インタビュー
[E3 2017]「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」は北米でも好感触。間氏と鯨岡氏への合同インタビューをお届け
E3 2017のスクウェア・エニックスブースにて,本作のプロデューサーを務める間 一朗氏と,ディレクターを務める鯨岡武生氏への合同インタビューが行われたので,本稿ではその内容をお届けする。
――本作はさっそくブースに出展されていますが,遊んでいる人達の反応はいかがですか。
間 一朗氏(以下,間氏):
まず,行列ができていて驚きました。僕自身,E3に何度も来ているのですが,今までブースに列ができているところを見たことがなかったんですよ。やっぱりアメリカでやるイベントなので,こっちだとFPS系のところが人気なのかと思っていたのですが,うちのタイトルにあれだけ長い列ができていたのには,すごく手ごたえを感じました。単純に嬉しいです。
――海外でもキャラクターの人気は高そうですね。
鯨岡武生氏(以下,鯨岡氏):
そうですね。E3 Coliseumというイベントで,どのキャラクターを使ったデモが見たいかと聞いたところ,クラウド,スコール,ライトニングといった,人気キャラクターを突いてきてくれるので,そういう意味ではFFのキャラクターは愛されているんだなと思います。
――対戦ゲームとなると,やはりハードルが高いイメージがありますが,本作ではそういったイメージを払拭するための工夫などはありますか。
間氏:
本作の操作はそこまで難しくしていません。難しいコンボの入力であるとか,このフレーム内にボタンを押さないとダメというのもほとんどなく,間口は広く作っています。
鯨岡氏:
うまい人の動画を見ても,難しいコンボなどはしていなくて,あくまでその都度の状況判断だったりとか,次に起こることを見据えたうえでの動きだったりとか,そういう立ち回りの工夫が,上に登っていくための条件になっています。試行錯誤がしやすいゲームなので,NTから始める人でも,そういった部分で先人に追いつける可能性は十分にあります
――海外ではアーケード版がないので,この作品が初になると思うのですが,海外のファンの反応を見てどう思いますか。
鯨岡氏:
アーケード版を認知している方が想定以上に多くて驚きました。また,対戦ゲームに対してのハードルは,日本と比べてもずっと低いように感じます。先ほども話しましたが,ブースの行列がそのあたりを証明しているかと思います。
――アーケード版との違いがあれば教えてください。
鯨岡氏:
アーケード版はアーケードの文化に合わせたゲームデザインになっているので,ランクマッチでの対戦に絞っていました。それを家庭用に持ってくるとなると,やはりFFの看板が付いているので,ストーリーは外せないだろう思い,NTではストーリーを追加しています。
ただ,モードとしてあるわけではなく,対戦をこなしていくとカットシーンが開放されていくような形になっています。
――PSP版にあったRPG的な要素はありますか。
鯨岡氏:
ありません。理由としては,PS4のクオリティでRPG的なものを作ろうとした場合,チープなものを出すわけにはいかないからです。そこをちゃんと作ろうとすると莫大な時間がかかってしまい,ファンにゲームを届けるのが相当遅くなります。そのため,今回はバトルに注力したコンテンツとして,このタイトルを送り出すことにしました。
――対戦はランクマッチのみでしょうか。
鯨岡氏:
NTではカスタムロビーを用意する予定です。フレンドを呼んで対戦したり,バトルルールをいじったりと,気軽に遊べる場所はちゃんと作っておきたいですね。
――どうしてもアーケードだとハードルが高く感じてしまう人もいると思うので,NTから始める人は多そうですね。
鯨岡氏:
そうですね。とくにFFに関しては,家で1人でやるゲームというイメージが強いので,そういう人達にしっかりと届けるために,NTを用意しました。
――アップデートのタイミングはアーケード版と同じですか。
鯨岡氏:
まずはアーケードからアップデート,間隔をあけてPS4版のアップデートを行う予定です。アーケードで遊ぶ意味も残しておきたいので,新しいバージョンが気になるときはゲームセンターに足を運んでもらえればと思います。
――当たり判定や技の有効度などはアーケード版のものがそのまま再現されているのでしょうか。
鯨岡氏:
もともとアーケード版も,PS4をカスタマイズしたシステムを使っているので,開発環境は基本的に同じなんです。なので,アーケード版とのズレは起きにくくなっています。ただ,細かいところでいうと,アーケード版の通信がサーバークライアント方式なのに対して,PS4版はP2P方式なので,そこは若干のズレがあります。
――最大6人でのマッチでP2P方式となると,ホストによってはラグが発生しそうですが,どうでしょうか。
鯨岡氏:
基本的に自動でマッチングする場合は,なるべく良好なところ同士でつながるようにする予定です。通信環境を示すアイコンも用意するので,そのあたりは安心してもらえればと。
――アーケード版では起きづらい問題として,意図的な回線の切断があると思うのですが,そこに対するペナルティとかは考えていますか。
鯨岡氏:
そういった部分はしっかりとやらなければならないと考えていますので,何かしらの形で適切な対応ができればと思います。
――フレンドとパーティを組んでマッチングに参加することは可能ですか。
鯨岡氏:
3人もしくは2人という組み合わせでマッチに参加できます。2人の場合は残りの枠にソロのプレイヤーが入る形になります。
――キャラクターのバランスを調整するうえで意識しているところはありますか。
鯨岡氏:
原作のイメージを大切にしつつ,個性を尖らせるということを意識しています。コンパチキャラは絶対に作らないという方針があるので,キャラクターごとに違う戦い方,違う楽しみ方ができるように調整しています。
――最近ではFFのキャラクター同士がクロスオーバーする作品が増えてきましたが,そのなかでディシディアシリーズはどのような立ち位置になるのでしょうか。
間氏:
実は原作のキャラクターがそのままの状態で集まるゲームって,ディシディアとオペラオムニアだけなんです。たとえばレコードキーパーにはFFのキャラクターがたくさん登場しますが,あくまでも彼らは英雄達の記憶なので,会話や対話は発生しません。
そういう意味では,ディシディアという形を取ったときのみ,すべてのキャラクター達がそれぞれの意思を持って一つの世界に集まるので,ほかのタイトルと比べても立ち位置は違いますね。
鯨岡氏:
ほかのタイトルは,その作品ごとの世界があって,原作のキャラクターはゲスト参加という形で出てくることがほとんどだと思います。ディシディアは,あくまで彼らが一堂に会する場所であり,そういう状況だからこそ起こりうるストーリーが展開されます。
本来,会うはずのない原作のキャラクター同士が言葉を交わすというところの魅力を感じてくれる人もいるので,オールスター系の作品のなかでも,独自のものとして昇華できていると感じています。
――では,本作を楽しみにしているファンに向けてひとことお願いします。
鯨岡氏:
ディシディアを好きなだけ遊びたいという人にはもちろん,アーケード版を遊んだことのない人にも楽しんでいただける作品になっていると思います。FFならではのストーリーや,世界観もしっかりと味わえるゲームなので,FFファンの方,アーケードでディシディアを遊んでいる方,対戦ゲームが好きな方,いろいろな方にこのタイトルを遊んでいただければ嬉しいです。
間氏:
アーケードにはアーケードの魅力がありますが,その魅力に触れてもらうまでのハードルがないわけじゃないというのも,我々は十分理解しています。そういう意味では,やっと家で好きなだけ楽しんでいただけるようなタイトルとしてリリースできるので,ぜひ楽しみにお待ちいただければと思います。
――ありがとうございました。
「DISSIDIA FINAL FANTASY NT」公式サイト
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