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日本の農場ゲームファンに立ち上がってほしい。シリーズ累計1000万本を突破した「Farming Simulator」のキーメンバーにインタビュー
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印刷2019/04/16 17:19

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日本の農場ゲームファンに立ち上がってほしい。シリーズ累計1000万本を突破した「Farming Simulator」のキーメンバーにインタビュー

 Focus Home Interativeが主催したプレスイベント「What's Next by Focus 2019」において,農場シミュレーション「Farminmg Simulator」シリーズを手掛けるGIANTS Softwareのキーメンバーである,チーフ・オペレーティングオフィサーのYann Le Tensorer(ヤン・レ=テンソレール)氏と,アシスタント・プロデューサーのLaetitia Sodoyer(レリッタ・ソドエール)氏にインタビューを行った。

 「Farming Simulator」は,アメリカやヨーロッパにある広大な農耕地を舞台に,農業機械を使って土作りや肥料まき,さらに除草剤の散布から収穫,そして運搬までをプレイヤー自身で行い,麦やトウモロコシ,綿花といった品目を栽しつつ,牧畜や林業にも手を広げられるという,GIANTS Softwareが2008年から手掛けているシリーズ作品である。

画像集 No.002のサムネイル画像 / 日本の農場ゲームファンに立ち上がってほしい。シリーズ累計1000万本を突破した「Farming Simulator」のキーメンバーにインタビュー

 2013年にFocus Home Interactiveがパブリッシャとして名乗りを上げて以降は,着々と知名度を広げ,日本語を含む18言語に対応し,165か国で正規販売ルートを獲得しているという。そんな本シリーズは,累計で1000万本以上を販売している。

 その最新作である「Farming Simulator 19」PC / Xbox One / PS4)は,ゲームグラフィックスも大きく改善され,PlayStation 4やXbox One版での人気もあって,2018年11月にリリースされるや10日で100万本のセールスを記録するなど,その人気はさらに上昇しているといった印象だ。
 シリーズは基本的に,偶数年に本編最新作がリリースされ,奇数年にはモバイル版がリリースされるという伝統がある。つまり,2019年度はモバイル向けに発売される年にあたり,近々“2020年度版”が正式にアナウンスされる予定で,What’s Next by FocusでもiOS版のプレイアブルデモが公開されるなどしていた。そんな好調な様子の「Farming Simulator」シリーズは,今後どこに向かっていくのだろうか。

Farming Simulatorを生み出すGIANTS Softwareのチーフ・オペレーティングオフィサーのYann Le Tensorer氏(右)と,アシスタント・プロデューサーのLaetitia Sodoyer氏
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4Gamer:
 「Farming Simulator 19」は,スタートがとても好調でしたね。

Yann Le Tensorer (以下,Le Tensorer)氏:
 ええ。非常に好評を頂いており,とくにコンシューマ版が飛躍的に伸びていますね。コンシューマ市場は,今ではPCよりも多くのゲーマー層を構築しており,セールスの55〜60%はコンシューマによるものです。

Laetitia Sodoyer (以下,Sodoyer)氏:
 単純に比較すると,「Farming Simulator 17」では100万本のセールスに到達するのに1か月かかりましたが,「Farming Simulator 19」では10日間で同じ本数達してしますからね。

4Gamer:
 本シリーズは,どのような層にアピールできているのでしょうか。

Sodoyer氏:
 本当に幅広い層のファンにアピールできていると思います。バイオレンスとは無縁のゲームということで,親が子供に買え与えるには最良のゲームであるというのもあるでしょう。プレイヤーを急がせるようなミッションもありませんから,単に美しい情景を眺めるなど,都市圏に住む人にとってはリラックスできる要素もありますからね。
 農業従事者が,家に帰ってからプレイするという例も多く聞きますが,それは使ったことのない農機を試してみたいという要望とマッチしているのかもしれません。

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Le Tensorer氏:
 国別にみると,「Farming Simulator 19」ではジョン・ディア社と提携したことでアメリカの購買層が一気に増えた様子で,今ではドイツを抜いて我々にとっての最大のゲーム市場になっているんです。「Stardew Valley」のようなゲームが注目され,その流れでより本格的なシミュレーションゲームをプレイしてみたいと,我々のゲームを手にする人も多いようです。

4Gamer:
 もはや,二ッチゲームとは言えなくなっていますね。

Le Tensorer氏:
 ええ。テーマとしては農業が“二ッチ”なものであるというのは変わらないでしょうが,セールスや潜在的な市場という意味ではもはや二ッチではありません。これまで,我々はファンの皆さんの声を反映させることを重視してきましたが,そういった取り組みが,「Farming Simulator 19」における“プレイヤーキャラクター”の存在や,馬に乗っての農地散策など,ただの農業シミュレーションではない“ライフスタイルゲーム”への進化を促進させていったのだと思います。

4Gamer:
 ファンの意向がそうさせていったということなのですね。eスポーツへの参入もそうなのでしょうか。

Le Tensorer氏:
 もともとは,ヘイベール(干し草を俵やブロック状にまとめたもの)をどれだけの時間で積むことができるかといった対戦を,プレイヤーが自分達でやり始めていたことがきっかけだったんです。
 そういうのがコミュニティ内で盛り上がっているのであれば,それを我々がサポートしてあげようと。それで今年1月に,Faming Simulator Leagueの発足をアナウンスし,リーグ形式によるトーナメントを開催することになりました。まだ日程などはアナウンスしていませんが,ヨーロッパの参加者をメインに,しっかりとユニフォームも作って行う予定です。日本からも参加したいというグループがいればいいのですが。

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4Gamer:
 本当ですね。イベントも自主運営されるんですか。

Le Tensorer氏:
 そうです。IntelやLogitechといったメーカーからのスポンサーも取り付けて,賞金総額25万ユーロ(約3150万円)レベルでのリーグトーナメントになります。GIANTS Softwareでは,2016年から「FarmCon」という,ゲームファンやモッダーを集めたイベントも開催しているのですが,これも1000人規模のイベントに成長しているんです。
 こうしたeスポーツやファンイベントなどは,コミュニティへの恩返しというか,サービスの延長線上のものというのが,我々の考えているところなのです。

4Gamer:
 「Farming Simulator」シリーズの成功を受けて,ほかのジャンルの作品を作ろうというような計画はありませんか。

Sodoyer氏:
 現在,GIANTS Softwareには3つのスタジオがありますが,それらが力を合わせて1つの作品を作っている状態です。10年以上にも及ぶ「Farming Simulator」シリーズの継続で,農業専門家を雇用したりしていますし,その状態からまったく新しい作品を生み出していくというのは,我々の規模のメーカーではあまり現実的ではないかもしれません。

4Gamer:
 なるほど。そうした安定した基盤の中でゲーム開発をしているのですね。最近は農業シミュレーションというジャンルに参加するほかのメーカーも現れていますね。

Le Tensorer氏:
 同ジャンル内での競合は,市場の活性化という意味でも悪いことではありませんが,実際のところ競合といえるレベルの作品は,今のところないと思います。我々も,グラフィックスを向上させるなど努力していますし,さらに80社を超える農機メーカーと提携できているという強みもあります。
 1作目の「Farming Simulator」では,Fendt一社だけだったのですけど,今では多くのメーカーさんが自分達の農機のショールーム的な役割を持っている作品だと感じられているんじゃないでしょうか。その結果として,日本のコマツさんとも提携していますが,最近ではカナダを拠点にするAnderson Groupとの協力で生まれた最新DLCもリリースしました。

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DLCがリリースされたばかりのAnderson Groupと言えば,ヘイベールを作る農具で業界内では知られた存在だが,最近ではIT化も推し進めるなどハイテク農業従事者の熱い視線を浴びているという
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4Gamer:
 そういう国際化の中で,例えば日本に適した小規模の農業への対応といったことは考えていますか。手で押すタイプの農耕機具を導入したり,丘陵地で棚田やみかんを栽培したり……。

Sodoyer氏:
 十分にあり得る話ですね。日本を含むアジア地域で,どうしてまだシリーズが大きく飛躍できていないのかは,我々の対応不足も一因であるとは認識しています。「Farming Simulator 19」では,地形エディターもフィーチャーしていますので,日本のゲーマーやモッダーに立ち上がっていただいて,どんな作品を求めているのかを示してもらいたいですね。もちろん,どこかの独立系開発会社に参加していただくというのも我々は歓迎します。

4Gamer:
 ありがとうございました。モバイル版のアナウンスも楽しみにしています。

「スタチューを作ってもらうのに,スーパーパワーなんて必要はないんだぜ!」とゲームのトレイラーにフィーチャーされている農夫キャラクターが言っているのかどうかは知らない
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