プレイレポート
本日発売された「大戦略パーフェクト4.0」。多彩なマップや兵器ユニットで,戦略の楽しみをじっくりと味わおう
戦略シミュレーションの代名詞といえば,やはり歴史と伝統を誇るシステムソフト・アルファーの「大戦略シリーズ」だろう。1985年に「現代大戦略」がリリースされて以来,これまで数え切れないほどの多くのシリーズ作品が登場している。そんな大戦略シリーズの集大成ともいえる「大戦略パーフェクト4.0」のPlayStation 4版が2018年4月26日に発売された。
ナンバリングタイトルのほか,さまざまなスピンオフを持つ「大戦略」シリーズだが,本作は,2003年に発売された「大戦略パーフェクト1.0」に始まる「大戦略パーフェクト」シリーズの最新作。前作の「大戦略パーフェクト3.0」の発売が2008年なので,10年ぶりにシリーズの新作が登場したということになる。
「システムソフト・アルファー」公式サイト
30年以上も続く長寿シリーズだけにファンも多いが,名前は聞いたことがあるけど……,という人も,もちろんいるだろう。 今回は,そういう人を含めてシリーズ最新作のインプレッションをお届けしたい。上記のように,リリースされたのはPlayStation 4版で,PC版は近日発売予定,Nintendo Switch版が2018年春発売予定となっている。したがって本稿の内容,スクリーンショットはPlayStation 4版を元にしている。
ヘックスマップで駒を動かしながら繰り広げられる戦い,これが大戦略だ
「大戦略」シリーズのゲームシステムは,初代から続くターン制と,1989年発売の「大戦略III」で採用されたリアルタイム制の2つに分かれるが,「大戦略パーフェクト」シリーズではターン制が採用されている。ちなみにターン制とは,将棋や囲碁のように敵味方が交互に手番を繰り返し,敵の出方などをじっくりと考えながら進めていくやり方。一方のリアルタイム制では順番に関係なく敵味方共に行動するため,臨機応変な対応と素早い判断力が求められる。
戦いの舞台となるのは,「ヘックス」と呼ばれる六角形のマス目を敷き詰めたマップで,駒となる歩兵,輸送車,戦車,戦闘機,潜水艦などの軍事ユニットを生産し,マップ上に配置していく。雰囲気としては,戦略ボードゲームに近い。
1つのマップに最大8つの陣営が入り乱れて戦うことになるが,陣営が多い場合,最初の陣営のターンが終了したら次の陣営のターンへと移る,といった具合で進んでいく。
それぞれのターンに5つのフェイズが用意されており,発射された弾道&巡航ミサイルが目標地点に飛んでいく「ミサイルフェイズ」,占領している都市などから資金が得られる「収入フェイズ」,ユニットに燃料や弾薬の補給を行う「補給フェイズ」,ユニットに移動や攻撃などの命令を与える「行動フェイズ」,資金を消費して兵器を生産する「生産フェイズ」という5つのフェイズを終えると,ターンが終了する。もちろん,すべてを行う必要はなく,いくつかのフェイズをスキップしてターンを終えることも可能だ。
陣営が増えれば,1対1のときとは異なる戦略を考える必要があるが,陣営の数だけ待ち時間も増えるので,余裕は十分ある |
生産フェイズでは資金内で兵器ユニットの生産ができる。とはいえ,一度に6ユニットしか生産できないので,ここが悩みどころだ |
先制攻撃を仕掛けるのか様子を見るのか,戦略が鍵を握る戦いを楽しもう
基本的には,兵器を移動させて敵を攻撃したり,迫ってくる敵を撃退したり,都市や軍事施設を占領して資金を増やしたり,新たな兵器ユニットを生産して配置したりといったことを繰り返しながら,最終的に敵の首都を占領して勝利を目指す。
問題は,ある程度接近しないと敵の居場所が分からないところで,適当に進軍すると敵の大部隊と遭遇してこちらの部隊が壊滅したりする。そのため,マップを見ながら敵の配備を予想したり,偵察機を飛ばして敵部隊の配置状況を確認する必要がある。先制攻撃をするのか,様子を見て自軍の兵器ユニットを十分に増やしてから一気に行くのかなど,戦略はさまざまだ。
制限時間もないため,プレイ時間は自然と長くなりがちだ。上記のように,参加陣営が増えれば増えるほど自分のプレイ時間に加えて相手のターンを待つ時間も長くなるが,セーブしておけば,今日はここまで,続きは明日,ということもできる。とはいえ,もう1ターンだけやって寝ようと思いつつ,ついもう1ターン進めてしまうということも起こりがちだ。
マップによっては,ゲーム設定をいろいろと変更し,違ったプレイフィールを楽しむことができる。例えば,索敵モードをオフにすれば常に敵ユニットがどこにいるかを把握できるようになるので,突然,敵に遭遇してビックリすることもなくなり,ゲームの難度をグッと下げられる。
もっとオリジナルなルールで戦いたい場合は,「ルールエディタ」を使えばいいだろう。索敵の有無以外にも,生産の有無,ミサイルフェイズや補給フェイズの有無,補充や修理などの有無,迎撃やクリティカルヒットの有無など,ゲームに用意されているすべてのルールを細かく変更できるので,ビギナーは勝ちやすくして,勝利の楽しさを味わおう。また,上級者なら高難度の設定で腕試し。と,そんな感じで,プレイヤーのレベルに合わせたルール設定で楽しめるのだ。
マニアも納得。シリーズ最多の収録数を誇る兵器ユニットで戦いに挑め
F-15J イーグル,F-22A ラプター,M1A1 エイブラムス,90式戦車など,兵器にあまり興味のない人でも知っているであろう戦闘機や戦車を始め,MiG-35戦闘機,駆逐艦あさひ,空母ジェラルド・R・フォードなど,陸海空,ないものはないのではないのかと思わせるラインナップ。VTOL(垂直離着陸機),電子戦機,対潜哨戒機,自走対空ミサイル,フリゲート,揚陸艦,戦略型潜水艦など,兵器のタイプは50種類以上になる。
ゲームでは,国家ごとに生産できるユニット(生産タイプと呼ばれる)は決まっているが,「生産タイプエディタ」を使えば,各国のいいとこ取りをしたようなオリジナルの生産タイプが作れる。なんかもう,やれることが自由自在すぎて困るほどだ。ああ,楽しい。
ユニットの特性を活かした戦い方が勝利のポイント
戦闘では,24種類のコマンドを使って多彩な戦略が取れるようになっている。コマンドには,射程内にいる敵部隊を攻撃する「攻撃」「射撃」,自爆攻撃をする「自爆」,建物を破壊する「破壊」,建物を制圧する「占領」,攻撃を受けた建物を直す「修復」,ユニットを分けたり,合流させたりする「分散」「合流」などがあり,これらのコマンドを駆使して戦っていくのだ。
陸海空のユニットが入り乱れて戦うのが,大戦略シリーズの大きな特徴。ユニットには,高度ごとの索敵範囲や回避力,迎撃範囲などの細かいパラメータが設定されており,簡単に言えば,得手不得手がある。したがって,敵ユニットが不得意とするユニットで攻撃をするのが基本だ。
命中率の低い部隊で攻撃しても大きなダメージを与えられず,逆に迎撃されて痛い目に遭うだろう。さらに,移動も地形による制限があるので,思ったとおりに展開できないことも多い。
また,ユニットには疲労の要素があり,戦い続けると疲労が蓄積し,攻撃だけでなく,応戦すらできなくなってしまうようになる。1ターン休むと疲労が少しだけ回復するので,疲労をどのように管理するのかが指揮官の腕の見せどころ。
疲労のほかに,燃料と弾薬にも気をつけたい。ガス欠になると戦車は動けないし,航空機やヘリは墜落してしまう。サイドワインダーを使おうと思ったら残弾がなく,やむなくマシンガンでバリバリやったら返り討ちに遭った,といったことも起きる。
どうしても攻撃ユニットの生産を優先してしまうが,進軍のためにはそれなりの補給車や補給機を持っている必要がある。サポートユニットの使い方も,戦略に大きく関わってくるのだ。
本作の戦闘シーンは,大戦略シリーズではおなじみの,部隊を真横から見た構図で展開する。グラフィックスは従来作より精密に描かれているとのことだが,最近のグラフィックスに比べれば,やはり物足りないかもしれない。とはいえ,初代から大戦略を知っている筆者にとっては,やっぱりこれが大戦略だと感じられる部分だったりする。
豊富なゲームモードとマップで戦略を存分に楽しもう
豊富なゲームモードも「大戦略パーフェクト4.0」の魅力の1つ。多数に用意されたマップに挑戦できる「フリーモード」では,通常のマップを1つずつ攻略していく「ノーマルマップ」,勝利条件などが決められた「シナリオマップ」,複数のマップを順番に攻略していく「キャンペーンマップ」が用意されており,収録されているマップは300以上。一年くらいは余裕で遊べるボリュームだ。
フリーモードでは前作同様,マップをクリアしたときに生き残っていた部隊を「マイ部隊」として登録できるので,繰り返し戦うことで部隊の育成が楽しめる。
本作から大戦略を始める人向けには,「チュートリアルマップ」が用意されている。もっとも,遊びながら覚えるというには,説明を増やすなど,もう少し工夫がほしい印象。何度も挑戦して,少しずつ理解していくのが良さそうだ。
オリジナルのマップを作れる「マップエディタ」も当然のように用意されているので,デフォルトのマップを自分のやりやすいように作り替えたり,自宅周辺の地形を再現してみたりと,いろいろな戦場を作って楽しめる。
本作で初登場した新モード,「ネオマスターコンバットモード」は,敵部隊を撃破したり,都市や施設を占領したりするほか,民間人の脱出支援や要人車両の警護など,全60種類のシナリオに挑戦していくというモードだ。
シナリオを1つクリアすると新たなシナリオがアンロックされるキャンペーン形式になっており,生産の概念はなく,シナリオをクリアすると得られるコンバットポイントで兵器ユニットを購入して,それらを戦場に投入することになる。
また,部隊ごとにエンブレムを設定したり,シナリオをクリアすると得られるカスタムパーツでユニットを強化できるなど,ほかのモードにはない難しさや面白さがあるので,ぜひ挑戦してほしい。
というわけで今回,久しぶりに大戦略をプレイした筆者だが,基本ルールや兵器ユニット,操作などを含めてシンプルなゲームであるにもかかわらず,今時珍しいほど分厚い紙マニュアルが用意されている。さっそく目をとおすと,「あれ,そんなこともできたの?」とか,「そこまでこだわってるのか」など,昔から知っている筆者でも驚くような情報が満載されており,さすが,大戦略シリーズの最新作だと思わせる奥の深さが見られた。
ビックリするほど大きく変わった,という部分は少ないものの,用意されたマップで遊ぶもよし,マップやユニット,生産タイプをあれこれいじってみるもよしの本作。これこそ大戦略の集大成と言える「大戦略パーフェクト4.0」を,ぜひプレイしてほしい。
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