プレイレポート
新たな戦術で,巨大生物をぶっ飛ばせ!「地球防衛軍5」プレイレポート
無数の敵に襲われる絶望と,破壊の爽快感が交互に押し寄せる
「地球防衛軍5」(以下,EDF5)は,「地球防衛軍」シリーズの最新作。EDF(全地球防衛機構軍)の隊員となって謎の異星文明「プライマー」が率いる巨大生物と戦う爽快アクションゲームだ。2003年の初代作から数えてナンバリングも5作目,派生作も含めると10作以上を展開している地球防衛軍シリーズだが,5になってもその根幹は変わらない。リアルな街並みに来襲する,アリやクモのような巨大生物を駆除していくのは相変わらず楽しいのだ。
その魅力は「無数の敵に囲まれる絶望と,過剰とも言える火力でこれを切り崩していく爽快感」の対比に尽きるだろう。群がるアリどもにロケットランチャーを打ち込めば,大爆発とともにポンポンと吹き飛ばされていく。画面を埋め尽くすほどの大量のクモに包囲されても,必死で逃げながら少しずつ倒していけば光明も見えてくる。
状況が絶望的になればなるほど楽しくなってくるあたりは,実に“地球防衛軍している”と言えるだろう。
そんなプレイヤーと巨大生物の戦いに巻き込まれ,街もメチャメチャになっていく。街並みがまた細かく作り込まれており,コンビニや弁当屋などが並ぶ日常的な風景を巨大生物という異物が蹂躙する様が面白い。身近にありそうなマンションや,駅前で見かけたような高層ビルが倒壊する様には,特撮映画を見るようなカタルシスがあるのだ。
加えて今回は,生物系の敵に攻撃を当てると破片や体液がまき散らされるようになった。といってもゴア的な陰湿さはない。さっきまで自分を苦しめていた巨大生物が破片になって飛び散るのはなかなかに爽快だし,高くそびえるビルが3階あたりまで体液まみれになる様などは,あまりの過剰さに笑ってしまう。プレイフィールはもちろん,地球防衛軍としての芯はブレていないように感じられた。
プレイヤーが望んでいた改革を加え,地球防衛軍はさらに進化する
そんなEDF5には,いくつかの改革が見られる。「更なる物語性の追求」と「各兵科に加えられた改革」,そして「人型エイリアンの登場」だ。
◯更なる物語性の追求
これまでのシリーズでは,主人公がEDFに入隊するまでについては触れられることがなかった。巨大なマザーシップをただ一人で倒す謎の隊員「ストーム1」(EDF3)や「ストームチーム」(EDF4,EDF4.1)の来歴は,プレイヤーの想像に委ねられていたのだ。
しかし,EDF5では主人公たちが民間人からEDF隊員になっていく様が描かれる。民間会社の警備員,ショーのために基地を訪れていた飛行ダンサー,故障した兵器を修理する技師,パワードスケルトンで荷物を運ぶ作業員。彼ら主人公たちはプライマーの来襲に巻き込まれてしまうが,生き残るために戦い続け,その優秀さを見いだされてEDF隊員になるのだ。
序盤ステージではしばらく,民間人としての彼らを操作することになるが,EDF隊員よりも能力が劣っているということはないので心配は無用。プレイできた範囲では,主人公たちはルーキーとして扱われているが,物語が進むにつれてどのように変化していくのかも見どころになりそうだ。
NPCたちがしゃべりまくるのはもちろん,絶望的な状況下でのユーモアもこれまでと同様。地球防衛軍といえば終盤に熱い物語が展開することでも知られているが,今回も楽しみだ。
◯各兵科に加えられた改革
EDF5に登場する兵科は,実弾銃で戦う特戦歩兵「レンジャー」,特殊な装備で空を舞う降下翼兵「ウイングダイバー」,強化外骨格を装備した二刀装甲兵「フェンサー」,航空支援を得意とする空爆誘導兵「エアレイダー」の4種類。これに,兵士の能力をアップさせる「補助装備」「プラズマコア」と,武器集めが楽しくなる「カスタム値」が加わり,新たなプレイ感をもたらしている。
レンジャーは,アサルトライフルやショットガン,ロケットランチャーといった通常兵器を操る,もっとも標準的な兵科。使いやすさはそのままに,新アクション「ダッシュ」がプレイを劇的に変えている。これは,[L3]ボタンを押し込むとレンジャーが走るというものだ。ダッシュ中の発砲や武器の切り替えはできないが,リロードは可能。マップ内を移動するとき,少しでも移動速度を上げるために連続で側転し続ける必要がなくなった。
これまでのシリーズで指摘されてきた「マップは広いがレンジャーの移動は遅い」という欠点がついに解消され,かなりテンポが良くなっている。
補助装備を手に入れれば,ダッシュ中に小さな障害物を破壊できたり,速度を上げたりといった強化も可能だ。一気に移動して敵を挟み込み,NPCと十字砲火を仕掛けるようなこともでき,戦術的な幅も広がっている。これに加えて戦車やバイクといった,高速移動できるビークル(乗り物)も要請できる。残念ながら,ミッション22までの時点ではビークルは手に入らなかったものの,EDF5では戦場を駆け巡るレンジャーの活躍が見られそうだ。
ウイングダイバーは光学兵器を使う部隊として,女性隊員で構成されている。空から一方的に敵を殲滅できるが,飛行と武器に使うエネルギーが共通なため,繊細なリソース管理が求められる。
新アクションの「ブースト」は急加速飛行だ。前方へ飛ぶだけでなく,横や後ろにアナログスティックを入れると側転やバック転になる。敵との間合いを一気に詰めたり,エネルギーが切れそうになったときに連続バック転で間合いを離し,建物の陰で回復を待つような戦い方も可能だ。
使用感としては,ブーストでアドリブが効くようになり,従来作よりも扱いやすくなっているという印象。プラズマコアにはブーストの速度を上げるものもあり,空を舞っての高機動戦も可能だが,そのぶんエネルギー消費が激しくなるため,究め甲斐がありそうだ。
フェンサーは重火器を用いた遠距離戦と,剣やハンマーを使った近接戦ができるテクニカルな兵科。操作は少し慣れが必要だが,近接武器の二刀流と高速移動「スラスターダッシュ」を使いこなせば,敵のただ中に突っ込んで舞うように攻撃しつつ殲滅できる。
フェンサーと言えば,スラスターダッシュをキャンセルしての高速移動テクニックが魅力だった。EDF5でもキャンセル自体は存在するものの,前作ほどの極端な高速移動はできなくなっている模様。そのかわり,連続でスラスターダッシュできる補助装備が存在しており,1度目のスラスターダッシュをキャンセルして2度目を別方向に出すようなこともできるため,機動力の平均値は上がっているという印象だ。
プレイ感が大きく変化しているのがエアレイダー。空爆や砲撃といった支援攻撃で広域破壊を行う兵科だ。
これまで支援を要請するには,敵を倒して「功績ポイント」をためる必要があった。そのため,敵の数が減ったり,1体の巨大生物と戦ったりするようなステージだと,火力が必要なのに功績ポイントが手に入らず,苦戦するというケースが起こっていた。
しかし,今回は従来型の支援に加え,「発動に功績ポイントは不要で,時間経過によってリロードされる」新タイプが加わっており,ソロプレイでもかなり遊びやすくなっているのが嬉しい。支援を得意とする兵科であるという側面がより強調されている。
巨大生物どもを倒せば,ライフ回復やアーマー値の上限アップ,武器といったアイテム類が出現する。これまでだと,アーマーや武器はその時操作していた兵科のみに有効だったため,新たな兵科を遊ぶときはゼロから育て直す必要があった。
しかし,EDF5ではアーマーを取ればその時操作していない兵科のアーマー値が増えることもあるし,武器アイテムからはすべての兵科の武器が出るようになった。また,敗北時もすべてがパーになるのではなく,ある程度のアイテムだけは獲得できるようになった。
育て直しの手間が軽減され,いろいろな兵科を気軽に使えるため,オンラインのマルチプレイがより楽しくなりそうだ。ダッシュやスラスターダッシュの発動時や,ビークルに搭乗したときは,アイテムを回収する範囲が広くなるのも地味に嬉しいポイントだ。
ここに新しい面白さを提供してくれるのが,カスタム値のシステムだ。EDF4.1までは,すでに持っている武器を手に入れても無駄になるだけだったが,今回は同じ武器でもグレードが高いものを取得した場合に「弾数」「ダメージ」「リロード時間」「有効射程距離」「弾速」「精度」といった性能が少しずつ強化される。これにより,お気に入りの武器を長く使っていけそうだ。
◯人型エイリアンの登場
もっとも大きな変化が,巨大異星人「コロニスト」の登場だ。コロニストは二足歩行のカエルといった趣で,手にはマシンガンのような火器を携えている。外見こそユーモラスだが,知性を持っており,ステップでこちらの攻撃を回避したり,建物の陰に隠れたりするだけでなく,巨大生物の後ろから銃を撃ってくることもある。巨大生物の群れにコロニストが1体混じっているだけで緊張が走るほどに危険だ。
そんなコロニストには部位破壊で立ち向かえばいい。足を吹き飛ばせば歩けなくなり,手を砕けば銃がなくなるためしばらく攻撃ができなくなる。闇雲に攻撃を当てるのではなく,できれば一点集中をかけたいところ。部位破壊を決めても,しばらくすると再生してしまうため,これまでとはまったく異なったスリルを味わえる。とくに狙撃系の武器を使う時などはドキドキしてしまう。
遮蔽物に隠れられると厄介だが,ダッシュやブーストで側面に回り込んで急襲すればいい。また,使いやすくなったエアレイダーの空爆や砲撃で辺り一帯を吹き飛ばすのも有効。新要素を使って,これまでとはひと味違った立ち回りを楽しめるのだ。
EDF5は,地球防衛軍らしい楽しさはそのままに,レンジャーの機動力やアイテム回収範囲,エアレイダーの火力や支援攻撃の操作性など,これまでに指摘されてきた問題点を一気に改善。また,武器のカスタム値によって新たなモチベーションが生まれ,補助装備とプラズマコアにより,カスタマイズも楽しめるようになった。
ミッション22までの範囲では,「しっかりと進化してさらに遊びやすくなった地球防衛軍」という感想だ。もともと地球防衛軍シリーズには,いい意味でB級映画っぽい親しみやすさがある。本作でもそうした分かりやすさは健在で,巨大生物をぶっ飛ばして大笑いするという根幹はブレていない。
いわば“B級に見せているA級”といったところだろうか。前作と同程度のボリュームがあるとするなら,ミッション22はまだまだ折り返し点にも到着していない。また,今回は発売前なのでオンラインプレイも体験できなかった。仲間とともにEDF隊歌を歌いつつ,巨大生物の群れに突撃する日が楽しみだ。
「地球防衛軍5」公式サイト
- 関連タイトル:
地球防衛軍5
- この記事のURL:
©SANDLOT ©D3 PUBLISHER
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