テストレポート
Motorolaの新スマホ「Moto X4」&合体ゲームパッド「Moto Gamepad」テストレポート。Moto X4は使い勝手良好なミドルクラス市場端末だ
また,同時に,Moto Zシリーズ用の外付け周辺機器「Moto Mods」の新製品であるゲームパッド「Moto Gamepad」を,同じ10月27日に発売することも発表している。
発表会で,両製品をじっくりとチェックできたので,さっそくレポートしよう。
持ちやすいボディはMotorolaならでは
5.2インチサイズで解像度1080×1920ドットのIPS液晶パネルを備えたボディは,パッと見でも丸みを帯びた形状が目立つ。本体の側面や背面が丸みを帯びているのに加えて,上下の側面もゆるやかなカーブを描いているためだ。
また,前面だけでなく,カメラユニット部分を除く背面全体にも,強化ガラスでは定番のGorilla Glass(※バージョンは未公開)を採用しているのもポイントだ。背面はデュアルレンズのアウトカメラ仕様で,ボディのフレームは金属部材など,最近のトレンドをしっかりと押さえている。
質実剛健なイメージがあるMotorola端末のセオリーからすると,やや路線が異なるとも言えるが,持ちやすさを重視した筐体デザインは,いつものMotorolaだ。
なお,カメラの画角だが,広角側の仕様は120度とスペック表にあるものの,標準側の仕様は明らかになっていない。実際に撮影したサンプルデータを確認したところ,EXIFに画角のデータはなかったが,サンプルを見る限りでは,標準側は35mm換算で28mm程度といったところか。
おおむね,最近のスマートフォンではお約束になりつつある仕様であり,ミドルクラス市場向け端末のカメラとしては良好と言えよう。
ソフト面の独自色は少ないが,指紋認証センサーのジェスチャ機能は便利
とはいえ,独自機能もいくつか用意されてはいる。たとえば,ホーム画面にある独自の設定アプリ「Moto」では,ジェスチャ操作や指紋認証センサーの挙動を設定可能といった具合だ。ちなみに,2017年6月に登場した「Moto Z2 Play」にも,このアプリは用意されていた。
地味ではある,Motorola端末らしさが表れているのは,ワンボタンナビゲーションだろう。指紋認証センサーをタップしたり,フリックしたりすることで,ホームボタンや「戻る」ボタン,「最近のアプリ」ボタン(タスクボタン)の操作を実行できるというもので,画面上のソフトウェアボタンに触れなくても済むという機能だ。
うまく使えば,片手操作での快適さが向上し,ソフトウェアボタンを表示しなくてもよくなるので,それだけ画面を大きく表示できる。ゲーム中にソフトウェアボタンが表示されてしまって,邪魔になるというお約束の問題も回避しやすくなるだろう。
スペックも性能もミドルクラス相応
デレステの「3Dリッチ」は荷が重い
搭載SoC(System-on-a-Chip)は,ミドルクラス市場向けスマートフォンではお馴染みのQualcomm製「Snapdragon 630 Mobile Platform」(以下,Snapdragon 630)。メインメモリ容量は4GBで,内蔵ストレージ容量は64GBというものだ。
Moto Z2 Playは,搭載SoCが「Snapdragon 626」,10月6日に発売されたばかりの「Moto G5S Plus」は「Snapdragon 625」なので,スペック的にはMoto X4が上というわけだ。
ただ,ミドルクラス市場向けのスマートフォンでは,ASUSTeK Computerの「ZenFone 4」のように,より新しく,スペックも高いSoC「Snapdragon 660 Mobile Platform」を採用する製品も出てきている。それからすると,見劣りするように見えなくもないが,説明員によると,体感速度を向上させるために,Moto X4では,ストレージとメインメモリに高性能なものを採用しているそうなので,そこでどれだけの性能を出せるのかが鍵となりそうだ。
というわけで,ベンチマークテストとゲームのプレイで,Moto X4の実力を確かめてみる。
実施したのは,3Dグラフィックスベンチマークアプリ「3DMark」の「Sling Shot Extreme Unlimited」プリセットと,総合ベンチマークアプリ「PCMark for Android」の「Storage test」,CPUの動作クロックを見る「CPU-Z」に,連打応答性を調べる「ぺしぺしIkina」といういつもの4点セット。ゲームのテストは,これまた定番の「アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ」(以下,デレステ)で行なった。
まずはSling Shot Extreme Unlimitedから。総合スコアは「913」で,Snapdragon 626搭載のMoto Z2 Playが「515」だったのに比べると,約56%の向上となった。一方,Snapdragon 660搭載のZenFone 4は「1362」だったので,ちょうど両製品の中間というわけだ。つまり,現時点でSnapdragon 620〜630世代のSoCを採用するミドルクラス端末としては順当な性能と言えるが,これから2018年にかけて増えていくSnapdragon 660世代を採用する端末に比べると,見劣りするようになっていくのは否めない。
Monitoring dataを見ると,短時間のテストながら温度の上昇が目立った。ただ,後段で説明するデレステのプレイテストでは,熱による性能低下は感じなかったし,特定の部分が極端に発熱するといったこともなかった。よほどの長時間プレイでもない限り,熱についてはそれほど気にする必要はなさそうに思える。
PCMark for AndroidのStorage testにおける結果は,「6623」と高いものとなった。このスコアは,ハイエンドスマートフォンである「Xperia XZ1」や「Galaxy Note8」よりも高いほどで,Moto Z2 Playの「7274」に続くものである。
体感でも,Moto Z2 Playと同様に動作はキビキビしており,ストレージに高性能なものを採用としたという効果が表れているようだ。
CPU-Zで確認してみたところ,なぜかSoC名が「Snapdragon 835」,CPUコア(Architecture)は「Kryo 280」と表示されてしまった。Snapdragon 630への対応がうまくいっていないのだろうか。
ただ,挙動は見る限りSnapdragon 630のもので,ほぼアイドルの状態における動作クロックは,CPU0〜3は787MHz,CPU4〜7が614MHz。ここに負荷がかかると,CPU0〜3は1113MHz,CPU4〜7は1382MHzで動作する様子が見受けられた。2GHzを超えるクロックで動作する様子は見られない。
余談だが,最近はCPU-ZのSoC判定がうまくいかないケースが多いため,検証用アプリの変更を検討している状況だ。
さて,デレステの動作だが,「3D標準」であれば問題なく動作するが,「3Dリッチ」が快適なのはMV限定といったところ。3D標準でのゲームプレイは良好であり,各種入力の取得漏れもなかった。「常に3Dリッチで遊びたい」という人は対象外となるが,3D標準やそれ以下の設定でのプレイで十分という人なら,候補に入ってくるだろう。
3DリッチでMVを実行した場合,解像度設定を「高画質」,フレームレートを60fpsに設定すると,フレームレートの低下が目立つ。解像度は「標準」,フレームレートは30fpsがお勧めだ。
また,ゲーム開始時やMV開始時には,読み込みの遅さも気になったのだが,ほかのアプリでは,とくに起動が遅いということもなく,原因は不明だ。通信状況の良いとはいえない会場であったため,通信環境のほうが怪しかったかもしれない。
Moto X4は,無難なミドルクラススマートフォン
まとめに入ろう。
Moto X4は,ミドルクラス市場向け端末としては,十分なスペックと性能を持つ端末だ。GPUを酷使するリッチな3Dグラフィックス中心のゲームには弱いが,2Dゲームのように,CPU性能を重視するタイトルなら,問題なさそうである。ほぼ素のAndroidであるため,ゲームの邪魔になるソフトウェア面の要素はほぼなく,独自機能が原因でプレイに支障を来す心配はないだろう。
デュアルレンズのカメラも,とくに標準レンズ側の描写が,なかなかのものだった。防水防塵にも対応しているため,屋外での使用にも向いており,スマートフォンがメインカメラという人も,候補に入れる価値がある。発売日が10月27日なので,本稿掲載時点で,試用機が並んでいる店舗もあるだろうから,気になる人は実機をチェックしてみてほしい。
Moto X4の主なスペック
- メーカー:Motorola Mobility
- OS:Android 7.1.1(Nougat)
- ディスプレイパネル:5.2インチIPS液晶,解像度1080×1920ドット
- プロセッサ:Qualcomm製「Snapdragon 630」(「Cortex-A53」CPUコア×8(最大CPU動作クロック2.2GHz)+「Adreno 508」GPUコア)
- メインメモリ容量:4GB
- ストレージ:内蔵(容量64GB)+microSDXC(最大容量2TB)
- アウトカメラ:有効画素数約1200万画素,F値2.0+約800万画素,F値2.2
- インカメラ:有効画素数約1600万画素,F値2.0
- バッテリー容量:3000mAh
- 対応LTEバンド:FDD-LTE 1
/3 /4 /5 /7 /8 /18 /19 /26 /28, TD-LTE 38 /40 /41 - 対応3Gバンド:W-CDMA 1
/2 /4 /5 /6 /8 /19 - 待受時間:未公開
- 連続通話時間:未公開
- 無線LAN対応:IEEE 802.11ac
- Bluetooth対応:4.2
- USBポート:Type-C
- 本体公称サイズ:73.4(W)×148.4(D)×7.99(H)mm
- 本体公称重量:約163g
- 本体カラー:スティーリングブルー,スーパーブラック
合体ゲームパッド「Moto Gamepad」は,意外や操作性良好
Moto X4に続いて,合体ゲームパッド「Moto Gamepad」もチェックしてみよう。
なお,Moto Gamepadは,Moto X4と同じ10月27日の発売だが,Moto X4はMoto Mods非対応なので,本製品も使えないことは注意しておいてほしい。Moto Modsに対応するのは,今のところMoto Zシリーズだけだ。
背面には,指をひっかけるための段差を備えている。この段差のおかげか,サイズは226(W)
ディスプレイの左右にスティックとボタンが来るレイアウトは,Nintendo Switchの携帯モードに似ている印象を受けるが,インタフェース部分を備えた中央部と左右の操作部分は一体化しているので,Joy-Conのように,本体から分割して持ち運ぶことはできない。説明員によると,開発中には分割型の構想もあったそうだ。
また,Moto Gamepadの下側面には,充電用のUSB Type-Cポートがあり,ここから充電すると,スマートフォン本体とMoto Gamepadが,同時に充電されるという。ただ,編集者が別途確認したときは,スマートフォン本体を充電し終えてから,Moto Gamepad側を充電すると説明されたそうなので,どちらが正しいのかは,製品版実機で確認してみるしかなさそうだ。
Moto Gamepadでゲームをプレイできるかは,アプリ側に依存するとのこと。AndroidのゲームパッドAPIを使用しているかどうかがポイントとなる。そのため,Motorola側で対応するゲームの動作チェックを行っており,Moto Zシリーズ用アプリである「Moto Game Explorer」で,対応ゲームを確認できるようになっている。
余談だが,Moto Game ExplorerはMoto Zシリーズ専用アプリであるため,Moto Zシリーズ以外の端末では,Google Playストアに表示されず,インストールもできない。これがほかの端末上でも動けば,Android用ゲームパッドに対応するゲームがどれかを確認するのに使えるのだが……。可能ならほかの端末でもインストールできるように,制限を解除してほしいところだ。
取材時点でMoto Gamepadの対応タイトル数は300タイトル以上とのこと。Moto Game Explorerも頻繁に更新されているようで,説明員いわく1週間で3〜5タイトルも増えていることが多いとのことだ。リストを見ると,やはりゲームパッド向きということなのか,FPSやレーシングゲームが多い。「アスファルト8:Airborne」のような定番レースゲームや「World of Tanks Blitz」(以下,WoT Blitz),さらに「Minecraft - Pocket Edition」なども対応していた。
実際にWoT BlitzのチュートリアルでMoto Gamepadをテストしてみたが,入力に対する反応は良好で,車両の操作も快適だった。ややアナログスティックの反応が過敏な印象も受けたが,アプリ側にゲームパッド向けの設定機能があれば,調整可能な範囲だろう。説明員によると,タイトルによっては入力に対する反応が悪いものあるそうで,アプリ側のゲームパッドに対する対応具合に多大な影響を受けてしまうのは,こうしたデバイスでは致し方ないところか。
ゲームに依存するデバイスである以上,Moto Gamepadの導入は慎重にならざるを得ない面はある。ただ,WoT BlitzやMinecraftは快適な操作が可能だった。国内メーカーがリリースするタイトルの大半は,タッチパネル前提となっているので難しいところだが,海外ゲームをよくプレイする人であれば,ジャストフィットするデバイスといったところだ。
MotorolaのMoto Mods製品情報ページ
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