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「スターオーシャン:アナムネシス」ストーリー第2部はシリーズファン必見! 物語のクライマックス直前までのあらすじ紹介
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印刷2019/05/24 12:00

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「スターオーシャン:アナムネシス」ストーリー第2部はシリーズファン必見! 物語のクライマックス直前までのあらすじ紹介

●CHAPTER:06「『獣』の真実」


 ダフテスに駐留しているヴァルカの船に,身を寄せる艦長たち。

 とはいえ,ユーイン,ウェルチ,カーリンの3人は,ひとつの惑星しか知り得ない文明で生きてきた身だ。ダフティーネと宇宙のあらましを聞くと,受け入れがたい真実を前に黙り込んでしまっていた。

 中でも,ウェルチはまったく口を開かなかった。その心中を察するかのように,ヴァルカが率先して慰めの言葉をかけようとすると――おもむろにウェルチが興奮しだした。

 気づけばヴァルカの身体や船,すべてはウェルチにとって興味の対象になっていた。


やはりウェルチはウェルチだった
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 彼女の暴走を横目に,カーリンは黙ったまま,艦の外へと出ていった。ティカはその後ろ姿を追いかけ,「わたしは未来のダフティーネから来ました」と声をかける。カーリンはひとつだけ知りたいことがあると,ティカに言った。「未来では,狐魂の民は平和に暮らしているの」。

 ティカは必死に答えた。「狐魂の民と同じなのかは分かりません。でも,未来のダフティーネにはフォックステイルっていう,狐魂に似た民族がいます。ルバーリカとバッシェンも平和に,普通に暮らしてます」。

 それを聞いたカーリンの胸中から,これまで秘められてきた想いがあふれ出す。狐魂の民は海沿いに住む少数民族であること。普通の人たちよりも紋章術の扱いに優れていること。聖地戦争で囮にされるなど虐げられきた歴史のこと。そんな狐魂を取り立てたのがジヴェルであること。そうして狐魂の地位が一気に上がったこと。彼女に妹がいたこと。妹が戦争でルバーリカ兵に殺されたこと。妹の無念を晴らすためにジヴェルの誘いに応じたこと。憎き敵国に狐魂の力を示したくて,戦ってきたこと。

 彼女の心の内は,遠く離れた月の裏側で,ティカだけが聞いていた。


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 そのころ艦長たちは,惑星「EnII(イーエヌツー)」からやってきたヴァルカが,なぜこの宙域に訪れたのかを尋ねていた。彼女はそれに,「EnIIはダフティーネにもダフテスにも害意はなく,本来は衛星マスティマ(月)に降り立つはずだった」と答える。

 ヴァルカの使命は,生命存続のため,銀河を正しき未来へと導くことだ(それがモーフィスの戦士である)。彼女は本来,ダフティーネの聖地戦争にまつわる調査のため,EnIIを統括する「Ex(エクス)」の指示で,両惑星の間に位置する,月こと衛星マスティマに降り立つはずであった。しかし,彼女の艦はこの宙域で突如襲撃にあって撃墜され,ダフテスに堕ちてしまった。襲撃者の痕跡は,なにも発見できなかったという。

 話を聞いたベルダは,いつしかのランビュランス艦隊が陥った状況を思い返す。「まるで亡霊のような艦隊」。その一言に,ヴァルカも続けた。かつて宇宙全体を恐怖に陥れた亡霊の軍隊は実在したから,有り得ない話ではないと。

 話があらぬ好奇心に傾倒していったとき,「今はダフティーネに帰る手段を探すほうが重要では」とユーインが口を挟む。とはいうが,コロとの通信手段はいまだ回復しておらず,ヴァルカの艦の通信機能も故障により,救難信号すら送れない有り様であった。

「なので……実は、救難信号を発することすらできず……諦めていた」

「ん?」

「寂しかった」

「え?」

「うああああああああん!! さびじがっだあああああああ!!」


大人びて見えたヴァルカだったが……結構な寂しがりやだった
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 ベソあり喚きあり嫉妬ありのひと悶着が済んだころ,ヴァルカが打開策を講じた。ベルダのような研究者がいれば,超長距離通信機を作れるかもしれない場所が近くにあるという。そこは滅びた古代都市群で,現代の先進文明にも劣らない科学力を持っていたようだ。

 以前の情報収集で「ダフテスに人類や文明の痕跡はない」と考えていた一行は,ここで新たな疑問にぶつかる。ティカがいた未来のダフティーネでも,両惑星は月を挟んだ場所に位置していた。両惑星には人類や文明も長く存在していた。しかし,双方がそれを認識していなかった。その事実があまりにおかしいのだ。

 とはいえ,この場で考えていても答えが見つかるわけではなかった。その廃都に行って,手がかりを探してみないことには。


いろいろあったウェルチも,すっかり自分を取り戻す。船にあった工具でティカのアームを直したその才能に,ヴァルカも思わず驚嘆
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 廃都に向かう道中で,再び狼男の群れに遭遇した。

 徐々に気づかされたのは,狼男以外の生命体に関しても,ダフティーネで見られたバッシェンの獣と同型であることだった。もしかしたら,バッシェンの獣は,ダフテスから召喚されていたのかもしれない。

 しかし,ここにいる者たちがバーベッド化していないのはなぜなのか。その仕組みを理解しきれない以上,それらは推測の域を出なかった。

 やがて,滅びた大都市の廃墟「オーネルセン」に到着する。ヴァルカもここを単独で探索したことがあったらしいが,内部が狼男たちの根城になっており,強力な武器を振るうと周囲の建物を崩していまいかねない懸念もあって,強行策は取れなかったという。


ヴァルカの素顔が分かる一場面
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 オーネルセン内を進んでいくと,都市の最深部と思わしき場所に到達した。その瞬間,艦長たちの前に1体のガードロボットが出現する。

「わあああっ! 戦闘特化のガードロボットだああっ!!」

 ヴァルカの動転とは裏腹に,戦闘用ガードロボットはあっさりと倒れた。まるで,機能があえて制限されているかのような不自然さがあった。それと同時に,施設の暗がりからひとりの男が姿を現す。

「……ああ……一体、どれほど、この瞬間を待ち望んだか」

 害意がないことを証明しろ。警戒するヴァルカを前に,彼はその証明も挨拶も押して,目覚めたときに真っ先にしなければならないと決めていた,“彼”への弔いをさせてほしいと願った。そして,たったひとり,このときまで人類を守り続けてくれたガードロボットに感謝を捧げる。

「すまない……たった一人、人の身には想像もつかぬほどの長きに渡り、我々を守ってくれていたのに……」

「その最後の役目が、破壊されることでしか、果たされない……」

「そんな風に君を作った我々を、許してほしい……」


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 「アンリ・アンル・アンリ」と名乗った彼は,ここオーネルセン人類保存研究所「アーク」の所長であるという。そしてこの施設は,ダフテスを襲った流行り病に適応できた,ほんのわずかな者だけをコールドスリープさせ,来るべき解放の日を待つ場所だと告げた。

 この星を狂わせたのは,人が獣に堕ちる病。アンリは施設の収容者たちが獣化の病の適応者だと語ると,その身を獣へと変身してみせた。病に適応できた数少ない者は,獣の姿になっても己の意思を保持したまま会話できるという。それでも凶暴性は増し,肉体の形質も大きく変化することで,従来の医療が適用できない身体になっているのだとか。

 アンリの変身後の姿は,カーリンに衝撃を与えた。それは彼女がダフティーネで召喚していた狼男たちに,非常に似通っていた。つまり,バッシェンの獣とは,ダフテスを彷徨うこの星の住人の成れの果てであり,獣の魔女は彼らをバーベッド化して使役している可能性があった。

 病によって獣に変わってしまった人々を,別の星の戦争のための兵器として――。


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 アンリが生きていた文明が病によって滅びかけたのは,今から3万年も前のこと。アークにいるわずか8千のダフテス人は,文明を継承し,救いを待って,3万年を越えてなお,いつか訪れる目覚めの日を待っている。当時のダフテスは,なぜ近くのダフティーネを移民先としなかったのか。それにアンリは「3万年前は不適格と判断された」と答えた。

「我らが生きた証が、未来に継承される。それだけで我々はもう……」

「ダメじゃ。オーネルセンは、ダフテスは、アンリの仲間達は滅びてはならん!」

 アンリとの会話の最中,ベルダはふと思い至っていた。灼死病で死んだ彼女の祖父が,他の灼死病患者とは明らかに症状が違っていたことを。


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 彼女は指摘する。獣化の病はパルスタワーの建造予定地である,ダフティーネの近くで発生していた,と。つまるところ,祖父は灼死病と獣化の病の合併症ではなかったのか,と。

 ランビュランス本星と連絡を取れれば,病研究のための使者がダフテスに送られてくる。そして獣化の病は,銀河連邦の医療設備ならおそらく制御できる。ベルダの言葉は,アンリに3万年ぶりの希望を蘇らせた。

「もう二度と、オーネルセンに文明の光は差し込まないと思っていた……」

「この星の海の中で、我々は取り残された孤独な人類なのだと……」

「だが……宇宙は、まだまだ広いのだな」

 アークにあった長距離通信機で,コロに呼びかけているとき,艦長はアンリに「一緒に来ないか」と提案した。それを聞いたアンリは喜びを露わにし,施設の維持管理資格を持つ者を覚醒させ,この星の留守を任せ,彼らについていくことを決意した。

「やだ! いっしょに行く!! もう一人はいや!! わたしもみんなと一緒がいい!!」

 もちろん,ヴァルカも一緒に。


ようやく,旅芸人一座「コロの船」の意味を理解したユーイン
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「……わたしを、乗せていいの?」

「は?」

 みんなが艦に乗り込もうとしているとき,その場から動こうとせず,ただひとり距離を取るカーリンの姿があった。そんな彼女に,ウェルチはいつもと変わらず食ってかかる。

「まさかとは思うけど、あんた一人でここに残る気? あんたが一人で残っても、アンリの仲間の邪魔にしかならないわよ」

「……でも」

「ああもう、らしくないわね! ぐずぐずしない!」


「わたしはなにも知らない。知らないうちに許されないことをしていたのかもしれない。だから,あなたたちと一緒に行くわ。真実を確かめに」
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「さ、乗んなさいよ、カーリン」

 不敵に笑う少女。

「あなたの船じゃないでしょ。ウェルチ」

 どんな表情で言ったのかは,ウェルチだけが知っている。



●CHAPTER:07「聖地浮上」


 艦に戻り,メディカルチェックが行われる。全員,獣化するようなことはないようだ。現状,ダフテスの大気には発展進化系と思わしき獣化ウィルスが検出されていたが,これは乗艦しているすべての人類種に対して無害だとコロが話す。それを聞いて,アンリも安堵した。

 しかし,コロが続けた報告な剣呑なものであった。「バッシェン帝国がルバーリカ王国の王都に向けて,大規模な攻勢を仕掛けました」。戦況はすでにバッシェンが押し込んでいて,ルバーリカの王都は危機的な状態にあるという。

 どうも艦長たちとほぼ同時に,その場に居合わせたバッシェン皇帝もどこかに飛ばされてしまっていたらしい。そして皇帝不在の中,タカ派の皇太子が帝国の実権を握ったのではないかとも。皇太子は聖地戦争の勝敗だけでなく,ルバーリカそのものを滅ぼすと公言している。カーリンも「目的のためならば手段を選ぶような人ではない」と断言した。


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 それから,艦内のモニターに現地の戦闘映像が映し出された。そこには,狼男型バーベッドがルバーリカ兵を蹂躙している姿が映っていた。光矢の性能に頼りきりであったルバーリカ兵は,狼男型バーベッドの俊敏さについていけず,撤退するほかないようだ。

 バーベッドたちが暴れ回る様子を見たカーリンは,元は人類であるはずの狼男たちをダフテスから呼び出し,自分たちの都合で戦わせていた真実を知り,「獣の魔女を止めなければ」と強く決心する。

「わたしは軍人よ! 敵は殺す! どんな手を使ってもね!」

「でも……でも、だからって、全く無関係の人間を操ってその陰に隠れているほど、落ちぶれちゃいないわ!!」


ウェルチとアンリに「気に病むことはない」と言われたカーリンは,ティカにだけ話していた自らの過去をみんなに吐露した
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 今回の聖地戦争が終わりに近づいている。そんな状況下にあって,ベルダにはひとつの疑問があった。両国の目標とされる聖地アジールは,「どこにあるのか」だ。その答えを教えてくれたのは,今まで説明していなかったことに気づいたユーインだった。

「あれ、話してなかったっけ。聖地アジールは、普段は海の底にあるんだ」

 聖地アジールとは,常に地上にある施設ではなく,普段は海の底に沈んでおり,月影の梯子が降りる場所にだけ浮上するものだという。

 それを聞いたアンリは仮説を立てた。「月影の梯子がもしも日食の影だとするならば,浮上場所は惑星と衛星の自転や公転,地軸の傾きで変化する」。この仮定が誤っていなければ,梯子の落下地点は限定される。

 しかし,肝心の聖地はリーシュたちにも手には負えない,高度な紋章術で秘匿されている可能性が高かった。そこで一行が考えついたのは,以前カーリンが身につけていた首輪の力で,アジールまで飛べないかだ。


果たして,この素晴らしいやり取りにどのような意味があるのか
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 こうしてはじまったのが,例の首輪をカーリンにつけた張本人に会うべく,ティカがわざとバッシェン兵に捕まるという,「仮面の男おびき出し作戦」だった。

 作戦はこうだ。アンリが獣の姿になり,カーリンが操る獣になりすまし,彼女がユーインとティカを捕まえ,それを仮面の男が救いに来るのを待つ。一応,ヴァルカが透明偽装でティカたちに随伴する。

 一抹の不安は残っていたが,作戦は決行された。


2人の大根っぷりに,カーリンもキレる
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 作戦が功を奏したのか(?),バッシェン軍に無事捕らえられたユーインとティカ。ジヴェルはいよいよアジールが浮上する段階とあって,戦争の最前線におり,カーリンたちがダフティーネに戻ってきていることには気づいていないようであった。一方,ルバーリカ側もダフテスの使いによる直接指揮で,海域の支配権に介入しようとしていた。

「僕がルバーリカの『ダフテスの使い』について知ってることなんて、名前がエレインっていうことくらいさ」

 4年前,リカルド将軍を取り立てたルバーリカのダフテスの使いは,エレインというらしい。それを聞いたティカは,その名が母と同じであることに気づいた。もしかして,お母さんも同じように,過去に飛ばされてきた? 不安そうなティカに,アンリが言葉をかける。

「問題のエレインなる『使い』がもしティカに関係があるとすれば、我々はいずれ、出会うこととなる」

「もし母親なら、そのときは抱きしめてやるといい」

 ――作戦決行から3日め。ティカの前についに仮面の男が現れた。その場で首輪のことを問いただすが,彼は首輪の仕組みも,どんな紋章術が仕込まれていたのかも知らないという。すべて借り物だったのだ。

 仮面の男が,ヴァルカの透明偽装をいとも容易く看破し,コロの存在を認知しながらポンコツAIと罵っていたそのとき,彼らの元に,6枚の翼を持つ,まるで天使のような姿の異形が立ち塞がった。一体あいつは?

 混乱している一行に向かって,仮面の男は「あんな獣がいてたまるか,逃げるぞ」と撤退を指示した。


このおぞましい天使のような敵は「エクササイザー」。ジヴェルが聖地戦争に介入する本当の目的だと,仮面の男が教えてくれる
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 艦長たちの素性や銀河連邦の存在,ジヴェルの目的すらも知る,仮面の男の正体は,まさかのルバーリカの「リカルド・フランツ将軍」であった。しかし,ティカを探していた理由についてはいまだ「お前の命を守るためだ」「お前は未来からきたんだろう」と答えるだけだった。

 詳しくは明かさぬまま,彼は続ける。

 ルバーリカやバッシェンよりも先に,アジールが海上に姿を現す,わずかな時間に乗り込み,聖地戦争を止めると。しかし,作戦の内容について詳細に詰める時間は与えられなかった。

 ――聖地アジールが,海からせり上がってきたのだ。


スキャナで海面を見張っていたところ,海から唐突に現れた聖地アジール
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●CHAPTER:08「聖地突入」


 すぐさま聖地アジールに転送した艦長たちであったが,リカルドの強い要望により,ティカだけは安全のためにと艦内に残された。コロのセンサーでは施設内部をスキャンできなかったので,危険が及んでも転送収容することが不可能だったからだ。みんなと一緒に行けないと落ち込むティカに,ウェルチが元気づけるためにと声をかけた。

「これは、最終決戦なんかじゃないんだから、たまにゃこういうこともあるわ」

 一行は細心の注意を払い,アジール内部を進む。するとコロが,アジールの構造哲学が銀河連邦のデータベースにある,いくつかの建造物と酷似していると指摘する。

 リカルドも重ねて言う。この手の建造物は宇宙のいたるところにあり,それらの大抵は辺地にあって,妙な隠され方をしていて,内部には侵入者を傷つけずに排除する防衛機構を備えていると。その代表格が「パージ神殿」と呼ばれているのだと。

※パージ神殿:「SO1」と「SO4」に登場した,惑星ロークにある神殿。艦長やコロ,ヴァルカはすでにその名を知っている


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 最深部には,祭壇に祀られているかのような,黒い球体があった。

 ヴァルカがサーチしたところ,それはただの大理石の塊だった。しかし,リーシュは「気持ち悪い」と,カーリンは「紋章の異臭がする」と,ついでにリカルドも「これさえ壊せば聖地は崩壊し,戦争は終わり,ついでにダフティーネを襲う厄災もすべて消える」と強く言いきる。

 勇敢に球体に近づいていくリカルドを迎え撃ったのは,6枚羽のエクササイザー……ではない。よく似た雰囲気を持つ,別の異形であった。


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 なんとか異形を撃破すると,カーリンが「姿形だけではなく,紋章の異臭もエクササイザーに似ていた」と口にした。だが,戦いはまだ終わっていなかった。倒したはずの異形が,何度も何度も蘇ってきたのだ。

 連戦の疲労でじり貧になってきたとき,リカルドが異形が復活するまでの間に球体を破壊しようと試みる。それを,ジヴェルの声が遮った。

 「紋章泥棒が」。当然のように姿を見せたジヴェルに向かってリカルドは吐き捨てたが,言われた当人は気にもせず,「やはり貴様の後ろにいたのはマスティマか」と冷笑する。

 ジヴェルの力は驚異的であった。さらに,一行が彼に手傷すら負わせられず苦戦していたそのとき,月影の梯子がついに降りてきてしまった。

 「ともに,本物のエクササイザーをこの星に下ろすのだ」。ジヴェルはそう告げると,エクササイザーを召喚するために黒い紋章の円盤を展開する。リーシュも以前と同様,彼を止めるために白い紋章の円盤を展開する。だが,それこそがジヴェルの狙いであった。


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 白と黒の円盤が重なり合って呼応したことで,召喚円盤から何者かの姿が徐々に顕現する。光る杭が集まって出来たかのような巨大な人型のなにか……どうやらそれが,真のエクササイザーのようである。

 黒い球体が,リーシュから無理やり力を引き出す。彼女も自身の暴走を止められない。「一度動いたエクササイザーはもう止まることはない」。その場一帯にジヴェルの哄笑が響く。それは勝利宣言に等しかった。

 ――そんなとき,2人の召喚円盤になにかが重なる。ダフテスに行ってから使えなくなっていたはずの召喚の力。それを取り戻したカーリンが,自身の紋章を重ねていた。


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 リーシュとカーリンの力が,ジヴェルの召喚円盤を砕き,黒い球体から吐き出されていたエクササイザーも崩壊した。同時に,月影の梯子も崩壊をはじめる。怒りに打ち震えるジヴェルに身構えていた艦長たちは,そのとき,衛星軌道上のティカたちからの通信に気づく。そこから聞こえてきたのは,異常な轟音。彼らの悲鳴。プツリ――通信が途切れる。

「……消えた」

 体内にセンサーを備えるヴァルカの一言は,疑えないほどに決定的であった。それは艦が消失したことを意味していた。つまり,ティカも,コロも,レコロも,消えてしまったのだ。思わぬ事態に絶望感が漂うその場で,「貴様らも私と同じ立場になった」とジヴェルだけが嗤う。

 彼は語る。月影の梯子の正体は「時空間の断裂」だと。それに巻き込まれ,過去や未来から飛ばされてきた宇宙の誰かこそが「ダフテスの使い」の正体であり,たまたまダフティーネにはない技術を持ち合わせ,それを他者に伝える力を持っていた者が,ダフテスの使いとして重宝されてきたと。それが聖地戦争の,どうしようもない真実だった。


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 アンリはジヴェルに「お前も意図せずにダフティーネにやってきたのか」と問うが,彼は「間違いではない」と迂遠に答えた。ジヴェルの目的はあくまで,真のエクササイザーをこの地に下ろすことなのだという。

 エクササイザーとはなんなのか。リーシュが聞いても,彼は心の底から不思議そうな表情で呟き返すだけだった。「お前がエクササイザーを知らないはずはないだろう?」。そして一瞬の間隙を突かれたリーシュは,ジヴェルに捕らえてしまった。

「もうすぐ、アジールは消える。貴様らはアジールとともに海に沈め」

 ジヴェルはリーシュを連れ,どこかに消え去った。アジールもまた,その巨体を海中に沈めようとしていた。艦が消えたことで転送収容は不可能。このままでは大海原に取り残され,溺れ死ぬのを待つだけ。

 ただ,あれだけティカを護ろうとしていたリカルドだけは,宇宙艦が消えてしまい,これほどの窮地にあっても,やけに落ち着いていた。

「ティカが、ティカが消えてしもうたんじゃぞ! 時空間の断裂! どこにいってしまったかも分からん! なぜそんなに落ち着いておれるんじゃ! ティカはお前さんにとって大切な人ではないのか! ティカ……ティカ! 置いてくるべきではなかった……いや、わしも残れば……艦長……わしら、どうすればいいんじゃ! アジールからも出られず、ティカもリーシュも失って、わしら……」

「……テメェは、もう少し冷静なガキだと思ってたんだがな」

「まだ、何も終わっちゃいねぇ……」

「いや、これからが始まりだ……」

「じきに来る……ほらな」

「待たせちゃったね!」

 突然だった。一行の前に,見も知らぬ女性が現れたのは。


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「ごめんね! 海軍が思いのほか苦戦して……でも、陸の方の戦いでは、ぎりぎりで何とかバッシェンを撃退して王都は守れたよ! さあ、早く出ないと! アジール全域がもう着水してる!」

「い、一体これは、君は、まさか、そんな。ジェネラル・リカルド! 貴官はこのこと!」

「くそ、約束が違うじゃねぇか、おい。首輪、外れてねぇぞ!」

「まだ終わってないってことだよ! 早く出よう! 間に合わない!」

 すると艦長たちは,見たことのある首輪の紋章の力によって,見たこともない空間へと転送された。ダフティーネからダフテスに飛ばされたときの状況と似ていたが,ここはダフテスではないようだ。一体どういうことなのか……? 戸惑う彼らに向けて,謎の女性はほほ笑みかける。

「私は、そう、四年前にルバーリカに降りた『ダフテスの使い』ってことになるわ。ユーインお兄ちゃん」

「それで、ここは確かにダフティーネじゃない。でも、ダフテスでもないよ、カーリンお姉ちゃん」

「やっぱり、分からないよね」

「でも皆知ってるよ」

「一秒たりとも忘れたこと、ないよ」

「……ベルダお姉ちゃん」

「ベルダお姉ちゃん、ユーインお兄ちゃん、ウェルチお姉ちゃん、カーリンお姉ちゃん、ヴァルカお姉ちゃん、アンリさん、それに……艦長、会いたかった……ずっとずっと、会いたかったよ!」

 彼女の正体を見抜けたのは,ただひとり遺伝子情報を見分けられる,ヴァルカだけ。

「君は……ティカお嬢さん、なのか?」


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「うぇ……うぇえ、よが……よかった……生きて……ティカ!」

 むせび泣くベルダを案じるティカの姿は,先ほどまで艦に残していた彼女の姿よりも,明らかに成長していた。しかし,ティカはなにがあったのかを話す前に,会ってほしい人がいると告げた。

 そこに謎の声が届く。「ここはダフティーネの民が呼ぶところの月で,衛星マスティマと名づけられている」。衛星マスティマに文明の痕跡はなかったはずだと言い返すヴァルカを,謎の声が窘める。「ふふふ。宇宙には,分からないことのほうが多いのだと教わらなかったか?」。

 やがて現れた声の主は,自らを「マスティマ」と名乗った。それは楽園の守護者たれと力を見いだされ,御されぬがゆえに放逐された「神の十賢者」候補の名であった。

※楽園:「SO2」に登場した惑星ネーデのこと。37億年前に神の十賢者がし,惑星は崩壊。ネーデの住人はエナジーネーデとEnIIに移住した

※神の十賢者:ネーデの生体軍事兵器。ネーデを守護するための兵器であったが,生みの親によってその目的を“全宇宙の破壊”に変更された




●CHAPTER:09「エクス・ジーヴァ」


 立派なレディになったティカに連れられ,一行はマスティマが管理する月こと「衛星マスティマ」,その中にある紋章博物館「エクス・ジーヴァ」にやってきた。

 ティカは当初,未来から200年前の現在に飛ばされ,艦長と出会った。そこで月影の梯子に巻き込まれてしまい(艦長たちにとっては先ほどのことである),今よりも8年前に飛んだ。マスティマいわく,タイムゲートを介さずに2度連続で過去方向に時を超えたケースは珍しいらしい。

※タイムゲート:「SO3」に登場。惑星ストリームにある遺跡で,時間の壁を越えることができる。遺跡への進入はいっさい禁止されている

 マスティマは自身を「37億年前に楽園を放逐された出来損ないの紋章術士さ」と卑下する。彼女は「第二次十賢者」の候補であり,第一次十賢者が暴走したことで,第二次十賢者にも嫌疑をかけられたため,逃亡した。その末に,この星系にたどり着き,衛星マスティマを作り上げた。

 月の名を冠したのが彼女なのではない。彼女の名を冠したものが,いつしか月と呼ばれるようになった。


生後37億年のマスティマ。なお,カーリンも尾の数(6本)から言って,400〜500歳になるんだとか。「生意気ばっかり言って。その、年上に向かって失礼しました」「逆に腹立たしいからやめて!」(いつもの2人談)
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 ここエクス・ジーヴァの痕跡が見つけられなかったのは,単純にマスティマの紋章術が,連邦やEnIIが擁する技術よりも優れていたからだ。そして紋章博物館とは,無限に膨張し続けてきた宇宙の真理を探究する,彼女の知識欲を満たすための施設だという。

 ティカが月影の梯子に巻き込まれ,過去に放り出されたとき,そこが衛星マスティマの直上であったため,マスティマによってすぐに艦ごと保護された。彼女は月影の梯子の被害者に限らず,さまざまな理由で宇宙を彷徨うことになった人たちを保護していた。

 ちなみにティカが持つ二丁銃は,「ベルダと同じ銃」をマスティマに頼んで作ってもらったものらしい。

「ベルダお姉ちゃんにずっと憧れてたから!」

「にゃっ!?」


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 これまで相貌を隠してきた,仮面の男ことリカルドについては,本名を「リカルド・ブランシュ」という。ブランシュの姓から分かるとおり,ティカの実の兄であった。

「私の、本物のお兄ちゃんです」

「り、リカルド……おにいちゃ……くくく」

「おい魔女。何か文句あんのかっ!!」

 彼はティカとは10歳離れていて,彼女が両親と移住するときにはすでに独立し,軍に入っていた。そしてティカが乗る移民船を軍艦で護衛していたとき,彼もティカと同様に過去へと飛ばされていた。ただし,飛んだ先はティカが艦長と出会った時代から,8年前のダフティーネ。つまり,ティカが月影の梯子に飛ばされたときの時間軸になる。

 これまで強硬的にティカを取り戻そうとしてきたのは,大切な妹が大変な目にあわないよう,彼女の未来を必死に変えようとしていたから。誠実な兄弟愛を弄られると,彼はつっけんどんに返すだけだったが。

 そして一行は,マスティマに保護された艦長の宇宙艦に向かった。艦長にはつい先ほどのことでも,相棒のコロはここで8年,艦長を待ち続けたのだ。そのせいか,いつもより熱烈に再会された。


「僕の! この! 淋しさと! 愛しさと! 切なさと! 苦しみ! 届け艦長に! かんちょおおおおおおお!!」
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 この8年間で,コロも艦もエクス・ジーヴァの恩恵を受けたことにより,とても強くなったという。そしてコロは,1年前にヴァルカの艦をダフテスに落としたのも,噂の宙域でランビュランス艦隊を撃退したのも,自分の仕業であったと告白した。

 それだけじゃない。ウェルチのラボをあのとき落下させたのも。ティカの救命艇の信号をジャックし,銀河連邦の信号に偽装したのも。すべては今日この瞬間――みんなとここで合流するための布石だった。


当時,コロに艦の整備不良を散々疑われたヴァルカは,ここぞとばかりの最高の笑顔を浮かべる。「まだ根に持ってたんですね……」
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 さらに謎のロボットも姿を見せた。その正体はレコロであった。

 レコロは現在,エクス・ジーヴァの汎用AI搭載兵器「ラムダ」ボディを戦闘訓練用,活動補助用,日常警備用,炊事洗濯掃除用の計4機を管理し,ティカのために運用しているという。その成果を見せようと,艦長たちにはいきなり特訓の日々が課せられた。


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 エクス・ジーヴァに来てから数日が経ち,マスティマがリーシュの居場所を特定した。彼女は意外にも,バッシェン帝国の皇都にいた。

 今のコロには,ダフティーネに転送できない場所はない。ただ,転送先がどこであれ,現地では激しい抵抗が予想されるという。今回の聖地戦争はいつものような煮え切らない「次の梯子が下りるまで停戦」とはなっておらず,バッシェンの皇都も依然,厳戒態勢にあるからだ。

 そのうえでのマスティマの提案は,実にシンプルなものだった。

「お前の艦を使って……聖地アジールを破壊してみないか?」


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 アジールに浮かんでいた黒い球体は,マスティマが真に破壊してほしいものだという。そしてジヴェルがあれに手を出せば,この宇宙を破壊しつくす事態を引き起こす可能性があった。マスティマの一言は,ダフティーネ人としてのプライドを持つユーインとて黙らせる。

「ダフティーネ人の矜持は尊重したいが、星が消えてしまえば無意味だろう」

 マスティマはアジール破壊のため,人為的に月影の梯子を発生させると言った。そもそも月影の梯子の正体とは,今から200年ほど前,この宇宙に唐突に顕現した,彼女の研究が生み出してしまった失敗作だった。

 200年前にその存在を感知した彼女は,己の粗雑な所業に冷静ではいられず,怒りのままに「時を遡る紋章」を見つけ出した。その紋章を使おうと,宇宙に解き放ったとき,紋章に呼応したダフティーネの聖地アジールが突如として浮き上がってきた。

 アジールの正体は,時間などの超越的な事象が解明されたときに出現する,この宇宙の防衛機構であった。200年前のマスティマは,アジールに時を遡る紋章を奪われたことで,時の制御ができなくなってしまった。一方でアジールは,過去も未来も反応は問わず,あらゆる時代に断裂を引き起こす事象を生み出した。それこそが月影の梯子なのだと。

 現在,マスティマの時を遡る紋章は,それ自体が使えなくなっているわけではない。使えばアジールに捉えられてしまうというだけだ。そこで,紋章をあえて展開することでアジールを浮上させる。これが「聖地アジール破壊作戦」の要であった。


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 作戦前のひととき。一行はこれまでの謎を,ティカに尋ねた。

 4年前のルバーリカに降り立ったダフテスの使いエレインとは,当時14歳のティカであった。幼い妹をなんとしても重責から解き放ちたいと,リカルドは奮闘した。当のティカも「頑張れば,いつか艦長たちが来てくれると信じていたから,頑張れた」と話した。そんな少女をずっと支え続けたものこそが,使いの光矢こと「ベルダ・クレーマンの銃」だった。

 使いの光矢をルバーリカに持ち込めば,たくさん人が亡くなると理解していた。それでも,そうしなければユーインは艦長と出会う前に,どこかで死んでいたかもしれない。ウェルチも森も中で,獣に殺されていたかもしれない。14歳のティカは己を奮い立たせ,選択し,「家族」のために気力を振り絞って,ようやく,ようやく,ここまでたどり着いた。

「ベルダお姉ちゃんが、話してくれたから」

「この宇宙に流れる涙を、少しでも少なくしたいって、ベルダお姉ちゃんが、言ってくれたから」

「絶対忘れたりしないよ」

 王都でのあの夜。ベルダが伝えた想いを「しっかり」胸に抱き,勇気に変えて。


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 さりとて,ダフティーネにただ犠牲を強いたわけではない。ティカはリカルドに頼み,彼女が使いの光矢を持ち込むかわりに,兄には未来の軍略を持ち込んでもらった。そうして,現地の人々の犠牲を極力少なくしてもらったという。「リカルド将軍こそが使いの力なのではないか」。これらの言い分は,あながち間違っていなかったようだ。

 そしてマスティマが,ジヴェルについて言及する。彼が100年ほど前に月影の梯子からやってきたことは間違いなく,一時期はこのエクス・ジーヴァにも住んでいたという。しかし,彼は自らの意思で時空の断裂に飛び込み,ここへやってきたらしい。そのため,マスティマが神の十賢者候補であることも知っていた可能性が高く,彼女の紋章についてもひとり研究していたという。そのひとつが件の「時空間遡行の紋章」であった。

 しかし,マスティマをしても「ジヴェルはどうも普通の人間ではない」くらいのことしか分からないという。彼がどこからやってきたのかも,彼の召喚紋章術についても知り得なかった。そのうえで,ジヴェルの目的は半分は召喚紋章術,もう半分は月影の梯子と召喚紋章術の相乗効果によって発生する,より大きな時空の断裂であると推測していた。

 マスティマの時空間遡行の紋章は本来,ただ過去に向かって時を越えるものだった。しかし,アジールを浮上させてしまったことで,命の有り方を歪め,宇宙に厄災を振りまき,ジヴェルを知識に触れさせてしまった。「すべては自分の責任だ」。そう自戒する彼女は,すでに宇宙の傍観者ではいられず,自らが介入せねばならないと心に決めている。

 聖地アジールを破壊し,リーシュを奪い返しても,ジヴェルはきっと追いかけてくる。ならばもう,彼を倒すしかない。


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 艦長たちが決意を固めていたころ,バッシェン皇都では,ジヴェルがリーシュに「知りたいことがあれば教えてやる」と迫っていた。

 「頼んでまで教えてもらいたいことなんてない」。突っぱねる彼女の強情さに彼は,「記憶を失っても本質は変わらない」と笑っていた。これまでの言動も踏まえると,やはりジヴェルはリーシュの過去をよく知っているようだ。それからジヴェルは続ける。

「お前は間違いなく、もう一度わたしのために、召喚紋章を使ってくれる」

 彼は言いきる。目的達成のために,リーシュの仲間が必要だと。私ほど,お前を助けにくるであろう「仲間」を信じている人間はいないと。そしてエクササイザーを欲しているのは本当だが,それが真の目的であるかのようにマスティマに思い込ませてきたとも。彼は口角を歪ませた。

「待ちに待ったこれが、最後の仕上げだ」




現在はこの先,第10章まで配信中!
気になる続きは……?


 いかがでしたでしょうか! 長丁場となりましたが,ここまでがSOAの第2部 CHAPTER:09までのあらすじです。

 2019年5月現在,メインストーリー第2部は,上記のあらすじの直後からはじまる【CHAPTER:10】までが配信中です。そして長々と紹介してきたこれまでのお話は,本当の本当に“あらすじ”でしかありません。

 ユーインはラティクスやクロード,フェイト,エッジ,フィデルといった歴代SOシリーズの主人公男子らしい「熱さ」を胸に秘めたキャラクターです。ウェルチがまさかの仲間キャラとして登場するのも,長い間シリーズ作品に触れてきたファンとしては感慨深いのでは?(しかもユーインのお隣だなんて,第2部の実質メインヒロインですよ!)

 SOシリーズらしい幼女枠としてベルダに並んだ(はずの)ティカですが,タイムトラベル自体は早期から匂わしていたものの,それを踏まえてもなお,CHAPTER:08の展開は熱かったですね! ツンツンだったカーリンも彼女とふれあってから素直な自分を見せてくれますし(年齢については驚愕ですが),アンリもSOには欠かせないケモナー枠です!

 ヴァルカも子供っぽい素顔のギャップが可愛いですし,なにより筆者最推しの仮面の男ことリカルドが,まさかあんなにもガチのシスコンだったとは……誰が想像したでしょう! 彼はゲーム内で友好度を上げると鼻血ものの表情を見せてくれるので,ぜひ仲良くなっていただきたいです(もちろん,ほかのキャラも友好度を上げると鼻血ものです!)。

 ちなみにSOAは遊んでいるだけで「紋章石」などのゲーム内アイテムをいろいろ入手できますし,第2部専用のプレイアブルキャラクター「ティカ」も,物語を進めていくと必ずゲットできますよ!

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 キャラクターはもちろんのこと,ストーリー上のあちこちで登場する,歴代のSOシリーズに関連した用語も見逃せません。とくに神の十賢者については「なんだと!?」となったファンも多いのではないでしょうか?

 それに第1部のランビュランスで起こった出来事から,物語の核心を歴代作品の設定に緻密に絡ませていく手腕は,まさに見事というほかありません。序盤の章で散りばめられていた数々の伏線が,章が進むにつれて次々と回収されていく様子を目にするたびに,メインストーリーを担当された和ヶ原聡司氏への感謝の言葉が出てきてしまう始末です。

 しかも,これだけ膨大なストーリーは驚くべき速度で更新されてきました。そのため,SOAは非常に良いテンポで物語を堪能することができるのです。実際,第2部がはじまったのは昨年の2018年7月。最新のCHAPTER:10が2019年5月の公開ですから,月に1度は1章分が配信されてきたことになります。

 そのうえで気になるのはやはり今後ですが……“ほぼすべてのスターオーシャン”と深く関わりを持つ展開となったSOAがこれからどうなっていくのか,気になりませんか?

 CHAPTER:10では,ジヴェルが何者か分かるのでしょうか?

 彼が求めるエクササイザーとは,一体なんなのでしょうか?

 イヴリーシュの召喚紋章や過去の謎は分かるのでしょうか?

 そしてティカとリカルドは,無事に未来に帰れるのでしょうか?

 気になるところがたくさんありますね! すべてはCHAPTER:10で明らかになっているのか……。それともさらなる展開へと進んでいるのか……。それらはぜひ実際にプレイしてみて,自分の目で確かめてみてほしいと思います!

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