インタビュー
バイオハザードとミュージカルはどう融合する? 「ミュージカル バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜」の主演・柚希礼音さんら出演&制作陣にインタビュー
「ミュージカル バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜」
【東京公演】
2016年9月30日〜10月12日
赤坂ACTシアター
【大阪公演】
2016年11月11日〜16日
梅田芸術劇場メインホール
【チケット発売日】
2016年7月23日(予定)
バイオハザードとミュージカル。この意外な組み合わせに戸惑った人もいるだろう。今回4Gamerでは,主人公リサ・マーチンを演じる柚希礼音さん,ロブロ役の平間壮一さん,脚本・演出担当のG2氏,そして監修を務めるカプコンの小林裕幸氏にインタビューを実施し,いろいろと気になることを聞いてみた。
G2氏と小林氏には,立ち上げに至るまでの経緯やその内容を,柚希さんと平間さんにはそれぞれの思いを語ってもらった。
ミュージカル「バイオハザード 〜ヴォイス・オブ・ガイア〜」特設サイト
バイオハザードのミュージカルは,いかにして誕生したのか
バイオハザードとミュージカルとの融合ということで,意外な組み合わせだと感じました。どういった経緯で,今回のプロジェクトが立ち上がったのでしょうか。
小林裕幸氏(以下,小林氏):
最初は梅田芸術劇場さんと柚希さんがお話をされて,「バイオハザードのミュージカルをやりたい」ということになり,カプコンにお話をいただいたのがきっかけです。柚希さんにとって,宝塚歌劇団退団後の初主演ミュージカルということもありますし,(柚希さんなら)カッコいい女性を演じてもらえるという期待感も大きかったので,「ぜひ,こちらこそ」という形でお返事しました。
4Gamer:
脚本と演出はG2氏が担当されています。
小林氏:
ゲームには細かい設定がたくさんあるので,それらをミュージカルで再現しようとすると大変です。そこでG2氏には,「ミュージカル バイオハザード」で描きたいことを自由に考えていただいて,一緒に最終的な形へ落とし込んでいきました。
G2氏:
最初に話をいただいたときには,はっきり言って「無理だ」と思いましたね(一同笑)。そもそも僕自身,怖いものが苦手ですし。
でも,「だからこそ面白いのかも」と感じたんです。そういう気持ちになるまで,1〜2日かかりましたけど。そして,自分だからこそ描けるバイオハザードなら,ぜひ描いてみたいと思うようになりました。
4Gamer:
それは,小林さんに「自由に演出してください」と言われる前の話ですか。
G2氏:
ええ。なので,最初に完成した脚本を小林さんに渡したときに「どこまで怒られるんだろう」と。緊張感がありましたねえ。
小林氏:
(笑)
G2氏:
脚本を見ていただいたあと,「この路線でいってください」と言ってもらえたので,とても勇気づけられました。
4Gamer:
今回のミュージカルは,海が舞台の1つとなっています。
G2氏:
演劇はセットが必要ということもあり,基本的には舞台をあまり移動できないメディアなんですね。バイオハザードの舞台として,都会は違う気がするし,砂漠も過去の作品で見ていたので,どこに設定するかは非常に悩みました。
そこで思いついたのが,自然に囲まれた美しい場所。それにも関わらず,ウイルスに侵されてしまった,という対比が面白いなと。そうなると,海を舞台に盛り込むことは外せない。ただ,そうやって絞り込んでいくことで,逆にアイデアはどんどん広がっていきました。場所を決めるというのは,大事な作業だと思いますね。
4Gamer:
確かに,海が舞台というのは面白いと思いました。
ところで,バイオハザードのゲームのファンがニヤリとするような要素を期待してもいいでしょうか。
小林氏:
「バイオハザードの王道」を感じられる謎や展開は用意しています。ただ,ゲームと直接リンクしているわけではなく,たとえば謎解きのアイテムとしてクランクが出てくるといった要素はありません。
ただ,「これ,大丈夫ですよね? カッコよくなりますよね?」とG2氏に何度も確認をした要素があるんです。それは「とある移動手段」なのですが,ぜひ注目してほしいですね。
柚希礼音ではない,誰かの「役」を演じてみたい
4Gamer:
続いては出演陣のお二人が,今回のオファーを受けたときの率直な感想を教えてください。
柚希礼音さん(以下,柚希さん):
私はゲームをしたことがほとんどないのですが,そんな私でも知っているくらい,バイオハザードは有名な作品です。そのミュージカルに出演させていただけることが,とても嬉しくて,ワクワクしています。早く稽古を始めたいですね(笑)。
4Gamer:
周りの皆さんの反応はいかがでしたか。
柚希さん:
兄の友達や中学校の同級生,普段宝塚をご覧にならない方からも,「『ミュージカル バイオハザード』のチケットが欲しい」と,急に連絡が来るようになりました(笑)。知り合いのダンサーも「(ミュージカルに)どうしても出たい!」と言っていましたし,やはりバイオハザードはスゴイと実感しました。
平間壮一さん(以下,平間氏):
オファーを受けたときは,「誰の役だろう?」と思いました。レオンやクリスだったら嬉しいなと。周りからは「すぐに死んじゃう奴じゃない?」と言われたりもしましたが(笑)。話を聞いたらオリジナルのキャラクターだったので,「これは頑張らなくちゃ!」と気合が入りました。
4Gamer:
ご自身が演じるキャラクターの印象はいかがでしょう。
柚希さん:
私は女性の役を演じるのが初めてなので,まずはそれが衝撃でしたね。でも設定を見ると自分が好きなタイプの女性だったので,絶対に挑んでみたいと思いました。いろいろと「深めてみたい」と思える役に出会えて幸せです。
平間さん:
僕は柚希さんに対して,自分に持っていないものがある素敵な人だと思っていたんです。カッコよさ,綺麗さ,男らしさなど。ロブロはリサに思いを寄せる青年という設定なので,憧れているという意味で僕に近いと思いました。
イメージビジュアルでは,柚希さんが“奴ら”の手に捕らわれていますが……。
柚希さん:
もう手がウニョウニョ動いている感じがすごくて(笑)。役者の皆さんも,かなりゾンビになりきっていましたね。これがミュージカルの舞台で再現されると思うと,今からドキドキです。
4Gamer:
記者会見で柚希さんは,「バイオハザード0 HDリマスター」と「バイオハザード HDリマスター」にかなり苦戦したと話していましたが,やはり難しかったですか。
柚希さん:
難しかったですね(苦笑)。みんなはどうやって進んでるんだろう……と思いました。もちろん説明書を読んだんですが,全然ダメでしたね。どうしても最初のゾンビが倒せないので,「コントローラと私の相性が悪いのかな」と思っちゃいました。
スマホ版のバイオハザードは,最初にチュートリアルで練習させてくれるので,少しはプレイできました。でも,まだまだ練習が足りないですね。
4Gamer:
「カプコンで練習させてほしい」という発言もありました。
柚希さん:
もうすぐ8月になりますし,こうなったらカプコンさんにお邪魔するしかないなと(笑)。
4Gamer:
平間さんはゲームをプレイしているそうですが,印象に残っているシーンはありますか。
平間さん:
やはり,(第1作の)序盤でゾンビが人間をガブガブ食べているシーンはビックリしました。
G2氏:
俺ならそこで終わるな(笑)。
4Gamer:
G2さんはホラーが苦手ということですが,今回のミュージカルを担当することで免疫が付くのでは?
G2氏:
いや,付かないですよ(苦笑)。でも,そのほうが怖いシーンを作りやすいと思います。
たとえば傷つきやすい人のほうが,傷つけたり傷ついたりするシーンを描くのがうまかったりします。なんでも過敏なほうが,表現しやすいというか。ですので,免疫のないまま,初日を迎えようと思います。
小林氏:
僕もホラーが苦手だったんですけど,研究していく中で「ホラーは人間ドラマだ」と気づいたんです。そういう局面に陥ったときに,いい人はちゃんと人助けをして,悪い人は裏切る。恐怖に直面すると,人間の本性が出るじゃないですか。
バイオハザードというと,ホラーの面ばかりがクローズアップされがちですが,実はヒューマンドラマでもあります。
柚希さん:
バイオハザードの映画版はすべて観たのですが,ただ怖いだけではなく,友情や人間ドラマに一番感動したので,ぜひ参考にしたいなと。
たとえば韓国料理の辛さは,辛いだけじゃなくて旨味のある辛さですよね。奥の奥に行けば行くほど,それなりのものがあると思っているので勉強したいですね。
4Gamer:
柚希さんは宝塚退団後,初主演ミュージカルとなります。特別な思いや意気込みはありますか。
柚希さん:
宝塚退団後,「プリンス・オブ・ブロードウェイ」(ミュージカル)と「REON JACK」(コンサート)を経験しました。その中で,自分はダンスと歌が好きなのはもちろん,お芝居もすごく好きだと実感したんです。
そして,柚希礼音ではない,誰かの「役」を演じてみたくなりました。意気込みは当然ありますけど,そればかりが先走らないように,一番大切な「心」の部分を大事にしながら一歩一歩進んでいきたいです。
4Gamer:
開幕までに準備しておきたいことはありますか。
柚希さん:
リサは記憶を失い,経歴が不明ですけど,「この人は何か特別なことをやっていたんだな」と納得してもらえる身体じゃないとダメでしょう。トレーニングに励みたいと思います。
平間さん:
僕も柚希さんと同じです。説得力のあるオーラを出せるように稽古に励みます。
4Gamer:
それでは,最後に4Gamer読者へメッセージをお願いします。
小林氏:
ゲームとは世界設定やキャラクターが異なりますが,G2氏には「バイオハザードとして譲れないところ」をお伝えしていますので,非常に「らしい」世界になっていると思います。
柚希さんをはじめとなる役者の皆さんには,オリジナリティを持って,のびのびと楽しみながら演じてほしいです。
ストーリーにはバイオハザードらしい謎も秘められているので,一度だけでなく,ぜひとも最低2回は観に来てほしいと思います。
G2氏:
「ゲームのバイオハザードが好き」という理由だけでも,楽しめるミュージカルになりますので,興味のある方は会場まで足を運んでいただければと思います。
平間さん:
皆さんが知っているバイオハザードを大事にしながら,素敵な作品に作り上げていきます。先輩達からさまざまなことを吸収して,一生懸命頑張りますので,よろしくお願いします。
柚希さん:
日本から生まれたバイオハザードが,映画にもなり,世界中で愛される作品になりましたよね。そんなバイオハザードがミュージカルになり,それをカプコンさんが見ていてくださるというのは,すごくありがたいことだと思っています。ゲーム,映画,ミュージカル,すべてのファンが楽しんでいただけるように頑張ります。
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