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8月19日に発売となった「初音ミクTRPG ココロダンジョン」メディア向け体験会レポート。ミク達と共に心の迷宮に挑む,冒険企画局の最新作
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印刷2017/08/22 16:34

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8月19日に発売となった「初音ミクTRPG ココロダンジョン」メディア向け体験会レポート。ミク達と共に心の迷宮に挑む,冒険企画局の最新作

 KADOKAWAから2017年8月19日に発売となった新作テーブルトークRPG「初音ミクTRPG ココロダンジョン」のメディア向け先行体験会が,東京・飯田橋のKADOKAWA第3本社ビルにて開催された。
 同作は,クリプトン・フューチャー・メディアが展開するキャラクターボーカルシリーズ――VOCALOIDでお馴染みのキャラクターをモチーフとした,完全新作のテーブルトークRPGだ。ゲームデザインは,「艦これRPG」「神話創世RPG アマデウス」で知られる冒険企画局の河嶋陶一朗氏が務めており,体験会では氏をゲームマスターに据えたデモプレイが行われた。本稿では,そこで明らかとなった本作の概要をお伝えしていく。

8月19日発売の「初音ミクTRPG ココロダンジョン」。サイズはB6版で,価格は1600円(税別)だ。表紙イラストはbob氏が担当している。なお,本作のプレイをサポートする専?アプリも現在開発中のほか,今冬には本作の第2弾が発売予定とのこと
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「初音ミクTRPG ココロダンジョン」製品ページ

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ミク達「オトダマ」と共に,心の迷宮に挑め


 本作の舞台となるのは,現代日本をベースとした本作独自の世界だ。プレイヤーは「オトダマ使い」と呼ばれる存在になって,初音ミクをはじめとしたVOCALOID達の「オトダマ」をパートナーにし,人々のココロの中に生まれる「ココロダンジョン」に挑んでいくという世界観だ。この「ココロダンジョン」の奥では,人々の「ココロの歌」を食べてしまう怪物「オトクイ」がプレイヤーを待ち構えており,そのオトクイを排除して,人々を助けることがゲームの目的となる。

コミック:NEGI
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 オトダマというのは,本作においては音楽の精霊のような存在だが,例えば同じ初音ミクのオトダマであっても,プレイヤーごとにその姿はさまざまだ。能力こそ変わらないが,外見や性格をロールorチョイスで好きに設定でき,プレイヤー好みのオトダマをパートナーにできる。

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コア:エキセントリック(イラスト:ヒライユキオ)
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コア:ラブ(イラスト:松うに)
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コア:ダーク(イラスト:りゅうせい)

オトダマという形で登場する初音ミク達。その姿はさまざまで,スタンダードなミクから猫っぽいミクなど,プレイヤーが自由に設定できる。性格も,例えば「おっちょこちょい」や「ツンデレ」などが設定可能。能力は変わらないので,あくまでフレーバーだが,面白い要素ではある
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コア:ホット(イラスト:猫魚)
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コア:メランコリー(イラスト:豆の素)

 まず,キャラクターメイクを見ていこう。最初に行うのは,プレイヤーキャラクター(PC)の「コア」の決定と,パートナーとなるオトダマ選びだ。コアとはキャラクターの属性のようなもので,「ホット」「ラブ」「ダーク」「エキセントリク」「メランコリー」の5種類から選択する。一方のオトダマ選びは,初音ミクや鏡音リンなど,好きなVOCALOIDキャラクターからパートナーに選ぶ。
 この2つが決まれば能力値が自動的に決定するので,次に行うのは「ナンバー」の選択だ。ナンバーは,いわばスキルのようなもので,主に行為判定の助けとなる「補助」「術式」,キャラクターが装備する武器のデータにあたる「装備」の3系統がある。コアによって取得できるナンバーは異なるので,効果を見ながらじっくり選ぶといい。ちなみに装備以外は使い切りの能力なので,1シナリオで使えるのは基本的に1回のみである。

 なお今回の体験会では,あらかじめ用意されていたサンプルキャラクターを用いたが,上記のとおりキャラクターメイクは比較的シンプルで,いちからキャラクターを作っても,それほど時間はかからない。事前の準備でかかる負担が少ないので,初心者も遊びやすいタイトルと言えるだろう。

本作のキャラクターシート。なお「コア」の属性は後述の「ネイロ」にも関係してくる。「生命力」はいわゆるHPで,0になると行動不能状態におちいることも
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「ココロダンジョン」を探索する冒険フェイズ


イラスト:猫魚
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 本作のゲーム進行はいわゆるフェイズ制で,「導入フェイズ」「冒険フェイズ」「決戦フェイズ」「終了フェイズ」の4つのフェイズによって構成される。このうち導入フェイズはいわゆるシナリオの導入部分,終了フェイズは経験値の獲得によるPCの成長などを行うフェイズとなる。ここではプレイの大半を占める冒険フェイズと決戦フェイズを中心に紹介していこう。

 冒険フェイズは,実際に「ココロダンジョン」を探索しながら最深部を目指してくもので,進行はプレイシート上のチャートを用いて行われる。チャートはカードで表されたエリア(作中ではパラグラフ)のつながりで構成されていて,プレイヤー達はここを進みながらダンジョンを攻略していくわけだ。
 各エリアには「クエスト」(試練)または「リクエスト」(精神攻撃)などのイベントが用意されており,プレイヤー達はこれを1つずつクリアしていかなくてはならない。その中身はシンプルに敵の襲撃を受けるようなものから,他者(オトクイ)と問答を交わすようなものまでさまざまだ。とはいえ,その解決は基本的に行為判定によって行われるので,プレイ時に戸惑うことはないはずだ。

これが冒険フェイズで使用するプレイシート。エリアを進むごとにカードをめくり,発生したイベントをクリアしていく。なお,カードには決戦フェイズでボスがとる行動も書かれているので,ダンジョンを進むごとにボスの概要も明らかになっていく仕組みだ
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 今回筆者達がプレイしたシナリオでも,冒険フェイズの道中にいわゆる純粋な戦闘はなく,イベントを順にこなしていくことでダンジョンを探索。無事,ボスであるオトクイが待ち受ける決戦フェイズまで辿り着くことができた。
 デザイナーの河嶋氏によれば,ルールとしては道中での戦闘も可能とのことだが,本作は音楽がテーマということもあり,何度も戦闘が発生するよりは,ほのぼのとした探索系のシナリオが適しているのでは,とのこと。また戦闘が1回と分かっていれば,ナンバーなどのリソース管理も容易になる。そのほうが,初心者にとってフレンドリーだろうとも話していた。

ダンジョン最奥に巣くう怪物「オトクイ」(イラスト:りゅうせー)。この元まで辿り着けば,ボスとの対決する「決戦フェイズ」に移行する。これまでに集めた情報を元にすれば,ボスの行動はある程度予測できるので,それを利用して立ち回ることが重要だ。勝利すれば,晴れてシナリオクリアとなる
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本作の行為判定は,1D6(+修正値)で4以上が出れば成功というシンプルなもの。ただし対応した能力値のランクが高いと振れるダイスの数が増え,その中から任意の1個を判定に用いられるようになる。なおこのとき,初めにダイスの中から一つを選んで「ムードダイス」とする
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ムードダイスは,その出目に応じた5種類の「ネイロ」を上昇させる(6の目は任意のネイロとして使える)。ネイロが溜まると(一部を除いて)プレイヤーにさまざまな恩恵があり,さらには蓄積したネイロとキャラクターのコアの色が一致する場合には,「ハーモニー」という特殊判定も行えるようになる。詳細は省くが,失敗した判定を覆したりもできるので,使いこなせばかなり強力だ
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簡略化されたゲームシステムと,ミクワールドに彩られた世界観


 行為判定の解説からお気づきの読者も少なくないだろうが,本作のシステムは,同じく河嶋陶一朗氏がゲームデザインを手がけた「神話創世RPG アマデウス」(以下,アマデウス)がベースになっている。ネイロはアマデウスにおける「インガ」に相当し,オトダマはアマデウスにおける「親神」のようなものだと説明すれば,同作のプレイヤーなら理解が早いはずだ。

デザイナーの河嶋陶一朗氏
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 河嶋氏によれば,本作は当初,アマデウスのバリエーションとしてお願いされていたタイトルだったそうだが,考えていくうちに「互換を重視するより,別のルールにしたほうが面白いだろう」と思い至ったとのこと。その結果ルールやデータは整理され――例えばスキルを使い切りにしたり,戦闘システムをシンプルにしたりなど――初心者でも取り回しやすい,遊びやすいタイトルとなっている。

 筆者が面白いと感じたのは,VOCALOIDを取り巻く世界観を,テーブルトークRPGにうまく落とし込んでいるところだ。公認されている二次創作の存在により,さまざまな姿でイメージされるVOCALOID達だが,それは本作においても変わらず,プレイヤーごとに自由な解釈が可能になっている。

 またナンバーの名称やシナリオには,「炉心融解」「ぽっぴっぽー」「ダブルラリアット」といった人気楽曲からの引用が散りばめられており,あくまでフレーバーではあるものの,世界観を強固にしている(ちなみに今回プレイしたサンプルシナリオは「ウミユリ海底譚」をモチーフにしたものだった)。

 こうした世界観の部分については,制作にあたって河嶋氏もかなり苦労したそうで,「音楽の情緒的な側面を,世界観を壊さずゲームシステムで表現するのは正解がなく,大変だった」と語っていた。具体的には,「家の裏でマンボウが死んでる」という楽曲を,どういう効果のナンバー(スキル)にすれば良いのかなどで,実際にどんな効果になったのかは,ぜひ発売後に確認してみてほしい。

 本作は,2017年9月1〜3日に幕張メッセで開催される「初音ミク『マジカルミライ2017』」のKADOKAWAブースでも試遊卓が設けられ,テストプレイが可能とのことだ。9月3日には初音ミクの声を担当する藤田 咲さんをゲストに迎えたイベントセッションも行われるそうなので,ファンはお見逃しなく。
 美麗なイラストも満載でファンアイテムとしても手に取りやすそうな本作。「TRPGはあまり知らないけれど,初音ミクが出るならちょっと興味がある」という人も,この機会に一度プレイしてみてはいかがだろうか。

ルールブックに収録されているリプレイでは,りゅうせー氏がイラストを担当している。ちなみに河嶋氏に本作の推奨プレイ人数を聞いてみたところ,初心者プレイヤー2人に対し,ベテランのGMとプレイヤーが各1人の4人プレイがベストとのことだった
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