インタビュー
「ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー」ディレクターの平田 弥氏に聞く,リメイクに懸けた思いやファンタジーRPGの魅力
本作は,過去と未来を行き来する力を持つ主人公ストックが,分岐する歴史を“あるべき姿”に導くという“時間移動”をテーマとしたファンタジーRPG「ラジアントヒストリア」のフルリメイクタイトルだ。キャラクターデザインが一新され,シナリオ「亜伝」やキャラクター「ネメシア」,バトルの「サポートスキル」,キャラクターボイスやイベントイラストなどの新要素が追加されている。
2010年11月の発売からおよそ7年の月日が経ったいまも根強いファンを持つ「ラジアントヒストリア」と,そのリメイクとなる本作について,オリジナル版に続き本作でもディレクターを務めた,アトラスの平田 弥氏に話を聞く機会を得た。
オリジナル版制作時のエピソードをはじめ,本作の気になる新要素やリメイクに懸けた思い,ファンタジーRPGの魅力などを聞いてきたので,すでに掲載されている本作のプレイレポートと合わせてチェックしてほしい。
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「ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー」公式サイト
“時間移動”の要素と戦略性の高いバトルで
RPGファンの好評を得た「ラジアントヒストリア」
4Gamer:
本日はよろしくお願いします。4Gamerのインタビューに登場いただくのは初めてですので,まず最初に自己紹介からお願いできますでしょうか。
平田 弥氏(以下,平田氏):
アトラスでは,初めて制作に関わった「真・女神転生III-NOCTURNE」から,「真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス」や「デビルサマナー葛葉ライドウ対超力兵団」といったタイトルでバトルプランナーを担当していました。
そののち「真・女神転生 STRANGE JOURNEY」でディレクションサポートを経験したあと,本作のオリジナル版となる「ラジアントヒストリア」で初めてディレクターを任され,続いて任天堂さんとのコラボタイトル「幻影異聞録♯FE」でチーフディレクターを担当して現在に至る……という感じですね。
4Gamer:
本作のオリジナル版となる「ラジアントヒストリア」ですが,あらためてどのような作品だったかをお聞かせください。
ゲームクリエイターの高屋敷 哲氏とデザイナーのこにしひろし氏という,外部のクリエイターによる持ち込み企画だったそうですが,どのような経緯で平田さんが関わることになったのでしょう。
平田氏:
もう大分昔の話となるので,細かいところは覚えていませんが……僕は当時「ディレクターをやってみたい」とよく話していたんですね。それがあったので,「こんな企画が届いているけどやってみないか」と,会社から声を掛けてもらったんじゃないかなと思います。
4Gamer:
実際に企画に目をとおしたときはいかがでしたか?
平田氏:
紙ベースの企画書だけではなく,フィールドも歩けてバトルもできるという,ゲームの要素がほぼ盛り込まれた試作版のROMで企画を提案していただけたんですね。なので,ゲームの内容がとてもイメージしやすかったことは覚えています。
4Gamer:
なるほど。実際に試作版に触れた際は,どのような印象だったのでしょう。
平田氏:
まず「これまでのアトラスにはなかったタイプのゲームだな」という印象が大きかったです。そして,「うち(アトラス)からは出てこない発想の企画だな」とも感じたので,これはぜひ一緒にやってみたいと思いました。
4Gamer:
実際に制作する際には,アトラス側からどのような意見を出されたんですか?
平田氏:
そうですね……これも大分昔のことなので,記憶が飛んでいるところはありますが(笑),ビジュアル面に関してはほとんど出来上がっていましたし,とくに意見するところはなかったですね。
世界観やストーリー,ゲームの触り心地や遊びの部分で,いくつか提案させていただいたと思います。
4Gamer:
具体的にはどのようなところでしょうか。
平田氏:
まず世界観やストーリーですが,もともとの構成が“対立する4つの国があって,そこを渡り歩くキャラクターの視点でそれぞれの国の事情を描く”という,群像劇としての一面も持った戦記物のようなシナリオだったんですね。
そして,それぞれの国で4つずつ,全部で16個のエンディングを用意したいと。大変興味深い設定でしたが,ゲーム全体のボリュームを考えたとき,この設定のままでパッケージにするのは難しいなと思ったんです。
4Gamer:
確かに16個のエンディングと聞くと,作るほうも大変そうですが,プレイするのも時間が掛かりそうですね。
平田氏:
そこで4つの国を2つに絞り,さらに複数の国を行き来するという“横の広がり”ではなく,時間という“縦のつながり”を軸に,過去や未来を行き来しながら物事を解決していく物語にすれば,うまくまとまるのではないかという話し合いをしました。
4Gamer:
本作の特徴となる“時間移動”の仕組みはそうやって生まれたんですね。
平田氏:
確かにこのときに,時間移動という発想の起点が生まれたのかもしれません。
「一本道ではなく分岐する物語にしたい」という高屋敷さんの思いを継承しながら,遊びやすくまとめるにはどうしたらいいか。選択肢や分岐で物語が枝分かれしていくノベルゲームのような要素をRPGに落とし込むと,新鮮味があって面白いのでは? という話をしながら,ゲーム構成をまとめていきました。
4Gamer:
ゲームの触り心地という面では,どのような提案をされたのでしょう。
平田氏:
分かりやすいところだとバトルシステムでしょうか。企画を見せていただいた時点でバトルの形は出来上がっており,とても戦略性が高くて面白いものでした。
しかし難度が高く,さらに1回のバトルがとても長くて,ザコ相手でも15分くらいかかったんです。
4Gamer:
ちょっとキツいですね。
平田氏:
頻繁にバトルを重ねるゲーム展開を想定されていたようだったんですが,それだと1回のバトルが長すぎるのではないかと感じました。
あと,RPGって,バトルで得た経験値やアイテムで,キャラを育成して強化することでさらに冒険が広がり,その先でさらにバトルをして……という,システムループも大事ですよね? そのあたりも鑑みると,バトルは長くても3分くらいに収めたほうがよいだろうなと。
バトルやキャラ育成については,意見のキャッチボールをしっかり行いつつ,アトラスがこれまで培ったRPG制作のノウハウも生かしながら現在の形まで仕上げていきましたね。
「亜伝」では,オリジナル版から踏み込んだ
“最後の謎”を描き切りたかった
4Gamer:
最初に発表されたときは驚きました。
平田氏:
そうですよね。僕も「まさかこのタイミングで!?」と驚きました(笑)。
4Gamer:
(笑)。どういう経緯でリメイクの話が立ち上がったのでしょう。
平田氏:
「幻影異聞録♯FE」の制作が終わって,次は何をしようかなと考えていたときに,会社から声を掛けられました。ありがたいことにプレイヤーからの評価が高く,発売から5年ほど経った当時もその反響が届いていたようなんです。
さらに海外での評判もよく,多くのお客様からご支持をいただいているという話でした。
4Gamer:
国内だけではなく海外での評判も良いというのは嬉しい話ですね。
平田氏:
はい。それで,これまで良い評価をしていただいた皆さんに向けてお届けしたいというのはもちろんありましたが,これだけ高評価をいただいている「ラジアントヒストリア」というタイトルを,もっと多くの人に知ってもらおうと。これがリメイクが決まった大きな理由の1つとなっていますね。
4Gamer:
なるほど。リメイクが決まって,オリジナル版もあらためてプレイされましたよね?
平田氏:
本格的に制作が始まったのは2016年初頭なのですが,その前に久しぶりにプレイしてクリアもしましたよ。2015年の年末あたりですね。
4Gamer:
久しぶりにプレイして,どのような印象がありましたか?
平田氏:
手前味噌にはなってしまうのですが,「なかなかこれまでにないタイプのRPGだな」と,あらためて思いました。
プレイヤーの行動がちゃんとキャラクターの心情やシナリオ展開と密接につながり,ストーリーとゲームの遊びの仕組みがしっかり絡んでいる。発売から5年が過ぎた段階でプレイしても,新鮮さを感じましたね。
4Gamer:
では,制作者としてはいかがでしょう。「どこを変えていこうか」ということも考えながらプレイされたのかと思いますが。
平田氏:
移動やシーン展開などが多いタイプのゲームなので,2017年のゲームなりのテンポ感を生むためにも,ここはしっかりリファインすべきところだなと思いました。
そういった操作感やプレイのレスポンスといった面は,“今のアトラスならばもっと良くできる”という感覚がありましたね。
4Gamer:
リメイク作業ではどのあたりで苦労されたのでしょう。
平田氏:
操作面の向上という狙いもあってUI関係の仕様をガラッと変えたんですが,それをどう整えていくかというところでしょうか。
あとは,新しいシナリオを追加しようというのは決めていたので,それをどのような形で追加するかは,かなり時間をかけてスタッフと話し合いました。
4Gamer:
ストーリー展開やシナリオのつながりは,オリジナル版で出来上がっている印象があります。どのようなシナリオが追加されるのでしょうか。
平田氏:
オリジナル版のストーリーの軸に,情報部に所属して暗躍する「正伝」と,軍部に所属して戦う「異伝」という2つのシナリオがありますが,これに手を加えるのではなく,全く新しいものとして作りました。それが本作の新要素となる「亜伝」ですね。
オリジナル版を制作したときに削った部分を,あらためて復活させることも検討はしたんです。しかし「正伝」「異伝」ともに,それらを削ったうえでストーリーを描きましたので,一度削ったものを戻してしまうと,前作をプレイした人達が持つシナリオの印象が変わってしまうと思ったんです。
4Gamer:
ストーリーの整合性みたいなところにも関わってきそうですね。
平田氏:
そうですね。なにより,世界観やストーリー展開は高い評価をいただけているところなので,それを壊してはいけないと思ったんです。
4Gamer:
では,「亜伝」のシナリオは,オリジナル版にある「正伝」と「異伝」のシナリオとは関連性のない,全く別物となるのでしょうか。
平田氏:
いえ,ちゃんとオリジナル版のストーリーとつながったものになっていますよ。
詳しくは実際にゲームをプレイして確認して欲しいのですが,“別方向で進行しながらも,やがて一本の線につながっていく”という構図になっています。
なぜこういう構図になったかというと,オリジナル版のストーリーで“最後の謎”となっている大事なエピソードがあって,この「亜伝」でそれにケリをつけようと。
4Gamer:
気になりますね。それはどういうことでしょう。
平田氏:
もちろんオリジナル版で,主人公ストックの物語は描ききっていますし,しっかり収束した形で完結はしています。しかし,ストックの物語とは別に,本作の世界に残されている“最後の謎”があるんですね。
オリジナル版をクリアしてくれた人は「たぶん,あのことだろうな」と気づくんじゃないかと思いますが,その“最後の謎”を描き切り,完結させました。
4Gamer:
なるほど。オリジナル版をクリアした人には見逃せないものとなりそうですね。
平田氏:
真のエンディングというわけではないですけど,オリジナル版のエンディングの,さらにその先のエンディングがあるといったイメージですね。前作をプレイされた方にはぜひ期待していただきたいですね。
4Gamer:
「亜伝」といえば,新キャラクターのネメシアが気になります。歴史学者ということですが,デュナミス号という船で並行世界を行き来するんですよね? どの次元に存在している人物かも分からない,謎が多いキャラクターです。
平田氏:
詳しくはお話できませんが,彼女は彼女なりにこの大陸の出来事を調べていて,途中からストックと共に研究したり謎を解いたりすることになります。
ストーリーを進めるに従って,彼女の本当の目的や,ストックとなぜ出会うことになったのかなどが明らかになっていくのですが……ぜひ「亜伝」を進めて,彼女の謎にも迫ってほしいですね。
4Gamer:
とても気になりますね。では,バトルシステムの新要素「サポートスキル」についてもお聞かせください。
平田氏:
なぜこのシステムを加えたかというと,控えのメンバーがバトルに参加できないことに,前々からもどかしさを感じていたからなんです。
4Gamer:
確かに「一緒に行動しているのに……」みたいな気持ちにはなりますね。
平田氏:
とはいえ,全員でバトルするというわけにもいきませんよね。控えの彼らが何かしらの形でバトルに介入する仕組みができないかと考えていたとき,「幻影異聞録♯FE」のバトルでやった「セッション」みたいな,いろんな仲間が参加するようなシステムにできないかなと思ったんです。
4Gamer:
敵の弱点を突いてコンボを重ねていくと,それに呼応する「セッションスキル」を持つ仲間がコンボに参加していくというシステムですね。
私もあのテンポのあるバトルシステムは好きでした。「幻影異聞録♯FE」はパーティメンバーがアイドルやアーティストなので,まるでステージ上で入れ替わりながら歌唱するアイドルグループような華やかさもありましたね。
平田氏:
ありがとうございます。僕自身がそういった賑やかなバトルが好きだというのもあるのですが,どうすればプレイヤーに,共に冒険する仲間と力を合わせて戦っているという気持ちになってもらえるか。どのような演出にすれば,バトルにテンポ感が生まれるのか。「セッション」も参考にしつつ,本作に合う形で作り込みました。
オリジナル版で完成しているバトルシステムの魅力を損なわない形で,うまく追加できたかなと思います。
ロングヘアーのエルーカは原点回帰?
ボイスやイベントイラスト,新楽曲で演出を強化
4Gamer:
ストーリーやバトルは,オリジナル版はそのままに新要素を足したものとなっていますが,一方でキャラクターデザインはガラッと変えてきましたね。
平田氏:
新しいお客様に手に取ってもらえるような打ち出し方をしたいと考えたとき,ビジュアル面のイメージを変えるのは1つの手段だと思ったんです。もちろんオリジナル版の絵が好きだという人も大勢いらっしゃると思うので,大きな決断ではありましたね。
4Gamer:
ただ,確かにキャラクターイラストはガラリと変わっていますが,オリジナル版の持つイメージは引き継がれていますね。
私個人,それほど違和感はありませんでしたが,グランオルグの王女エルーカが,ショートカットからロングヘアーになっていたことには驚かされました。
平田氏:
オリジナル版のエルーカは,そもそもロングヘアーのイメージだったんですよ。ちょっと毛色の違う王女がいてもいいんじゃないかと,あのショートカットでクリクリした髪型になったんです。
本作では“原点回帰”ではないですけど,見ための分かりやすさという点でも,「一般的に皆さんが想像するような王女のイメージに」ということでロングヘアーにしました。
4Gamer:
なるほど。ロングヘアーになったことで落ち着いた雰囲気になることもなく,キリッとした表情からは,オリジナル版にもあった芯の強さや気丈な雰囲気もちゃん感じられます。
キャラクターですが,イラストが変わっただけではなくボイスも加わりましたね。
平田氏:
はい。ボイスの実装に関しては迷いはありませんでしたね。
オリジナル版制作の時点でも考えていたんですが,これだけ世界観やシナリオ,そして人物をしっかり描いた作品なのに,彼らの心情を表現する手段として“声”がないのは逆に変かなと。なのでボイスを実装することには抵抗はなかったというか,あって然るべきものだなと思っていました。
4Gamer:
オリジナル制作時もボイスは入れたかったのですか?
平田氏:
そうですね。DSなので技術的に難しかったというのもありましたが。
もちろんオリジナル版のプレイヤーの皆さんは,それぞれのキャラクター像が出来上がっているはずです。本作で追加した声のイメージが,自分が思い浮かべていたものと違うというご意見もあるかと思います。
ボイスはオフにもできるので,オリジナル版と同じ環境で進めたい人はこちらで切り替えていただければと思いますが,ボイスが入ったことで世界観や演出が強化されているので,ぜひそれを体験してほしいですね。
4Gamer:
イベントシーンに描き下ろしイラストが追加されていますが,これもやはり演出の強化という狙いがあるのでしょうか。
はい。オリジナル版では,基本的にドット絵で表現されたキャラクターと,バストアップのカットインでイベントを表現していました。
しかしそれだけだと,今起きている出来事を伝えづらいので,もう少しダイナミックな演出がしたいと思ったんです。
4Gamer:
演出面はもちろん,本作の世界観を作り上げている重要な要素の1つとして,下村陽子さんの音楽があると思います。オリジナル版の楽曲に加え,5曲の新曲が収録されているそうですね。どんな場面で新楽曲が使用されているのでしょう。
平田氏:
皆さんが一番耳にすることになる新楽曲は,オープニングテーマだと思います。ほかにはネメシアの登場シーンや,ストーリー展開でとても盛り上がるシーン,演出面で強化したいと思っていたシーンで使用しています。それはどんなシーンで,どのような楽曲なのかは実際にプレイして確認してほしいですね。
4Gamer:
平田さんご自身は,今回の新楽曲を聴いてどのように思いましたか?
平田氏:
どの新楽曲もいい意味で7年前と変わらない空気感を持っていて,ゲームの世界観になじんだものとなっていました。
例えばオープニングテーマですが,「これまでとは毛色が違うものにしたい」とお願いしたんですね。そのオーダーに対して,ゲームの世界観に合わせながらも,オリジナル版にはなかった全く新しい楽曲を制作していただけました。
下村さんとは7年振りにお仕事させていただきましたが,そのお仕事ぶりや,ファンタジーRPGの世界と相性の良い楽曲は本当に素晴らしいと,あらためて感動しましたね。
“共感しやすい要素と妄想しやすい要素”が
揃っているのがファンタジー世界の魅力
4Gamer:
平田氏:
子供のころにテレビで観たレイ・ハリーハウゼンの映画でしょうか。
「アルゴ探検隊の大冒険」の骸骨剣士や,「シンバッド七回目の航海」のサイクロプス,「タイタンの戦い」のメデューサ……そんなモンスター達がダイナミックに動いているのも驚きでしたが,これまで見たことのない冒険の世界にとてもワクワクしたことを覚えています。
4Gamer:
それでは,ゲームだといかがでしょうか。
平田氏:
「ザ・ブラックオニキス」「夢幻の心臓」「ハイドライド」「ザナドゥ」……PCのRPGにハマっていて,割と早めにファンタジーRPGの世界に足を突っ込んでいましたね。
1作めの「ドラゴンクエスト」が出たときは中学生か高校生くらいでした。みんなが良いというものに反抗したくなる時期で,最初は素直に受け入れようとしない自分もいましたが(笑),やはりプレイするととても衝撃的で面白かったですね。
4Gamer:
では,やはりRPGを作りたいという思いがあって,ゲーム制作の道に進まれたのでしょうか。
平田氏:
はい。ずっとRPGを作りたいという気持ちがありましたね。アトラスに入社する前はフリーランスでゲーム制作に関わっていたんですが,RPGを作りたいと話したり,企画を立てたりしても,その規模感や作業量もあってフリーランスや小さな開発会社では難しかったんですね。
それで「RPGが作れる会社に行こう!」と入社したのがアトラスだったんです。
4Gamer:
なるほど。でも,こんなお話をしては失礼ではありますが,アトラスってファンタジーRPGはあまり……。
平田氏:
制作していないですね(笑)。もちろん「真・女神転生」という,好きなタイトルの制作に関わることができてとても嬉しかったですし,充実しています。
でも「ラジアントヒストリア」の話がきたときは,「念願のファンタジーRPGが作れる!」と,特別な思いがありましたね。
4Gamer:
なるほど。ファンタジーの世界の魅力ってどこにあると思いますか?
平田氏:
現実とは別の世界ですが,そこに住んでいる人間達や彼らの生活,政治など,現実の世界と地続きというか,共感しやすい要素がまずありますよね?
そこにモンスターや魔法といった,現実にはない要素,自分の妄想が介在できる要素がある。共感しやすい要素と妄想しやすい要素がうまい具合にハマっている舞台なので,これを最初に考えた人は凄いなと思います。
4Gamer:
もっとお話をうかがいたいところですが,残念ながら時間となってしまいました。
読者に向けてメッセージをお願いしたいのですが,まず,オリジナル版をプレイした人と,今回初めて手にするという人それぞれにおススメのポイントがあればお願いします。
平田氏:
はい。まずオリジナル版をプレイした人には,操作性が高くなって,テンポ感が上がったというところをぜひ体験してほしいです。そして,シナリオの基本的な流れは変えていないんですが,演出を強化したり,補足的なシーンを足したりしているので,それがどこなのかぜひ見つけてください。
あと,あまり話題にあがっていないようですので,皆さん気付いていないのかな? というポイントがあるのですが……オリジナル版では下画面をメイン画面として使用していましたが,本作では上画面になっています。
4Gamer:
あっ! 確かにそうですね! とてもなじんでいたので,あまり気にかけていませんでした……。
平田氏:
やはり意外と皆さん気付いていないのですね(笑)。前作は下画面がメインだったんですが,本作では3DSの仕様に合わせて,上画面でバトルや物語が展開しますし,下画面には地図が出て遊びやすくなっていますので,ぜひこの違いも確認してください。
4Gamer:
では,初めて手にするという人にお願いします。
オリジナル版ありきの作品ではなく,新作のRPGとしてきちんと楽しんでいただけるゲームになっているということをお伝えしたいですね。
オリジナル版の物語の展開を追いながら,クリア後に「亜伝」が遊べるようになるという「アペンドモード」と,「亜伝」が最初からプレイ可能となる「パーフェクトモード」という2つのゲームモードがあるのですが,初めてプレイする人や,少しずつ物語を解き明かしたいという人にはアペンドモードをおススメしています。
……と言いながら,あらためて2つのモードを触ってみると,「どちらでも違和感なく進められるなあ」と思ってしまっていて(笑)。パーフェクトモードは,リメイクした際に込めた理想や意図するものが伝わりやすいかと思うので,気になる人はこちらからプレイしてもらってもいいかなとも思います。
4Gamer:
最後に,読者とRPGファンに向けてメッセージをお願いします。
平田氏:
携帯ゲーム機ということで,少しずつ進めながら楽しめるような作りとなっています。とくにRPGが好きだという人,物語に没入したいという人にはおススメできるものに仕上がっていますし,期待を裏切らない作りとなっているので,ぜひ手に取ってプレイして欲しいですね。
4Gamer:
オリジナル版の魅力はそのままにパワーアップしたという本作がどのように仕上がっているのか,いちRPGファンとしてとても楽しみにしています。本日はありがとうございました。
平田氏:
ありがとうございました。
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