プレイレポート
生命ある監獄から脱出せよ! PS Vita用ダンジョンRPG「神獄塔 メアリスケルター」で血しぶきを浴びながら戦ってみました
不気味でダークな世界観と,血しぶきや返り血といった“血”にまつわる数多くの要素,そしてダンジョンRPGには珍しいリアルタイム性のあるギミックなどが大きな魅力の本作を遊んでみたので,そのプレイレポートをお届けしよう。ちなみに,神獄塔はカンゴクトウと読みます。
「神獄塔 メアリスケルター」公式サイト
難攻不落の生ける監獄「ジェイル」を脱出せよ
数十年前,突如として街が陥没して生まれた巨大監獄「ジェイル」。そこでは「メルヒェン」と呼ばれる化け物が人々を支配し,捕らわれた人達は理不尽な拷問に苦しんでいた。主人公である少年「ジャック」と,幼馴染の少女「アリス」も監獄で捕らわれの日々を送っていたが,あるとき「血式少女」の一人である「赤ずきん」に救出される。
血式少女とは,ジェイル内でごくまれに生まれる特殊な能力を持った少女で,理由は不明ながら,それぞれ童話やおとぎ話に関連した名前を持っている。彼女達はジェイルからの“脱獄”を目指す者達で結成された組織「黎明解放戦線」(通称:黎明)に所属しており,その目的のためにジェイルの探索と捕らわれた人々の救出を行っているのだ。
そして,赤ずきんに助け出された際に血式少女であることが判明したアリスと,そんな彼女の力になるために黎明に加わることを決意したジャックは,難攻不落のジェイルの攻略に乗り出すことになる……。
リアルタイムで迫る恐怖と,血を使ったさまざまなギミック
ジェイルは地下666メートルに作られた,脱出不可能とされる巨大監獄だが,その片隅には黎明がかろうじて人の手に取り戻した「解放地区」があり,本作ではここを拠点にジェイルの探索を進めていく。ジェイルは元々そこにあった街を取り込んで生まれたことから,各エリアは「元街道沿いエリア」「元繁華街エリア」「元墓所エリア」といった具合に呼ばれ,かつての名残をわずかに留めている。
ジェイル内部は見てのとおりの3Dダンジョンだが,大きな特徴となっているのはリアルタイムで作動する罠や仕掛けが多数存在していること。一定間隔で刺が飛び出る床やギロチンといったダメージ系のトラップに加え,レバー操作から一定時間だけ開いている扉などがあり,ぼんやりと探索していてはクリアはおぼつかないだろう。
また,生命ある監獄であるジェイルには「食欲」「性欲」「睡眠欲」という三大欲求があり,探索や戦闘でそれぞれの欲求を満たすことで「ジェイルボーナス」が得られるというのも面白いポイント。例えば,食欲は戦闘中に後述する「血しぶき」を発生させることで満たされるといったように,それぞれに見合った行動が設定されているので,うまく活用して冒険を有利に進めたいところだ。
そして,探索中に最も注意すべきなのは「ナイトメア」と呼ばれる不死の存在だ。ナイトメアはリアルタイムでジェイル内を徘徊しており,神出鬼没に襲い掛かってくる。探索中に周囲が暗くなり始めたら,ナイトメア出現の前兆なので要注意。急いでその場を離れよう。もしナイトメアに見つかってしまうと「虐殺鬼ごっこモード」となり,こちらが全滅するまで,ナイトメアがどこまでも追いかけてくる。
ナイトメアをある程度引き離すことができれば逃走成功だが,虐殺鬼ごっこ中は周囲が暗くなって視界が利かず,ミニマップも表示されなくなるので,かなり焦る。万が一,行き止まりに追い詰められてしまったらナイトメアと戦って乗り切るしかないが,上述のとおりナイトメアは不死身なので倒すことはできない。ただし,攻撃を加えて相手の部位を破壊することでノックダウンを奪えるので,そのスキに相手を乗り越えて逃げることはできる。
一方,ランダムエンカウントで発生する通常のメルヒェンとの戦いでは,攻撃時に発生する「血しぶき」がカギを握っている。戦闘中に相手の弱点属性で攻撃したり,大ダメージを与えてメルヒェンを倒したりすると,ピンク色の血しぶきが飛び散り,血式少女達の「返り血アイコン」が満たされていく。これがMAXまで溜まると「ジェノサイドモード」となり,ステータスが大幅に上昇し,強力な専用スキルも使えるようになるのだ。
しかし,血式少女達にも弱点があり,パーティメンバーが戦闘不能になったり,自分が大ダメージを受けたりすると「穢れ」が溜まっていく。穢れが溜まると,返り血アイコンが徐々に濁った色になり,その状態でアイコンがMAXになると「ブラッドスケルターモード」が発動。敵味方を見境なく攻撃するようになるため,非常に危険だ。戦闘中に血式少女の穢れが溜まり始めたら,主人公のジャックだけが使える「メアリガン」コマンドで,彼女達の穢れを浄化してやろう。
また,戦闘中は「舐める」コマンドを選択することで,仲間の返り血を舐めとることもできる。血を舐めると「魂血スキル」が発動し,回復や強化などの補助効果を得られるので,戦況を立て直したいときに有効だ。ただし,舐められた女の子の返り血は綺麗さっぱり消えてしまうので,ジェノサイドモードからは遠ざかってしまう。ジェノサイドモードで攻撃力を高めて畳みかけるのか,それとも魂血スキルで守りを固めるのか,状況に応じてうまく使い分けていきたい。
コンパイルハートらしいお色気要素もあるが,本作においては控えめで,世界観や設定は全体的にかなりダーク。何やら裏がありそうな,一筋縄ではいかない登場人物達の言動と相まって,ぐいぐいと引き込まれるストーリー展開は見事と言っていいだろう。転職によってさまざまなスキルを習得できるジョブシステムや,血式少女達の武器強化といったやり込み要素も充実しており,たっぷり遊べるゲームに仕上がっている。
2016年はダンジョンRPGの当たり年と言ってもいいが,本作はそうした先行タイトルに負けず劣らず個性的なゲームシステムを数多く備えており,同じダンジョンRPGでありながら,本作ならではの遊び心地を生み出すことに成功している。美少女達が敵の返り血を浴びながら,不条理な世界で死闘を繰り広げるというシチュエーションに興味をそそられた人は,ぜひ手に取ってみよう。
「神獄塔 メアリスケルター」公式サイト
- 関連タイトル:
神獄塔 メアリスケルター
- この記事のURL:
(C)2016 COMPILE HEART