プレイレポート
Nintendo Switch版「DOOM」プレイレポート。火星を舞台とした凶悪なデーモンとの“ハイスピードでバイオレンス”なバトルが手元で楽しめる
本作は,1993年に初登場し,FPSというゲームジャンルを確立した同名タイトルのリブート作品だ。2016年にPC,PlayStation 4,Xbox Oneで発売されたこの“新生DOOM”は,美しいグラフィックスと徹底したバイオレンス表現だけでなく,常に繰り広げられるハイスピードなバトルも話題となった。
また,システムや敵キャラクターに過去作品のテイストは残しつつも,ストーリーなどは一新されており,オリジナル作品を知らないプレイヤーも楽しめる作品に仕上がっている。
据え置き機としてはもちろん,携帯機として新たな楽しみ方ができるというSwitch版は,果たしてどのようなゲームとなっているのか,本稿で紹介していこう。
なお,ゲームの性質上,スクリーンショットには過激な表現が含まれているので,バイオレンス表現が苦手な人は注意してほしい。
任天堂公式サイトの「DOOM」タイトルページ
火星基地で凶悪なデーモンが大量発生
襲いかかるバケモノを,片っ端から叩き潰せ!
まずはキャンペーンモードについて紹介しよう。舞台は,UAC(ユニオン・エアロスペース・コーポレーション)と名乗る組織が運営する火星基地。エネルギー採掘や技術研究が行われていたらしいこの基地は,何らかの事情により発生した「デーモン」と呼ばれるモンスターの襲撃を受け,壊滅状態に陥ってしまう。
そんな大混乱の最中,不思議な祭壇で目を覚ました主人公は,事態を飲み込めないままに,成り行きで見つけたハイテク装備「プラエトルスーツ」を身につけ,この地獄ような場所から脱出を試みる。
この火星基地に何が起こったのか? デーモンはどこから来たのか? そして自分は何者なのか? プレイヤーはこの謎の多い物語の主人公となり,血みどろの戦いに身を投じることになるのだ。
プレイヤーキャラクターの性能は「武器」「スーツ」「ルーン」に分かれており,指定された目標を達成する「チャレンジ」をクリアしたり,各所に隠されたアイテムを見つけたりすることで強化を進めることができる。スーツでは耐久力や探知能力のアップが,ルーンでは戦闘を有利に進められるパッシブスキルの装備などが可能だ。
デーモンと戦ううえで欠かせない武器は,武器ごとに2種類用意されているMODを強化して,性能を高めていく形になる。同じ武器でもその選択によって,使い勝手がかなり変わってくるのが悩ましい。後述する「アーケードモード」にて任意の武器の好きなMODを試せるので,迷ったらこちらで実際に使ってみるといいだろう。
冒頭でも述べたとおり,本作の特徴はハイスピードかつバイオレンスな戦闘システムにある。
人型をしているものもいれば,異形としか言い表せない者もいるデーモンは,プレイヤーの姿を見つけると問答無用に襲いかかってくる。いざ戦闘が始まれば,高速で動く敵に周囲を囲まれ,肉弾戦やエネルギー攻撃,あるいは重火器などで,四方八方から攻撃されるということがざらにあるのだ。
もちろん,プレイヤー側も負けてはいない。ダッシュ操作はないものの,十分な速さを持つ移動速度や,途中から二段ジャンプも可能になる跳躍力,手がかけられる縁があればどんどん上によじ登れる地形対応力と,その機動性はかなり高い。
この速度をもって活用したいのは「グローリーキル」だろう。これは敵がよろめいたタイミングで近接攻撃を出すと,一撃で粉砕したうえライフの回復アイテムまで手に入るというフィニッシュムーブだ。
また,最序盤でショットガンが手に入ったり,少しステージを進めれば一瞬で敵を真っ二つにすると同時に,大量の弾薬がドロップするチェーンソーが落ちていたりと,「近くの敵を暴力で葬り去れ!」とプレイヤーに無言で語りかけてくるかのようなシステムとなっている。
敵陣に飛び込み,ショットガンやグローリーキルで次々と敵を粉々にしていく爽快感は相当なもので,これが本作の魅力のひとつと言っていいだろう。また,ストーリーが進めばロケットランチャーやチェーンガンが手に入るようになり,遠距離攻撃でも大ダメージが与えられるようになる。
とはいえ,“脳筋100%”なプレイスタイルでは難関は乗り越えられない。プレイヤーキャラクターの立ち回りが早いとはいえ,敵もなかなか素早く動き回るので,“逃げ回る敵に近接キルをしようと突っ込んだら,ほかの敵の飛び道具に狙われて大ダメージを食らった”“無理に突っ込んだらグローリーキルで稼いだ分よりも多く体力を失った”なんて場面も珍しくない。体力は自動回復しないため,こちらも注意が必要だ。
また,距離を考えずショットガンだけで立ち回ったり,正面が硬い敵に武器を乱射していたりすると,手持ちの弾薬がすぐに尽きてしまう。そういうときは,チェーンソーの使用を考えたり,少し奥まった場所に置いてあったりする弾薬ケースを探してみよう。
本作のマップはかなり広いうえに高低差が激しく,隠されている通路や部屋もかなり多いため,すべて探し出すのはかなり大変だ。やり込み要素の一つでもあるが,探せば探すほどプレイヤーが強化されてデーモンをなぎ倒していくのが楽になるので,怪しい場所を見かけたら周囲を良く見渡してみよう。
本作の道中は常に“多勢に無勢”。リスクは大きいがリターンも大きい近接攻撃を狙いつつ,タイミングによっては比較的安全な射撃攻撃を選ぶなど,難度が高いステージほど,瞬時に状況を見極めて適切な行動を取ることが必要になっていくのだ。
手軽にいつでもデーモン相手に大暴れ!
Joy-Conやジャイロ操作などSwitchならではの操作も
ゲーム部分に続いて,Switch版ならではの要素について触れていこう。
まずは当然ともいえる部分だが,TVモードではPS4やXbox One版などと同様に大画面で迫力あるプレイが楽しめるのはもちろん,テーブルモードや携帯モードで,気軽に好きな体勢で遊べる。好きなところに持ち出して,好きなタイミングでプレイできるところが,他機種版との大きな違いだろう。
テーブル / 携帯モードでのプレイは,インタフェースなどの文字が小さく読みにくい部分があり,「フォントサイズの設定ができれば……」と思うところもあったが,グラフィックスは小さい画面サイズでも十分な美しさが感じられるクオリティだ。
操作面だと,個人的にはグリップを装着したJoy-Conの操作感覚を保ったままゲームを進められる,テーブルモードの方がプレイしやすかったが,文字や敵の表示の大きさという面で,画面との距離を自分で調節しやすい携帯モードの方が良いという人が多いかもしれない。
敵を確認しながら微調節が必要となる狙撃など,なかなか慣れない操作もあったが,前述のようにショットガンやグローリーキルなどを用いた近距離戦で片が付くシチュエーションも多く,大きなデメリットというものではない。そういった意味では,予想していたよりも携帯機でのプレイに向いているといった印象だ。
Joy-Conを振って近接攻撃やグローリーキルを発動する「加速度センサーによる近接攻撃」とジャイロ操作で銃の照準を合わせる「加速度センサーによる標準」という,Switch版ならではの操作設定も用意されており,そのどちらかをONにできる。
実際に試したところ,常に素早く動き回る本作では,このどちらかを生かした操作には慣れが必要だと感じた。筆者としてはJoy-Conよりボタンでの近接攻撃がやりやすく,また,自身の腕前だとジャイロ操作はかなり難しく感じたが,Joy-Conの扱いに慣れているプレイヤーならば,上手く使いこなして戦い方の幅を広げられるかもしれない。
最初からさまざまなモードが選択可能
バイオレンスに満ちた「DOOM」の世界に飛び込もう
他機種版にあったオンラインマルチプレイは,もちろんSwitch版にも収録されており,6人対6人の最大12人対戦が可能だ。「チームデスマッチ」や「ドミネーション」といったFPSで定番になっているルールも,立体的かつスピード感ある対戦と「デーモンルーンを取得すれば,キャンペーンに登場する強力なデーモンとして暴れられる」というスパイスによって,ひと味違った仕上がりとなっている。
他機種版向けに配信されているアップデートが適用済みとなっており,「デスマッチ」や「ポゼッション」,「インフェルノラン」といったさまざまなルールでのオンラインマルチプレイがすぐに楽しめるのが魅力だ。
シングルプレイでも,戦闘とスコアアタックを楽しむことに特化した「アーケードモード」が最初から楽しめる。世界中のプレイヤーとスコアランキングで競い合うのはもちろん,武器やスキルの試用,そして,ただひたすらにバリバリ撃ちまくってのストレス解消……といった遊び方も可能だ。
なお,初回アップデートの容量が7GBを超えるので,こちらには注意してほしい。ゲームを遊ぶ前に本体ストレージを確認し,余裕がなければmicro SDカードを用意しよう。
テクスチャの解像度やエフェクト,フレームレートなどの変更,エディットモードの「スナップマップ」がなくなったことなど,他機種版をプレイしていた筆者としては,少し残念に感じた部分もあるのが正直な気持ちだ。しかし,このようにハード性能に合わせた「取捨選択」は行われていながら“ハイスピードでバイオレンス満載のアクションが楽しめる本格FPS”というゲームの根本にある魅力はそのままで,久しぶりのプレイだったが違和感なく「DOOM」の世界に帰還できた。
“新生DOOM”に長年興味を持っていたものの,所有するハードの関係でプレイできていなかった人や,「SwitchでもFPSやバイオレンスな作品をガッツリ楽しみたいぜ!」という18歳以上の人は,この機会にぜひプレイして欲しい。
任天堂公式サイトの「DOOM」タイトルページ
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