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[gamescom]フランス革命の動乱を生きながらえる裁判官を描いた「We. the Revolution」は2018年第3四半期にリリース
Klabaterと同じくポーランドを拠点にするPolyslashが制作を担当する本作の舞台は,18世紀末のフランス。ブルボン朝による絶対王政を倒し,近代資本主義社会の始まりを告げることとなったフランス革命の時代だ。
この市民革命の成功により,1792年に行われたフランス最初の男性普通選挙によって国民公会が成立。1793年3月には専制主義や反革命派などを裁く場所として「革命裁判所」が設けられた。やがては恐怖政治を行う代表的な機関となり,あのマリー・アントワネットが処刑されたのが1793年10月16日のこと。多くの人々を処刑台に送り込んだ革命裁判所は,クーデターの発生により1795年5月に廃止となり,短命の執行機関となった。
今回,Klabaterのミハル・ゲンビッキ(Michal Gembicki)氏に見せてもらったライブデモは,まだ裁判所が開廷してから間もないであろう「Act 1, Day 4」という表示があったが,用意されている事件は100種ほどというので,1日1エピソードというわけではなさそうだ。
デモの案件は,強姦の罪で捕らえられたジャン・イベール(Jean Imbert)という人物に関するものだ。検索してもそれらしき人物を見つけられなかったが,ゲンビッキ氏によるとバスティーユ牢獄襲撃ではリーダー格だったという革命運動の実在人物らしい。本作においては16歳の女性に告発されており状況で,本人はそれを真っ向から否定している。
2Dによる独特のアートワークが興味深い本作のゲーム画面は,左側に陪審員,中央に被告とその後ろに市民達,右側に検察官いるというのが基本的な構図だ。デスクのアートが施されたインタフェース手前(下部)には書類があり,左から民衆(Commoners)や改革派(Revolutionaries)の評価や過去の裁判の結果といったログが表記される「ノートブック」,中央には数名のページからなる「調書」,そして右手には裁判の進行具合を示す「レポート」と,最終的に判決して評価を得る「評決」などの資料が並べられており,確認したいものをクリックすると拡大表示される。
本作の主な流れは,調書をしっかりと読み,その中に記されたキーワードから証拠となりそうなものをクリックするとそれを収集できる。そこから被告に対して質問することで,さらにいくつかのキーワードを最大で8種類アンロックすることが可能だ。
このキーワードはダイヤル風の専用画面にまとめられ,それらをつなぎ合わせていくことで状況証拠を作り上げられる。こうして十分な状況証拠を集めることによって判決を下すのだが,証拠が多いほど陪審員の前に座っている先輩裁判官から高い評価を得ることができるという。
イベールの案件については,彼が犯人ではないのは明らかで,訴えを出したエロディという女性は旧体制派出身の若い女性ながらも,当初は革命という言葉に憧れて自分の操をイベールに捧げてしまったというのが真相らしい。「革命の志士? 何ソレかっこいい。トレビアン!」とでも思ったのか,気軽な気持ちでイベールに近づいたのだが,ブルジョアの一族に恋仲であるのがバレそうになり,強姦されたと証言したことが調書や証言から想像できた。
ゲームとしてはまだ序盤の案件でもあったためか,この事件の判決を「無罪」として下すのは比較的に簡単だった。また,陪審員も市民も異議はないようで,これを解決することでそれぞれの勢力からの支持を得ることができた。
案件をどのように裁くかはもちろんだが,さらに一つの判決に対して,どちらかの勢力から支持が得られる一方で,一方の勢力は満足しないことがあるのが,本作の複雑なところだ。歴史どおりであるとすれば,ブルジョア派の陪審員達はやがて革命主導派にとって代わることとなり,より過激な判決を求めるようになるかも知れない。
また,使用することで仲間の陪審員達にさまざまな影響を与える,Influenceポイントという概念もある。現時点では,何人かのキャラクターの「弱み」をアンロックできるほどだったが,つまりは反対された場合に相手の弱みを突きつけ,自分に有利な状況に持っていくことができるということだろう。
さらに,毎晩自宅に帰ると,妻や子供達との夕食シーンがあり,ゲンビッキ氏によると,仕事仲間や友人などさまざまなゲストが訪れることもあるという。
この一部は昨年のイベントの際にも紹介しているが(関連記事),例えば妻がその日に起こったことを話し,市民たちが主人公の家族を毛嫌いしているといったことを聞かされることがある。もちろん,ゲストの人もこうした近状を話したり,自分の利益になるよう要求してきたりするのだろう。最悪の場合,市民の暴動に家族が巻き込まれてしまったり,市民寄りになり過ぎて役職を解かれたり,暗殺されてゲームオーバーとなってしまうこともあるという。
つまり,プレイヤーは証拠に基づいた審判をくだすだけでなく,ときには旧体制派,革命派,そして市民達の顔色をうかがいながら,状況によっては自分の意や良心に背いた判決をくだす必要もあるわけで,とにかく市民革命が終結するまで生き残ることを最終的な目的とするわけだ。
本作の発売は2018年第3四半期中になることが,gamescom 2018に合わせてアナウンスされており,時期は不明ながらNintendo Switchへの対応も表明されている。
日本での展開について,Klabaterは2017年にはJRPGをリスペクトした「Regalia: Of Men And Monarchs」のパブリッシングも担当していたこともあり,ゲンビッキ氏は日本のゲーム市場への参入についても興味津々の様子。すでに,「We. the Revolution」のSteamストアページも公開されており,その表記どおりであれば,現時点では英語,フランス語,ポーランド語のみのサポートとなっている。
日本語化されていないと楽しむのが難しいゲームだが,史実を背景にした大人向けのゲームとして気になる人も多いはず。Nintendo Switchでの展開も合わせて,続報に期待しておきたいところである。
「We. the Revolution」公式サイト
- 関連タイトル:
We. the Revolution
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