インタビュー
[EVO2019]自信が確信に変わり,次の勝てるプレイにつながった――「ストリートファイターV AE」部門優勝,ボンちゃん選手インタビュー
[EVO2019]「ストリートファイターV AE」部門ファイナリスト,ボンちゃん選手&まちゃぼー選手に決勝大会への意気込みを聞いた
アメリカ・ラスベガスで開催中の格闘ゲームトーナメント「EVO2019」において,「ストリートファイターV AE」部門のTOP8が決定した。今回,Winner'sで最終日に進出するボンちゃん選手とまちゃぼー選手にインタビューを行い,決勝大会への意気込みを聞いたので,その模様をお届けしたい。
4Gamer:
優勝おめでとうございます。まず決勝トーナメントの話を聞かせてください。初戦のiDom選手との試合では,最初にメインとして使っているかりんでなく,サガットを選択しましたが,これはどういった意図があったのでしょうか。
ボンちゃん選手:
かりんのほうが有利に立ち回れると思ってはいたのですが,あまりララ戦を練習できていなかったんです。最近はオフライン中心で練習をしているのですが,自分が通っているオフライン環境には,ララ使いが1人もいなくてですね……。
そこでこちらもプレイヤー人口の少ないサガットをぶつけて,iDom選手を戸惑わせる作戦に出たんです。お互い手探りの状況で対戦してみよう,というのが元々の狙いでした。
4Gamer:
ですが,一方的にサガットはやられてしまい,そこからかりんにキャラを変更して3連勝で試合を制しました。
ボンちゃん選手:
サガット戦がかなりうまかったんですよね。すごく研究してきたんだと思います。それであればこちらとしてもキャラパワーで勝るかりんを使うしかないなと。その後は,結果としては3連勝できましたが,正直なところ紙一重でした。前日に動画を見て,対策を立てていたところの読みが生きたことは間違いないのですが,もう1度対戦してみて,同じ結果になるとは思えないです。
4Gamer:
次戦のWinner's Finalで対峙したのはInfexious選手でした。
ボンちゃん選手:
Winner's Finalは,まちゃぼー選手かInfexious選手のどちらかとの対戦だったわけですが,Infexious選手とは,EVOの2週間前に開催された「VSFighting 2019」で対戦していて,もう1度対戦してもなんとかなるだろうといった手ごたえを感じていました。ですので,まちゃぼー選手と対戦するよりも気持ち的には楽でしたね。
4Gamer:
そしてGrand Finalでは,同じRed BullアスリートのBig Bird選手との一戦となり,先に2本取られてからの逆3タテで勝利を収めました。
ボンちゃん選手:
Big Bird選手は,年に何回も来日して武者修行をしていたので,対戦経験はありましたし,おおよその強さも把握できていました。加えて,自分にはWinner'sのアドバンテージがあったので,精神的な余裕がありましたね。
たとえ最初のセットで負けてしまっても,戦力分析をしたうえでリスタートできるので,やりようはいくらでもあるなと思っていました。もちろん,これはWinner'sだから言えることで,Loser'sで先に2本先取されていたら,こんな余裕はなかったと思います。
そもそもBig Bird選手は,Loser'sで多くの強豪を倒して上がってきたわけで,あったまっている状態だったんですよ。それでどれくらいいい動きをしてくるんだろうって思ってたら,めちゃくちゃやられてしまって(笑)。試合としては簡単にやられているように見えたかもしれませんが,自分としてはとにかく負けの原因を探るべく,集中していましたね。
4Gamer:
EVO2019を制したことで「CAPCOM Pro Tour 2019」のプレミア大会3連覇を達成しました。今のボンちゃん選手の好調の要因はなんでしょうか。
ボンちゃん選手:
健康面でいうと,オフシーズンの間に1年間を戦い抜くために身体を鍛えていました。ただ,今回のプレミア3連覇のような結果が出るというのは,たまたまという感覚が強いですね(笑)。昨年くらいから,優勝はできないものの,だんだんと成績が上がってきたので,次シーズンはいい結果が残せるだろうとは感じていました。それにしても3連覇はできすぎですが……。
ただひとつだけ,自分の変化として,「CEO2019」で優勝した時にこれまでふんわりしていた自信が確信に変化したんです。その確信を保ったまま次の大会に挑めていることが,今の好調につながっているのかもしれません。
4Gamer:
今シーズンは,ボンちゃん選手とPunk選手の扱うかりんがかなりの活躍を見せています。昨年と比べて,戦術的に大きく変化した部分はありますか。
ボンちゃん選手:
かりんは強いんですが,べらぼうに強くなったわけではなく,きつかった組み合わせのキャラが弱体化したことで相対的に勝ちやすくなりました。ただ,かりんを使い始めた頃からずっと思っているのですが,このキャラは万能キャラではないんですよ。だからトーナメントを勝ち切るのに,かりんだけだと苦しいときがあります。苦手な相手を克服するために別のキャラを用意する必要があるとは思いますね。
ちなみにPunk選手は基本的にかりんだけを使用しているんですが,自分が苦しいと思う組み合わせでも勝ち切っているんですよね。これは彼が,相性が悪いキャラに対してもしっかりと研究を詰めて,難度の高い対策を実戦に取り入れているからなんです。自分としては,そんなPunk選手の動きを見るだけで勉強ができてしまうんで……ちょっとした泥棒ですよね(笑)。シーズン2から言い続けていますが,Punk選手がいてくれたおかげで,今の自分のかりんがあると思っています。
4Gamer:
Punk選手はボンちゃん選手を憧れのプレイヤーとして挙げていますが,お互いにリスペクトし合っているんですね。
ボンちゃん選手:
向こうも自分の動画を見てくれているらしいんですが,比にならないくらい彼のことを研究している自信がありますよ(笑)。ゲームの練度はPunk選手が上だと思うんですが,それでも大会で当たったら研究の差で勝つ自信があるくらいです。
4Gamer:
今回のEVOもそうですが,「ストリートファイターV AE」では昨年あたりから日本人選手の活躍が以前より顕著になっているように感じます。これは何が要因になっているのでしょうか。
ボンちゃん選手:
日本ではプロゲーマーが同じ場所に集まって,ずっとオフライン対戦で練習をしているんですよ。そういった環境を活用している自分が言うことではないかもしれませんが,他国の選手からしたら本当にまずいことなんです。もちろんそこにいないキャラクターの経験値は得られないのですが,使用者がいるキャラクターへの対策がどんどん詰められていきます。ですので,プロゲーマーと同じキャラを使っている選手は本当に大変ですよ。これは断言できます。
4Gamer:
オンラインとオフラインでの練習はまったく別物ということでしょうか。
ボンちゃん選手:
そうですね。オンラインとオフラインでプレイ内容がガラリと変わることも多いですし,基本的に大会はオフラインなので,それに近い環境で練習しておくことはとても重要だと感じています。
4Gamer:
ボンちゃん選手といえば,大会参加だけでなく、オフラインでファンと交流する「Bonchan's Road Trip」を定期的に開催しています。今年も継続して開催していくのでしょうか。
ボンちゃん選手:
「Bonchan's Road Trip」は,毎年6回開催しようと決めています。CAPCOM Pro Tourの結果は関係なく,全国を巡ろうと。そもそも始めたきっかけは,自分自身がアーケード文化で育った1人なので,プレイヤー同士をつなげる活動をしたいと思ったからなんです。今後も積極的にこういったイベントを開催していきたいですね。
4Gamer:
あらためてEVO2019優勝,おめでとうございます。最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
ボンちゃん選手:
朝早くからの応援,ありがとうございました。みなさんの声援のおかげで最高の結果を残すことができました。今後もこの結果に慢心せず,「Capcom Cup 2019」優勝を目指して,がんばっていきたいと思います!
4Gamer:
本日はありがとうございました。
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