2019年2月28日(PC版は3月6日)にスクウェア・エニックスから発売される
「LEFT ALIVE」(
PC/
PS4)。「フロントミッション」シリーズの世界観を採用していることや,ディレクターを鍋島俊文氏が務めることから,発表当初はロボット推しを予想していた人が多かったが,実際は高難度のサバイバルアクションだった。
プレイレポートでお伝えしているとおり,戦渦に巻き込まれた街を舞台に,3人の主人公が生存をかけて行動するストーリーが展開される。
本作の魅力は,緊張感あふれるシチュエーションでの探索や,集めた物資を駆使して難関を突破したときの達成感にある。そして,生き延びるための手段が,人それぞれで変わってくるのが面白いところだ。どのようなルートを選ぶか,物資をどのようなアイテムに変えていくか,どの程度戦闘するかなどは,プレイスタイル次第。開発中のテストプレイの時点でさまざまなプレイが見られたというのは,
インタビューでも語られている。
本稿では,そんな本作の同じマップを複数人でプレイして,どういった違いが生まれるのかを試してみた。ストーリーには触れず,最序盤のチャプター1のマップを使用しているので,大きなネタバレにはならないと思うが,その点についてはご注意を。
今回プレイしているマップは,新米パイロットのミハイルが,生存している隊長のもとに向かうというシチュエーションだ。人型機動兵器「ヴァンツァー」を撃破され,ロクに物資もないまま,街中をうろつくミハイル。どうにか隊長と合流するために,敵の目をかいくぐって目的地へ向かわなければならない。
ただし,街中の敵兵の数は尋常ではない。大通りに複数の歩哨が徘徊しているだけでなく,隣接する建物の中にも,大通りを見下ろす形で見張りが立っている。ゲーム序盤ということで,大通りを回避する形で入れる裏路地にセーブポイントが置いてあり,ここで一息ついてから「さぁ,どうやって隊長のところまで行こう?」と考えることになる。
ここで選べるルートは3つある。ガチガチに敵に固められた大通り,敵の視線を遮りにくい公園,そして地上の敵を回避できる下水道である。この局面で,プレイヤーはどういった行動を選ぶのだろうか。
煙の中を(間違えて)走り抜けたら偶然クリア
まずはプレイレポートも担当したライターの
箭本進一氏の奮闘からお伝えする。
プレイしたのが発売前という性質上,予備知識や攻略情報は一切ナシでサバイバルに挑むこととなった。転がっているアイテムを拾おうとして射殺されるところから始まり,道ばたで燃えている火に突っ込んで丸焼けになり,敵兵の乗ったヴァンツァーを奪おうとして返り討ちにされるなど,開始直後から散々な目に。なんとか銃弾を手に入れ,さあ逆襲だとばかりに敵兵をヘッドショットするも,仲間がやってきてめった打ちにされてしまい,このゲームの本質を遅まきながら理解した。これは“死にゲー”だ。
本来であれば「クラフト」を駆使し,火に巻き込んでスリップダメージを与える「火炎瓶」,煙を吹き出して敵の目を遮る「発煙瓶」や,地面に設置する「IED地雷」,敵の位置や動きを察知する「索敵センサー」などのガジェットを作って対抗すべきなのだが,生来の貧乏性が祟ってなかなかアイテムの消費に踏み切れない。いよいよ心が折れかけたところで,試しに索敵センサーを使ってみたところ,便利などころか必須の品であるということが分かり,ようやく人並みにアイテムを使っていこうという気になる。
日用品を素材に「クラフト」で投擲ガジェットや罠ガジェットを作る
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「索敵センサー」があれば,壁越しでも敵の姿が見える
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それでも問題の大通りを突破することはできず,敵の銃弾でハチの巣にされること数度。殺されることに慣れきってしまい,瞳孔の開ききった目で辺りをさ迷っていると,下水道への入り口を見つけた。どう考えても,これは「敵がいっぱいいるんだから,無茶しないで,人目を避けて移動できる地下を使うのが正解だよ」というルートだろう。
地上は厳しい警備が敷かれており,突破を断念
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下水道はトンネル状になっており,そこには何人かずつ敵兵が配置されている。それでも,地上に比べればはるかにマシだが,地形的に,交戦は避けられない。これは全滅させないと突破できないパターンと認識し,ありったけの物資を投入してクラフトしたガジェットで,皆殺しにかかる。
まずはIED地雷を敷き詰めてキルゾーンらしきものを作り,敵兵を誘い込むが,そうそう都合良くピンポイントで地雷を踏んでくれるわけもない。敵を連れてきて,そのまま撃たれて死亡する間抜けっぷりを披露する。
続いては火炎瓶作戦だ。物陰から火炎瓶を投げ込み,素早く身を隠して敵兵が燃え尽きるのを待つという,積極的なんだか消極的なんだか分からない策である。しかし,何人かは焼くことができたものの,全滅させるにはとても数が足りず断念。シャベルで殴り掛かり,残った敵兵を倒そうとするものの,体力が持つわけもなくゲームオーバーに。
コソコソと火炎瓶を投げ込むゲリラ戦法
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下水道はトンネル状で,逃げ場がない
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こうなったら地雷と火炎瓶,シャベルの複合作戦でいくしかない。再び地雷を敷き詰め,火炎瓶を投げ込んで,どちらも食らって瀕死の敵をシャベルでトドメだ! ……のはずが,ここで痛恨のミス。筆者が投げたのは火炎瓶ではなく,発煙瓶だった。もうもうと煙が立ちこめ,敵兵とミハイルの視界が遮られる。しょうがないのでそのまま突入してみると,意外なことにさしたるダメージを食らわず敵兵の間を駆け抜けてしまった。そのまま走り続け,次の群れに発煙缶を投げ込む。混乱する敵兵。これは行けるぞ!
煙の中で敵兵にぶつかったり,逃げる背中から銃弾を何発か浴びたりと,サバイバルアクションというよりはドタバタのコントのようだが,なんとそのまま下水道の突破に成功してしまったではないか。
発煙缶で敵兵の視界を遮り,そのまま駆け抜ける
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使ったのは数個の発煙瓶(と空振りした地雷)くらいだったので,実はこれが一番効率がよいのではないか……とすら思える。スーパープレイにはほど遠いのだが,生きてさえいればいい。この後も難度は上がり続けるのだが,「いざとなったら発煙瓶!」「体力が1でも残っていれば勝ち!」という教訓は深く心に刻み込まれたのであった。
下水道を抜けた先にはヴァンツァーが!乗り込んでこれまでの恨みを晴らす
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発煙瓶を囮に敵を焼く
続いては,普段は「
乙女チック4Gamer」で乙女ゲームをひたすらプレイしている,死にまくるゲームとはあまり縁のない
ばしょうが挑戦してみた。
筆者のプレイスタイルは「敵はすべて倒したいし,アイテムも全部回収したい」……だったが,もちろん,本作でそれができるわけがなかった。敵を倒すための物資が圧倒的に足りないからだ。手元にある武器はハンドガン一丁のみで,弾数も心もとなく,数人倒したところで弾切れしてしまう。
落ちているアイテムを拾いに行きたいけれど,そこには敵が闊歩しているという状況だ。アイテムのためにアイテムを使い切るという,負のループに陥った結果,交戦回数が少なく済みそうな下水道を進む選択をするのは,自然な流れだろう。
とはいえ,下水道での戦闘であっても弾数が足りない。ここでようやく,いろいろなクラフトを試すことになる。序盤であっても,便利なガジェットの選択肢はいくつかあるのだが,個人的な一押しは発煙瓶と火炎瓶の組み合わせだ。
発煙瓶は煙幕で敵の視界を遮るものだが,加えて着弾地点に周囲の敵をおびき寄せる効果がある。空き缶と空き瓶も同じ効果を持っているが,これらは発煙瓶に比べて効果が薄いので,敵をまとめておびき寄せる際の微調整に使った。
誘導用のアイテムでうまい具合に敵をまとめたところで,火炎瓶を投げつける。そうすると,その場に集まった敵全員が炎に包まれて苦しむという寸法だ。本当はここで皆殺しにしてやりたいが,物資の消耗を考えると,さっさとその場を立ちさってしまうべきだろう。苦しめることで,一矢を報いたと思いたい。
ちなみに今回の作戦,5人以上まとめて焼くとちょっと良いことがあったので,試してみるといいかも……?
絶対に苦しめてやるという強い意志で火炎瓶を投げ込む
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ステルスプレイに徹してのクリアも可能
最後は,死にゲー大好きの
御月亜希が担当する。
筆者のプレイスタイルは「絶対に無駄弾を撃ちたくないし,余計なアイテムの消費もしたくない」である。本作は,ステルスアクションの要素が強いとはいえ,いつ避けられない戦いが起こるか分からない。そのときに,敵を倒すアイテムが足りずにゲームオーバー,やり直し……というのは悔しいので,徹底的に交戦を避け,消耗なしで先に進んでいきたい。よく言えば慎重な,悪く言えばチキンなプレイ方針だ。
ただ,アイテムを無駄にしないということは,獲得できそうなものは全部拾いたいということでもある。地上の敵の数を見ると,どう考えても梯子を下りて下水道に行くべきな気はするのだが,地上は地上で,いくつかアイテムが落ちているのが確認できる。こうなると,安全に拾えそうなものは拾ってから下水道に行こう,と思うのが人情というものだ。
敵の警備が甘いところに落ちているものをかすめ取り,ホクホクの筆者。これだけアイテムに余裕があれば,狭い下水道で激戦が起こったとしても,どうにかなるはずだ。きちんと準備を整えておくとか,なんてお利巧なんだ,などと思っていたのだが……。
ここで筆者は気づいた。あれあれ? よく見ると,意外と敵の警備網に穴がないか?
筆者は,下水道への梯子をスルーして進んだ先にある公園を探索していたのだが,遮蔽物が少ない園内は,一見すると敵を避けて移動するのが難しそうに思える。しかし,「こいつの気をそらすことができれば遮蔽物にたどり着けるな」「敵の移動パターンを見ていると,見つからずに進める隙が数秒あるな」といった感じで,どうにかなりそうなのだ。
地上ルートを選ぶ場合,大量の敵兵の目をかいくぐって進まなければならない
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もちろん,試しに進んでみたらそう簡単な話ではなかった。警戒中の敵兵に見つかってハチの巣にされたり,警備が薄いと思って進んでみたら,実はヴァンツァーが見張っているポイントで,たちまちミンチにされたりと,悲惨なことになった。
しかし,トライ&エラーを繰り返し,ステルスプレイを突き詰めてみたところ,本当に目的地に到着できてしまったではないか。このとき使ったアイテムは,どうしても見張りにどいてもらう必要があり,気をそらすために放り投げた空き缶1個。それだけだ。アイテムの温存という点では,無茶に見えそうな地上の警備網を突破するルートが,最もうまくいったと言える。
敵兵いないじゃん,ラッキー! と思ったらバッチリ配備されているヴァンツァー。こいつに見つかって撃たれるとほぼ即死
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大事に空き缶を抱えながら隊長の元に到着
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目的はあくまで隊長との合流であることを考えると,本稿のどのプレイも間違いなく正解だ。しかし,その手段や体験は,プレイヤーによってまったく異なるものになるというのは,お伝えできたのではないかと思う。
箭本進一氏は発煙瓶を目くらましに,ばしょうは焼き殺すために使っているのが,性格が出ているようで面白い。筆者(御月亜希)に至っては,危険を避けすぎて発煙瓶の素材を入手し損ねていたらしく,実はこの段階でクラフトできなかった。今回はゲーム序盤ということで,使用できる武器やアイテムの種類が少なかったので,進行具合に合わせてプレイの幅はより広がっていくだろう。
本作には,民間人の救助が絡むマップも存在するが,こちらもプレイヤーによって個性が出そうだ。どうにか救助を試みる人もいれば,残りの体力やアイテムの関係で見捨てる人,さらには民間人を囮にして自分だけ助かろうとする外道プレイをする人なども出てくるはず。プレイ後に,「どんな風に攻略したか」をプレイヤー同士で話すと,盛り上がれるのではないだろうか。
自分なりの攻略法で,シビアな戦場を生き抜いてみてほしい。