インタビュー
「ブレイドアンドソウル レボリューション」日本運営プロデューサーにインタビュー。ネットマーブルがMMORPGで起こす第2の“革命”とは
本作は,現在も好評サービス中のPC向けMMORPG「ブレイドアンドソウル」(以下,PC版ブレソ)をもとに,スマホ向けの“再解釈”を行ったタイトルである。今回は日本運営プロデューサーを務める小林健吾氏に,ブレレボの主な見どころなどをたっぷり語ってもらった。「リネージュ2 レボリューション」(以下,リネレボ)に続いて,スマホ向けMMORPGで起こそうとしている第2の“革命”を,ぜひチェックしてほしい。
“レボリューション”を冠した第2のスマホ向けMMORPG
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。
まず最初に,小林プロデューサーがブレレボでどのような業務を行われているのかを教えてください。
ブレレボ 日本運営プロデューサー 小林健吾氏(以下,小林氏):
ちなみに,もともとはPC向けMMORPGに育てられたような人間です。MMORPG好きが高じてこの業界に入ったあとは,GM(ゲームマスター)業務などを担当してた時期もあります。
4Gamer:
そうだったんですね。
10月24日にブレレボの正式サービスが始まりますが,現在の率直な心境はいかがですか?
小林氏:
弊社にとってブレレボは,リネレボに続く“レボリューション”を冠した第2のタイトルです。それだけに,このタイトルを日本で展開することのプレッシャーをひしひしと感じています。
ブレレボは韓国ですでに配信されており,大きな実績を出していますが,だからといって日本でも受け入れられるとは限りません。いったいどうすればブレレボを日本で盛り上げられるのかを自問する毎日でした。
もっとも,ゲームシステムの完成度は自信があります。今回のインタビューを通じて,ブレレボならではの魅力を伝えさせていただければと。
4Gamer:
リネレボが日本で登場したときは大きなインパクトがありましたよね。個人的にも,あのタイトルが日本でヒットしたことで,スマホでMMORPGを遊ぶスタイルが完全に定着したように見えます。
小林氏:
ありがとうございます。
ただ,PC向けMMORPGにどっぷりハマった者としては,あの醍醐味が現在のスマホ向けMMORPGに完全に落とし込めているかというと,まだまだだと思います。デバイスが違うので,ある意味で仕方のないことかもしれませんが,今回のブレレボではこの問題に対し,いまいちど真正面から取り組みました。その結果,他のスマホ向けMMORPGにはない魅力をたくさん盛り込めているんです。
自動操作と手動操作のどちらもでもたっぷり楽しめる
4Gamer:
まずは,ブレイドアンドソウルの一番の見どころといえるバトルですが,ブレレボではどのように楽しめますか?
小林氏:
バトルに関しては,自動操作と手動操作で,それぞれ違った醍醐味を味わえます。
自動操作は要するにオートバトルですが,プレイヤーはAIに任せっきりというわけではありません。「連結武功」と呼ばれるシステムを採用しており,アクティブスキルによるコンボの順番を,プレイヤーが自由にカスタマイズできるんです。
また,連結武功に攻撃を任せつつ,プレイヤーキャラの移動や回避などをプレイヤーが操作することも可能です。こういった役割分担を行うことで,最適な間合いで連結武功のコンボを叩きこむために敵キャラとの間合いを計るなど,バトルの駆け引きを手軽に楽しめるんです。
4Gamer:
ブレイドアンドソウルのアクションはキレッキレなので,あれをフルオートで眺めるだけでも楽しめそうです。それとは別に,セミオート的な遊び方も選べると。
小林氏:
自動操作方面のシステムとしては,プレイヤーキャラがログアウトしているあいだに,擬似的にバトルを行って経験値や銀貨を稼いでくれる「オフライン自動狩り」のシステムも実装しています。1日あたりの時間は制限があるのですが,就寝前などに設定することを心がけていれば,会社勤めの人などでも着実に育成できますよ。
4Gamer:
それでは続いて,もう一方の手動操作ならではの醍醐味について教えてください。
小林氏:
手動操作は,とくにPvP系のコンテンツで強く求められるシステムです。その真骨頂といえるのは,1vs.1または2vs.2によるPvPを行う「比武」で,対戦格闘ゲームさながらのスリリングなバトルを味わえます。ワンボタンで比武のマッチングを行え,たとえ負けてもペナルティはないので,誰でも手軽かつ後腐れなく楽しめるんです。
さらに,ランキングなどに影響を及ぼさない「親善試合」というモードが用意されています。プレイヤーがその気になれば,比武を行うためのロビールームを作成して,そこに最多50名の観戦者を集めての大会を主催できるんです。このために対戦格闘ゲームっぽいUIも実装しているので,初めて観戦するときはきっと驚かれると思いますよ。
4Gamer:
たとえば,ゲーム内の広域チャットやSNSのハッシュタグなどで呼びかけることで,「小林P杯」みたいなイベントが突発的に開催できるわけですか。
小林氏:
そうですね(笑)。
ブレレボでは,ゲームプレイを進めることでキャラレベルの上昇や装備のアップグレードが行えますが,それ以上にプレイヤー自身の知識や操作テクニックが重要なゲームバランスになっています。それをもっとも実感できるコンテンツが,比武だと思いますね。
4Gamer:
エヌシージャパンはPC版ブレソで,比武による国際大会なども積極的に行っています。ブレレボではこういった方面の展開は予定されていますか?
小林氏:
まだ正式には決定はしていないのですが,個人的にはぜひやりたいですね。
実は,先日に開催したブレレボ公式番組「武極祭」では,“シーズン0”と題した比武の大会を行っているんです(※4Gamer関連記事)。このネーミングには,正式サービス開始後に“シーズン1”以降を開催したいという思いを込めているんですよ。
4Gamer:
ブレイドアンドソウルのプレイヤーキャラは,超人的な身のこなしによる「軽功」が行えますよね。PC版ブレソにおける軽功の操作システムはやや独特でしたが,ブレレボではどのようになっていますか。
小林氏:
軽功にちなんだ操作は,2つのボタンに集約されています。地上をものすごいスピードで駆けたり,大空を舞ったり,水上を走ったりといったダイナミックなアクションを,誰でも手軽に味わえますよ。
軽功はゲームの未経験者にとってイメージしにくいと思うので,公式サイト内に紹介用ページを用意しています。興味を持たれたかたは,「こちら」のページでぜひチェックしてください。
「軽功」紹介ページ(公式サイト内)
PC向けMMORPGならではコミュニティを追求
一期一会による雑談などが自然発生する「村」も
4Gamer:
小林氏:
コミュニティ方面のシステムですね。
記者さんはPC向けMMORPGの経験者として,従来のスマホ向けMMORPGのプレイ中,コミュニティがライトすぎだと感じられることはありませんか?
4Gamer:
個人的にはそういうものだと割り切っていますが,「フレンドポイントを分け与えるだけの相手を“友達”といえるのだろうか?」と,ふと我に返ることはありますね。
小林氏:
ですよね。
少なくとも昔のMMORPGでは,コミュニティってもっと深いつながりがあったじゃないですか。街で雑談していたら知らない人が参加してきて,意気投合してダンジョンに挑戦して,別れ際にフレンドになるとか。
ブレレボでは,MMORPGにおけるコミュニケーションの本質にいまいちど向き合い,これを楽しむために各種システムを設計しているんです。
4Gamer:
コミュニティ周りの具体的なシステムは,どのようなものがありますか。
小林氏:
大きく分けると,「門派」「勢力」「村」の3種類が用意されています。
門派はいわゆるギルドで,仲間と雑談を行ったり,パーティ向けの「門派ダンジョン」やGvGの「門派総力戦」などに挑戦したりできます。これに関しては,多くのスマホ向けMMORPGのギルドシステムに近しい内容ですね。
続いて「勢力」ですが,ゲーム内には「武林盟」「渾天教」という2つの組織があり,プレイヤーキャラはどちらかに所属する必要があります。そして,武林盟と渾天教が巨大なフィールドエリアで50対50の大規模PvPを繰り広げる「勢力戦」が,定期的に開催されます。
4Gamer:
プレイヤーキャラをじゅうぶんに育成していないと,大規模PvPに尻込みする人もいそうですが,そのあたりはどうでしょうか。
小林氏:
自勢力に貢献する手段は,敵対するプレイヤーキャラの討伐だけではありません。勢力戦の勝利条件は最深部にある「香炉」の破壊なのですが,そのほかにもエリア内にいる「突撃隊長」を討伐したり,強力なバフをアンロックさせたり,爆弾を投げつけたりと,さまざまな方法が用意されているんです。
ちなみに,勢力戦は毎日21時にスタートし,10分間で終了します。大規模PvPといってもコアプレイヤー専用ではなく,あの醍醐味を誰でもサクっと楽しめますよ。
4Gamer:
小林氏:
そうですね。
ブレレボは一般的なスマホ向けMMORPGと比べて,覚えるべき情報の量が多いんです。そのため,PC版ブレソのように早いタイミングで勢力に参加させてしまうと,プレイヤーが混乱しかねません。
ですので,基本システムに一通り触れたころ,キャラクターレベルにして30前後で勢力を選ぶように設計しています。
4Gamer:
なるほど。
それでは,最後の「村」について教えてください。
小林氏:
ブレレボでは,NPCの施設やダンジョンの入口など,プレイヤーキャラが集まりやすい場所を村として定義しています。ここではプレイヤーキャラが「香炉」と呼ばれるアイテムを使用して,いわゆるスタミナゲージに相当する「気力」を回復させられます。そして,誰かが香炉を使うときは,周囲にいるほかのプレイヤーキャラもその効果を受けられるんです。
村 |
香炉を使用中 |
4Gamer:
絵面的には,誰かが焚き火を起こすと,そこに人が集まってくるようなイメージでしょうか?
小林氏:
ああ,そういった感じですね(笑)。
香炉の効果を分け与えてもデメリットはないので,ほかの人が寄ってきても悪い気はしないですよね。一方,分け与えてもらったプレイヤーは嬉しいし,お礼も言う人もいるはずです。そこから会話が自然に発生することもあるでしょう。
そしてブレレボでは,ダンジョンの入口はすべて村に設けられているんです。ダンジョンに挑戦するためにパーティを編成するときも,この村がコミュニケーションの場として役立ってくれるわけです。
4Gamer:
一般的なマッチングシステムを利用するよりも,自然な流れでパーティを編成してダンジョンに挑戦できそうですね。
小林氏:
もちろん,広域チャットや門派チャットなどでもパーティメンバーを集められるので,村でのコミュニケーションは必須というほどではありません。選択肢のひとつとして活用していただければと。
4Gamer:
そもそも,近年のMMORPGは利便性が高すぎて,コミュニケーションを行う必然性が薄いんですよね。なので個人的にも,村を導入するコンセプトは共感できます。
小林氏:
ですよね! 昔ながらのMMORPGファンのなかには,懐かしく感じてくれる人もいると思うんですよ。一般的なマッチングシステムよりも利便性は少し抑えられますが,その一方でコミュニケーションによる面白さが増すことを期待しています。
PC版ブレソの醍醐味をふたたび味わえる
4Gamer:
話は変わりますが,PC版ブレソの経験者にとって,ブレレボはどういった風に楽しめますか?
小林氏:
メインシナリオのストーリー展開は,基本的にPC版ブレソを踏襲しています。つまり,プレイヤーキャラはホン門派の新米弟子として登場し,その故郷を奪ったジン・ヴァレルの仇討ちの旅に出かけるというものですね。
もっとも,PC版ブレソの完全なコピーというわけではありません。スマホというデバイスでも楽しめるように要所要所を再構築しつつ,あの物語を存分に楽しめます。
ちなみに,固有名詞などのネーミングは9割以上がPC版ブレソと同じなので,違和感もないはずですよ。
4Gamer:
ネーミングに関連して昔から気になっていたのですが,「武侠」というジャンル付けについて,小林プロデューサーはどのようにお考えでしょうか。私は武侠と聞くと金庸の小説や,このようなものをイメージするのですが,ブレイドアンドソウルは少し違和感があります。
小林氏:
おっしゃることはよく分かります。
ブレレボには武侠作品に登場しそうな衣装や建物が出てきますし,軽功も武侠用語です。しかしゲーム全体として見ると,武侠というジャンルを付けるのは誤解を与えかねないですね。
その一方で,ブレレボの世界観を端的に伝えるキーワードは必要だと思います。そこでブレレボでは,「武」というキーワードを前面に打ち出すことにしています。
今後のアップデートについて
4Gamer:
正式サービス開始後の運営方針についてお聞かせください。
小林氏:
幸い,ブレレボのゲームシステムは完成度が高く,最初から大きなカルチャライズを行う必要がそもそもありません。ですので,当面は安定したサービスを最優先にしつつ,毎日遊ぶときに支障がでないように,操作におけるストレス等をなくす方向などで,開発元に調整をお願いしようかと。
もちろん,定期的なアップデートは別途スケジュールを用意しているのでご安心ください。たとえばですが,先ほど申し上げた勢力戦は,熱心に遊ばれるプレイヤーの多くがゲームに慣れたあたりのタイミングで実装するほうが効果的ですよね。
4Gamer:
細かい部分ですが,テストプレイを行ったときはゴン族の女性キャラが実装されていませんでした。
小林氏:
開発リソースなどの都合上,ゴン族の女性は現時点では韓国語版でも実装されていません。ごめんなさい。この点は引き続き,開発元にフィードバックを送っていきます。
4Gamer:
ブレレボが早いスパンでアップデートを続けていくと,いずれPC版ブレソに追いついてしまうのでは? と気になっていますが,いかがでしょうか。
小林氏:
そこは開発当初からの懸念点だったのですが,ひとつの解決策を見つけました。実はブレレボでは,ストーリーにおいて重要な区切りとなるあるタイミングで,PC版とは異なる独自のメインシナリオが展開されるんです。
4Gamer:
なんと! 実現できればすごいですが,それは可能なんですか?
小林氏:
現在,Netmarbleの開発チームが,NCSOFTと協力しつつコンテンツの開発作業を行っています。日本語版のブレレボで実装されるのはまだまだ先になりそうですが,PC版経験者にとっては,また違ったブレイドアンドソウルを楽しめるので,ぜひご期待ください。
メインで遊ぶに足るスマホ向けMMORPG
4Gamer:
今回の話を聞くだけでも,ブレレボにおける従来のスマホ向けMMORPGとの差別化は,確かに感じられますね。
小林氏:
ありがとうございます。しかも,正式サービスを行う2019年10月24日というタイミングも,すごく良いと思うんです。
2〜3年前のスマホアプリ業界を振り返ると,横持ちの時点で敬遠されていたじゃないですか。それがここ数年で,スマホ向けMMORPGが完全に定着し,そこから一歩踏み込んだゲームを求める人も次第に増えています。また,現在のバトルロイヤルゲームの盛り上がりを見れば,手動操作を追求するゲームも受け入れられる土壌があるでしょう。
4Gamer:
確かに,そうかもしれません。
小林氏:
現在,手動操作の醍醐味を追求したスマホ向けMMORPGで,決定打といえるほどのタイトルは,日本では今のところ見当たりません。これが1〜2年後になると,開拓し尽くされている可能性がありますが,今なら強力なライバルはいないんです。こういったタイミングでブレレボを日本でリリースできるわけですよ。
4Gamer:
なるほど。
小林氏:
手動操作でも楽しめるようにバトルシステムを再設計し,PC向けMMORPGライクなコミュニケーションなども楽しめるブレレボは,メインで遊ぶに足るゲームになっています。これまでのスマホ向けMMORPGは片手間に遊ぶ人も多かったと思いますが,この認識もブレレボによって変わるかもしれません。私は日本運営プロデューサーであるのと同時に,いちプレイヤーとしても,この状況にワクワクしているんですよ。
4Gamer:
今回の話を聞いて,スマホ向けMMORPGのジャンルで,2回目の“革命”が起こりそうな気がしてきました。
小林氏:
そう言っていただけると嬉しいです(笑)。
4Gamer:
そろそろお時間のようなので,最後に,ブレレボに注目している人に向けてのメッセージをお願いします。
小林氏:
PC版ブレソのプレイ経験に関係なく,実際に触ればどこかで,他MMORPGとの違いを感じてもらえるはずです。まずは一度プレイして,そこから判断していただければと思いますね。
4Gamer:
期待しています。本日はありがとうございました。
※開発中のバージョンをもとに取材を行っているため,掲載スクリーンショット内のテキスト等は今後調整される可能性があります
「ブレイドアンドソウル レボリューション」公式サイト
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