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FFXIV「リターン・トゥ・イヴァリース」をより楽しむために,「ファイナルファンタジータクティクス」の魅力を振り返ろう
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印刷2017/12/23 00:00

プレイレポート

FFXIV「リターン・トゥ・イヴァリース」をより楽しむために,「ファイナルファンタジータクティクス」の魅力を振り返ろう

 スクウェア・エニックスが運営中のMMORPG「ファイナルファンタジーXIV」(以下,FFXIV)にて,2017年10月10日に拡張パッケージ「紅蓮のリベレーター」PC / PS4 / Mac)の最新パッチ4.1「英雄の帰還」が実装された。
 このパッチで追加された新たな24人用アライアンスレイド「リターン・トゥ・イヴァリース」シリーズ()は,シナリオ・脚本をALGEBRA FACTORY代表取締役の松野泰己氏が担当したことでも話題になっている。
 というのも松野氏と言えば,このコンテンツ名にある世界「イヴァリース」を舞台にした「ファイナルファンタジータクティクス」(以下,FFT)シリーズ,「ファイナルファンタジーXII」(以下,FFXII)の制作に携わった人物だからだ。その松野氏が,イヴァリースに関連したコンテンツをFFXIVで展開するというのだから,氏の創造した世界に魅了されたプレイヤーとしては,気になってしまうというもの。

※パッチ4.1で実装されたのは第1弾となる“失われた都ラバナスタ”。以降,今後のパッチで続きが展開される予定だ

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「ファイナルファンタジーXIV:紅蓮のリベレーター」パッチ4.1「英雄の帰還」
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「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」

 とはいえ,どちらの作品もオリジナル版のリリースは10年以上前(FFXIIが2006年,FFTが1997年)である。当然,どちらも遊んだことがないか,あるいは2017年7月に発売されたPS4用のFFXIIで初めて触れたというプレイヤーが多いのではないだろう
 そこで,FFXIIについては「PS4版の記事」をチェックしてもらうとして,本稿ではFFTの魅力を振り返りつつ,いまFFTを遊ぶならどんな選択肢があるのかを紹介してみたい。


ゲームを通して綴られる,イヴァリースの“真”の歴史


 「イヴァリース」とは前述のとおり,松野氏がスクウェア・エニックス在籍時に創造したファンタジー世界だ。そしてイヴァリースの歴史を断片的に取り上げたのが,FFTシリーズであり,FFXII()となる。これらは「イヴァリースアライアンス」と呼ばれることもある。

※世界観を共有しているFFTとFFXII。時代としてはFFXIIのほうが,はるか昔の出来事になる

 この世界はかつて,飛空艇が空を舞い,機械仕掛けの人間が街を闊歩するほどの高度な技術を持っていた。しかし,「ルカヴィ」と呼ばれる悪魔によって,たびたび危機に陥ってしまう。それを救ったのが,黄道十二宮の聖石を持つ勇者達「ゾディアックブレイブ」だ。

※「ゾディアックブレイブ」という言葉自体は,FFXIVでも古の英雄達「ゾディアックブレイブ」が所有していたゾディアック・ウェポンを再現するという形で,リターン・トゥ・イヴァリース以前から登場している。なお,“失われた都ラバナスタ”のクリア後に「プリマビスタ」を訪れると,いろいろ興味深い話が確認できる。

リターン・トゥ・イヴァリースで登場する“聖石”らしきクリスタル
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 FFTの舞台は,飛空艇を運用していた高度文明が滅んだ後の時代となる。
 イヴァリース王国は隣国との戦争で疲弊し,平民達は日々の食事にも事欠く有様だ。支配階級である貴族と王族への不満が限界にまで高まったとき,王位継承を巡る内戦「獅子戦争」が勃発。そんな中,平民の青年「ディリータ・ハイラル」は数々の戦いで武勲を立てて混乱を収め,「英雄王」として語り継がれることになる。
 しかし,その語り継がれる歴史には残されなかった青年「ラムザ・ベオルブ」こそが真の英雄であるという「デュライ白書」が,のちに発見される。異端者として歴史の闇に葬られたラムザ,そして,英雄王ディリータの真の姿とは。
 FFTはデュライ白書を紐解く形で,主人公ラムザの視点からその真実を明らかにする物語だ。

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FFTに登場する「ラムザ・ベオルブ」
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FFXIVのガレマール帝国でおとぎ話として伝わる「ゾディアックブレイブストーリー」
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“失われた都ラバナスタ”では,とある出会いをキッカケにして,「ゾディアックブレイブストーリー」の真実が眠るという滅びた都“ラバナスタ”に赴くことになる

 そんなFFTに登場するキャラクター達は,いずれも歴史の激流の中で懸命に生きようとする人物だ。
 妾の子という生い立ちにコンプレックスを抱くも,貴族らしく気高い理想を貫き通そうとするラムザ。平民として虐げられ続け,出世することで復讐を果たそうとするディリータ。王女という高い身分だが,周囲の者に利用され続け,自分の人生を生きられないオヴェリア・アトカーシャ。聖人君子ではない彼らが,もがき苦しみながらも歩み続ける様が,見る者の共感を呼ぶ。

 一方,こうした生き様もイヴァリース世界の正史として残ることはない。なぜなら歴史は,生き残った――勝ち残った者の都合に合わせて書き換えられてしまうからだ。FFTでは(松野氏の作品では,と言った方が正しいかもしれないが),そうした国家や宗教による争い,陰謀,裏切りといった“人の業”が,生々しく,これでもかというくらいに描かれているのだ。

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歯ごたえのある高難度バトル。行動順と敵の思考を読んでうまく立ち回れ


 FFTは,主人公ラムザと彼が率いる一団を操作し,獅子戦争を戦い抜くシミュレーションRPGだ。見下ろし型の3Dマップには起伏があり,基本的に高い場所に立っているほど有利になる。周囲の地形と敵の動きに合わせて,臨機応変に対処することが重要だ。

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 ゲームの難度はかなり高い部類に入る。というのも,「Speed」(素早さ)の高い順に敵味方が入り乱れて行動する「4Dバトル」システムを採用しているのに加え,敵のAIも優れており,プレイヤーが厳しいと感じるであろう行動をしっかりと選択してくるからだ。

 例えば,敵のナイトやモンクは味方の背面に回り込んで攻撃してくるし,弓使いは高い場所を逃げ回りながら矢を放つ。こちらが攻撃魔法をかけるとその範囲から逃げ,回復魔法なら寄ってきてタダ乗りしようとする。状態異常の対処や扱い方も嫌らしく,果てはキャラクターの死亡時に出現するクリスタル(生前のアビリティが宿る形見のようなもので,取得したキャラクターはそれを引き継げる可能性がある)ですら回復手段として利用するのだ。
 どのタイミングで誰が動くのかを把握しつつ,計算しながら戦況を進めていくことが,FFTでは極めて重要になる。

 なお,できればセーブデータを2つ以上は作成しておきたい。というのも,ときおり後戻りできないストーリー展開があり,その戦いを突破できないと“詰み”状態になりかねないからだ。詳細は伏せるが,“書庫”は今でもトラウマである。どうしても突破できないなら,以前のセーブデータに戻って,キャラクターを育成してから再挑戦しよう。


こだわりの育成で,独自の最強キャラを作り上げろ


 ゲームとしての遊び応えも一級品だ。

 ラムザが率いる(ゲストキャラを除く)メンバーは,20種類を越える「ジョブ」になることができ,経験を積むことでさまざまな「アビリティ」を習得できる。アビリティの効果は,敵に特定の攻撃が可能になったり,装備できるアイテムの種類が増えたりとさまざまだ。一度覚えたアビリティは,ほかのジョブでも使えるため,多彩なカスタマイズができる。

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 例えば,「白魔道士」は本来ならローブや服といった軽装備しかできないが,「ナイト」の「重装備可能」「盾装備可能」のアビリティを付けることで,鎧兜や盾で身を守る,ガチガチの白魔道士も実現できる。組み合わせ次第では,バランスブレイカーでは……と思わせる強さを発揮するアビリティもあるので,そうした組み合わせを見つけ出すのも本作の楽しい要素の1つだ。

 ほかにも,FFTにはどこまでもディープにやり込める要素が存在する。
 その1つが「星座」だ。これは,キャラクターの生年月日に基づく12星座が設定されたもの。星座同士に相性があり,それがダメージ量や補助魔法の成功率,敵からアイテムを盗めるか否かといったことに影響してくるため,「貴重なアイテムを持つ敵と相性の良い星座でキャラクター(傭兵)を作る」といった,こだわりの育成も可能だ。

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 続いて「Brave」は,敵の攻撃を受けた際に発動する「リアクションアビリティ」の成功率に関わる能力だ。Braveが高いと「白刃取り」で敵の攻撃をかわしまくることが可能になるのだが,レアアイテムを見つける確率が低くなってしまう。Braveの高いキャラクターと低いキャラクターで,役割を考えてみるというのもアリだろう。
 ただし,Braveが低すぎると戦闘中に“チキン”状態(文字どおり鶏になる)になって逃げ回ることになるし,さらに低くなると臆病風に吹かれてパーティそのものから離脱してしまう恐れがある。
 FFXIVのイヴァリース(失われたラバナスタ)でも,プレイヤーキャラクターのBraveを下げてチキン状態にするというFFTを再現した敵の攻撃が存在する。

 また「Faith」は魔法の効果に関わる能力で,魔法を使うキャラクターであれば高いほうがいいが,逆に受ける魔法ダメージも増えることに注意が必要だ。しかも,これが高すぎると信仰の道に目覚めてパーティから離脱してしまうので,適切な値で抑えておかなくてはならい。

 このように本作では,強さにこだわればこだわるほど,奥深い育成が楽しめるのだ。

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2017年のいま「FFT」を遊ぶには?


 そんなFFTは,「歴史の彼方に消えた幻の名作」ではなく,いまも複数のルートでプレイできる作品だ。

1:PS版「ファイナルファンタジータクティクス」を手に入れる

 動くハードを用意できるかどうか。ソフトの入手難度といった若干のハードルの高さはあるものの,何の改変も加えられていないオリジナル版が遊べる。さらに,「チョコボの不思議なダンジョン」に付属する「不思議なデータディスク」があれば,アビリティやアイテムが揃った状態でプレイ可能だ。

2:PSP版「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」を手に入れる

 アレンジ移植されたPSP版。こちらも入手難度はやや高いか。「たまねぎ剣士」「暗黒騎士」といった新ジョブや,いくつかの新イベント,通信対戦といった要素が追加されている。なお,SEのタイミングが遅いなどの相違点がある。

3:スマートフォン版「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」を手に入れる

 内容的にはPSP版とほぼ同様。タッチパネルのみで操作できるが,慣れるまでは戸惑うかもしれない。スマートフォンでのプレイという特性上,オートセーブが用意されている()。

※iOS版では以前にバトル中の中断セーブも用意されていたが,OSの仕様変更に伴って最新バージョンで行えなくなっている。長い戦闘もあるだけに,Android版での追加も含めて,やはり中断セーブがほしいところ

「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」ダウンロードページ

「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」ダウンロードページ


4:PS版「ファイナルファンタジータクティクス」をゲームアーカイブスで手に入れる

 PS3やPS Vita,PS Vita TV,PSPで遊べる。内容はPS版と同様。

PlayStation Store「ファイナルファンタジータクティクス」ページ


5:PSP版「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」をゲームアーカイブスで手に入れる

 PS Vita,PS Vita TV,PSPで遊べる。内容はPSP版と同様。

PlayStation Store「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」ページ



 環境や好みにもよるが,2017年現在だと3,4,5番の入手が容易だろう。「ファイナルファンタジーXIV」で初めてイヴァリースを知った人もそうでない人も,この機会に時代を越える名作に触れてみてはいかがだろうか。

FFTプレイヤーにとっては,懐かしいBGMやギミック満載の“失われた都ラバナスタ”。そして最後に登場するボスは,まさかの……。とにかく続きが気になってしまう
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「ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争」公式サイト

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