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「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」プレイレポート。すべての人々に贈られる苦痛と“再生”の物語
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印刷2018/11/16 12:25

プレイレポート

「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」プレイレポート。すべての人々に贈られる苦痛と“再生”の物語

 アークシステムワークスより2018年10月11日に発売された「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」PC/PS4/Nintendo Switch/Xbox One)。本作は少女が文字通り体を張って,パズルギミックを解きステージを進んでいく,横スクロールアクションゲームだ。

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 発売前に4Gamerでは,体験版のプレイレポートや,ディレクターを務めたSWERY氏のインタビューを掲載したが,今回発売後に製品版を最後までプレイしたので,そのプレイレポートをお届けしたい。
 なお,本記事では,四肢の断裂などの表現を含むゲーム内容を紹介する。また,物語の核心に迫るネタバレ要素は極力記載していないが,その2点が少しでも気になるという人は注意してほしい。

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 アークシステムワークスが2018年10月11日に発売を予定している新作アドベンチャー「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」SWERY氏の象徴と言える「倒錯した不条理な描写」を色濃く表現している本作のTGS 2018出展バージョンを先行プレイできたので,そのプレイフィールをお届けしていく。

[2018/09/19 18:22]

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「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」公式サイト



親友のエミリーを探すため追憶島を探索する


 本作の主人公はJ.J.マクフィールド。大学の級友であり親友のエミリーと2人で追憶島と呼ばれる孤島にキャンプに行くところから物語はスタートする。始めは2人仲良くキャンプを楽しんでいる様子だったが,気が付くとエミリーが姿を消してしまい,失踪した彼女を探すために,島の探索を始める。

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 物語の導入では,本作を象徴するシステムである「Regenerate(欠損状態回復)」が衝撃的なシーンと共に描かれる。エミリーを探す道中で落雷に打たれ,瀕死の重傷を負ってしまうJ.J.だが,エミリーのために「……まだ,死ねない」と超常的な力を発現し,元の怪我のない状態に復活するのだ。
 もちろん,J.J.はふつうの女の子で,千切れた腕が生えてきたり,怪我が即座に治るといった超常的な能力の持ち主ではない。追憶島が特殊な空間なのか,はたまた違う原因があるのか,自分の意志で怪我を治療する能力がこのシーンで発現したこととなる。

落雷に打たれ,発火により黒焦げになるJ.J.。初めて欠損状態を回復するシーンは,鹿の頭をした人間や動物に囲まれ,ある種の儀式にも見える
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J.J.は一連の出来事や置かれた状況に悲観し,泣き崩れてしまう。ここからエミリーを探す壮絶な旅が始まる
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少女が傷つき,苦しみながらステージを進むアクションパート


 本作のメインとなるゲームパートは横スクロールのアクションゲームで,ステージに配置されたさまざまなパズルギミックを解き,ステージクリアを目指す。特徴的な点は先ほど紹介した欠損状態回復を使って解くギミックだ。切断した腕を投げ,火だるまになって樹木を燃やし,鉄球に体を吹き飛ばされながら,1つずつギミックを解いていく。
 もちろん,自分の意志で怪我を治療できるといっても,怪我の痛みを消せるわけではない。プレイヤーの意志でJ.J.を傷つけることとなるので,ゴア表現が苦手な人は,相当な抵抗感があるだろう。

J.J.を苦しめるギミックは多岐に渡る。電車に轢かれて四肢がバラバラになることも
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 すべては親友のエミリーを探すためなのだが,その肝心のエミリーはたびたび姿を見せては逃げていき,J.J.に電話をかけては意味深なメッセージを残していく。反応のおかしいエミリーにイライラする様子を見せるJ.J.だが,このあたりはプレイヤーとしても謎が残るシーンが多く,物語の顛末が気になる展開となっている。

スマートフォンでの会話もどこか噛み合わないエミリー。不気味な雰囲気が焦燥感を煽る
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道中では始めの落雷で消し炭になってしまった,ぬいぐるみのF.K.からもたびたびチャットが飛んでくる。会話の内容は状況に似合わずコミカルなものが多い
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謎多き物語。コレクタブルアイテムのドーナツを集めて背景を知る


 物語の謎は道中で明かされることはなく,エンディングに近づくにつれて一気に解けていくのだが,物語の背景はスマートフォン内にあるSNSアプリの過去ログを見れば,それとなく推し量ることができる。
 過去ログはステージ道中に配置されたドーナツを集めることで,徐々に開放されていき,J.J.の母親やエミリー,大学の級友,教授といった面々との,日々のコミュニケーションを確認できる。なお,この過去ログは古いものから順に開放されていき,おそらくは追憶島に来る直前のタイミングまでのものが開放されるようだ。

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SNSの内容は何気ない会話が基本だが,後半になるにつれて意味深な内容になっていく。筆者はステージを早くクリアして物語を追いたいが,ドーナツを集めて物語の背景も知りたいというジレンマに苛まれることに……
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ドーナツを集めると過去ログだけでなく,J.J.の見た目を変化できる衣装やキャラクターデザイン資料などのギャラリー要素も増えていく。中には興味深い内容のものもあるので,こちらもチェックしておきたい
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 なお,ドーナツ集めは1周目ですべてを回収するのは非常に難度が高く,2周目以降に開放されるチート機能を活用するといいだろう。J.J.の移動スピードを上げたり,任意のタイミングで部位欠損できる機能などが使用できるようになるため,ドーナツ集めに役立つはずだ。

ステージにはドーナツ以外にスリーピーちゃんが配置されている。アクションボタンを押すと10個のドーナツがもらえる
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ドーナツの数は全部で271個。9割ほど集めればSNSの過去ログはすべてアンロックされる
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すべての人々に贈られる苦痛と“再生”の物語


 筆者はエンディングまでプレイし,過去ログまですべて確認したのだが,正直なことを言うと,初めてプレイした時は嫌悪感のようなものを感じたのは否めない。かわいらしい女の子を自身の手で苦しめて物語を進めることが愉快なわけはないし,爽快感もない。ただそれでもJ.J.は自身にとって大切なものを守るために,傷つき,苦しみ,もがいて,追憶島を進むこととなる。

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 もっと表現を柔らかくすることはできただろうと思う。そうすることでもっと多くの人に本作を遊んでもらえたかもしれない。しかしSWERY氏がそうしなかった理由もエンディングを迎えたプレイヤーにはハッキリと分かるだろう。

本作の起動時に表示されるメッセージ。最後までプレイすれば,この言葉が伝えたかったゲームの本質が分かるはずだ
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 本作はゴア表現も多く,向き不向きが分かれる作品だと思うが,SWERY氏がインタビューで答えたように,「プレイヤー全員が『考えなければならない』『考えさせられる』『共感できる』」といった感情を抱くゲームになっている。現行のすべての最新プラットフォームで配信されているので,興味が湧いたという人はぜひプレイしてみてほしい。

なお,本作はインパクトの強いゲーム内容と物語が評価され,「The Game Awards 2018」のGames for Impact部門にノミネートされている
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「The MISSING - J.J.マクフィールドと追憶島 -」公式サイト

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