レビュー
観察眼と推理力をとがらせてスパイを探し出せ
チェックポイントチャーリーの捜査犬
「チェックポイントチャーリーの捜査犬」販売ページ
ヒントは目の前に公開されている。いち早くスパイを告発せよ
本作でプレイヤーが扮することになるキャラクターの探偵犬には,立派なひげを蓄えたポワロ風の紳士犬,トレンチコートが似合うコロンボ警部風に,品のある貴婦犬はミスマープルだろうか――。探偵映画や推理小説に登場する主人公を連想させる個性的な探偵犬がキャラクターカードにデザインされている。これらのキャラになりきってロールプレイするのも楽しい。
最初にプレイヤーは,袋から中を見ずに1枚ずつ「手がかりカウンター」を引く。ここには表裏で真逆な犯人の特徴が描かれているので,どちらか一方を選択して(表に向けて),自分のキャラクターが描かれたカードの下に隠しておこう。もし忘れてしまったら,周りに見えないようにこっそり確認してもいい。
この手がかりカウンターは全部で5種類。
- 帽子をかぶっているか否か
- サングラスをかけているか否か
- 新聞をわきに抱えているか否か
- 毛色がトラかグレーか
- 上着はコートかセーターか
自分の手がかり以外は,誰がどの手がかりを持っているのか,どちらが正しい手がかりかは分からず,推理するしかない。5人プレイなら手がかりはすべて行き渡るが,3〜4人プレイだったら,余った手がかりマーカーはコイントスのように放り上げてランダムに手がかりを決め,そのヒントを公開する。
スタートプレイヤーを決めたら,順に伏せた山札(容疑者の猫が描かれたカードの山)から1枚ずつめくって,自分の手がかりと一致した容疑猫はキャラクターカードの前方に置く。このとき,重ならないように見やすく並べること。合わないものは横か手前に表向きで重ねて捨て札にする(一番上だけが見えればいい)。
こうして数巡すると,自分と他プレイヤーの前に何らかの手がかりがヒットした容疑猫がリストアップされる。それら容疑猫の共通点と自分の手がかりをヒントに,「スパイ猫はこいつだ!」と見つけたらキャラクターチップを置いて告発しよう。告発はいつでもできるので,早い者勝ちというわけだ。
プレイヤー数マイナス1人が告発したらラウンドは終了。全員で手がかりマーカーを公開して答え合わせだ。すべての手がかりが合っているプレイヤーは,「チーフスパイ」の告発に成功。素晴らしい名探偵だ。手がかりが1つ違う容疑猫は「アシスタント(小さなスパイ)」で,これを選んでも告発成功だ。ここまでは優秀な探偵と言える。2つ以上手がかりが合わない容疑猫を誤って告発したり,最後まで告発できなかったプレイヤーは残念ながら負け。次回がんばろう。
チーフスパイを告発した名探偵は「金のスコアマーカー」,アシスタントを告発した探偵は「白のスコアマーカー」,敗者は「黒のスコアマーカー」を1枚引く。金には3〜5点,白は1か2点,黒は0か-1点が割り振られている。これを5回戦繰り返して合計ポイントが最も多いプレイヤー,もしくは最初に10ポイントを獲得したプレイヤーが出たら,その時点でゲーム終了だ。
プレイしてみると,各プレイヤーの前に容疑猫が3枚くらい並ぶころには,手がかりがだいぶ絞り込まれる感じだ。「向かいの容疑猫リストは帽子か新聞が共通してる。自分のヒントはアレだから……」といった具合に推理してパズルのピースを埋めていくと,隠れたほかのプレイヤーの手がかりが次第に浮き彫りになってくる。あと少しでチーフスパイが判明しそうだが,その前に誰かが告発するかもしれない。そういったジリジリとした焦りと緊張が,誰かの告発が引き金になって爆発し,一気に告発競争になることもある。じっくり冷静に考えるか,ニブイチでも告発を急ぐか,瞬間的にギアチェンジするスピード感もこのゲームの醍醐味と言える。
ちなみに,答え合わせの時に誰もチーフスパイを告発できず,かつ公開されている容疑猫カードにもチーフスパイがいなかった場合はどうなるのか? このときは,告発しなかったプレイヤーがボーナスポイントとして白のスコアマーカーを1つ獲得できる。告発合戦に熱くなって真相を見通せなかった迷探偵への戒め,というルールだ。
「諜報機関の狐将校」に「闇カフェ」。オプションで一発逆転ルールもあり
ゲームに慣れてきたら追加ルールを入れてみよう。2つのオプションが用意されている。1つは軍服を身にまとった凛々しい狐が描かれた「秘密警察・シュタージュ将校」だ。
黒のスコアマーカーを1枚,シュタージュ将校のマーカーと入れ替えて,あとは通常どおりプレイする。告発ミスしたプレイヤーが黒のマーカーを引いた時,それがシュタージュ将校であれば,即座に公開してシュタージュ将校のカードを手元に置く。
そのプレイヤーは,次のゲームで「秘密警察に監視された状態」となり,手がかりマーカーを全員に公開した状態でプレイしなければならない。ほかのプレイヤーは確定した手がかりを自分のも含めて2つあるので,がぜん有利にゲームを展開できるというわけだ。
負けたうえに次のゲームでヒントを公開しなければならないとは,敗者に追い打ちをかけるようなルールだが,負けた時のリスクが高まるこのルールは,告発にさらなる緊張感が与えてくれる。
ちなみに,1ゲームが終わったら,シュタージュ将校は帰っていく(尾行をまいたという設定らしい)。もし5戦目にシュタージュ将校のマーカーを引いた場合は-2ポイントだ。
もうひとつのオプションは「カフェ・アドラー」。ベルリンの壁のすぐそばに実在した,東西のスパイが頻繁に交流したと言われる喫茶店にちなんだ追加ルールだ。こちらもスコアマーカーをコーヒーカップが描かれた4枚(金1枚,白2枚,黒1枚)と交換してプレイする。ゲームを通常通りに進めてスコアマーカーを獲得したときに,カフェ・アドラーを引いたら,それを他プレイヤーが持つ同色のマーカーと交換できるのだ。
このカフェ・アドラーのスコアは各色の最低点なので,もし誰かが前のゲームで高得点を獲得してニヤニヤしていたら,カフェ・アドラーのスコアマーカーを見せつけてやろう。運よく5点と入れ替えられれば一気に逆転も可能だ(友だちをなくすかもだが……)。なお,交換されたカフェ・アドラーのスコアマーカーは表にして置き,再交換には使えない。
「チェックポイントチャーリーの捜査犬」はパッケージおよびマニュアルが日本語化され,ディアシュピールが代理店となって同店およびボードゲームショップで販売されている。
容疑猫は全部で32匹,すべての手がかりがヒットするチーフスパイはその中でただ1匹。ヒントは手元の1つだけ。でも,ほかのプレイヤーが候補に挙げた容疑猫リストが何かをささやいてる。その声を聞き取って,誰よりも早くスパイを見つけ出そう。「いたぞ,そいつがル●ンだ!」ってな具合にね。
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