インタビュー
[TGS 2018]シンガポールのプロ格闘ゲーマーHo Kun Xian選手インタビュー。「若い選手を育ててシンガポールのシーンに貢献したい」
Xian選手はシンガポール初のプロゲーマーと呼ばれ,「Evolution 2013」の「スーパーストリートファイターIV アーケードエディション Ver.2012」部門で優勝したことで,世界にその名を知らしめた。それ以外でも,世界各国のトーナメントで20以上のタイトルを獲得しており,世界最強格闘ゲーマーの一翼を担っているプレイヤーだ。
Xian選手の母国シンガポールでは,2015年に同国国立図書館が発行した「Living the Singapore Story」(シンガポールのサクセスストーリー)に掲載されており,シンガポール政府観光局公認の「パッション・アンバサダー」としても活動している。
そんなXian選手に,日本ではなかなか情報が伝わってくることのないシンガポールの格闘ゲームシーンについて興味深い話を聞けたのでレポートしたい。
訪日回数は30回以上。最近注目しているのはSako選手
4Gamer:
まずは自己紹介をお願いします。
Xian選手:
4Gamer:
今までの大会出場経験や実績などを教えてください。
Xian選手:
7年くらい大会に出てます。今は「ストリートファイター」シリーズがメインですが,昔は「MARVEL VS. CAPCOM」シリーズや「KING OF FIHGTERS」シリーズの大会にも出ていました。
4Gamer:
今回の来日された目的は,CPTジャパンプレミアへの出場が目的とのことですが,調子のほどはいかがでしょう。
Xian選手:
正直言って,あまり自信はないですね(笑)。日本のプレイヤーのレベルはすごく高くて,あまり自信が持てるような環境ではないんです。ですが,日本の大会に出ることで得られる経験というのは,自分の実力につながると思っています。
4Gamer:
今回の大会を含めて,最近注目している選手はいますか。
Xian選手:
Sako選手ですね。最近,本当に強いと感じています。彼は結婚して子供も授かっているのになお強くて,尊敬しています。どうやって家庭の時間と練習時間を捻出しているのか,気になってます。
4Gamer:
Xian選手は結婚されているんですか。
Xian選手:
4Gamer:
日本に来られたのは何回目でしょう。
Xian選手:
もう30回以上来ていますね。
4Gamer:
そんなに多いんですか。目的は大会への参加ですか?
Xian選手:
日本での大会のためにきているときもありますし,アメリカなどの大会に行くときに,日本を経由しています。そのときに時間があれば2〜3日滞在して,日本のプレイヤーと練習したりしています。
競技シーンの競争は今まで以上に激しい
4Gamer:
ストリートファイターVが発売となって,2年半ほど経ちましたが,現在の競技シーンについてどう思いますか。
Xian選手:
4Gamer:
Xian選手を含め,CAPCOM Pro Tourの上位に位置する選手は,安定した結果を残し続けています。そうではない選手と違うところは,どこなんでしょうか。
Xian選手:
単純に経験の差だと思います。いま上位にいる選手たちは大会出場経験が多く,そういう場所での力の出し方を知っていますから。
トッププレイヤーを集めて,月に1〜2回は集まって対戦している
4Gamer:
それではシンガポールのゲームシーンについて教えてください。
Xian選手:
「ストリートファイターV」の競技人口は少ないですね。「ストリートファイターIV」のときはアーケード版があったので,プレイする人も多くて対戦する機会もあったのですが,いまはオンラインで対戦するようになってます。
4Gamer:
シンガポールでは,ゲームセンターは人気なんですか。
Xian選手:
4Gamer:
ゲームセンターに,日本のゲームはどんなものがあるんでしょうか?
Xian選手:
音楽ゲームが多いです。初音ミクのとか。
4Gamer:
日本のプロ選手は,オフラインの対戦環境を作って対戦に取り組んでいますが,シンガポールでもそういった動きはあるのでしょうか。
Xian選手:
シンガポールのトッププレイヤーを集めたグループチャットなどを作って,月に1〜2回は対戦しています。
4Gamer:
なるほど。普段はどのくらい練習をしているのでしょうか。
Xian選手:
オンラインで練習してもあまり成果が出ないと思ってて,最近は2〜3時間くらいしか練習に取り組んでないですね。
4Gamer:
シンガポールにおけるeスポーツの存在とは,どういうものなのでしょうか。
Xian選手:
徐々に拡大している状況ですね。これからも広がっていくとは思いますが,僕がそれに回答できる立場にないのでなんとも言えないです。
4Gamer:
日本において,ゲームは「あまり良くないもの」と受け取られることもあるのですが,シンガポールではいかがでしょうか。
Xian選手:
4Gamer:
日本も大体似たような感じですね。昔のゲームセンターは「不良のたまり場」なんていわれてました。
Xian選手:
そうなんですね(笑)。
求められるスキルが多く,いろんな人がいるのが格闘ゲームの魅力
4Gamer:
eスポーツにはいろいろなジャンルがありますが,そのなかでも格闘ゲームの魅力とはなんでしょうか。
Xian選手:
とにかく求められるスキルが多くて,いろんな人がいるのが格闘ゲームの魅力だと覆います。
4Gamer:
格闘ゲームのほかに,最近では「Shadowverse」もプレイしていると聞いたのですが,プレイしたきっかけは何だったんでしょう。
Xian選手:
CAPCOM CUPが終わった後に2か月くらいのオフがあるんです。その間に発表されるゲームに手を出してたんですが,今年はShadowverseで賞金総額100万ドルの大会が開かれると聞いたので始めました(笑)。
4Gamer:
賞金を狙いにいくのですか。
Xian選手:
賞金もひとつの要素ですが,ゲーム自体が楽しくてすごく熱中してますよ。でも賞金があるから始めたのは確かです。それがなければRPGなんかを遊んでリラックスしていたんだと思います(笑)。
4Gamer:
ほかにはどんなゲームを遊びますか。
Xian選手:
最近だと「バイオハザード7」を遊びましたね。アクションゲームをよく遊んでいます。
4Gamer:
FPSなんかは遊んだりしないんですか。
Xian選手:
4Gamer:
なるほど。日本のゲーム会社で好きなメーカーはありますか。
Xian選手:
いまだとShadowverseに熱中しているので,Cygamesがいちばん好きです。
4Gamer:
10月には,シンガポールでゲームコンベンション「GameStart Asia」(関連記事)が開催されますが,どういったイベントなんでしょうか。
Xian選手:
いろんなゲームジャンルのコミュニティが集まって,対戦などをするイベントです。
4Gamer:
いろんなジャンルが集まったEVOのような雰囲気ですか。
Xian選手:
EVOは,すごくまじめにトーナメントを戦い抜きますが,GameStart Asiaはもっとゆるいイベントですね。コンピュータゲームの大会だけじゃなく,ボードゲームなんかも出展しているので,格闘ゲームコミュニティの人も見に行ったりします。日本のゲーム企業の出展もありますね。でもアットホームな雰囲気で楽しいですよ。
4Gamer:
なるほど。
ここ数年,日本でプロゲーマーとして活動する人が増えたのですが,プロゲーマーとして活動したての彼らに何かアドバイスをお願いします。
Xian選手:
アドバイスできるほど偉くないので,あまり偉そうなことは言えないんですが。それでもひとつ言えるとすれば,メンタルを鍛えることですね。十分なスキルがあるのに大会で結果が残せないのは,経験不足が原因だと思うので。
4Gamer:
メンタルを鍛えるコツってなんでしょうか。
Xian選手:
4Gamer:
ありがとうございます。
そういえば先ほど,日本に何度も来ていると仰ってましたが,日本食で好きなものとかありますか。
Xian選手:
「富田」のつけ麺が大好物ですね。あとは「今半」のすき焼きがすごく美味しいです。高いんですけど(笑)。
4Gamer:
今半のすき焼き! 高いですよね。気軽には食べられない。
Xian選手:
日本に最初に来たときは,まだ駆け出しだったのでつけ麺でスタートして,今は今半に到達しました(笑)。今後も今半に行けるように頑張ります。
4Gamer:
今回の来日は,CPTジャパンプレミア以外にも何か目的があるのでしょうか。
Xian選手:
今回はその子のツアーガイドをする予定です。
4Gamer:
おお。お弟子さんですか?
Xian選手:
弟子というわけではないです(笑)。この時代で師弟関係っていうのも合わないですしね。ですが,一緒に対戦したり練習したりしてますよ。
4Gamer:
なるほど。若手の期待の星ってことでしょうか。
Xian選手:
そうですね。彼には期待しています。シンガポールでは格闘ゲームをプレイする若い子は少ないので,大事にしていきたいです。
4Gamer:
日本も似たような状況です。
Xian選手:
でも,ももち選手は弟子が沢山いますよね(笑)。
4Gamer:
彼の活動は本当に偉大ですね。それでは最後に,今後の抱負をお願いします。
Xian選手:
最近では自分で大会を開いて,そこで勝った若いプレイヤーを支援して,海外の大会に連れて行ってるんですが,有力なプレイヤーが増えるまで続けていきたいです。
私が駆け出しのころは,本当に何もありませんでした。でもいまは人脈だったりお金だったりがあるので,シンガポールの格闘ゲームシーンに貢献というか,恩返しがしたいという気持ちです。私は多分,シンガポールで初めてのプロゲーマーですが,最後のプロゲーマーにならないようにしたいです。
Xian選手の公式Twitter
「CAPCOM Pro Tour JAPANプレミア」公式Webページ
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