プレイレポート
アーケードライクでカーアクション映画さながらに楽しめる「ニード・フォー・スピード ペイバック」のプレイレポートをお届け
そんな長寿シリーズの最新作となる「Need for Speed Payback」(PC / PS4 / Xbox One)が,2017年11月10日に発売された。発売から少々時間がたってしまったが,本作PS4版のプレイレポートをお届けしたい。
「Need for Speed Payback」公式サイト
ニード・フォー・スピードシリーズは,ストーリーを持たせ,警察やストリートレーサーとド派手なレースバトルを楽しめるタイプ(モスト・ウォンテッド系)と,レースを重視したタイプの二系統があるが,本作はモスト・ウォンテッド系で,オープンワールドを舞台としたものになっている。
開発は,前作に引き続きElectronic Arts傘下のGhost Gamesが担当。ゲームエンジンは「バトルフィールド」シリーズなどでお馴染みのFrostbiteエンジンで,前作同様の組み合わせとなっている。
本作は前作「ニード・フォー・スピード」を基本的には踏襲したゲームシステムで,ゲームの軸となるストーリーが用意されているが,基本的には街を自由に走り回りながら,ストリートレーサーや警察とのカーチェイスが楽しめるという内容だ。
本作において主人公的存在となるのが,ストリートレーサーのタイラー,ジェス,マックの3人だ。
彼らは巨大都市“フォーチュンバレー”で,カジノ主催のレースで使用するために輸送中のケーニグセグ・レゲーラの強奪を企てるが,仲間の裏切りによって,レースの主催者であり,カジノ界の頂点に君臨するマーカスに捕まってしまう。
しかし,タイラーのレーサーとしての腕がマーカスの目にとまり,警察に突き出さない代わりに,フォーチュンバレーのカジノや犯罪,そして警察までも牛耳る裏社会の巨大組織「ハウス」を倒すための計画へ参加し,全米最大のストリートレース「アウトローラッシュ」での勝利を目指すことになる,というのが本作の大まかなストーリーとなる。
本作の舞台となるフォーチュンバレーは,ラスベガスをモチーフにした架空の都市。カジノや様々な高層ビルが建ち並ぶネオン煌びやかな大都会“シルバーロック”,広大な砂漠地帯に沢山の太陽光パネルの間を縫って走るオフロードコースなどがある“リバティー砂漠”,高低差の激しい山岳地帯で,連続するヘアピンカーブなどドライビングテクニックを問われる山岳地帯“シルバーキャニオン”と“マウントプロビデンス”の4つのエリアに分かれている。
プレイヤーはフォーチュンバレーを自由に走り回ることが可能だ。一般車も走り回っているが,ぶつかっても特にペナルティはないので「ニード・フォー・スピード」らしく,爆走の限りを尽くせるだろう。
目の前に広がる広大なオープンワールドは,現実世界と見間違うほどリアルだ。時間帯の変化も再現されており,夕暮れ時の西日が眩しくて思わず手をかざしそうになる。
フォーチュンバレーにはレースなどが楽しめる“イベント”が各地に点在している。ライバルと抜きつ抜かれつのレースを行う“バトル”,タイミング良くシフトチェンジをしながら一定区間を走り抜ける“ドラッグ”,ドリフト走行をすると獲得できるポイントで競い合う“ドリフト”,前車の巻き上げる埃で視界が悪い非舗装路でレースを行う“オフロード”,制限時間内に目的地まで依頼者や荷物を届けたり,警察から逃げ切る“ランナー”の5つのスタイルがある。
タイラーが担当するのはバトルとドラッグ,マックはドリフトとオフロード,ジェスはランナーとスタイルによってドライバが入れ替わるのが面白い。車ごとに使用できるスタイルが設定されており,バトルの車でドリフトのイベントに参戦できず,スタイルごとに車を用意する必要がある。
イベントをこなすことで賞金が得られるが,サイドベットというサブ目標があり,これをクリアすることで更なる報酬がもらえる。失敗すると報酬が減るというおまけ付きだが,挑戦するかどうかはイベント開始前に選択できるので,クリアできそうなら挑戦してみる,という感じで楽しめる。
ストリートリーグは用意されたイベントをクリアすることで進んでいき,最後にストリートリーグのボスとレースを繰り広げるという流れだ。
また,ストリートレーサーの世界では,REP(名声)を上げていくことが重要で,REPの累積によってプレイヤーレベルであるREPレベルが上がっていく。イベントをクリアすることで多くのREPを獲得できるが,反対車線を走ったり,ニアミスする,ドリフトする,ジャンプする,高速で走るなどのイベント以外の通常走行時でもREPが獲得できる仕組みだ。本作で安全運転をすることはほとんどないので,自然とREPがたまっていく。
欲しいもの以外が出ることも多く(要らなければ売れる),目的のものを手に入れるためには繰り返しイベントをこなす必要がある。この強化システムは,これまでのレースゲームではあまり見られないモノで,賛否があるようだが,個人的にはゲーム性があって面白い試みに感じられた。
本作にはランボルギーニ,ポルシェ,メルセデス,日産,ホンダ,スバルなど国内外の自動車メーカーの実在する車種が収録されている。ほかのレースゲームと比べると収録車種は少ないものの,バンパー,ボンネット,リアスポイラー,フェンダー,ヘッドライト,テールランプ,エキゾースト,タイヤ&ホイールなど,用意された大量のパーツの中から選択してカスタマイズを楽しめるのが嬉しいところだ。また,カラーリングの変更はもちろんのこと,ステッカーやバイナルで飾ることもできる。
車の挙動については,説明するまでもないかもしれないが,完全なるアーケード志向で,誰でも手軽にレースやドライブを楽しめる。ゲームパッドで十分楽しめる味付けで,スティックを倒すとリアが流れ出し,ブレーキを少し踏み込めば簡単にドリフト体勢に入れる。ドリフトもカウンターステアを当てるというよりは,スティックでリアの流れ具合を調整するイメージでコントロールできる手軽さだ。
崖から転落しようが,一般車に激突しようが,車はボロボロになるだけで普通に走行可能だし,ガソリンスタンドを通過すれば,一瞬でピカピカの新車同然になる。この割り切りは本作の特徴ともいえるだろう。
細かいチューニング要素もあまりないので,深く考えずゲームでしか味わえない走りを楽しめるだろう。
ストーリーやイベントのほかに,アクティビティ要素もある。一定区間をドリフト走行してポイントを稼ぐ“ドリフト”が90個,飛距離を競う“ジャンプ”が90個,一定区間の平均速度で競う“スピードラン”が120個,計測ポイントの通過速度を競う“スピードトラップ”が135個,とかなりの量が用意されている。達成すると報酬として賞金とREPが得られるが,イベントとは違い走行中に自動的に開始され,車のスタイルは関係なく,どの車でも挑戦できる手軽さが嬉しいところだ。
その他にも,コレクション要素としては,30か所の看板を破壊する看板コンプリート,100枚のチップコインを獲得するチップコンプリートが用意されている。どうやってジャンプするか,少々パズル的な要素も含まれているので,すべて獲得するのは大変だ。
また,本作には宝探しのような要素もあり,シャーシと廃品パーツを集めることで「Ford Mustang 1965」や「NISSAN Fairlady ZG 1971」といった往年の名車を復活させることができる。数少ない手掛かりをもとに,パーツのありかを探すのはなかなか面白い。
マルチプレイに関してはレースのみが楽しめるだけで,広大なフォーチュンバレーを仲間たちと自由に走り回るといったことができないのが少々残念だ。
手軽に抜きつ抜かれつのストリートレースやハリウッド映画顔負けのド派手なドライビングアクションとカーチェイスを楽しめる本作。このシリーズに求めているものは,リアルな挙動やコンマ数秒を削るような走りではなく,現実では絶対にできない爆走を疑似体験できるという部分に尽きる。その点においては,しっかりとこれまでのモスト・ウォンテッド系ニード・フォー・スピードの良さを引き継いでおり,アーケードライクに初心者から上級者まで幅広い層のプレイヤーにオススメできる仕上がりだ。カーアクション映画さながらのぶっ飛んだ走りやスピード感,爽快感を存分に味わえるだろう。
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(C)2017 Electronic Arts Inc.
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