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[gamescom]フランス革命期の裁判官として,生き残るために自分の良心に背いて判決を下していく「We. the Revolution」を紹介
本作では,18世紀末のフランスで起きた市民革命(フランス革命)期に生きる,裁判官がプレイヤーの役どころとなる。100種類を超える案件が用意されており,毎日プレイヤーの元に舞い込んでくる事件を処理していくのが裁判官の仕事だ。これだけ聞くと,2013年にリリースされてゲーム業界に大きなインパクトを与えた「Papers, Please」を思い出すが,今回デモの解説をしてくれたZuzanna Szabgowska(スザンナ・サブゴウスカ)氏も影響されていると話していた。
メイン画面は1人称視点の2Dグラフィックスで,目の前に容疑者が立っており,その背後には裁判を見守る一般市民達,そして左手には10人ほどの判事らが座っている。さらに画面下部にあたる目の前のテーブルには,罪状や証拠,証言や陳述書といったものが並べられており,これらを1つ1つじっくり読みこなしていかなければならないので,おそらく日本語版が出ない限り,日本人がプレイするハードルは高くなるだろう。
また,これらの文書は,ところどころのキーワードがハイライトされており,これをクリックすると,10種類ほどのキーワードで構成されるダイヤル型のメニューが登場。それらの中から関係のありそうなキーワードをつなげることで,容疑者に対する質問を作り出すというシステムになっている。
例えば,今回筆者が判決を下したのは,自分の働く店から大量の砂糖袋を盗み出したという罪に問われる,5人の子供を1人で育てる母親だ。彼女は自分が大量の砂糖を必要としていないこと,これまで雇用者からの評判が良かったことなどで反論するが,雇用者の証言を重視する判事達は,みな彼女を禁固刑にすることで合意しているようだ。判事の中にはプレイヤーの直接の上司もおり,彼にマウスの照準を合わせると,その心の内を読み取ることもできる。
つまり,プレイヤーは,王族や旧体制派,そしてブルジョワと呼ばれる裕福な人々に取り入る高級官僚という身分であるものの,彼らに虐げられている労働階級にも一定のシンパシーを感じてしまう。どちらに肩入れするかという板挟みの状況こそが,本作の肝と言える。
とくに,仕事を終えて家に帰ると,妻にその日起きたことを語るシーンがあるのだが,彼女自身は民衆に非常に近い立場を取っている。上記の結審では,砂糖を盗んだ容疑の女性を5年の禁固刑にしたことで裁判所内でのプレッシャーからは逃れることができたが,家では「民衆が私たち家族を毛嫌いしている」などと小言を言われる始末である。
そもそも,本作の主人公自身がアルコールやギャンブル依存症という設定で,すでに現実からは逃避気味。その中で,市民革命にどのような影響を与えていくことになるのか。2017年中にはSteamで販売を開始するとのことで,英語力が問われる作品であるのは間違いないものの,その続報を楽しみにしておきたい1作である。
「We. the Revolution」公式サイト
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