レビュー
PS4用ソフト「The Surge 2」日本語版のプレイレポート。強化外骨格に身を包んで,敵を切り刻んでいくハードコアなアクションRPG
強化外骨格による迫力のバトル
本作は,ドイツのデベロッパであるDeck13 Interactiveが開発したアクションRPG。海外では2019年9月にPCとPS4で発売されており,今回紹介するのはPS4用の日本語版だ。「DARK SOULS」から強く影響を受けた,いわゆる“ソウルライク”ゲームで,機械仕掛けの鎧のような強化外骨格「EXO-RIG」を装備して戦うSF的な世界観,そして敵の部位を切断してEXO-RIGパーツを手に入れるという荒々しい雰囲気が大きな特徴といえる。
前作の「The Surge」(PC / PS4 / Xbox One)から2年ぶりの続編となるが,主人公や舞台は新しいものになっている。
主人公はハイテク都市「ジェリコシティ」への旅の途中に飛行機事故に遭い,昏睡状態に陥ってしまう。夢の中で見た幻影の少女に助けられ,目覚めた主人公が見たものは,廃墟となったジェリコシティの姿。ならず者や傭兵,そして謎の怪物が襲いかかってくる中,主人公は生き残るために武器を取る。
本作の難度は高めの印象だ。敵を倒して「テックスクラップ」を手に入れ,ジェリコシティの各所にある「メッドベイ」で回復やレベルアップなどを行う。敵に倒されると,所持していたテックスクラップはその場に残るので,後で回収しに行かなければならない。テックスクラップ=ソウル,メッドベイ=篝火というわけで,この辺りの流れはDARK SOULSが好きな人ならすぐに飲み込めるだろう。
本作のハイライトとなるのが,敵味方がEXO-RIGを駆使して戦うバトルにある。「スタミナ」を消費して攻撃や回避を行うところは,ほかのソウルライクと同様だ。しかし,「ターゲティングシステム」と「切断」による部位破壊に加え,相手の攻撃を見切って弾く「パリィ」,攻撃と回復のリソースを統合し,攻めるほどに回復する機会が増える「バッテリー」といったシステムにより,オリジナリティのあるバトルが楽しめる。
EXO-RIGは装備することで人間の力を増幅させるが,主人公も敵もこれを装備している。頭,胴体,右腕,左腕,右足,左足と6部位のEXO-RIGがあり,全身をEXO-RIGで固めた重装備の者もいれば,頭と胴に装着しているが脚には何も着けていなかったり,ほとんど生身のままで戦う者もいたりと,装備状況はまちまちだ。そのため,戦うときは敵がどの部位にEXO-RIGを装着しているかをチェックし,その時の目的や状況に応じて狙う部位を変えるのがポイントとなる。
本作には,[R3]ボタンで敵をロックオンし,さらに右スティックを動かして狙う部位を選ぶ「ターゲティングシステム」が用意されている。敵を倒すだけであれば,当然,EXO-RIGのない生身の部位に攻撃するのが有効だ。戦力をさらに強化したければ,EXO-RIGや武器を装備している部位を狙い,「切断」してとどめを刺すことで,これらを奪うこともできる。
切断は,攻撃を当てて部位の耐久力をすべて奪ったあと,[□]ボタンを長押しすることで,後述するバッテリーを消費して発動する。武器や部位によって切断のモーションは異なるが,首を切り飛ばしたり,槍を突き刺した後にテコの原理で腕をねじ切ったり,滅多突きしてから胴体を両断したりと,さすがZ指定なゴア加減だ。
敵は基本的に人間なので血の色も赤く,体が欠損した死体や切断された部位がその場にしばらく残ったりもするため,こういった表現が苦手な人は気をつけておいたほうがいいだろう。
攻撃は,[R1]ボタンで水平攻撃,[R2]トリガーで垂直攻撃となり,入力の組み合わせで「クロスコンボ」が発動する。たとえば,[R1]ボタン→[R2]トリガー(2回)は動きが鈍いもののEXO-RIGで装甲された部位に大ダメージを与えることができ,[R2]トリガー→[R1]ボタン(2回)は生身の部位に有効な攻撃になるなどコンボの特性が異なるため,状況に応じて使い分けるのが重要だ。
敵もEXO-RIGを装備しており,光学迷彩で透明化したり,ドローンと連係攻撃をしてきたり,地雷を仕掛けてきたりとなかなか手強い。こうした敵に効果的なのが「パリィ」だ。パリィは,攻撃を防ぐガード状態から敵が攻撃してくる方向に合わせ,タイミング良く右スティックを入れることで攻撃を弾ける。成功すると後述するバッテリーゲージが溜まるうえ,敵に大きな隙ができるため,攻め込んだり,切断でとどめを刺すといったチャンスが生まれる。
パリィのタイミングは攻撃によって異なるものの,動きがゆっくりなものほど弾きやすくなり,散々苦戦させられた敵でも,繰り返し挑戦してタイミングを体得できたときの達成感はたまらない。
こうしたバトルをさらに戦術的にしているのが,ここまで何度か触れている「バッテリー」のシステムだ。これは,敵に攻撃を当てるとバッテリーゲージが蓄積されていき,これを消費して切断や回復を行うものだ。
特に重要なのが回復で,ソウルライクゲームの多くは拠点に行けば回復の使用回数が満タンになされるが,本作では自分でバッテリーゲージを消費して回復チャージを行いながら使用回数を増やしていくことになる。DARK SOULSでいう「エスト瓶」,PS4用アクションRPG「仁王」ならば「仙薬」の数を戦闘中に溜まるゲージで増やしていくというイメージだ。
前作にも似たシステムはあったが,本作では回復アイテムのすべてがこのような自力チャージ型に統一されており,攻めるほどに回復のチャンスが生まれるようになっている。普通なら大ダメージを食らうと萎縮してしまうが,ある程度動きを理解した敵であれば,多少攻撃を食らってもアグレッシブに攻め込んで回復させるといった戦い方ができる。もし,追い込まれてしまっても,前述のパリィから連続攻撃を決めて,溜まったバッテリーゲージで一気に回復させるという逆転劇も夢ではない。
“ソウルライク”を研究したシステムが独特のプレイ感を生み出す
敵に切断でとどめを刺すことで,武器ならばそのまま現物が,EXO-RIGならば「設計図」が手に入る。人間型の中ボスは特殊な武器を持っているため,武器を持っている右腕を切断することで,その武器が手に入るわけだ。また,設計図があればメッドベイで敵が着けていたものと同じ部位のEXO-RIGを作れるので,戦力をさらに高められる。
また,EXO-RIGは前作では,全身を同じシリーズで揃えないと「セット効果」が発揮されなかったが,本作では3つの部位を揃えればセット効果が得られる。また,異なるシリーズのEXO-RIGを混ぜてセット効果を2つ得ることもできるので,セット効果の選択肢が大きく増えている。
EXO-RIGのデザインは,建機やミリタリーな雰囲気が漂うもの,SF映画に出てきそうなもの,なぜか銅像を模したものまでさまざまだ。また,EXO-RIGには機動力に優れた「オペレーター」,防御力が高いが回避の際にスタミナを多く消費する「ゴリアテ」,バランス型の「センチネル」という3タイプがあるため,デザインや自分の戦術に応じて選ぶといいだろう。
すでに所持しているEXO-RIGを切断した場合も,その部位に対応した「コンポーネント」(強化用の素材)として使用でき,どのタイプのEXO-RIGにも使えるため,どんどん手に入れても無駄にはならない。
本作は,ソウルライクなゲームを研究したうえで作られているということが強く感じられる。高難度のソウルライクでは,何度もボスに倒されながら繰り返しチャレンジすることも少なくないが,その際にセーブポイントからボスまでの途上にいる雑魚さえもわずらわしく感じることも多い。しかし,本作では雑魚の生身部位をロックオンすることでサクサクと倒せるので,そういったわずらわしさやイライラは起こりにくくなっている。
また,武器や設計図,コンポーネントが欲しいときは,切断さえできれば確実にほしいものが手に入るため,“ドロップ運”に泣かされることもないのが嬉しい。しかも,切断するたびに敵から入手できるテックスクラップ量の倍率が上がるので,気付いたら驚くほどのテックスクラップを稼げていることもあった。この倍率はメッドベイに戻るとリセットされてしまうので,危険を冒して先へ進んでさらに稼ぐか,それとも引き返すかという,ソウルライクでお馴染みの緊張感が増している。
さらに,倒されると所持していたテックスクラップがその場に放置されるが,そのテックスクラップに特殊な回復効果があるのも面白いところだ。テックスクラップの周囲に近づくと体力がゆっくり回復していくのに加え,回収すれば完全回復の効果が得られる。ギリギリの接戦をこの回復のおかげで勝てたということも珍しくなく,ボスが強くて何度やり直すことになったとしても,モチベーションを失うことなく再挑戦できるわけだ。
本作は独特の魅力に溢れている。状況に合わせて狙う部位を変えて攻撃したり,パリィをうまく使って敵を倒せれば気分爽快。全身にEXO-RIGを装着し,建機のような武器で敵の四肢を切断する様は,SF的であると同時に荒々しいものがあり,刺さる人には深く刺さるだろう。高難度のゲームやソウルライクが好きな人,SFやバイオレンスな世界観に惹かれる人であれば充分楽しめると思うので,ぜひ挑戦してみてほしい。
「The Surge 2」公式サイト
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