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中田ヤスタカ氏やHIKAKINさんが登壇した,スクエニの新作「戦国アクションパズル DJノブナガ」発表会をレポート
本作はスクウェア・エニックス,ワーナーミュージック・ジャパン,アソビシステムの3社で協業開発されているスマホ向けアクションパズルゲームで,戦国武将がDJ(ディスクジョッキー)になった“DJ戦国時代”を舞台に,天下統一のためのDJバトルを繰り広げる作品である。最大4人マルチプレイに対応しているのもポイントだ。
発表会では,本作の音楽プロデューサーを務める中田ヤスタカ氏が登壇したトークステージや,人気YouTuberのHIKAKINさんによるゲームプレイが行われたので,本稿ではそれらの模様をお届けしていく。
中田ヤスタカ氏 |
HIKAKINさん |
「戦国アクションパズル DJノブナガ」公式サイト
中田ヤスタカ氏がトークステージに登場
会場ではまず,各社の代表者メッセージが紹介された。一番手のスクウェア・エニックス 代表取締役社長の松田洋祐氏は,DJノブナガは今期で一番力を入れている新規IPであるとし,これまでゲームを遊ぶ機会がなかったユーザーにも,本作を届けていきたいと述べた。なお,自分を武将に例えるなら「織田信長」であるという。理由はゲームの中でもよく銃を撃っているためとのことだ。
次のワーナーミュージック・ジャパン 代表取締役社長 兼 CEOの小林和之氏は,DJノブナガがようやく披露できた喜びと,本作が音楽の新たな楽しみ方を音楽ファンに提示していくタイトルだとコメントした。そして,小林氏は自分を武将に例えるなら「豊臣秀吉」だという。それは,秀吉がさまざまな芸事を嗜んでいたことが,ミュージシャンであった自分に重なるかららしい。
続いてのアソビシステム 代表取締役の中川悠介氏は,今回の取り組みは新しい発想のゲームを作ることであり,ゲームやキャラクターなどの開発者らが,それらに全力で挑んだものだと語っていた。お決まりの自分を武将に例えるならの答えは「徳川家康」。新しい物好きなところが共通点であるという。
続いてのトークステージでは,DJノブナガのクリエイター陣より,スクウェア・エニックス ゲームプロデューサーの柴 貴正氏,タイトー ゲームデザイナーの石田礼輔氏,そして「Perfume」や「きゃりーぱみゅぱみゅ」といった数々の人気アーティストを手掛ける,本作の音楽プロデュース担当の中田ヤスタカ氏が登壇した。
柴氏によると,本プロジェクトの立ち上がりは数年前のこと,ワーナーから個人的に飛んできた,「音楽とゲームの新しい融合を目指したい」とのオファーから始まったという。そして柴氏は常々,ゲーム体験のうち,音楽の体験の割合は40%くらいあると考えていたため,本作ではその部分に“大きなリソースをつぎ込む”ことを決心したのだとか。
それからワーナーと話を進めていたときのこと,先方から「中田ヤスタカさんとゲームを作れたら,どうです?」と提案されたらしい。柴氏はこういった話はうまく進まないものと考えていたことから生返事で返したというが,それが思いのほかトントン拍子で進んだために,DJノブナガが本格始動したのだと語った。
なお,柴氏が石田氏にプロジェクトの話をしたところ,「中田さんを使うって言った瞬間,(石田さんは)目をギンギンにさせて『めっちゃ好きなんです!』」と語っていたのだとか。どうも石田氏は,中田氏ら音楽関係の業界人が集まるイベントにて,関係者であったのもお構いなしに,会場の最前列で激しく踊ってしまうくらい,中田氏の音楽が好きなようだ。この話を聞かされた中田氏が「ああ,あのときの」と思い出していたことから,中々のパフォーマンスを披露していたのだろう。
話題がゲーム内容に移ると,柴氏は当初,戦国武将をコンセプトにしたスマホゲームを作ることは決めていたようだ。しかし,スクウェア・エニックスの社風のままデザインを詰めていくと,どうしても“耽美なキャラクターデザイン”になりがちなことから,より万人受けする“ポップさ”を求めるため,本作のアートディレクターを担当している,フレイムグラフィックスの田中秀幸氏にキャラクターデザインを頼んだという。
イベントの実施が急遽であったことから,田中氏は発表会には欠席であったが,会場で流されたメッセージ動画にて田中氏は,「戦国DJバトルと聞いて内容が分からなくてもいい,説明不要な面白さをハイクオリティで追及した作品です」と,ゲームへの思いを述べていた。
壇上では次に,トークのお題が提示された。1つめのお題「3社協力により誕生した」は,柴氏が最初に話していために「そういうことです」の一言で早くも次のテーマに。
2つめのお題は「中田ヤスタカ全曲完全書き下ろし」。DJノブナガでは楽曲のプレイパートのみならず,ホーム画面やガチャ画面といった細かなBGM類も,すべて中田氏が制作している。中田氏は元々,RPGのフィールドBGMなどが好みらしく,ゲームの中心となるプレイ楽曲だけでなく,何気に耳にするBGMこそ,手をかけていきたいという思いがあったようだ。
中田氏はここで,本作の楽曲の制作方針を“映画とゲームの違い”を例えに説明した。一例として,映画では音楽が流れるタイミングがシーンごとに決まっており,作品をとおしで見た際,見る人によってそれらが前後することはない。
しかし,ゲームの場合は「ホーム画面→プレイパート→ガチャ画面→ホーム画面」など,各々の操作によってシーンが前後する。これが映画とゲームのBGMの最も違う部分だとし,そのうえで「ほったらかして聞いてもらえるような曲や,反応に訴えかける音楽を目指しました」と語っていた。
余談として,中田氏は小学生のころ“「ドラゴンクエスト」のカセットテープのサントラ”を購入したらしいが,A面でフルオーケストラバージョンが流れたときにガッカリし,B面でゲーム内音源そのままのBGMが流れたときに安堵したという。この気持ちがなんとなく分かる人は,それなりにいると思われる。
その後も「ゲーム内にBGMや効果音の鑑賞モードがあると嬉しかった」と,ゲームサウンド好きなら共感しやすいあるあるを話しつつ,個人的な夢が「人生で1度,ハードの起動音を作ること」と語ってくれた。
柴氏によると,中田氏が今回制作したDJノブナガの楽曲は“ゲームサウンドの文法に則ったもの”であったという。プレゼンの時点でゲームに対する理解がとても早く,制作物についてもまったくリテイクの必要がなかったらしい。それが中田氏の凄みだと口にしていた。
3つめのお題は「豪華アーティストとゲームを融合させた,開発のこだわり」。石田氏はこれについて,ゲーム中では楽曲をただ流すだけではなく,上手にプレイすると楽曲の雰囲気がアガり,失敗が続くとサガるようなシステムを取り入れたという。
流動性のあるインタラクティブなBGM作りといえば,同社の大作「FINAL FANTASY XV」が記憶に新しいが,DJノブナガでもそういったBGM作りを追求してるようだ。石田氏いわく,「元がそういう曲だと思ってもらえるくらい,(曲調がアガっても,サガっても)当たり前につながっています」とのこと。
最後にキャラクターデザインの裏話については,田中氏からのメッセージ動画その2で紹介された。田中氏は映像の中で,「戦国時代をモチーフにした作品はたくさんあるので,それらとは一線を画したものを作りたかったんです。どういう形にするか考えるうえで,中田氏の楽曲からはさまざまなインスピレーションを得ました。そして,戦国武将好きにもしっかりと受け入れられる“パロディ感”を目指しました」と語る。
ただし,戦国時代の新しい解釈に,ポップでありながら,毒吐きの要素も加え,戦国武将好きに「なるほど〜」と思ってもらうためのデザイン作りは難航したらしい。今のデザインにたどり着くまで,田中氏は1年ほど苦悩していたというのだから,そのあくなき追及は,クリエイターらしいクリエイターの姿なのだろうと感想を述べるほかない。
HIKAKINさんが実機プレイに挑戦
続いては,ゲストを招いてのゲームプレイのステージに。なお,本作は中田氏の楽曲を押し出していることから,リズムゲームの印象を抱いて,ここまで読み進めた読者もいるかもしれない。しかし,DJノブナガはあくまで“音楽×アクション×パズル”をコンセプトにしたスマホゲームだ。これは音楽をフィーチャーしつつ,音ゲーとは違う路線を目指したことの表れだろう。
メインのアクションパズルパートでは,自身で編成したDJ武将で,ステージごとの多彩な敵DJ武将とのバトルを繰り広げていく。ゲームのルールは,画面内に現れる“インスピレーション(ノーツなどに相当)”を指でなぞり,パワーを溜めて,敵DJ武将にダメージを与えていくというものだ。長めのスパンのアクションパズルの成果で攻撃結果が変動する。スマホゲームで馴染みのあるターンバトルと言えば,分かりやすいだろうか。
そして今回は壇上に,YouTuberといったらこの人,HIKAKINさんが姿を見せた。石田氏のゲーム説明を聞きながら,シングルプレイでステージに挑戦するHIKAKINさん。「スルガシティ」にシュツジンだ。
ステージを選ぶと最初に,敵DJ武将との名刺交換が行われる。ただ単に説明文を表示するだけではない,実に日本的でユーモアに富んだキャラ紹介の仕方だ。画面内のインスピレーションは,縦棒や横棒といった誰でも見た瞬間に分かる形をはじめ,グネグネと曲がったライン状のものや,「❤LOVE❤」の文字をなぞるなど,バリエーション豊かである。
また,プレイ中は生真面目に一筆書きをせずとも,多少雑になぞっているだけでも反応するという。極論で言えば,「画面を指でガーッとなぞりまくる」だけでもプレイできるようだ。さらに,インスピレーションを一定値まで集めると,武将ごとにスキルが使用可能になる。
各ステージは基本的に,それぞれインスピレーションの出現方法や形状自体がガラリと変化し,ステージボスでそれらの要素が集約される形式となっている。ステージには難度が設定されているが,本作では“ある程度まで上昇したら,そこが上限”とするらしく,むやみな高難度にはしないらしい。もちろん,上級者に向けた超高難度ステージなどは別途提供するとのことだ。
HIKAKINさんはスルガシティのステージ1を危なげなくクリアしたかと思うと,いきなりステージ10の城(クラブ)ボス「DJヨシモト」にチャレンジする。しかも,ステージ上やもちろん,裏側の控室でも体験していなかったらしい形状のインスピレーションが出てきても,大きなリアクションとは裏腹に,スムーズにこなしてしまったから驚きだ。
その後,4人マルチプレイの内容を紹介すべく,HIKAKINさんはYouTuber仲間のmasuoさん,水溜りボンドのカンタさん,トミーさんの3名を壇上に呼んだ。本作では多人数での協力プレイが可能で,敵DJ武将を相手に,プレイヤー側でチームを組んで戦うことができるのだ。
トミーさんは普段ゲームをやらないと口にしていたが,そんなトミーさんでも直感的に遊べたらしく,初プレイの時点でリザルト結果は上々であった。これはゲームに不慣れな人でも楽しめるという,なによりの証拠かもしれない。
そして壇上では,次のプレイの結果が最下位だった人に「ちょっとした嬉しい飲み物」がプレゼントされることに。フリからして罰ゲームでしかない。口数も少なめに行われたバトルは意外と接戦であったものの,やはりというかトミーさんが最下位に。“激ニガ健康茶”を飲んだ感想は「にっ……(がい!まで言い切れない様子)」であった。
DJノブナガは本発表会を皮切りに,事前登録の受付が開始された。なお,詳細な配信月については濁していた柴氏であったが,配信予定が2017年秋ということで,「さんまのシーズンが終わらないくらいのタイミングで」としていた。
ゲーム配信後は中田氏のほかにも,さまざまなアーティストとの連携を目指していくという。さらに“HIKAKINさんを武将として登場”させたり,お寺とコラボしたりと,予想外の発想をたくさん秘めているようだ。そして柴氏は最後に,「実験的な作品として,ほかには表現不可能なことをコンセプトに,いろいろなことをやっていきます」と今後の抱負を述べ,今回の発表会を締めた。
なお,本稿はここで終わりだが,4Gamerでは今回,会場にて“中田ヤスタカ氏へのインタビュー”を行うことができた。その模様は追って掲載するので,「中田ヤスタカ×ゲーム」というミックスが,どのような考えで進められたのかを知りたい人は,引き続きサイトをチェックしていてほしい。
「戦国アクションパズル DJノブナガ」公式サイト
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