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警官の目を盗み,殺人現場を掃除せよ! ポーランドのインディーズデベロッパが作る「Serial Cleaner」とは
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印刷2017/04/27 20:05

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警官の目を盗み,殺人現場を掃除せよ! ポーランドのインディーズデベロッパが作る「Serial Cleaner」とは

 「REBOOT Develop」はクロアチアで開催されたゲーム技術のカンファレンスだが,登壇者を含めた参加者だけでなく,インディーズゲームコーナーにブースを出展しているデベロッパも(全体として東ヨーロッパが多いものの)非常に国際色豊かだ。
 というわけで,ここでは「国際的なゲームの開発国」として日本での知名度もうなぎ登りという雰囲気のポーランドで制作されている作品を紹介したい。ちょっと変わったステルスアクション「Serial Cleaner」だ。

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「Serial Cleaner」公式サイト

Steam「Serial Cleaner」プロダクトページ



こっそり隠れながら殺人現場を掃除せよ


 「Serial Cleaner」で,プレイヤーは「掃除人」になる。ただし,掃除人といってもあまり穏やかな掃除人ではない。殺人が起きた現場から死体や証拠品を運び出し,飛び散った血糊を掃除するのだ。
 しかも,「Serial Cleaner」の主人公は一流のプロ。殺人が起こった直後,つまり,まだ警察による捜査が始まる前に駆けつけて掃除するという生やさしいお仕事ではなく,警察の捜査がすでに始まった現場で警官達の目を盗みつつ掃除をするという,一見,不可能に思える仕事に挑むプロフェッショナルなのだ。

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 以上のように,なかなかぶっ飛んだ設定だが,要するに本作は警官の視界に入らないように立ち回る「コマンドス」シリーズライクなステルスアクションというわけだ。
 掃除するゲームという点で見れば,南アフリカのデベロッパであるRunestormが作った「Viscera Cleanup Detail」が有名だろう。あちらは血まみれの宇宙ステーションを1人で黙々と掃除する一人称視点のゲームだったが,本作は2Dトップビューで,警官から隠れて掃除するというアクション要素を加えることで,また独自の面白さを発揮するゲームになっている。

 主人公は武装をまったく持たず,警官を攻撃する手段はない。このへんにプロの掃除人としての矜恃を感じるのは,筆者だけではないだろう。


堅実な作りのステルスアクション


 「Serial Cleaner」のプレイ方法は実にシンプルだ。操作はキーボードでも可能だが,原則としてコントローラを使う。使用するボタンは事実上3つ(もう1つ,マップの拡大縮小を行うボタンがあるが,序盤ではほとんど使わない)。最近はコントローラに用意されている多数のボタンを巧みに使いこなすことを要求する作品が多いが,本作はそれとは反対の方向に進んでいる。
 キャラクターの移動はアナログスティックで行うが,十字キーでも移動可能で,このあたりも,こなれた設計と言えるだろう。

基本的な操作方法は,最初のステージの壁に示されている
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 ゲームのルールもいたってシンプルだ。基本となるステルス部分は,自分のキャラクターが色付きのエリアで表示される「警官の視界」に入った場合,その警官がこちらを追いかけてくるという仕組みで,追跡モードに入った警官のほうが,こちらの移動速度より速い。
 本作にはまた騒音の要素もあり,大きな音を聞いた警官はその方向を注視したり移動したりするし,ベルを鳴らすなど,現場にあるオブジェクトを使って大きな音を出せば,警官が急いで集まってくる。
 緊急避難のためのギミックも完備されており,置いてある段ボール箱の中に隠れたり,ちょっとした小部屋に退避したりすることで,警官の追跡を振り切ることができる。
 どのシステムも,現代的なステルスゲームとしてはおなじみで,ルールやテクニックはすぐに理解できるだろう。

警官の視界(赤い扇状のエリア)に入ると,警官に追われる。つまり,この状況はとてもまずい
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 ステージクリアの条件となる「死体と証拠品の回収」「血糊の清掃」についても,とても分かりやすくできている。
 死体を回収する場合,主人公は1回につき1つの死体を担いで移動し,それを自分の車まで持ってきて投げ込めば,それで成功だ。証拠品の回収はもっと簡単で,ステージに配置してある証拠品をただ拾うだけ。ただし,死体を担ぐと移動速度が落ちるし,死体を担いでいる間に証拠品を拾うことはできない。

 血糊の清掃は,血糊のあるところでコントローラの右トリガーを押すと掃除機モードになるので,これを使って血糊を吸い取っていくという感じだ。血糊を完璧に消し去らねばならないというストイックさはなく,多少の掃除漏れは許されるので,このあたりは神経質にならなくても大丈夫だ。
 なお,当然ながら掃除機を起動するとそれだけで騒音がするし,移動速度も落ちる。警官の目を避けながら掃除をするのは,結構大変なのだ。

画面をズームアウトして広い視野で状況を確認することもできる。とはいえ,序盤のステージではほとんど使わない機能だ。ちなみに各ステージは有名な殺人事件をモチーフにして作られているとのこと
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パターンよりもアドリブが重要なバランス


 さて,いかにも簡単なゲームっぽく書いたが,本作はあくまでゲームシステムが簡単というだけで,ゲームの難度まで低いわけではない。むしろ,やさしくない部類だろう。
筆者が以前プレイしたバージョンでは,たまにキャラクターが壁に引っかかるような動きをすることがあったが,今回のバージョンではだいぶ改善されていた
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 難度を高めている大きな要素の1つは,ウェイポイント的なものが存在しないことだ。本作では掃除の途中で警官に捕まった場合,ステージを最初からやり直すことになる。このため,ステージクリア直前で警官に捕まると,思わず罵声があがることも珍しくなく,ブースで試遊していた「REBOOT Develop」参加者に,そういう例を何度も見た。
 また,同じステージを繰り返した場合,死体や証拠品の位置がランダムに変わるのも結構やっかいだ。「よし分かった,この手順でやればいける!」と思っても,次にトライするときには状況が変わっていたりするのだ。

 ランダムな変化については,とくに「コマンドス」のような,究極のパターンを探るステルスゲームが好きな人にとっては評価の分かれるところだろう。本作は基本的に,パターンを覚えるよりアドリブを効かせた柔軟な対応が求められるステルスゲームであり,そっちのほうが好きなプレイヤー向きというわけだ。

 「Serial Cleaner」は2017年4月現在,Steamでアーリーアクセス版がリリースされている。完成版では,1970年代のアメリカ映画のノリを踏まえたストーリー要素がガッツリ実装されるとのこと。そういう雰囲気のゲームが好きな人にとっても,本作は良い選択肢になり得るだろう。

「Serial Cleaner」公式サイト

Steam「Serial Cleaner」プロダクトページ


 さて,筆者は以前「Serial Cleaner」を作っているiFun4Allのスタジオを撮影する機会があったので,簡単に紹介したい。実はこれ,2016年の「Poznan Game Arena」取材時に訪問した際の写真で,この機会に発表しようというわけだ。
 ポーランドのインディーズゲームデベロッパスタジオはこんな雰囲気,といえるかどうかは分からないが,筆者が訪問した限り,この規模のスタジオはだいたいこんな感じだった。何かの参考になれば幸いだ。

iFun4AllのCEO,Michal Mielcarek氏。壁に貼ってあるポスターはMielcarek氏が大好きなゲームというだけであって,同社との関係はとくにない
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(左)iFun4Allのスタジオは,郊外の一軒家。(右)小さなキッチンに見えるし,実際キッチンなのだが,サーバルームでもある
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福利厚生的な何かも置いてあった。筆者はいくつかのインディーズゲームデベロッパのスタジオを訪問した経験があるが,どこへ行ってもバランスボールはだいたい置いてあった気がする。使われているかどうかは別問題だが
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