プレイレポート
「真・三國無双8」開発版のインプレッションを,鈴木プロデューサーのメールインタビューと合わせて掲載
今回4Gamerでは,本作をプレイする機会を得たので,そのインプレッションを紹介しよう。なお記事の後半には,今回のプレイを踏まえたうえで行った,プロデューサーの鈴木亮浩氏へのメールインタビューを掲載しているので,合わせて読んでほしい。
オープンワールド化により壮大なスケールで描かれる「真・三國無双」
今回プレイしたのは,ストーリーの第2章にあたる「洛陽争乱」だ。本作は,各章ごとに最終目標が決められており,それを達成することで次の時代へとストーリーが進んでいく。このシナリオでは,帝を盾に洛陽で暴虐の限りを尽くす董卓を討ちとることが最終目標となる。
ゲームをプレイしてまず驚いたのが,遠方に見える巨大な山や河などのグラフィックスだ。オープンワールド化を果たしたことにより,今までにない規模のスケールで風景が描かれている。特に山は,思わず立ち止まって見上げてしまうぐらいの存在感があった。
筆者はプレイ前に,本作のマップが今までに比べ,100倍の面積で描かれていることは聞いていたのだが,あまりにも規模が大きすぎてイメージが具体的に湧きにくかったというのが正直なところだった。しかし,実際に遊んでみると,広大な1枚マップで三国志の世界がしっかりと描写されており,中国大陸全土の壮大なスケールを感じられる作りになっていた。
本作では,自由度の高いゲーム進行が楽しめるのも特徴だ。第2章では,董卓の討伐が最終目標として掲げられているが,そこに至るまでの道はさまざまで,発生する任務の中で汜水関や虎牢関といった要所を奪い,董卓軍の戦力を削いでから最終目標に挑むこともできるし,いきなり最終目標に突撃することもできる。どう進めるかはプレイヤーの自由だ。
オープンワールドのお約束ともいえるが,本筋を放っておいて,中国大陸の探索に出発することもできる。各所に存在する村に住んでいる人々の悩みを聞くもよし,フィールドを気ままに馬で走るもよしと,自由な探索を楽しめる。
敵の状態によって攻撃が変わる「ステートコンボシステム」
もう1つ本作で忘れてはならないのは,アクションシステムが「ステートコンボシステム」と呼ばれるものに一新されていることだ。これは,敵が上空に打ち上げられている状態なら空中で追撃を行い,気絶している状態なら広範囲の敵を巻き込みながら攻撃を行うといったように,同じボタンを押しても,敵のステート(状態)に応じて武将のアクションが変化するものだ。ステートコンボシステムは,コンボの起点となる「トリガー攻撃」,敵の状態に応じて変化する「フロー攻撃」をはじめ,さまざまな要素で構成されている。今回はその一部を紹介しよう。
従来作では,通常攻撃([□]ボタン)と,チャージ攻撃([△]ボタン)を組み合わせて戦うシステムがお馴染みとなっており,[□]→[△]と入力すると,相手を打ち上げるチャージ攻撃が出る,といったように,前段階で繰り出した通常攻撃の回数によって,チャージ攻撃の効果が変わっていた。本作は,今までのアクションシステムとは異なる手触りになっているので,新鮮な気持ちでプレイできるだろう。
トリガー攻撃で相手の状態を変化させる→フロー攻撃などで追撃というのが一連の流れだが,うまく攻撃を組み合わせれば,そこから更に別のトリガー攻撃→フロー攻撃と連係させることもできる。
今までのシリーズでは,武将ごとにお気に入りのチャージ攻撃をいくつか見つけて,それを中心に戦略を組み立てるのがセオリーだったが,本作は,色々な技の組み合わせを試して,お気に入りの連係をプレイヤーが見つけていくことになるのかもしれない。
新しいコンボシステム以外にも,本作では鉤縄を使って壁を登ったり,油壺めがけて火矢を放ち,誘爆させて攻撃したりといった多彩なアクションがとれる。村人から敵陣に置かれている油壷の位置情報を聞いたあとに,鉤縄で壁をつたい高所から火矢で油壺をドカン! と爆発させて敵を一掃する,ということもできるわけだ。
今回のプレイ時間は約1時間ほどだったのだが,任務を少しこなしたり,中国大陸を探索しているだけであっという間に時間が過ぎてしまった。これから完成形に向けて,どう仕上がっていくのか非常に楽しみだ。
「真・三國無双」シリーズプロデューサー鈴木亮浩氏へのメールインタビュー
ここからは,今回のプレイを踏まえて行った,プロデューサーの鈴木亮浩氏へのメールインタビューをお届けする。質問によっては,ディレクターの宮内 淳氏から別途コメントももらっている。
――本作は,シリーズ初のオープンワールドで展開されますが,ここに至る経緯についてお聞かせください。
鈴木氏:
本シリーズのストーリーは「三国志」をベースにしていますし,ナンバリングを7作も続けていることもあり,何作も遊んでいただいている皆さんには先の展開が分かってしまいます。もちろん,お決まりの展開が楽しいという人もいると思いますが,我々としてはファンの皆さんに新しい体験を提供したかったので,マンネリを打破するために新しいことに挑戦しました。
――なぜ既存のステージ制に替えて,オープンワールドを選ばれたのでしょうか。
鈴木氏:
オープンワールドにすることによって,ゲームに自由度の高さが加えられるからです。1つの戦場でも,正面突破以外に奇襲や迂回,単身潜入など,多彩な攻略が可能になります。
――オープンワールド化の構想はいつごろからあったのでしょうか。
鈴木氏:
前作「真・三國無双7 猛将伝」の開発が終了し,次回作を考え始めた時から案の1つとしてありました。
――そびえ立つ山々,巨大な運河など,スケールの大きさがシミュレーションゲームの「三國志」シリーズに近くなっているように感じました。
鈴木氏:
本作のステージは,中国全土を1枚マップとして表現しています。衛星データをベースにしているので,実際の地形に近いものができていると思いますが,リアルなデータそのままでは非常に広くなってしまうので,ゲームに合うようにスケール感はアレンジしています。
――オープンワールドの要素を取り入れて「真・三國無双」シリーズを変えようとされている一方で,従来の無双から変わらないように注意されている部分もあると思います。「変えようとしている部分」と「変えないようにしている部分」はそれぞれどこでしょうか。
鈴木氏:
「変えないようにしている部分」は,キャラクター設定と世界観です。特にキャラクター設定は,武将の伝聞などを元に本シリーズオリジナルの特徴づけを行っています。キャラクター間の関係性にも強く影響している部分なので,そこがブレないように気をつけています。
「変えようとしている部分」というのは特にありません。「どの部分を変えよう」というよりは,プレイヤーに新しい遊びを提供するためにどうすべきか? ということを考えています。
宮内氏:
我々が作っているのは「三国志を題材にしたオープンワールドゲーム」ではなくて,「オープンワールドの要素を持った『真・三國無双』」なので,一騎当千の爽快感は変えないようにしています。オープンワールド化によっていろいろな要素が入りますが,最終的にはちゃんと「真・三國無双」になるように気をつけて調整をしています。
――オープンワールドとの親和性が高そうな作品といえば,真っ先にEmpiresシリーズが思い浮かびますが,現段階で8のEmpiresは企画されていますか。
鈴木氏:
現時点では未定です。
――Chinajoy 2017では,フルローカライズ化された中国版の発売が発表され,世界初となる実機デモの紹介なども行われました。三国志の発祥地でもある中国で新情報を発表されたのは,何か特別な思いがあってのことだったのでしょうか。
鈴木氏:
Chinajoy 2017での発表は,開発の進行状況とタイミングが合致したからですが,「三国志」という中国の世界観を使っていることや,前作を発売した時に中国の無双ファンの“熱さ”を感じていたので,なるべく喜んでもらえるような情報を盛り込みました。
――オープンワールドといえば,広い世界を自由に動き回り攻略していくイメージがありますが,移動できる範囲や,とれる武将の行動に制約などはあるのでしょうか。
鈴木氏:
本作は,“操作武将が行けない場所はない”という設定で開発を進めているので,三角跳びのようなジャンプや,鉤縄を使って登るといった新アクションを使えば,従来作では行けなかった場所にも到達できるかもしれません。
――有名武将の勢力が小さいうちに叩いてしまう,戦いそっちのけで世界を放浪するということはできますか。
鈴木氏:
歴史の大きな流れは変わらないので,例えば曹操勢力を弱小のうちに倒してなくしてしまう,ということは出来ません。歴史の流れを無視するように世界を放浪することは可能です。
――従来のステージ制では戦場を区切っていたからこそ,ムービーや戦いごとのイメージに合ったBGMを流すといった演出を挟みやすかったと思いますが,1枚マップでシームレスに描かれる本作において,その辺りの演出はどうなるのでしょうか。
鈴木氏:
本作では,マップに区切りはありませんが,歴史の大きな流れにより時代が切り替わっていくので,各時代の区切りで歴史的な演出が入りますし,有名なエピソードなどはイベントで再現します。BGMは,プレイヤーの状況に合わせて自然な形で切り替わるようになっています。
――武将の成長システムは過去作と同様に武勲でレベルが上がるタイプですか。また,周回するときに引継ぎは可能でしょうか。
鈴木氏:
成長システムについては,今後の情報をお待ちください。
――武器は従来作通り選択制で2つ選べる形でしょうか。
鈴木氏:
本作では,所持している武器から1つだけ装備します。装備変更はゲーム中いつでも可能です。
――クリアまでにかかるプレイ時間などは前作と比べるとどうですか。
鈴木氏:
まだ詳細はお伝えできませんが,オープンワールドの特性から飛躍的に長くなると思います。
――「雪原」「ジャングル」「砂漠」などのさまざまなフィールドや,変化する昼夜や天候は,何かしらの形でプレイに影響を及ぼすのでしょうか。
鈴木氏:
さまざまなフィールドは,その地方の特徴づけとして採用しています。昼夜や天候は主に視界に影響し,敵の動きも変化するので,攻略法も変わってくると思います。
宮内氏:
夜になったら敵が陣地に戻るような仕様も考えています。昼には色々なところで戦闘が発生していますが,それが夜には一時的に止まるような感じを想定しています。
――オープンワールドゲームでは,天候や時間の経過をシミュレートするエンジンが用意されていることもありますが,本作もそうなのでしょうか。
鈴木氏:
そのとおりです。現在公開中のPVや実機プレイ映像でもご覧いただけます。
宮内氏:
天候については,湿度に近いパラメータがゲーム内で設定されていて,戦場が常にシミュレートされています。同じ晴れの日でも,雲1つない快晴だったり,少し曇っていたりします。
――新アクション“ステートコンボシステム”は,敵の状態によってこちらのアクションが変わるというものですが,導入のきっかけは何だったのでしょうか。
鈴木氏:
本作は新しいことに挑戦することがテーマだったので,ストーリーの進めかたに多様性を持たせたように,アクションも多様性を持たせたシステムに一新したいと考えて導入しました。
――鉤縄での壁登り,油壷を使った誘爆,夜襲といった攻め方はプレイヤーが好きな時に攻め方を選べるのか,もしくは何かそれぞれに条件が必要なのでしょうか。
鈴木氏:
基本的には,特別な条件は設定していません。鉤縄は,その地形や建物の上部に鉤縄を引っ掛けられそうなら使えますし,夜襲は夜間ならいつでも可能です。
――新たなプレイアブル武将は現在発表されている「周倉」「程普」「満寵」「荀攸」ですべてなのでしょうか。
鈴木氏:
4人ですべてではありません。今後の情報にご期待ください。
――プレイアブルキャラクターの採用に基準はありますか。
鈴木氏:
明確な基準はありませんが,なるべく有名であることと,既存キャラとの関わりが多い人物がプレイアブル化しやすいです。
――シリーズの始まりから関わってこられた鈴木さんですが,お気に入りのキャラクターなどはおられますか。
鈴木氏:
長く関わってきただけに,みんな好きです!
――今まで戦闘前のナレーションで描くにとどめられていた政治情勢の変化や,エピソードがありましたが,この辺りもオープンワールドになって描かれるようになるのでしょうか。
鈴木氏:
一部は描かれることになると思いますが,時代が大きく流れる場面もあるため,時代背景の変化をまとめて説明するところもあります。
宮内氏:
戦における準備に当たる部分を描いていこうと思っています。例えば赤壁の戦いで,諸葛亮が,10万本の矢を一夜にして集めてしまう有名なエピソードがありますが,ああいった話を入れていこうと考えています。
――新武将が登場したことにより,フォーカスが当たるシナリオや見どころ,オープンワールドだからこそ深く描きたい合戦などがあれば,お聞かせください。
鈴木氏:
複数の戦いが同時に発生している状況は,オープンワールドならではだと思うので,「洛陽騒乱」などは面白いと思います。汜水関には華雄,虎牢関には呂布,洛陽には董卓がいますし,南部戦線では孫堅が苦戦中,など,戦場が選び放題です。
宮内氏:
赤壁の戦いは,かなり大きなスケールになると思います。ほかにも,官渡の戦いや夷陵の戦いも大きな合戦ですので,大規模に描きたいです。
「真・三國無双8」公式サイト
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