プレイレポート
PC版「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」をDolby Atmos環境でプレイ。立体的なサウンドで,さらなる臨場感を楽しめる
2003年にリリースされた「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS」の,4K解像度およびVRに対応したリマスター版である本作。PC版は,サラウンドフォーマットとしてDolby Atmos(ドルビーアトモス)が採用され,立体的なサウンドで臨場感あるゲームプレイが楽しめる作品となっている。
今回,Dolby Japanの協力のもと,対応するサウンド環境でテストプレイをする機会を得たので,そのシステムを紹介しつつ,サウンドのインプレッションをお伝えしよう。
なお,配信中のPS4向け体験版のプレイレポートも掲載済みなので,ゲームの内容を詳しく知りたいという人はこちらをチェックしてほしい。
【プレイレポート】
近日配信「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS : M∀RS」PS4向け体験版を先行プレイ。臨場感あるアクションが4KグラフィックスとVRで楽しめる
「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」公式サイト
そもそもDolby Atmosとはどのような技術なのか
そんなDolby Atmosは,それまでの5.1chや7.1chといったサラウンドフォーマットとは異なる,「オブジェクト・オーディオ」という概念を持った技術だ。音声データと位置情報を組み合わせたもので,具体的には背景となる環境音などを5.1chや7.1chで表現する「ベッド」と,その上に配置される「オブジェクト」によってサウンドが構成されている。
オブジェクトの音声データにはX軸,Y軸,Z軸で示される位置情報が付されており,それをAVアンプが処理してスピーカーに出力する。それによって,これまでのサラウンドフォーマットにあった奥行き感に高さの概念が追加され,リスナーを包み込むような半球状の立体音響が作り上げられるのだ。
現在では家庭用向けの対応機器も充実しており,各音響機器メーカーのミッドレンジ以上のAVアンプにはDolby Atmosが標準的に搭載されている。また上からの音を表現するスピーカーも,天井に設置するものだけでなく,天井に音を反射させるイネーブルドスピーカーがリリースされているので,設置のハードルも下がってきている。
よりお手軽なのは,対応サウンドバーや対応テレビだ。これらの機器には,バーチャルサラウンドシステムと天井反射型スピーカーが搭載されており,HDMIケーブルをつなぐだけでDolby Atmosの立体音響を楽しめる。
家庭で楽しめるDolby Atmosコンテンツといえば,Blu-rayおよびUltra HD Blu-ray(UHD BD)フォーマットにて提供される映像コンテンツに加えて,昨今ではネットサービスでも充実している。世界的なサービスとしてはNetflixが,国内サービスではひかりTV,VideoMarket,U-NEXTが,さらにスポーツや音楽イベントなどの生配信でも,Dolby Atmosに対応したものが増えているという。
また,SamsungのGalaxy S9やシャープのAquos R2といった最新のスマートフォンもDolby Atmosに対応しており,モバイル分野における需要の拡大も期待されている。
それではゲームコンテンツはどうか。ゲームは内部で3D座標を使って音を扱っているため,Dolby Atmosのオブジェクト・オーディオと親和性が高いという。Creators Update適用以降のWindows 10およびXbox Oneシリーズは,OSレベルでDolby Atmosに対応しているので,無料の専用アプリ「Dolby Access」をインストールすれば,難しい設定をしなくてもDolby Atmosの立体音響を楽しめるのだ。
こういった背景があり,海外ではすでに「Overwatch」や「Star Wars バトルフロント」シリーズなど,数多くのゲームタイトルがDolby Atmosに対応している。日本では「FINAL FANTASY XV」が初のDolby Atmos対応タイトルとしてリリースされており,続く2本めが「ANUBIS M∀RS」というわけである。
縦横無尽に動くオービタルフレームの動きを音でも表現
前置きが長くなったが,今回筆者はメインスピーカー×7,サブウーファー×1,天井スピーカー×6の7.1.6chという,家庭で実現し得るおよそ最高クラスの環境でPC版「ANUBIS M∀RS」のDolby Atmosサウンドを体験することとなった。
最初に鑑賞したのは,Dolby Atmos向けに新たにサウンドをミキシングしたというトレイラーだ。このトレイラーではオービタルフレームが縦横無尽に駆け巡るのだが,とくにカメラの上下移動に追随するSEが新鮮だった。
例えば飛翔するジェフティを上から捉えているカメラアングルでは下方向から,見上げるカメラアングルでは上方向からSEが聞こえており,機体が動くことで音の距離感が絶妙に変化するのだ。これまでのサラウンドフォーマットだと,スピーカーの配置によってずれが生まれたり,視覚面に引きずられて「何となく上(または下)から聞えるかな……」と感じたりいうこともあったが,Dolby Atmosでは確かにドーム状に音が聞こえているのが分かる。
それだけなら映画館で観るDolby Atmos対応映像作品と何ら変わりないが,ゲームプレイでは,自分の操作に合わせてSEの位置が変わるのが面白い。PS4向け体験版で配信されているものと同じ,雪渓のステージと敵戦艦内のステージのゲームプレイでサウンドを確認したが,敵に着弾するのを確認し「じゃあ次の敵を!」と右上に機体を向けると,左下に先ほどの爆発音が聞えるのだ。この,音がその場に残って鳴っている感覚は,臨場感を高めてくれる。
それでいてジェフティ搭載のAI「ADA」のサポート音声は常に前方上側から聞こえてくるので,あたかも自分自身がコックピットの中でジェフティを操作しているかのような臨場感を味わえるのだ。敵の位置も,従来の前後左右と遠近に加え,上下のどちら側にいるかが音でも判別しやすくなっているので「ANUBIS M∀RS」の立体的なバトルとDolby Atmosの相性は極めて良好といえる。
加えて,ほかのカットやイベントシーンも見せてもらったが,例えば採掘作業用のLEVがきしむ音のような,以前のバージョンでは聴き取れなかった(筆者のプレイ環境もあるかもしれないが……)SEもハッキリ聞えた。音が鳴っている位置はもちろん,全般的に音の情報量が増している印象だ。
繰り返しになるが,Dolby Atmosの立体音響表現と「ANUBIS M∀RS」との相性は非常によく,よくいわれる“映画的”とは一味違った,自分でカメラを動かす“ゲームならでは”の臨場感が得られる。興味のある人は,ぜひDolby Atmos環境を整えてPC版「ANUBIS M∀RS」をプレイしてみてほしい。
※Dolby, ドルビー, およびDolby AtmosはDolby Laboratoriesの登録商標です
「ANUBIS ZONE OF THE ENDERS:M∀RS」公式サイト
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(C)Konami Digital Entertainment
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