インタビュー
“新生”を遂げる「ガンダムヒーローズ」のキーマンにインタビュー。「チーム」をキーワードに,素早い決断で巻き返しを図る
2018年4月のサービス開始直後に方針の転換を決断し,3か月目の「新生」で巻き返しを図る本作は,一体どのようになるのか。ゼネラルプロデューサーの近藤貴浩氏と「新生」アップデート担当プロデューサーの清水康友氏に詳しく話を聞いた。
3か月目の新生。ユーザーの不満を受け,システムを見直す
4Gamer:
今年4月にサービスが始まってから,3か月ほど経ちました。「新生」を謳うにはかなり早いタイミングだと思いますが,サービス開始から何が起きていたのでしょうか。
4月のサービス開始直後から,ゲーム側のデータでは,ユーザーの皆さまが満足されていないのではないかというデータが出ていました。先行してやり込んでいた方と,後からプレイを始めた方に大きな格差が生まれ,継続率が低くなっていたんです。
4Gamer:
それは,対戦に負けたユーザーがゲームを続けなかったということでしょうか。
清水康友氏(以下,清水氏):
大差で負けてしまい,モチベーションが継続できなかった方が多く出たということです。マッチングもうまく機能しておらず,始めたばかりの「伍長」と最高位の「元帥」が当たるようなこともありました。
近藤氏:
私たちとしては,1人用の「チャレンジクエスト」で十分経験を積み,ユニットを手に入れて戦力が整ったら対戦に挑む……という流れを想定していました。
しかし,我々が対戦を強調した見せ方をしてしまっていたことから,ユーザーはすぐに対戦を始めていたんです。1日目にチャレンジクエストを遊んで満足した方が,2日目に対戦で負けてしまってゲームを止めるといったように,翌々日から継続率が,がくんと落ちていました。
1人用コンテンツと対戦で,メリハリを付けた運営ができていなかったということですね。ヘビーゲーマーの方にはコンセプトをご理解いただけていても,多くのプレイヤーが満足できるものではありませんでした。そこで4月下旬から急きょ,見直しを行うことにして,7月26日の実装に向けて集中的な開発を進めてきました。
4Gamer:
では,今回の新生アップデートは当初のロードマップに予定されていたものではないと。
近藤氏:
はい。予定していたものを前倒しで実装したわけではなく,新しく開発したものです。開発を担当しているコーエーテクモゲームスのメンバーと,我々全員で自分たちが1度作ったものにダメ出しをしました。その上でお客様の立場になって何が悪かったのかを数日間に渡り両社で検討し,詰めていきました。
4Gamer:
もともとのロードマップだと,7月時点ではどういった施策が予定されていたんでしょうか。
近藤氏:
大会モードですね。
清水氏:
しかし,多くのユーザーからは「自分たちがやりたいのは,強い人だけが集まるゲームではない。みんなで楽しめるものなんだ」という声が寄せられていました。
つまり,皆で切磋琢磨をしたいのであって,「ガンダム・ザ・ガンダム」(※)になりたいわけではない。ユーザーはワイワイと楽しみたいと思っていたわけです。
※アニメ「機動武闘伝Gガンダム」で,武闘大会の優勝者に与えられる称号。各コロニー国家から数多くのガンダムが集って互いに戦い,最後に生き残った1人がこの名で称えられる
近藤氏:
ガンダムファンは,連邦好きやジオン好きなどの仲間で盛り上がりたいというニーズをお持ちです。しかし,いざガンダムヒーローズのサービスを開始してみると,お客様の話題は「対戦での勝敗」や「どんなユニットを手に入れたか」に終始していました。つまり,私たちの認識とガンダムファンやプレイヤーが求めるものの認識がずれていたということなのだと思います。
「エリアバトル」はチームで協力しつつ,マップを攻略していくPvE
4Gamer:
では,新生アップデートの見どころをお願いします。
近藤氏:
今回の新生アップデートでは,ユーザーが集まって作る「チーム」がキーワードになります。チーム単位で参加するPvEイベント「エリアバトル」と,対戦イベント「ヒーローズバトル」が2週間ごとに入れ替わりで開催され,チームメンバーが協力し合いながら戦っていきます。
4Gamer:
これまでは対戦がメインでしたが,今後はCPUと戦うPvEイベントも行われると。
まずはエリアバトルについて詳しく教えてください。
近藤氏:
「エリア」というマスが集まって構成されたマップを,チームメンバーが力を合わせて攻略していくコンテンツです。それぞれのエリアには,「先鋒」「遊撃」「後衛」などユニットタイプにあわせた敵が設定されており,これを倒すことで,マップのどこかにボスが登場します。現れたボスを一定数倒すことでクリアとなり,次のマップに進んでいきます。
また対戦ステージについても,今まであえて明言を避けてきていたステージ名をガンダムのモチーフに寄せて修正するほか,マップ名称などもできるところから徐々にガンダムの世界観が感じられるものに修正していく予定です。
4Gamer:
エリアの攻略状況は自チーム内で共有されるのでしょうか。それとも複数チームが攻略を競い合う方式ですか。
近藤氏:
自チーム内で共有します。他のチームは関係ありません。ボスのHPを削りきれなかった際に,同じチームのメンバーが引き継いでトドメを刺すといった協力プレイがポイントとなります。
4Gamer:
1人プレイはできないのでしょうか。
近藤氏:
1人でも攻略できなくはないでしょうが,かなり難しいと思います。
4Gamer:
「ガンダム」シリーズには,ビグ・ザムやシャンブロといった大型のユニットも登場します。これらがエリアのボスで登場する予定はありますか。
清水氏:
実装時点では登場しませんが,今後のアップデートでは大型ユニットを増やしていこうと考えています。ビグ・ザムだけが出てくるエリアなど,面白いステージを実装していければいいですね。
チームの皆で報酬をランクアップさせていく「ヒーローズバトル」
4Gamer:
新しい対戦コンテンツとなるヒーローズバトルはどういったものでしょうか。
近藤氏:
ヒーローズバトルの試合形式はこれまでのランクマッチと同様ですが,目玉は2週間の会期終了時に「ヒーローズボックス」を開封できることです。
まず,試合をすると,勝ち負けにかかわらず撃破数が「ポイント」に換算されます。チーム全員分のポイントが集計され,その量に応じてボックスのグレードと報酬がどんどんアップしていくというものです。ランクマッチのように勝敗だけではなく,参加することに意義があるという別の評価軸を今回導入しています。
清水氏:
ヒーローズボックスの中からは限定のユニットや強化素材,パイロットなどプレイの役に立つものが出てくる予定です。
4Gamer:
なるほど。撃破数を稼げればヒーローズボックスのグレードアップに協力できるので,たとえ負けてもモチベーションの低下にはつながりにくいと。
近藤氏:
負けても「無駄死にではないぞ!」というわけですね。「勝利」にこだわるよりまずは「ゲームを楽しみ,親しんでほしい」というメッセージを込めました。
4Gamer:
ガンダムヒーローズには「ボール部隊」や「ジム」など,複数のユニットが1部隊として扱われているユニットが存在します。この場合,撃破数はどう換算されるんでしょう。
近藤氏:
1機ごとにポイントがもらえます。ボール部隊は9機のボールが集まっているので9機分のポイントですね。「相手にポイントを稼がせたくないから単体のユニットを使っていこう」というように,デッキの作り方も変わっていくかもしれません。
4Gamer:
こちらもエリアバトルと同様に,人数が多いチームが有利になるのでしょうか。
はい,アクティブな人がチームにいればいるほど,ヒーローズボックスのグレードは上がりやすくなります。
4Gamer:
仲間の頑張りでボックスがグレードアップしていくのを見ると,開けるのが楽しみになりそうですね。
同じチームの仲間とはマッチングするのでしょうか。
近藤氏:
タイミングによりマッチングする可能性があります。階級差が離れすぎている場合などはマッチングしませんが,近いレベルのプレイヤー同士では発生します。マッチングの整備は今後も対応を進めていく予定です。
また,バトルにメリハリを付ける施策も考えているところです。現在,残り時間が1分を切るとエネルギーの回復速度が上がり,次々にユニットを出せるようになる「HERO RUSH」が発生するのですが,これが常に発動しているステージなどを構想しています。
4Gamer:
いろいろな試合形式があれば,それだけ変化に富んだ対戦が楽しめそうですね。今後実装される予定のユニットについても聞かせてください。
近藤氏:
詳しくは言えませんが,“今までのシリーズになかったもの”が実装されるかもしれませんので楽しみにしていてください。「え,そういうユニットも出るの!?」と驚いていただけるかと。
4Gamer:
それは楽しみですね。
新規実装に関しては,実装を予定している新しいユニットをひと足先にお試し体験できる「お試しクエスト」を導入します。
すでにゲーム内では「リック・ディアス(赤)」や「百式」について、「トライアルクエスト」という形でお試しいただける場所を用意しておりますが,今後はもう少し早いタイミングで展開できるように準備中です。
また,新ユニットを試した際の感想やご意見は,正式実装時の参考にして,必要であれば調整をかけることも考えています。
4Gamer:
ユーザー参加型の事前テストという感じですか。実際にプレイしたうえでの意見を反映するので,バランスに関する問題が起こりにくくなると。
それでは,最後にガンダムヒーローズの新生を楽しみにしている読者にメッセージをお願いします。
近藤氏:
今回の新生アップデートでは,みんなで協力する“ガンダムらしさ”を主体にしました。みんなでワイワイしながら,切磋琢磨していくのが好きな人に遊んでいただきたいです。
7月26日以降には,ガンダムファンなら必ず喜んでいただけるキャンペーンを予定しています。また,クライアントをインストールすることなくゲームを体験できる施策も行いますので,ぜひ試してみてください。
4Gamer:
本日はありがとうございました。
ガンダムヒーローズは,4月9日にサービスを開始し,同月下旬には全体的な見直しを図っている。ユーザーの動向がデータとしてダイレクトに取得できるオンラインゲームならではの施策と言えるだろう。
チームの協力プレイがカギを握るPvEのエリアバトル,勝ち負け以外に撃破数という評価軸で報酬を得られるヒーローズバトルを実装し,仕切り直しを図る本作。どのように“新生”するのか,今後の動向に注目だ。
「新生」アップデート カウントダウンサイト
「ガンダムヒーローズ」公式サイト
- 関連タイトル:
ガンダムヒーローズ
- この記事のURL:
(C)創通・サンライズ (C)創通・サンライズ・MBS