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[TGS 2017]暗闇の中,ヤツらが恐怖を聴いている……! 「声」にフォーカスしたホラーゲーム「Stifled」の開発者セッションをレポート
本作はシンガポールのインディーズデベロッパであるGattai Gamesが2017年内に発売を予定している,PlayStation VR対応のホラーゲームだ。プレイヤーの「声」にフォーカスし,強い恐怖を与える本作について,同社でマネージングディレクターを務めるジャスティン・ウン氏がその見どころを語った。
暗闇の中に一人放り出されてしまった主人公。周囲もよく見えない中,唯一頼りになるのは「声」のみ。プレイヤーがコントローラのマイクに声を出すと,画面内で波紋のように音が広がっていき,周囲の様子がおぼろげに見える。しかし,その効果は一時的なもので,しばらくするとあたりは再び真っ暗になってしまう。
探索を進めるには,何が潜んでいるか分からない暗闇に向けて呼びかけ続けるしかないのだが,その声によって,クリーチャーに発見されてしまう。声を出すことにリスクがあるわけだ。言葉ではちょっと伝わりにくいので,公式の動画を見てもらうのが一番手っ取り早いだろう。
「Stifled」公式サイト
筆者は2017年5月に開かれたインディーズゲームイベント「A 5th of BitSummit」で本作をプレイする機会があったのだが,グラフィックスはシンプルながらかなり怖く,闇に対して抱く本能的な恐れが呼び覚まされるような体験を味わうことができた(関連記事)。
そんな本作は,ウン氏達5人による少人数チームで開発されている。作品はほぼ完成しており,現在はデバッグやローカライズに注力しているのだという。ベースになっているのは,ウン氏達がかつて卒業制作として作った「Lurking」というゲームだ。「真っ暗な世界で音を立てると周囲がおぼろげに見える」というシステムは,Stifledと同じ。とあるアニメに「真っ暗な世界で行く手を探りながら進む」というシーンがあり,ここから着想を得たのだという。
Lurkingは6か月ほどの期間を経て完成。東京ゲームショウ2014において「センス・オブ・ワンダー ナイト」にノミネートされたのに加え(関連記事),IGFチャイナ2014の「Best Student Game」「Excellence in Technology」の2部門,SXSW Gaming Awards 2015の「Gamer’s Voice Nominee」部門を受賞した。また,著名なYouTuberが実況プレイするなど,大きな反響を呼んだ。
そこでウン氏達5人は「もっと進化したゲームを作ろう」と考え,2014年8月より精神的続編であるStifledの制作に着手。翌年には,のちにPS VRとして発売される「Project Morpheus」のことを知り,これに対応させることを決めたのだという。
学生からインディーズ系開発者になったウン氏だが,「卒業制作なら多少バグや不具合があっても許されたが,プロである現在はそうもいかないため,緊張しながら開発を進めている」と心境の変化を語った。
発売前だけに,まだまだ謎の多いStifled。「なぜ音を立てないと周囲の様子が分からないのか」といったところもストーリー中で語られていくのだという。あくまでステルス系のゲームなので,クリーチャーに攻撃することはできず,音を立てて気をそらすなどの間接的な手段で対抗するのだそうだ。
PS4のマイクを使いつつも,プレイヤーが言葉で命令するようなものではないあたりもStifledの特徴だ。あくまでマイクが拾った音にフォーカスしており,思わず上げてしまった恐怖の悲鳴や,タイトルにもなっているStifled(息を詰まらせた)音も,画面内で波紋として広がる。あえて言葉を使わないことにより,ゲームのキャッチコピーにもなっている「何者かが恐れを聴いている」体験ができるのだ。一時は言語認識の採用も検討されたものの,言葉で命令するとなると,プレイヤーを混乱させてしまううえ,リアルタイム性があるゲームで扱うのは難しいという判断から現在の形になったという。
ウン氏は「卒業制作としてLurkingを発表してから3年ほど経ちますが,今回はソニーさんの大きなプラットフォームでStifledを出せることになって,とても嬉しい。日本のユーザーさんにも私達のゲームを楽しんでほしいです」と日本のゲームファンへのメッセージを送ってくれた。
- 関連タイトル:
Stifled
- この記事のURL:
(C)Gattai Games. Published by Sony Interactive Entertainment Inc.