インタビュー
「キャサリン・フルボディ」のイメージソングを担当した「SEKAI NO OWARI」のDJ LOVEさんがアトラスを訪問! 橋野 桂氏とゲームをプレイし,コラボの経緯を語る
発表後の2月某日,SEKAI NO OWARIのメンバーで,自身も熱心なゲーマーであるというDJ LOVEさんが,「キャサリン・フルボディ」を制作したアトラスの「スタジオ・ゼロ」を訪問するということで,4Gamerもそれに同行させてもらった。DJ LOVEさんと,スタジオ・ゼロのプロデューサー/ディレクターで「キャサリン」(PS3 / Xbox360)を手掛けた橋野 桂氏に,「キャサリン・フルボディ」への思いやコラボレーションの経緯などを聞いてきたので,その模様をお届けしよう。
「キャサリン・フルボディ」公式サイト
「SEKAI NO OWARI」公式サイト
「キャサリン」にぴったりだよね――
バンドからの発信で生まれたコラボレーション
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
SEKAI NO OWARIの楽曲が「キャサリン・フルボディ」のイメージソングに採用されたということで,その経緯をお聞きしたいのですが,その前に……。
開発現場を見学している際の会話や,先ほどゲームをプレイしている姿から,DJ LOVEさんは相当のゲーマーだとお見受けしました。まずはDJ LOVEさんのゲーム歴を聞かせてください。
橋野 桂氏(以下,橋野氏):
気になりますよね。DJ LOVEさんと話していたとき,「女神転生」と「真・女神転生」をきちんと別のタイトルと捉えてお話されていたんですよ。混同する人も少なくないので,アトラスとしてはこれがけっこう嬉しいんです。「この人はちゃんと知っている人だ」と(笑)。
4Gamer:
初めて知ったアトラスのタイトルはなんだったのでしょう。
DJ LOVEさん:
一番最初の記憶は,8歳上の兄がファミコンで「女神転生」(※)をプレイしていたことです。たしか兄はそれをクリアできず,次に「女神転生II」を始めたと思うんですが,そんな兄がプレイする姿を見たり,攻略本の悪魔図鑑を眺めたりしていたことを覚えています。
※FC用ソフト「女神転生」と「女神転生II」は,開発をアトラス,販売をナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)がそれぞれ担当している
橋野氏:
お兄さんに影響されたんですか。
DJ LOVEさん:
ゲームに限らず趣味全般において,兄の影響は大きいかもしれません。「女神転生」にしても,兄が持っていたから“当たり前にそこにあった”という感じでした。
4Gamer:
なるほど。では,一番最初にプレイしたゲームは覚えていますか。
DJ LOVEさん:
最初にクリアしたのは「ドンキーコングJR.」でした。
橋野氏:
それは年齢的におかしい(笑)。まだ30代前半ですよね?
DJ LOVEさん:
あと覚えているのは,初代「ドラゴンクエスト」を3歳か4歳のころに遊び始めたことですね。まだ小さくて,東西南北も分かっていなかったので,遠くには行けず近場の洞窟でモンスターを狩るだけの勇者でした(笑)。
橋野氏:
4歳で「ドラゴンクエスト」ですか!? それはすごい。
DJ LOVEさん:
ひらがなで何かが書いてあるのは分かるけど,それが何を意味しているのか分からなかったですね(笑)。あと,こちらは記憶にないんですけれども,どうやら兄の「ドラゴンクエストIII」のデータを消してしまったらしいです。
4Gamer:
それは恨まれたでしょう……。
DJ LOVEさん:
ええ。たしか兄は,そのせいで「ドラゴンクエストIII」をクリアできていないはずです。本人の話だと,ゾーマの手前まで行っていたとか。
4Gamer:
DJ LOVEさんの人生のかたわらには,ずっとゲームがあったという感じでしょうか。
DJ LOVEさん:
バンドを始めたばかりでお金のないときですが,少しゲームから離れた時期がありました。でも,「ペルソナ」シリーズは「ペルソナ3フェス」「ペルソナ4」「ペルソナ5」と,ちゃんと追いかけられていて。あらためて振り返ると,ゲームから離れていたときがちょうど「ペルソナ」のナンバリングタイトルが出ていない時期だったんですよ。
4Gamer:
ほかには,どんなジャンルのゲームをよくプレイしているのでしょうか。
DJ LOVEさん:
広く浅くという感じですが,いろいろなジャンルのゲームをプレイします。最近クリアしたのは「JUDGE EYES:死神の遺言」ですね。サイドクエストを終わらせたうえでエンディングを見ました。「DARK SOULS」や「Bloodborne」のようなタイトルも好きですし,トロフィーのコンプリートを狙うことも多いですね。
4Gamer:
広く浅くと言いつつ,やり込み度の高いタイトル名が挙ったり,トロフィーコンプを狙いに行くというあたり,やはりけっこうなゲーマーという感じがします。
橋野氏:
今回のコラボの打ち合わせで,「よかったら,メンバーの皆さんでプレイしてみてください」と,マネージャーの方にサンプルとして「ドラゴンズクラウン・プロ」をお渡ししたんですよ。
そのあとすぐに返信があり,何だろうと思って読んでみたら「もうプレイ済みでした」というメールで(笑)。「このゲームをプレイしているなんて,なかなかのゲーマーだな」と思いました。
4Gamer:
さまざまなジャンルのゲームを遊んできたとのことですが,「キャサリン」はプレイしたことがなかったそうですね。
DJ LOVEさん:
はい。バンドメンバーが遊んでいるのを後ろから見ていただけで,自分ではちゃんとプレイしていないんです。
4Gamer:
ご自身がゲーマーで,コラボも決まったタイトルと考えると意外ですが,なぜこれまでプレイしていなかったのでしょうか。
DJ LOVEさん:
僕がゲームを好きすぎるからだと思うのですが,先に何か情報を入れてしまうと,そのゲームに手放しで入り込めなくなってしまうんです。例えばストーリーを先に聞いてしまうと,「ああ,自分でプレイして知りたかった」と思ってしまう。
そういった意味で「キャサリン」は,関心がありながら長らく「やり残したゲーム」になっていたんです。なので,「キャサリン・フルボディ」が出ると聞いたときは,本当に嬉しかったですね。「今度こそプレイできる!」と。
橋野氏:
DJ LOVEさんのような方に,「キャサリン・フルボディ」はピッタリなんですよ。あと,名前と評判は聞いたことがあるけど,ほかのゲームをプレイしていて手を出せず……みたいな人にも,ぜひこの機会にプレイしてほしいです。
4Gamer:
当時「難しい」という噂が先行して,手を出せなかった人もいたかと思いますが,そういう人たちが新たにトライするチャンスにもなりそうです。
そんなDJ LOVEさんですが,今回このようにゲーム開発の現場を見学したのは初めてでしょうか。その感想を聞かせてください。
DJ LOVEさん:
もちろん初めてのことで,本当にビックリしました。プログラムの詳しいことは分かりませんが,「ああ,本当にこうやってできているんだ」って。
あと,オフィスの中が綺麗で静かだなと思いました。よくメディアの記事に,「締切が差し迫ってくると阿鼻叫喚」「床で寝ている人がいる」みたいな描写があるじゃないですか。そういうイメージが勝手に出来上がっていたので,意外でした。
橋野氏:
確かに前のオフィスでは,鉄の扉にお札が張られていたり,怪現象が起きたりもしましたが(※),新しいところに移って日が浅いというのもあり,いまは整然としています。
アトラスの作風から“カオスな空間”を期待されていたとしたら,申し訳ないです(笑)。
※お札や怪現象に関する“噂”については,2017年8月掲載の橋野 桂氏×マフィア梶田対談の前編(記事リンク)や「真・女神転生V」成功祈願での山井一千氏インタビュー(記事リンク)でも語られているので,気になる人はこちらも一読してほしい
DJ LOVEさん:
おっしゃるとおりで,“悪魔的な何か”が飾ってあるんじゃないかと思っていました。
橋野氏:
いまは怪現象が起きることなく,落ち着いていますよ(笑)。カオスといえば,アーティストの皆さんの現場も相当なんじゃないかなと勝手に想像しているんですが,実際のところはどうなんでしょう。
イメージソングとなっている「Re:set」がまさにそんな感じの曲ですが,アーティストこそ「昼も夜もない」みたいなイメージがあるじゃないですか。
DJ LOVEさん:
それほどカオスではないですよ。うちのバンドの場合だと,きちんと時間を決めて,スケジュールどおりに作業を進めていますし,けっこう早めに終わらせることもあるんです。
4Gamer:
お話に出たので,本題であるコラボについてお聞きしたいと思います。まずは企画の発端について教えてもらえますか。
DJ LOVEさん:
最初にマネージャーが「Re:set」を,ゲームのプロモーションで使ってもらえないだろうかと言ったんです。そこでFukaseが,「昔遊んでいた『キャサリン』が,この曲のイメージにピッタリだよね」と言い出して。その会話を聞いた僕が「キャサリン・フルボディ」が発売されることを思い出し,マネージャーに進言したのが始まりでした。
4Gamer:
マネージャーやFukaseさんは「キャサリン・フルボディ」のことを知らずに話をされていたんですか。なかなかの偶然ですね。
橋野氏:
そこからアトラスに連絡が来たんです。「メンバーの間で『キャサリン』が盛り上がっている」と聞いて嬉しかった半面,言葉は悪いのですが半信半疑なところもありました。
4Gamer:
それはどのあたりでしょうか。
橋野氏:
本当に作品に合っているのか,ですね。「キャサリン」の世界観は曲調を選ぶというか,いわゆるラブソングみたいなものは合いません。でも実際に「Re:set」を聴いてみたら,ゲームで描かれている“悪夢”と“苦悩”にすごく合っていて,歌詞も刺激的でカッコよかったんです。
あらためて「これは本当に『キャサリン・フルボディ』に合うと思って提案してくれたんだ」と分かって嬉しかったですね。そこから「ではやりましょう」となりました。ただ,この話が動いたのがマスターアップ直前だったので,開発現場はワタワタしましたけど。
DJ LOVEさん:
マネージャーに提案した時点で,すでに発売日も発表されていましたから。なのでマネージャーに話す時点でも,「間に合うかどうか,本当に分からないけど」と伝えていました。
4Gamer:
それが無事に間に合って,コラボ実現に至ったと。「Re:set」は,どういった形でプロモーションに使われているのでしょうか。
橋野氏:
もともとはPR用のムービーなどで使おうという話だったんですが,せっかく世界観がバッチリ合っているので,もう少しゲームに反映できないかといろいろ考えました。
そこで,タイトルループで楽曲を使おうと。最近はタイトルループを作ることも少なくなっていて,どうしようか迷っていたタイミングでもあったんです。今回は「この曲もあるんだしやってみよう」と。
4Gamer:
つまり,ゲームを立ち上げて「PRESS ANY BUTTON」の画面で何もボタンを押さずにいると,「Re:set」を聴けるというわけですね。コラボ発表時に「Re:set」を使用したPVが公開されましたが,あの映像が流れるのでしょうか。
橋野氏:
いえ。新規でタイトルループ用に制作したものとなるので,楽しみにしてください。
DJ LOVEさん:
すごく嬉しいです。
4Gamer:
そんな「キャサリン・フルボディ」が間もなく発売されますが,バンドの皆さんはどのような思いでしょうか。
DJ LOVEさん:
もちろん期待しています。僕個人としても,発売日の深夜0:00になったら即遊べる体制を整えているんですが,当日は皆で集まって一緒に遊ぶ予定です。
4Gamer:
発売当日に遊べる準備がしっかりできているんですね(笑)。こういったプレイヤーはたくさんいるのかなと思うのですが,橋野さんが「ここを楽しんでほしい」というポイントはありますか。
橋野氏:
パズルが苦手な方や難しくて解けないという方向けに難度「Safety」を用意し,どなたでもストーリーを楽しめるようにしたのですが,やはり高難度のパズルにも挑んでいただきたいなと。昔のゲームって,容赦なく難しいものがあったじゃないですか。あの感覚で楽しんでほしいんです。
DJ LOVEさん:
確かにファミコンの時代のゲームなんかは,「こんなのクリアできるわけない」ってくらい難しいものが多かったですね。
橋野氏:
そうそう,そんな感覚をちびちびと味わってほしいんですよ。まだお若いDJ LOVEさんと,ファミコン時代の話をするのも不思議な感じですが(笑)。
DJ LOVEさん:
ゲーマーとしてSafetyは選びづらいですよね。せめて難度「Normal」で挑みたいと思います。……ただアトラスのゲームですから,1つ下げて「Easy」を選ぶかもしれません。
橋野氏:
アトラスのゲームは基本的に難度が高いから,EasyをほかのゲームのNormal相当と捉えてもらっていいと思います(笑)。
4Gamer:
試遊中にDJ LOVEさんは,奥様と一緒にゲームをプレイすることも多いと話されていました。「キャサリン・フルボディ」って,夫婦で遊ぶうえで不安な部分はありませんか。男女関係や恋愛観に関する,なかなか際どい選択を求められたりするゲームですし……。
DJ LOVEさん:
うーん,もしかすると気まずくなるかもしれませんが(笑),ゲーム好きとして「やらないわけにはいかないだろう」という気持ちですね。たぶん,一緒にワイワイ楽しめると思います。
4Gamer:
最後に,橋野さんから「キャサリン・フルボディ」に注目している人に向けて,メッセージをお願いします。
橋野氏:
オトナな物語やセクシーな雰囲気が気になるという方や,最近あまりないパズルアクションに挑戦したいという方など,どのような形で入っても楽しめるゲームに仕上がっています。興味を持っていただけると嬉しいです。
4Gamer:
ありがとうございました。
「SEKAI NO OWARI」公式プロフィール
2010年,突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。同年4月1stアルバム「EARTH」をリリース後,2011年8月にTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感,テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で,子供から大人まで幅広いリスナーにアプローチ,「セカオワ現象」とも呼ばれる加速度的なスピード感で認知を拡大する。
2015年アルバム「Tree」をリリース,同年,日本最大規模の会場日産スタジアムにて「Twilight City」,2016年アリーナツアー「The Dinner」,2017年ドーム・スタジアムツアー「タルカス」を完遂。
2018年,その圧倒的なスケールで彼らのライブエンターテインメントを世の中に知らしめた野外ライブの全国版「INSOMNIA TRAIN」を開催。また,同年2月平昌オリンピック・パラリンピックNHK放送テーマソング「サザンカ」を担当。
2019年,約4年振りのアルバムを3枚リリースすることを発表。SEKAI NO OWARI として,「Eye」と「Lip」を2枚同時リリース,またEnd of the Worldとしての1stアルバム「Chameleon」を新春にリリース。
名実ともに,日本を代表するグループとなったSEKAI NO OWARI。新しい音楽シーンの最前線の旗手として,止まることなく,攻め続ける新世代の才能である。
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