インタビュー
ガチャの問題点から実装されたばかりの新コンテンツまで。マフィア梶田が聞く「D×2 真・女神転生 リベレーション」プロデューサーインタビュー
放送には,本作のプロデューサーである山田理一郎氏らが登場。3月28日に実施された「素体悪魔の合体費用変更と補てん」を含むアップデートなど,D2メガテンに関する今後の取組みについて語られた。
その放送後,出演者でもあるマフィア梶田氏がプロデューサー山田氏へのインタビューを行った。本稿では,D2メガテンの現状とこれからについて聞いた,インタビューの様子をお届けする。
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D2メガテンの今までとこれから
マフィア梶田:
生放送,お疲れ様でした。配信開始から約2か月が経ちますが,まずは本作の現状についてお聞きしたいと思います。D2メガテンに関して,プレイヤーの反応が良かった点と,今後さらに伸ばしていきたいと思った点について教えてください。
山田理一郎氏(以下,山田氏):
まず,悪魔のグラフィックスや,ゲームシステム部分には良い評価を頂いているので,これを維持しながら今後も伸ばしていきたいですね。
もちろん,ゲームバランスとしても「単純に強い悪魔を追加していく」というのは,我々としても望む形ではありません。多様性を楽しめる環境を残しつつ,色々な悪魔の育成を楽しめる環境に力を入れたいです。
マフィア梶田:
そろそろプレイヤーの意見汲み上げと,その調整が視野に入ってくる頃かと思います。今後の調整点,変更点についてはいかがでしょうか。
山田氏:
反省や改善が必要なポイントは多くありますが,とくに多様な悪魔を育てる楽しみを得るにあたって,悪魔を入手する手段が限られていることについては,調整すべきだと考えています。例えば,ガチャ(召喚)以外での悪魔の入手方法を増やす,などですね。
また,いわゆる“リセマラ”への対応も中途半端でした。これは想定が甘かったとしか言いようがありません。現在は,★4悪魔が確実に召喚できる特殊召喚札を配るようにしたことで,ある程度,スタートラインを規定できたかと思っています。
マフィア梶田:
実際,ガチャが主体ではないとはいえ,悪魔がガチャで入手できるとなると,どうしても「引いて手に入れよう」となるのは,ある種自然な感覚ではあります。
おっしゃるとおりです。ゲームの本質とは関係ない部分で語られることが多く,その点については僕の責任です。
マフィア梶田:
D2メガテンの合体の仕組みは非常に挑戦的ですが,現状では裏目に出ている感も否めません。例えば,広く受け入れられている“一般的なガチャ”に仕様を変える可能性については,検討されていますか。
山田氏:
それはありません。今のゲームデザインを維持しつつ,いかに満足してもらえるレベルに到達できるかが重要な課題だと考えています。
マフィア梶田:
難しい話ですが,ガチャという仕様が存在する以上,今後ずっと(入手方法に関する問題は)言われ続けると思います。それを受け入れたうえで,どう改善していくのかが気になります。
山田氏:
まず,当然ながら「高レアリティの悪魔は強く,育てる価値がある」という部分を壊すつもりはないので,レアリティの概念は残さねばなりません。また,単純にマグネタイトの必要量を緩和するだけでは,過去に課金してくださったプレイヤーに申し訳が立ちません。
なので,僕たちがするべきことは,プレイヤーがさまざまな悪魔を手に入れられる機会を増やすことだと思っています。必要な要素を明示して「こうすればより楽しく遊べる」と伝えていき,行き先の不安を消していきたいですね。
マフィア梶田:
難しいのは“合体”という名称を用いる以上,プレイヤーが想像するのはコンシューマタイトルベースの“悪魔合体”なんですよね。しかし,基本プレイ無料のスマートフォン向けゲームである以上は,仕様を同じにするのは不可能なはずなので,その点における意識の乖離をいかに解消していくかが今後の焦点になりそうです。
山田氏:
シリーズファンから「あの悪魔が仲魔にならないじゃないか!」と声が上がるのは,ある意味で当然だとは思います。ただ,短絡的な確率の調整やチケットの配布などでは,根本的な解決にはならないため,問題になっている仕組みとそれに伴う要素を変更するなど,長い目で見て解決する必要があると思っています。
最新のアップデートをとおして
悪魔や素体がより手に入りやすい環境を構築
マフィア梶田:
今回のアップデートは,新コンテンツを含めると相当な物量でしたが,約2か月でこのレベルの追加/変更を行うのは相当大変だったはずです。本アップデートの狙いを聞かせてください。
山田氏:
今回のアップデートは,今D2メガテンをしっかり遊んでくださっているみなさんのため,より快適になるような調整,そしてわくわくするような要素の追加をコンセプトにしています。長時間向き合う必要のあるゲームである以上,ゲームプレイ部分をより遊びやすく調整するのは,必須事項だと考えていました。
マフィア梶田:
なるほど。今回のアップデートの中でも大きなポイントとして,追加種族「霊鳥」の登場が発表されていましたね。実はこれ,少し意外でした。霊鳥はトップクラスの人気カテゴリというわけではないと思うので……。一発目を霊鳥にした狙いはなんなのでしょうか。
山田氏:
同じくアップデート項目内にあります「D×2 デュエル」のバランスを見据えた結果の判断ですね。デュエルでは行動速度が非常に重要になりますので,その点において特化した種族を提供しようという意図があります。
マフィア梶田:
D×2 デュエルの正式稼働がこのタイミングになったのには,どういった理由があるのでしょうか。
山田氏:
D×2 デュエルはテスト版として以前から開放していたのですが,その時点でかなり活発に対戦が行われていました。それほど報酬も豪華なものを用意していなかったので,かなり予想外でした。
当初は,ある程度のプレイヤーさんが★6の悪魔を揃え始めた頃,対戦に意識が向くようになるタイミングでの本格稼働を考えていたのですが,これほど盛り上がるのならば,もっと早い段階から報酬体系を整備しておいたほうが良かったと反省しています。
マフィア梶田:
では,追加コンテンツ「イクリプス」についてはいかがでしょう。特定の条件でパーティを組んで戦う仕組みとのことですが……?
山田氏:
イクリプスには「いろいろな悪魔を育てる意味を持たせる」という意図があります。実際に育てて運用することで,「メガテン」の楽しみのひとつである“悪魔の能力への理解を深めていくこと”につながってほしいという期待がありますね。
種族限定での縛りがあるようですが,いわゆる絶対数が少ない種族が指定された場合,挑戦自体が難しくなってしまうと思います。
山田氏:
そうですね。種族の指定に関してはゲーム中にそれなりに数が確保されているものでのプレイを想定しています。そもそもですが,選択の幅が狭いと試行錯誤する楽しさがなくなると思われますので,その予定もありません。
マフィア梶田:
なるほど。やりこみコンテンツとしては「ジゴクパーク」がリニューアルされますね。出撃可能な悪魔の数が増え,難度が引き下げられた格好になりますが。
山田氏:
はい。「ジゴクまん」の報酬を含め,悪魔合体用の素体を得やすくする仕組みを作るための調整を含んでいます。悪魔の配置も変えているので,難度が下がるというよりは,“普段と違う編成で挑戦する”という遊びの部分で違う体験ができるものを目指しています。
マフィア梶田:
ジゴクまんガチャがたくさん回せるようになり,悪魔合体の素材を集めやすくなるということですね。生放送では,AR機能についても話されていましたが,こちらはどういったコンテンツになるのでしょうか。
山田氏:
現状,まだ詳細はお話できませんが……。スマホで悪魔を召喚するのって,シリーズファンにとってはロマンそのものじゃないですか。それを実現するための施策のひとつとして,AR機能を考えています。
今の時代では,常に新しい技術が生まれ続けているので,それを積極的に取り入れる姿勢は常に持ち続けたいですね。
マフィア梶田:
AR機能を入れることによって,容量が圧迫されたり,動作が重くなったりするようなことはないんですか。
山田氏:
AR機能で必要な素材はゲーム内で使われているものと同一なのですが,容量が膨大なものになったり,重くなったりすることはないですね。独立したアプリとして出すことも考えましたが,ゲーム部分への影響が少ないこともあり,現状の形に落ち着いています。
マフィア梶田:
放送内では「インタラクティブ性を持たせる」といった発言がありましたが,ゲーム内容との連動も?
山田氏:
はい。インタラクティブなものを目指す以上,そこは外せないなと。お遊びの一発ネタではなく,キッチリ遊びとして機能させつつ,使う意味のあるコンテンツを志向しました。最終的には,日常の中にD2メガテンがある,という形を目指したいですね。
理想は“普通にプレイすれば悪魔が集まる環境”
プレイヤーが本当にやりたいことを見極めたい
マフィア梶田:
悪魔を手に入れる方法のひとつである「悪魔交渉」ですが,現状,完全なランダム発生ですよね。ゲームプレイの道筋を明確化するにあたって,悪魔交渉も重要なポイントのひとつになるかとは思うのですが,何かしらの形で,狙った悪魔を獲得できる仕組みを用意する予定はありますか。
山田氏:
より獲得しやすくするための取り組みも考えていますが,それが悪魔交渉に関する改修になるかは分かりません。現状ある要素の数値を変更するだけでなく,新しいコンテンツの追加なども視野に含め,多角的な方面からの問題解決を行う必要があると考えています。
各方面のゲーム要素に調整,変更,追加を行った結果「普通にプレイしていれば素体が集まっていく」方向に持っていけたらベストですね。
マフィア梶田:
日常のゲームプレイを維持する方法として,スマートフォン向けタイトルは期間限定のイベントを設置することが多いですが,D2メガテンではあまり見かけないように思います。
期間限定イベントについてはご要望も多く頂いているんですが,いわゆる「よくあるイベント」的なものではなく,あくまで「D2メガテンに相応しい形のイベント」を模索しています。
ハッキリ言うと“プレイヤーが本当にやりたいこと”だけをやってもらいたいんですね。やはりD2メガテンは仲魔の育成や収集が中核にあるゲームですから,育成に繋がらない素材集めに奔走させられるなど,本編の外郭をなぞるような企画は避けなければなりません。方針としては,普段のゲームプレイの延長線上で楽しめるイベントが理想的です。
マフィア梶田:
確かに……。常にイベントでスケジュールがいっぱいだと,義務的にゲームをすることになって本末転倒ですよね。
山田氏:
ただ「育成だけでは単調だ」というお声も十分に理解できますので,新しい楽しみの導入についても,積極的に検討しています。
マフィア梶田:
ありがとうございます。先程お話いただいたイクリプスは,いわゆる目的達成型のコンテンツですよね。今後追加予定のコンテンツも同系列のものになるのでしょうか。
山田氏:
目的達成型という形式にはこだわっていません。どちらかと言えば,コンテンツの形式というより,そこから生まれる楽しみを基準に新要素を考えています。
マフィア梶田:
今後運用を続けるにあたって,確かにコンテンツが増えすぎるのも困りものですよね。通常プレイの同一線上で楽しめるコンテンツを目指すというのも,時間に追われる現代においては正しい設計だと思います。
しかしながら,現状のプレイヤーコミュニティを見るに,その意図が完全に伝わっているとは言い難い状況だと感じます。プレイヤーとの認識共有,という部分に関してはいかがでしょうか。
山田氏:
はい,それも問題として認識しています。言い訳をしても始まらないので,まずは続けてくださっている皆さんにご満足いただくための改善を優先している状況です。
とはいえ,生放送はまさにその“プレイヤーの意見”を募り,認識を共有する場所として機能したように感じられました。生放送に限りませんが,何らかの情報共有の場を定期的に設ける予定はありますか。
山田氏:
続けていく予定です。本来はもっと早い段階から(生放送などを)実施したかったのですが,準備が整わずに実働が遅れてしまいました。今後はそれらの機会を活かし,意見を汲み上げていきたいですね。
マフィア梶田:
放送ではUIの調整にも触れていましたが,現状は「真・女神転生」シリーズファン向けのデザインだと感じます。仕様やスキルの説明文を見るに,初見の人には少し分かりにくい部分がありますよね。優先する部分とは言えないとは思いますが,そういった点の調整は予定されていますか。
山田氏:
既に初動段階を過ぎ,そろそろ「真・女神転生」に触れたことのないプレイヤーも増えてくる頃かと思います。おっしゃるとおり,新規プレイヤーに向けた仕様の調整については,攻略に必要な情報素材の提供方法などもひっくるめて,今後の課題として考えています。
マフィア梶田:
あと,これはだいぶ細かい部分になるのですが。本部と通信するとき,少し長めの読み込みが入りますが,あれはどうにかならないものでしょうか。
山田氏:
はい,そちらも修正に取り組んでいます。今回のアップデートに入れられるかは分かりませんが,早期の対応を予定しています。
マフィア梶田:
おお,すでに取り組んでいたんですね。あと,要望っぽくなってしまうのですが,ガチャについて,現状だと最初の演出で★4以上の悪魔が出るかどうかが分かっちゃいますよね。最後までわくわくできると嬉しいのですが……。
山田氏:
こちらもすでに修正を指示しています。修正後は“赤い光”が来なくても出るようになります。
マフィア梶田:
つまり,もうワンタッチで絶望することはないんですね!
山田氏:
はい,なくなります(笑)。
マフィア梶田:
では最後に,プレイヤーに向けて今後の展望と意気込みをお聞かせください。
山田氏:
D2メガテンは“悪魔の育成”をコンセプトとしたゲームです。なるべく,みなさんがいろいろな悪魔を育てたくなるよう,今後はその道筋を整備していきます。
不満に感じられた部分を直し,そのうえでゲームとして進化を続け,「攻略は難しいけど面白い」と胸を張っていろんな人に勧められるゲームを目指しています。今後もぜひ,さまざまなご意見を頂ければ幸いです。
マフィア梶田:
ありがとうございました。
―――2018年3月26日収録
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