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「龍が如く 極2」のファンイベントが大阪・道頓堀で開催。未公開シーンが披露されたステージの模様をスタッフ合同インタビューと共に掲載
また,イベント終了後にはチーフプロデューサーの横山昌義氏,プロデューサーの佐藤大輔氏と島野光弘氏,ディレクターの阪本寛之氏への合同インタビューも行われたので,その模様も合わせてお伝えする。
イベント会場は,道頓堀の角座広場 |
先行体験会はご覧のとおり,大盛況。多くのファンが集まった |
「龍が如く 極2」公式サイト
「龍が如く 極2」の開発陣が登壇したステージイベントは,本作の前身にあたる「龍が如く2」の思い出話から始まった。
横山氏によると,当時,道頓堀をモチーフにした蒼天堀の街を作るにあたり,30名ほどのスタッフで取材を行ったという。キャバクラの取材では10数名で来店したこともあり,支払いがものすごい額になったようだ。
サウンドチームが集音マイクで音を拾っていたら,当時はスマホもなく,大きめのビデオカメラで撮影するしかなかったため,通行人に「何,撮ってんねん!」と声をかけられたこともあったとのこと。歌舞伎町で撮影したときにも同じことがあったそうで,「それを考えると,今は平和になった」と話していた。
大阪を描くにあたり,佐藤氏は「道頓堀から溢れ出るエネルギーをゲーム内で表現したかった」と語る。全体的に暖色系の色味を出して,暖かさを感じてもらえるように心がけたという。
なお,横山氏は映画「ブラックレイン」を観て,映画内で描かれる大阪の街にいたく感激し,「龍が如く2」にも少なからず,影響が出ていることを明かした。
続いて,「龍が如く 極2」の開発における苦労話へ。横山氏曰く,プラットフォームがPS2からPS4へ進化したことで,ビルを一つ描くにも10倍近い労力を要するようになったそうだ。
PS4の美しいグラフィックスを堪能してもらいたいという思いから,「開発は全力で行うものの,非常に大変だった」と苦笑いを交えて語った。もちろん,作るだけでなく,売れなければ次の作品を作れないため,「龍が如く」をここまで長いシリーズとして展開できたのはファンのおかげ,と感謝の言葉を述べた。
一方,佐藤氏はプロデューサーという仕事柄,「むしろ苦労するのはこれから」と笑顔をみせていた。来週からはプロモーションのため,台湾や香港,韓国などを回る多忙なスケジュールが待っているとのことだ。
プロモーションはチーフプロデューサーの横山氏の仕事でもあるだろうが,氏は飛行機が非常に苦手であるという。「龍が如く5」のプロモーションで北海道に行ったときには,なんと千歳空港で倒れてしまったそうだ。気がついたら医者がたくさんいて,まるで映画のワンシーンのようだったと振り返る。
そこまで飛行機が苦手な横山氏を海外に行かせるわけにはいかないと,海外出張は主に佐藤氏が担当しているとのこと。
一方,島野氏は限られたリソース(時間やスタッフなど)をコントロールするのが主な仕事。外注費を管理しているのも島野氏だ。さぞや,お金には徹底しているのかと思いきや,「私生活ではお金にルーズな人です」とバラされた。
とはいえ,プロデューサーとして開発費の管理をしっかりと行っている島野氏がいるからこそ,今回のようなイベントが開けたのだと,横山氏も島野氏の手腕を高く評価していた。
続いては,ディレクターの阪本氏に話が飛んだ。氏によると,「龍が如く 極2」の取材班はこれまでに3回,大阪を訪れている。朝の8時からタイアップの全店舗に足を運び,商品の撮影,メジャーを使って寸法を測るといった取材を行ってきたそうだ。
というのも,従来の「龍が如く」シリーズでは,桐生のパンチなどがちゃんと当たっているように見せるため,あえて顔を小さく,手を大きく描いていた。しかし,それではグラスを持っているときに,まるでおちょこを持っているように小さく見えてしまう。
そこで,「6」からその手法は止め,すべて現実のサイズで作るという開発スタイルへチェンジしている。サイズ感には並々ならぬこだわりを持っているとのこと。
「龍が如く」シリーズには女性ファンが多いことでも知られている。ただ,その要因について,横山氏自身も「分からない」と話す。もともと同シリーズは大人の男性向けという出発点があるため,女性人気は横山氏も想像していなかった現象だそうだ。
実際,会場には女性の姿が多く,桐生や真島が好きという女性もちらほら見られた。
ステージイベントの後半には,阪本氏による「龍が如く 極2」の実機プレイが披露された。今回は発売直前ということで,来場者のリクエストに応えるという大サービスだ。
大阪城が割れるシーン,新武器「フォトンブレード」,闘技場で行われる「大乱戦遊戯」といった,未公開シーンを含むさまざまな場面が惜しげもなく公開された。
「2」はもう二度と作れない作品――「龍が如く 極2」開発スタッフ陣合同インタビュー
――お疲れ様でした。イベントを終えてみて,いかがでしたか。
横山氏:
「極2」は大阪がキーワードということもあり,何か大きいことをやりたいと思っていたんですよ。大阪のファンに感謝の気持ちを伝えたいというのと,少しでも本作をプレイしてほしいと思いから,今回のイベントの企画が始まりました。気温は寒かったですけど,ファンの方の温かい気持ちを知ることができました。
阪本氏:
発売日から遠いイベントだと,段取りメインのイベントになりがちなんですが,今日は発売直前ということもあって,ライブ感のある内容になりました。あとは「極」だからこそ,ここまで自由に色々やれたというのもあると思います。未公開シーンを披露したりね。これが完全新作だったら,こうはいかなかったかもしれないです。
――皆さん,すでに大阪の街はご覧になりましたか。
横山氏:
色々なところを見たいですし,タイアップの店舗さんには行かなきゃとは思ってるんです。かに道楽さんとかね。でも予約がいっぱいで入れないんですよね(笑)。土曜日ですし,どこも混んでて。
あと感じたのは,10年前に比べて,人の密度が凄いことになってますよね。いまこの街をゲームで再現しようとしたら,絶対に処理落ちします。自動制御で詰まっちゃうレベルですよ(笑)。リアルの街の盛り上がりがゲームを超えだしているので,僕らももう一回頑張らないとな,とは思いましたね。
――「龍が如く極2」を作るにあたり,改めて「2」と向き合われたわけですが,「2」という作品に対して思うことはありますか。
横山氏:
もう二度と作れない作品だなって思います(笑)。シナリオの分量も凄くて,狂気の沙汰かっていうぐらいの詰め込みなんですよね。
エンターテイメントの世界って,今の自分にしかできないものを作り続けていくことが大事なんですが,「極2」に関して言うと,今の自分には作れないものなわけだから,それを最新の技術で多くの人にプレイしてもらえることは,凄く幸せです。そういうことを考えると,自分は幸せな環境にいるんだな,ということを改めて感じます。
阪本氏:
「2」のころは皆,熱量が凄かったんですよ。今より若かったですしね。
横山氏:
当時の名越さんが腹八分じゃ許さなくて,腹十二分くらいの人だったんですよ。朝8時まで飲んで,「締めにもう一件行くか」とか言うんですけど,あと2時間で会社の時間なのに大丈夫かな……って思うこともありましたからね。
阪本氏:
シリーズを重ねて,僕らも知恵をつけてきているし,スキルも上がってきている。当時はあれでよかったけど,今はこういう風にしたいなって思う部分がいくつもありました。「極2」は,今のスタッフができることを全部反映しているので,懐かしさもありトライした部分もあると思います。
――最後に,一言メッセージをお願いします。
阪本氏:
今回もやれることはすべて出しきって作っていますが,龍が如くスタジオはずっとゲームを作り続けていきますので,今後のタイトルにもご注目してほしいですね。
佐藤氏:
「極2」はドラゴンエンジンの2作目ですし,今までの「龍が如く」の良いところと,いま現在の僕らができることすべてを詰め込んだ,過去最高の「龍が如く」になっていると思います。ご期待ください。
島野氏:
「2」はストーリーを含め最高傑作と言われることもありますが,新しく追加された部分に関しても凄く良いできになっているので,今後の評価も含めて良いものになっていくんじゃないかなと思っています。よろしくお願いします。
横山氏:
ちなみに「極2」って,価格が安いんですよ。それはリメイクだからとかボリュームが少ないからっていう理由じゃなくて,ファンへの感謝の気持ちを込めた価格だからなんです。ここまでシリーズを続けてこられたのは,絶対にファンの方のおかげですから。ぜひ年末年始の1本として燃えていただきたいですね。
――本日はありがとうございました。
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