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個性的なBGMとゲーム展開をリンクさせる苦労が語られた,「BLACK BIRD」発売打ち上げイベントをレポート
「BLACK BIRD」は,誰にも助けてもらえずに死んだ不幸な少女が,奇怪な「黒い鳥」として生まれ変わり,街を無差別に破壊していくという横スクロールシューティング。「moon」や「チュウリップ」などを手がけた木村氏による,ダークかつユーモラスな世界観を,架空言語の歌詞による「幻聴歌劇」が彩るという独特のゲームだ。5月に京都で行われたBitSummit Vol.6では,優秀なゲームに贈られる「バーミリオンゲート賞」と「エクセレンスインサウンド賞」を受賞するなど,高く評価されている。
「BLACK BIRD」公式サイト
●Onion Games公式飲み会 〜BLACK BIRD完成記念の打ち上げパーティ〜 参加者
木村祥朗氏(「BLACK BIRD」ディレクター)
倉島一幸氏(「BLACK BIRD」ピクセルアート)
大久保タクマ氏(「BLACK BIRD」リードプログラマー)
田崎 亮氏(「BLACK BIRD」背景担当)
谷口博史氏(「BLACK BIRD」BGM担当)
杉山圭一氏(「BLACK BIRD」SE担当・スタジオカリーブ)
綾里まるさん(「BLACK BIRD」不幸な少女役・声優)
北薗彩佳さん(「BLACK BIRD」4面BGM歌唱・オペラ歌手)
会場には「BLACK BIRD」のゲームおよびサントラの発売を記念して,多くのファンが集合。“公式飲み会”というコンセプトどおりのアットホームな会となった。「BLACK BIRD」といえば,谷口博史氏の手がける「幻聴歌劇」が印象的だが,個性的な楽曲をゲームの展開とマッチさせる苦労について,木村氏と谷口氏,SEを担当した杉山圭一氏,オペラ歌手の北薗彩佳さんのトークが行われた。
木村氏と杉山氏は谷口氏を深くリスペクトしており,「BLACK BIRD」では谷口氏の自由度を確保し「思い切りやってもらう」(木村氏)ため,谷口氏は作曲に専念し,SEは杉山氏が手がけることになった。
その中で杉山氏の課題となったのは,世界観と楽曲にマッチしたSE作りである。架空言語による「幻聴歌劇」の雰囲気を損なわず,SEだけが悪目立ちしないのに加え,「黒い鳥が泡のようなものを吐いて人間を倒していく」幻想的な場面を表現しなければならない。「SEの角が立つと,全部がダメになってしまう」(杉山氏)というほど,デリケートな作業だったそうだ。
一方,木村氏は,曲の盛り上がりに合わせて敵が出現するなど,楽曲とゲーム展開がリンクしたレベルデザインに苦労したという。Onion Gamesの前々作である「勇者ヤマダくん」では「ゲームが出来上がったあとに,音楽を合わせる」という手法が採られたが,今回は「絵と曲が出来ているところにゲームデザインを入れる」(木村氏)という真逆のやり方をしたためだ。
方法論が確立したとはいえ,作業は困難を極めたという。曲がない状態でレベルデザインを行い,敵の出現時にSEを付けたものの,曲を入れるとマッチしないことが分かって没にしたり,ピアノによる仮曲でレベルデザインを進めたものの,歌が入るとまったく印象が変わってしまったためやり直したりと,トラブルの連続。「今回のアイデアを実現するには,レベルデザインと作曲とプログラミングのすべてを1人で出来る人がいれば良かったのではないか」と,木村氏はしみじみと語った。
最後に谷口氏は「サントラは,ゲームで流れる曲をそのまま収録したのではなく,1曲あたり4〜5分に再構成したものです。リスニング用としてしっかり聴き応えのあるものですので,よろしくお願いします」とアピールし,トークを締めくくった。
BLACK BIRDのサントラは,通販サイト「BOOTH」内の「Onion Store」にて販売されている。谷口氏の楽曲解説も付いているので、気になる人はお見逃しのないよう。
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