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印刷2017/07/06 00:00

プレイレポート

正統派ローグライク+明るいお色気。「オメガラビリンスZ」は楽しく苦悶できるRPGに

 ディースリー・パブリッシャーから本日(2017年7月6日)発売される「オメガラビリンスZ」PlayStation 4 / PlayStation Vita)は,美少女達が迷宮を冒険する,ローグライクRPGだ。
 モンスターを倒して溜めた「ωパワー」でレベルと共にバストサイズもアップ。迷宮内の温泉に浸かり,謎のアイテムを谷間に挟んで鑑定する……などなど,とにかくお色気に振った個性的な側面が目立つ作品ではあるが,実際にプレイしてみるとけっこう正統派な手応えに意表を突かれる。ここでは,そんな本作のプレイレポートをお届けしよう。

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「オメガラビリンスZ」公式サイト



変化するダンジョンを舞台に,新たな物語が始まる


 オメガラビリンスZは,2015年に発売された前作「オメガラビリンス」の数か月後を描いた物語。前作では女子校「アンベリール女学園」を舞台に,主人公の朱宮愛那らが,あらゆる願いを叶える「美の聖杯」を探して,姿を変えるダンジョン「聖洞」に挑んだ。今回は,愛那が破壊した美の聖杯を復活させるようとするもう一人の主人公・茜崎莉央と,その親友・瑠璃川うららが登場。聖洞での新たな冒険が始まるのである。
 なお,物語的には続編だが,登場人物達の人となりに関してはあらためて描かれるため,本作から始めても問題なく楽しめる

前作の主人公達。左から,努力家の生徒会長・美玲,令嬢の真理華,元気一杯な愛那,ゆるふわ系のなこ,しっかり者の紗衣里,そして愛那の右隣にいる能天気な妖精のパイ……と,比較的スタンダードなキャラ配置
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新キャラクターの茜崎莉央,妖精のチチ,瑠璃川うらら。周囲から恐れられる問題児・莉央,ツンデレのチチ,M気質のうららという,濃いメンツだ
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 本作はいわゆるローグライクRPGである。聖洞(以下,ダンジョン)は入るたびに地形やアイテム,モンスターの配置が変化するため,プレイする都度,異なった展開が楽しめるのがウリだ。開発元のマトリックスは,かつて同ジャンルの名作にも携わっており,いわばローグライクRPGの老舗的な存在である。
 ゲームの要所に挟み込まれたお色気や,「モンスターを倒してωパワーを手に入れ,バストサイズをアップさせていく」といった要素ばかりが注目されがちだが,システム的には正統派ローグライクで,このジャンルに初めて触れる人でも安心して楽しむことができる。
 「アイテム持ち込みあり,空腹度あり,レベル初期化のローグライクRPG」「素振りしてモンスターをおびき寄せ,マイナス効果があるアイテムは投げつけてデバフに活用」と聞けば,このジャンルのファンなら(良い意味で)プレイ感を想像できるだろう。

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スリルはあるが,マゾ過ぎないローグライクRPG


 ローグライクRPGといえば,毎回,裸一貫でダンジョンに放り込まれ,せっかく手に入れたアイテムもちょっとしたミスであっという間にオジャンになってしまう。M系ゲーマー御用達の恐ろしいジャンル……という印象を抱く人も多いと思う。ジャンル特有のスリルがあるのは確かだが,本作に関してはそこまで厳しいものではない。
 というのも,本作ではダンジョンにアイテムを持ち込めるのだ。前回の冒険で持ち帰ったアイテムはもちろんのこと,事前に「購買部」で消耗品を買い込むことも可能。強力な武器や防具を身に着け,山ほどのパンや薬を抱えた万全の状態で冒険に臨むこともできる。
 ただし,その分インベントリが圧迫されてしまうため,ダンジョン内であまりアイテムを拾えなくなってしまうのが考えものだ。

装備や食料を売っている「購買部」(上)や,持ち帰ったアイテムを保管しておける「ロッカー」(下)があるため,ローグライクRPGの初心者でも遊びやすい
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 全滅するとその時に持っていたアイテムを,すべて失ってしまうのはローグライクRPGのお作法通り。しかし,どうしても失いたくない品があった場合,事前にωパワーを支払って「ベローナGPS」を付けておけば,全滅しても通常の倍額で買い戻せるのがありがたい。また,本作から新たにアイテムを詰め込んでおける「巾着」が登場し,整理整頓が楽になっているのもポイントだ。

アイテムが一杯になっても,壺に詰め込むように「巾着」に入れて整理できる。「保存の巾着」は自由にアイテムを出し入れできるが,それ以外の巾着から何か取り出したい場合,壁に投げつけて破壊するしかない。また,アイテムを入れると即座に「ωパワー」に変換されるという,お店のような巾着も存在する
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あらかじめアイテムに「ベローナGPS」を付けておけば,全滅しても通常の倍額で買い戻せるようになる。ただし,ωパワーが必要となる
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 このように,さまざまな救済措置が用意されてはいるのだが,ローグライクとしてのスリルは損なわれていない。
 それこそ,「アイテムをたくさん拾うため,インベントリを開けておくために食べ物を持たずにダンジョンに挑戦。しかし,運悪く食べ物が出ず,空腹でアウトになる」「GPS代をケチったときに限ってさっくり全滅してしまい,お気に入りの武器が失われる」など,このジャンルならではの悲喜こもごもを味わうことができるだろう。

 本作には美少女がたくさん登場するが,見た目が異なるだけではなく,パラメータも個性的だ。最大2名でパーティを組むことができ,パートナーにもアイテムを装備させられるため,魔力が高いなこにはロッド系,腕力に優れた真理華にはハンマー系を与えるなど,アイテム持ち込み可能であるがゆえの戦略性が面白い。

戦闘ではパートナーとの連携が重要
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 パートナーはオートで動いてくれるうえ,後述する空腹度がなく,罠を踏んでも発動しないし,たとえやられても次のフロアに行けばノーペナルティで復活してくれる。
 そのなかでも,うららは腕力と相手の攻撃を回避する確率“だけ”が高いが,ほかのパラメータは軒並み最低というマニアック過ぎる性能で,攻略系のプレイヤーにはたまらない,ゲーム的な意味での面白キャラクターといえるだろう。
 根っからのM気質で莉央からお仕置きされるのが大好き……と,パラメータの面白さとキャラ立ちがリンクしているあたりもまた,実は本格派の本作らしい。自分で操作するとつらくても,パートナーに選べば極端なパラメータが織りなすドラマをのんびり楽しめるというわけである。もちろん,手応えを求めるならあえてソロで挑むのもOKだ。

うららは腕力と相手の攻撃を回避する確率“だけ”が高いが,ほかのパラメータは軒並み最低という極端すぎる性能
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プレイに揺らぎとドラマを巻き起こすダンジョン


 前述のとおり,ダンジョンは入るたびに地形やモンスター,アイテムの配置が変化する。加えて,自分が操作するキャラクターには「お腹」(空腹度)という値が存在。行動するたびに減少し,ゼロになると空腹のあまりHPが減っていくようになってしまう。もちろんHPが尽きると冒険は失敗となる。
 「武器は山ほど手に入るが,食料が出ずに苦戦」「空腹から逃れるため,マイナス効果のある薬でもとにかく飲んで生き残りを図る」といったローグライクRPG好きならたまらないシチュエーションを楽しめる。

行動するたびに「お腹」の値が減少。「コッペパン」などの食べ物で回復できるが,ゼロになるとHPがどんどん減っていく。薬を飲めばわずかに空腹度が回復するので,悪影響を覚悟のうえで,デバフ用の薬を飲み,ボロボロになりつつ生き延びるといったことも可能
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ダンジョン内では,購買部の夢美さんが店を開いていることも
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ωパワーを払わずに商品を持っていくこともできるが,もちろん怖いお仕置きが待っている
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夢美さんはとんでもなくパラメータが高いうえ,2回行動が可能。普通なら一撃でアウトとなる。彼女の怒りから逃れる術はあるのか

 冒険の華となるのがモンスターとの戦いだ。平均的な能力を持つ剣,威力は高いが命中しづらいハンマー,前後左右のマスを攻撃できる鎌など,さまざまな武器で攻撃できる。細い道を利用して敵を一列にまとめたり,パートナーと連携したりといった戦術を工夫するのもポイントだ。
 また,キャラクター達は後述する「悶絶☆覚醒」でさまざまなスキルを習得する。相手にダメージを与えつつ自分の攻撃力を上げたり,周囲の敵や罠をすべて破壊したりと,いずれのスキルも効果抜群。しかし,使用回数は基本的にバストサイズが上がらないと回復しないため,発動タイミングが重要だ。

モンスターがぎっちり詰まった「モンスターフロア」は,危険だが大量の経験値とωパワーを獲得できる。また,本作ではフロアの一室に大量のモンスターがいる「モンスタールーム」も新登場
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「悶絶☆覚醒」で覚えたスキルは,大ダメージを与えたりさまざまな効果が発動
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 ダンジョンにときおり落ちている「マイク」を使えば,キャラクターが持ち歌を歌い出し,そのフロアでは攻撃が必ず当たるようになる。もちろんBGMもボーカル入りのキャラクターソングに変わるし,すべて前作とは異なる新曲が用意されている。いい意味での深夜アニメ的ノリとゲーム性をうまく組み合わせた,楽しい試みと言えるだろう。

「マイク」を使えばキャラクターが持ち歌を歌い,攻撃が必ず当たるようになる。BGMも変化する
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 モンスターを倒すと,経験値,そして女子力が具現化されたωパワーが手に入る。経験値については説明不要だろう。一定値に達するとレベルが上がり,パラメータが強化されていく。ωパワーが一定値に達すると,キャラクターのバストサイズがA→B→C→D……とアップし,こちらもパラメータが上がる。前作ではKカップが上限だったが,今回はZカップまで上げることが可能。もちろん立ち絵も変化していく。
 なお,どれだけレベルやバストサイズを上げても,ダンジョンを出ると初期状態に戻ってしまうため,Zカップはそうそう拝めないのがもどかしい。空腹度とにらめっこしつつ,ダンジョンをくまなく回って敵と戦いたいところだ。

ωパワーが溜まると,バストサイズがアップしてステータスが上昇し,スキルの使用回数が回復する。もちろんグラフィックスも変化。最高ランクは驚異のZカップ
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 ωパワーはお金の代わりにもなる。地上の購買で装備や消耗品を買えるほか,アイテムを収納する「ロッカー」など各種施設の拡張費,GPSやバフがかかる温泉の代金,そして未確認アイテムの鑑定など,どれも重要なものばかり。できるだけ溜めていきたいが,鑑定や温泉,GPSなどの細かな出費をケチると冒険に失敗しかねないというジレンマが楽しい。

 物足りないという人には,高難度ダンジョン「賢者の試練」がオススメ。アイテム持ち込み不可,パートナー同行不可,さらにレベルアップも不可という厳しさだ。マップ構成も練られており,「罠が山ほど仕掛けられたフロアで,殴られると即死するほど強いモンスターが追ってくる」など,攻略するには知恵と知識が必要となる。思う存分死にまくりながら試行錯誤できるだろう。

高難度ダンジョン「賢者の試練」。このステージでは,強力なモンスターから逃げつつ出口を目指さなければならない。もちろん床には罠が山ほど仕掛けられている
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 本作を語るうえでは,ゲームの随所に見られるお色気要素も欠かせない。ダンジョンや学園内には温泉が存在。入るとHPやスキル使用回数の回復,デバフの消去に加え,「罠を踏んでも発動しない」「転んでもアイテムをぶちまけない」といった特殊効果が付与される。おまけに入浴CGを拝むこともでき,胸のあたりをカーソルでつつけるのだから入らない手はないだろう。

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 また,ダンジョン内ではときおり「スケスケな武器」「かっこいいパンツ」「振りたくなる盾」など珍妙な名前を持つ未鑑定アイテムが手に入る。呪われていたり,マイナス効果を持っていたりもするため,そのまま使うのは危険だ。そこで必要になってくるのが,鑑定である。
 本作ではωパワーさえあればいつでもどこでも鑑定が可能で,未鑑定アイテムを胸の間に挟み込めば正体が明らかになる。PlayStation Vita版ではタッチ,PlayStation 4版なら左右スティックとモーションセンサーに対応しているため,心ゆくまで揺すってみよう。温泉と鑑定はバストサイズによってCGも変化するため,亡者のごとくωパワーを溜め込み,ダンジョンライフに変化を付けたいところだ。

未鑑定アイテムを胸に挟むと正体が判明する。ωパワーさえあれば,ダンジョンの中でも鑑定が可能
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 悶絶☆覚醒は,キャラクターにスキルを取得させるのに必要な儀式。指カーソルで身体をタッチして気持ち良くさせていく。気持ち良くさせるほど,覚醒に必要なパワーがたくさん手に入り,それだけ早くスキルを取得できる。ここで重要なのが,タッチするとたくさんのパワーを貰える「ビン☆カン☆スポット」。
 あえてじらすとさらに効果がアップするが,じらしすぎると悶絶☆覚醒自体が終了してしまうので注意が必要だ。

ダンジョン内で手に入る貴重な「悶絶香」を使うと,スキルを習得する「悶絶☆覚醒」ができる(左)。気持ち良くなるスポットをタッチすると,「ビン☆カン☆スポット」が出現(中)。うまくじらしてからタッチすると「恥じらいブレイク」が発動し,どこをタッチしてもパワーが貰える(右)
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 なお,これらのお色気要素はまるっとスキップすることもできる。プレイに応じて得られるパワーが変わってくる悶絶☆覚醒以外はスキップしてもとくに影響はないので,家族が起きている時間に遊ぶときなどはうまく活用したいところだ。

 ローグライクRPGといえば,1980年というビデオゲームの黎明期から遊ばれていた,長い歴史を持つジャンルである。そこに美少女やお色気,キャラクターソングなど,イマ風の要素を取り入れて2010年代後半風の若返りを試みたのが本作というわけだ。
 お色気満載ではあるが,それだけに終わらず,きっちり遊べるローグライクRPGに仕上がっているあたりは前作と同様。前作を遊んで気に入った人や,ローグライクRPGの初心者,そして深夜アニメ的なノリが好きな人にオススメしたい作品だ。

「オメガラビリンスZ」公式サイト

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