生。つながったキャラクター全員での強力な攻撃を繰り出すと同時に,連撃を行ったキャラクターの次ターンでの技や術のBP消費量が減るというシステムが用意されている。

強力な連撃。タイムラインの並びによっては,連撃で敵を倒すことでまた連撃が発動することも
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 これらの条件は敵味方同じであり,ターンとBPの関係や,タイムラインを技などで操作するといった戦略を理解することで,より戦略的なバトルを楽しめるのである。これらバトルも含めた基本システムに関しては「緋色の野望」でも変わっていないので,オリジナル版のプレイレポートも参考にしてほしい。

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HPはバトルごとに回復するので,戦略は1戦ごとに考えればいい
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キャラクターはバトル中や,「フラックス」を杖に吸収させたときなどに新しい技や術を閃く

 そんな個性的なRPGにさまざまな新要素を加え,さらに進化した形で発売となる本作。ゲーム開始直後からいろいろと変わったと感じるところはあるのだが,まずは据置ゲーム機に対応したということが大きい。
 オリジナル版がPS Vita TVに非対応だったため,大画面で本作をプレイできるのは今回が初めて。プレイ時間が長いゲームであるだけに,じっくり腰を据えて遊びたいたいという人も多かったはずだ。また全編,伊藤賢治氏によるサウンドが素晴らしいゲームであり,さらにボイスも新たに収録されているので,それらを聴く環境も充実させやすいだろう。

PS4版は,PS4 Proの4K映像出力にも対応。小林智美氏のキャラクターも画面に映える
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 さらに今回,Nintendo Switch版やスマホ版を見据えた「携帯端末向けUI」モードも用意されている。これはタッチパネルのあるハードで操作がしやすいよう,専用のインタフェースが配置されたもの。画面構成はオリジナルのPS Vita版の画面に近く,小さい画面でも文字が読みやすくなっている。Switch版を携帯モードでプレイするときなどは,こちらに切り替えるのがいいだろう。

携帯端末向けUIモードの画面。タッチパネルのあるハードなら,タッチ操作も行える
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 ゲームを実際にプレイしてみて分かったのは,ゲーム全体のテンポが想像以上にアップしていたという点だ。オリジナル版で指摘された長めのロード時間は相当短縮されていて,バトル突入時のロードもほぼ一瞬だった。また行動決定後のカウントダウン演出も短くなり,オリジナルの持ち味を壊すことなくテンポが良くなっている。
 マップの移動に関しても,アバターの移動速度が上がっただけでなく,ボタンでスピードの切り替えができるようになり,目的地までの移動やシンボルの確認などもさくさく進められる。冒頭でも述べたように元々のゲームシステムが無駄を省いた設計なので,今回のテンポの改善で,ゲーム全体の手触りがさらに良くなった印象だ。

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バトルの開始から終わりまでのテンポアップが非常に好感触。カウントダウンも早まっている
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オリジナル版は街道を歩くときだけスピードアップしたが,本作は移動速度自体が上がった

 また,今回ボイスが追加されるのは,重要なイベントやバトルのキャラクター選択,連撃やリザルトなど,要所のみだったが,それでもキャラクターの存在感を高める演出としては十分に効果的だ。ストーリーにあまり絡まないサブキャラクターにもボイスは用意されているので,これだけでも感情移入の度合はずいぶん違うものとなるはず。
 バトルボイスは,ゲーム開始時に「デフォルト」と「アレンジ」から選べるようになっている。筆者が聴き比べてみた限りでは,後者のほうが声優陣が感情を込めた起伏のある演技をしているようだ。好みで選んでいいが,この要素に関してはゲームを始めると変更できないようになっているので,そこは注意してほしい。

バトルボイスの選択画面。またもしボイスは必要ないという場合は,オプションでボリュームを下げればいい
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 さらに,新キャラクターとの会話シーンなど,追加のシナリオやイベントも盛り込まれている。オリジナル版をプレイしていれば「あれ,ちょっと違うぞ」という印象を受けるはずだ。主人公4人のイベントについては,ゲームスタート時にオリジナル版の各シナリオをクリア済みの人に向けたものに変更する仕様もあるので,一部のシナリオしかエンディングを見ていないという人でも続きを遊びやすい。

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アンケートの「クリア済」にチェックを入れると,その展開に従ったイベントが発生。ゲームの進行自体に大きな変化はない
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町の広場などで時々出会える吟遊詩人。ストーリーやゲームのヒントなどを聴かせてくれる

 そのほか,イベント直前のオートセーブの仕様や,バトル突入時の準備のスキップ,タイムラインのキャラクターアイコンの描き直しなど,細かなところにもかなり手が入っている。クセはあるものの,決して難解な作品ではなく,しかもさらに快適にプレイできるようになっているので,多くのプラットフォームで発売される本作に,ぜひ触れてみてほしい。

主人公達と新キャラクターとのやりとりも楽しみなところだ
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