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[TGS 2019]新旧「ストリートファイター」関係者と忍ism・百地氏が語る「格闘ゲームの未来」とは。タケヤ化学工業ブースの鼎談イベントをレポート
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印刷2019/09/13 17:41

イベント

[TGS 2019]新旧「ストリートファイター」関係者と忍ism・百地氏が語る「格闘ゲームの未来」とは。タケヤ化学工業ブースの鼎談イベントをレポート

 東京ゲームショウ2019初日の2019年9月12日,タケヤ化学工業ブースで行われたスペシャルトークイベント“格闘ゲームの未来”のレポートをお届けする。
 同ステージでは,プロチーム・忍ism代表でありプロゲーマーの“ももち”こと百地祐輔氏,新旧の「ストリートファイター」シリーズに深く関わってきたアリカの西谷 亮氏,ディー・エヌ・エーの杉山晃一氏らが登壇し,表題どおり格闘ゲームに関するさまざまなトークが繰り広げられた。

タケヤ化学工業は,プロチーム・忍ismのスポンサードを行なっている企業であり,同社ブースでは連日対戦ゲームに関するトークイベントを展開している。ブース内には,忍ismに提供しているウォーターボトルの展示,販売も行われていた
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タケヤ化学工業 公式サイト

忍ism 公式サイト


 トークは登壇者3名それぞれの来歴や,現在の立場を知ってもらうことを兼ね,“格闘ゲームとの出会い”についての話からスタートした。
 口火を切った西谷氏は,そもそも「ストリートファイターII」(以下,ストII)の制作に携わった人物であり,格闘ゲームと出会いどころか,生み出した側の立ち位置から当時を回想した。曰く「対戦が面白いことに自信はあったが,(ストII以前は)同じようなゲームがなかったし,ゲーセンで隣り合わせで戦うことになるのが日本で受け入れられるか不安だった」とのことである。

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西谷 亮氏。カプコン時代に「ファイナルファイト」や「ストII」を企画し,のちに独立。現在はアリカの代表を努めている
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杉山晃一氏。カプコン在籍時は「ストリートファイターV」のプロデューサーを担当。現在はディー・エヌ・エーで,eスポーツ事業に携わっている
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プロゲーマーのももちこと百地祐輔氏。今回はプロゲーマーとしてではなく,忍ism代表としての登壇とのこと

 一方,プレイヤーの立場である百地氏は,「自分の頃は,格闘ゲームで対戦するのは当たり前の文化になっていて,ゲームセンターに行けば必ず遊べた」と話す。杉山氏もプレイヤーだった当時は,「灰皿が飛んできたり,台を思いっきり押されたりと,今のオンライン対戦とは違った,フィジカルな対戦があった」と,“ゲーセンあるある”を交えつつ,格闘ゲームブームの時代を振り返った。

立場,世代の異なる3人だが,ゲームセンターという場で格闘ゲームに出会ったことが,後に大きな影響を及ぼしたという
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 格闘ゲームブーム華やかなりし頃の話題のあとは,“格闘ゲームの現在”として,eスポーツの文脈で語られる格闘ゲームの話に話題が移る。
 百地氏はプロゲーマーになったきっかけについて,「もう10年前になりますけど,2009年にウメハラさんがプロゲーマーになった衝撃が大きかった」と語った。そして自らもその道を目指す活動を開始し,2011年夏に晴れてプロとなったとのことである。
 杉山氏から,プロゲーマーが今ほど認知されていない時代に,プロを志したことの不安を聞かれた百地氏は,「これならゲームを止めなくていい,続けられるんだと思ったので,挑戦というよりはうれしいって感じでした」と回答しつつ,「ただ,妻(チョコブランカさん)の親御さんを説得するのはけっこう……。でも大会で優勝したり,テレビに出たりしたことを逐一報告していたら,応援してくれるようになりました」と続け,会場の笑いを誘っていた。

「当時プロゲーマーになろうと思った人は,僕を含めてちょっと頭がぶっ飛んでたかもしれないですね(笑)」と語る百地氏。そのほか,コンシューマゲーム機の格闘ゲームにオンライン対戦が導入された当時の西谷氏の驚きや,EVO2019の「鉄拳7」部門に,杉山氏がプレイヤーとして参加したときのエピソードも語られた
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 そしてトークは,メインのお題である“格闘ゲームの未来“へ。
 ここで杉山氏は,「このお題を聞いたとき,日本の格闘ゲーム市場がシュリンク(縮小化)しているって話がしたいのかなと思った」と,話題を切り出した。続けて「格闘ゲームの面白さ,中毒性は変らず楽しいけれど,知らない人に魅力を伝えるプロセスが長すぎる。そこをクリアできれば明るい未来も見えると思うんですけど……」と杉山氏が自説を述べると,百地氏や西谷氏も大筋で同意しつつ,「操作や考えることを減らして簡単にすることはできるけど……」(西谷氏),「簡単だから格闘ゲームを触ろうと思う人は少なくて,触ったときに面白いと思ってもらえないと」(百地氏)と,それぞれ意見を述べていた。

 さらに杉山氏が,「『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』『P4U』シリーズ,新しいところだと『グランブルーファンタジー ヴァーサス』のような,このIPのキャラを動かしたい! という気持ちがモチベーションになるタイトルはもっと出てほしい」と話すと,それを受けた百地氏は「そういう意味だと『スマブラ』はけっこう理想の格闘ゲームかも。間口が広くて,(ただ動かすだけなら)簡単で爽快感もあるんですけど,めちゃくちゃ難しい!」と,話を広げた。
 その後も「泥臭い感じの格闘ゲームもいいですけど,作り手としてもプレイする側としても,ちょっとスタイリッシュなものも作りたい。次の段階に行っていいのかな」(西谷氏),「格闘ゲームを“対戦アクション”という枠まで広げればなにか見えてくるのかもと考えたりはするんですよね」(杉山氏)と,尽きることのないトークに花が咲いていた。

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 イベントの時間もさし迫り,最後に提示された“3人で格闘ゲームを作るとしたらどんなゲーム?”というお題では,まず西谷氏から「(打ち合わせの時は)難しいと思ったけど,けっこういろんないい意見が出ましたよね。それを杉山さんにまとめてもらえれば」と杉山氏にキラーパスを出した。
 それを受けた杉山氏は,「大先輩からのムチャぶりなので“はい”か“イエス”としか答えられない(笑)」と前置きしつつ,「ガチガチの格ゲーを少し緩めようというのは,3人とも共通しているのでそこは押さえつつ,僕としては“見る側の人”が面白いと感じられるゲームにしたい。今の時代そこは譲れないので,そういう見る側を意識した画面作りから入って,かつ爽快感もあるようなアプローチができれば,いいゲームになる予感がします」とコメント。約1時間にわたって繰り広げられたイベントを締めくくった。

 なおタケヤ化学工業ブースでは,一般公開日となる9月14日,15日の両日にも,スペシャルなトークイベントが開催される予定だ。現地に足を運ぶ予定の読者は,「こちら」からスケジュールと登壇者を確認しつつ,同ブースを訪れてみてほしい。

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